北方謙三のレビュー一覧
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敵にむかった。待て、待ってくれ、と叫んでいるボオルチュの声が聞こえた。
ベルクティは振り返り、ボオルチュに一度笑ってみせた。ボオルチュが息を呑むのがわかった。
ベルグティは、馬腹を蹴った。躰の中で、なにかが壊れ続けている。
病の床で、そのまま死んでいくはずだった。それが、闘っているのだ。戦場に立ち、剣を構えている。なんという、幸福なのだ。
敵につっこむ。
カサルとともに、生きた。それから、兄とともに生きた。兄は非凡だったから、普通では考えられない経験をたえずさせてくれた。そうやって生き、病みはしたものの、いまそうやって死のうとしている。
面白かった、とペルグティは思った。敵を斬り -
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ついに宋と遼が雌雄を決することになる。耶律休哥、石幻果と楊家軍との戦闘シーンは、まさに圧巻で自身が戦場を疾駆しているような錯覚を巻き起こしてくれる。
それにしても戦により新たに生まれ変わった楊四郎こと石幻果と、戦わなければならない運命となった六郎、七郎、九妹の楊家軍は、国に報じているものの、当時の文民統治の制度ということもあろうが、あまりにも報われていない感がある。
逆に軍人の力が強すぎるとクーデターを考えなければならないとなると常にバランスが大切なのであろう。
最終的には外交により、休戦をもたらすことになったのであるが、あまりにも多くの犠牲を要し、さらにあまりに不安定なものであること -
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テムジンの旗。
とうとう、やるのだな。テムジンが、語りかけてくる。これが宿運だ、とジャムカは返した。お互いに声は出さない。ぶつかる前に、伝えたいことが多くあった。
俺もおまえも、自分の道を進もうとしているだけだ、テムジン。俺も、そう思うよ、ジャムカ。これが、生きるということだ。(274p)
トオリル・カン。
ケレイト国の王としてチンギスと共に
金国と同盟してタタル族と戦った
草原の力関係は
トオリル=チンギス=金国と
タルグアイ=メルキト族=ジャムカへと
変わってしまった
トオリル・カンは焦っていた
我国の兵力も民生も
量は此方が多いのに
質は共に劣っている
若きチンギスとジャムカに劣 -
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北方謙三の作品は三国志や武帝紀は読んだが、今回の作品の前談となっている「楊家将」は読まずに、本書に挑戦。「楊家将」の続編とのことであるが、なんら苦もなく読める。話としては、宋の英雄楊業が裏切りによって死去した後の宋と、北方の遼との戦や、楊業の残された子や、遼の耶律休哥、記憶をなくした石幻果を中心に進んでいく。
それにしても、三国志や武帝紀には感じなかったが、なんというテンポのいい小説であろうか、それぞれの立場をほぼ交互に配置して、短文かつ短段落で、まさに騎馬が駆ける戦場のダイナミックさを見事に表現した文章と感じたのは自分だけでなかろう。
記憶を残し、苦悩の内に他国に生きた李陵を少し思い出 -
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玄翁こと胡土児は
精鋭の麾下50騎を従え西に駆けていた
思えば戦(いくさ)に憑かれた人生だった
むかし幻王という名で金国で恐れられた
梁山泊の頭領となった楊令を実父に持ち
金国の大将兀朮(うじゅ)を養父に持ち
梁山泊と金国の最後の決戦を前に
「お前を戦に出せば、俺は人間ですら無くなるのだ」と養父に言われて
泣く泣く匈奴の地を放浪した胡土児は
戦で死ぬべき場所を数十年間探していた
極限迄に強くなっても戦で勝てないことは
実父や養父の人生で教わっていた
俺はどうすればいいのか
漢はどう生きれば見事に死ねるのか
玄翁は駆けていた
タイチウト軍との決戦が
実は玄翁との決戦だと知っている
息子テムジンの -
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