北方謙三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
6年待った。
長かった。その間に北方謙三著書レビューは書けないでいた。それでも、著者登録数は51冊でベストワンを保っていた。ただ、マイ本棚には何かが足りない、とずっと感じていた。今年、ベストワンの座を宮部みゆきに譲った。それも多分一瞬だ。これからは、約1年半、毎月文庫本が発刊される。また北方謙三レビューが、マイ本棚を賑わすことになる。
「なあ、ボォルチュ。俺は、自分が死ぬだろうと思っていたが、まだ生きている。天が生きよと言っているのだ。人は、死ぬ時は死ぬ。天が死ねというからだ。天の声は、聞こえはしないが、躰が感じる。いま、俺はなにも感じていない。だから、心配するな」
「テムジン様」
「俺がま -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ官渡の戦いの敗戦から始まった袁家の崩壊。
負けても負けてもなお、袁紹のほうが曹操よりも大きな軍勢を持っていたはずなのに、員数以外にダメージが大きすぎた。
再起を図る袁紹だったが、病に倒れ、結局回復することなく死を迎える。
自分の中では後継者は三男と決めていたが、公にしなかったばかりに始まる兄弟同士の内紛。
曹操はただ、黙ってみているだけでよかった。
小競り合いはあるものの、大きく情勢が変わるような戦いのない巻だったので、多少退屈。
その中で、張飛が結婚。
やはり作者は呂布の次に張飛を書きたいと思っているのだな。
関羽なんて全然影が薄いもの。
相変わらず劉備の良さが微塵もわからんが、彼のもと -
-
Posted by ブクログ
ネタバレつくづく漢(おとこ)を書きたい作家なのだな、北方謙三は。
呂布が斃れたあと、彼が力を入れて書いているのは、張飛。
劉備の徳の高さを際立たせるために、あえて兵たちに厳しく当たり張飛。
彼の優しさは厳しさの奥深くに隠され、これが後々張飛の命を奪うことになる。
それに引き換え、今回曹操に捕らえられ、恩を返したうえで劉備のもとに帰った関羽の活躍などは、かなりあっさりとしか描写されない。
数対数の戦いはあまり興味がないのか、この巻の目玉である「官渡の戦い」すら、勝利を決した手前までしか書かない。
袁紹の没落は既定路線として、ナレーターベースで処理される。
かなりクセ強の『三国志』だな、と今更ながら正 -
Posted by ブクログ
ネタバレただの暴れん坊呂布だったはずが、ここまで作者の熱い思いを託されて、最上等の漢(おとこ)になったよ。
もはや袁紹どころか曹操まで小物に見える。
死にざまも、彼としては義を貫いた形だったのだろう。
そしてそんな呂布の思いを、赤兎はしっかりと受け止めた、と。
これ、三国志の本流の話じゃないのに、ほとんどこの巻のメインの話だった。
袁紹袁術兄弟については、家名に胡坐をかいた小物扱いなのはいいとして、曹操の扱いの軽さが、本当にがっかり。
北方謙三は漢(おとこ)を書きたい人なのはわかるし、戦闘シーンの血沸き肉躍る描写には本当にワクワクするけれど、曹操が帝を擁していること、その意味と実態がほとんど書かれ