北方謙三のレビュー一覧
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北方謙三『過去 リメンバー』ハルキ文庫。
再読。北方謙三の初期ハードボイルド小説が5ヶ月連続で再刊されている。第1弾の『友よ、静かに瞑れ』に続く第2弾がこの『過去 リメンバー』である。
学生時代から北方謙三のハードボイルドにハマり、後に北方謙三が歴史小説家に転身するまで全作品を読んでいる。
時代と共に若い男は次第に軟弱になり、喧嘩などの肉体闘争を経験したことの無い世代が増えている。虐めや暴力と喧嘩は全く違う。自分より弱い者を標的にする虐めや暴力と違い、常に勝敗がつきまとう喧嘩は対等か相手が強い場合が多い。負けるのは決して弱いからではなく、挑戦した結果だと思えば良いのだ。
北方謙三のハー -
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難しい。学生時分から敬愛し読んできた北方作品だが、一体この小説をどう読んだらいいのか。もちろん、何よりも剣戟小説であり、ビルドゥングスロマンであり、ロードノベルであり、もちろんハードボイルド小説なんだけれど、主人公の行動原理というか哲学が分からない。北方ヒーローの行動原理は、男の矜恃であったり、友との約束であったり、愛する女のためであったりと、分かりやすいものであったが、この景一郎の行動はなかなか胸に落ちてこない。なぜそこで女を犯すのか、なぜ焼き物を斬るのか、そしてなぜそんなにあっさりと立ち会い(すなわち殺し合い)に赴くのか。「己の強さを見極めたい」というのとも違うような気がする。しかし無類に
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敵にむかった。待て、待ってくれ、と叫んでいるボオルチュの声が聞こえた。
ベルクティは振り返り、ボオルチュに一度笑ってみせた。ボオルチュが息を呑むのがわかった。
ベルグティは、馬腹を蹴った。躰の中で、なにかが壊れ続けている。
病の床で、そのまま死んでいくはずだった。それが、闘っているのだ。戦場に立ち、剣を構えている。なんという、幸福なのだ。
敵につっこむ。
カサルとともに、生きた。それから、兄とともに生きた。兄は非凡だったから、普通では考えられない経験をたえずさせてくれた。そうやって生き、病みはしたものの、いまそうやって死のうとしている。
面白かった、とペルグティは思った。敵を斬り -
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ついに宋と遼が雌雄を決することになる。耶律休哥、石幻果と楊家軍との戦闘シーンは、まさに圧巻で自身が戦場を疾駆しているような錯覚を巻き起こしてくれる。
それにしても戦により新たに生まれ変わった楊四郎こと石幻果と、戦わなければならない運命となった六郎、七郎、九妹の楊家軍は、国に報じているものの、当時の文民統治の制度ということもあろうが、あまりにも報われていない感がある。
逆に軍人の力が強すぎるとクーデターを考えなければならないとなると常にバランスが大切なのであろう。
最終的には外交により、休戦をもたらすことになったのであるが、あまりにも多くの犠牲を要し、さらにあまりに不安定なものであること -
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テムジンの旗。
とうとう、やるのだな。テムジンが、語りかけてくる。これが宿運だ、とジャムカは返した。お互いに声は出さない。ぶつかる前に、伝えたいことが多くあった。
俺もおまえも、自分の道を進もうとしているだけだ、テムジン。俺も、そう思うよ、ジャムカ。これが、生きるということだ。(274p)
トオリル・カン。
ケレイト国の王としてチンギスと共に
金国と同盟してタタル族と戦った
草原の力関係は
トオリル=チンギス=金国と
タルグアイ=メルキト族=ジャムカへと
変わってしまった
トオリル・カンは焦っていた
我国の兵力も民生も
量は此方が多いのに
質は共に劣っている
若きチンギスとジャムカに劣 -
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北方謙三の作品は三国志や武帝紀は読んだが、今回の作品の前談となっている「楊家将」は読まずに、本書に挑戦。「楊家将」の続編とのことであるが、なんら苦もなく読める。話としては、宋の英雄楊業が裏切りによって死去した後の宋と、北方の遼との戦や、楊業の残された子や、遼の耶律休哥、記憶をなくした石幻果を中心に進んでいく。
それにしても、三国志や武帝紀には感じなかったが、なんというテンポのいい小説であろうか、それぞれの立場をほぼ交互に配置して、短文かつ短段落で、まさに騎馬が駆ける戦場のダイナミックさを見事に表現した文章と感じたのは自分だけでなかろう。
記憶を残し、苦悩の内に他国に生きた李陵を少し思い出 -