北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレようやっと最終巻までたどり着きました。
呂布亡き後の後半を、ワクワクすることなく、淡々と読み進めてきて思ったこと。
国を興すのは英雄でも、国を作っているのは名もなき庶民なんだな。
英雄は一代で終わるけど、名もなき庶民はずっとそこに居つづける。
作者が書きたかったのは英雄たちの戦いぶりなんだろうけれど、三国志とあらば国づくりも書かねばならない。
でも『水滸伝』の時のように、梁山泊のシステムを築き上げたようには、三国の国の姿を描けていたとは思えなかった。
特に呉は、周瑜亡き後の存在感がなさすぎる。
戦ではなくて暗殺で勝ちに行くし。
蜀こそが、国づくりにページを割けるポジションにあったと思うんだ -
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火眼を持つテムジンは、モンゴル族キャト氏の長として力を蓄え二千人の兵士を擁していた。そんな時、敵方の傭兵として、戦人・玄翁の五十騎が現れ、2度の戦いで2度テムジンは玄翁に斬られた。不思議と生きている。長い読者の我々には、玄翁の正体は分かっているが、彼が生きる目的も、テムジンに対する想いも、今はわからない。
「殿、あれを御覧ください」
言われるまでもなく、テムジンは現れかかった時から、それを見ていた。虹である。はじめは、ぼんやり地表から立ちあがってきたが、すぐに空の中に鮮やかな弧を描いた。
なぜ、なにもない空の下、大地の上に、これほどの色が出るのか、考えたことはなかった。ただ、その虹の根も -
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ネタバレ本文よりも、カバー裏のあらすじの方がよほど熱い。
『出師の表』も、読み上げたシーンはあるものの、そして聞いていた人たちが感動で涙を流したシーンもあるけれど、肝心の孔明が想いをこめたその文章が一行たりとも出てこない。
司馬懿は特に野心家なわけではなく、副官に三国の上に立てと徐々に洗脳されていくみたいだし、孫権は…本当に存在感がない。
そして再び孔明よ。
関羽が死んだ際、自分が敵だったらこうするという考えを伝えておけば…と後悔したはずなのに、今回もまた多くを語らなかったがゆえに馬謖を誤らせた。
細かな作戦を明かさなくても、なぜここを守ることが必要であるのかを伝えておけば、馬謖が山に登ることはな -
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ネタバレ何冊も三国志を読んでいるから、今更「衝撃の」と煽られても、思った通りにしかストーリーは進まないんだけどね。
でも、『三国志』の一番の見せ場は赤壁の戦いであり、『三国志』っていうのは、曹操対劉備率いる蜀の面々の戦いっぷりが面白いのだと思う。
呉は…周瑜のみ。
となると、関羽も曹操も張飛もそして劉備もいなくなった後の三国志は、何をモチベーションとして読み進めればいいのだろう。
もう結構前から、関羽が亡くなったころから、老人の繰り言のような描写が増えてきて、しかも何度も繰り返すので、読むのが苦痛になってきている。
魏と呉は国を作ろうとする話だが、蜀に関していえば、劉備とその仲間たちが「漢王朝の復 -
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ネタバレ関羽の仇を討つ。
劉備と張飛の気持ちは同じはずだ。
国のことより個人的な敵討ちかよ、っていろんな三国志を読むたびに思いましたが、今回の三国志ほど「国より個人が優先」する漢(おとこ)としての意志に納得させられたものはありませんでした。
それなのに、張飛ったらさ。
最初の頃の張飛はとにかく乱暴で、ついてこられない歩兵はあっさりと調練の場で打ち殺していました。
それは、張飛の性格故ではなく、劉備を「徳の人」と印象付けるための、戦略的な乱暴者。
でも、それを恨む者は当然いて、張飛の隙をついて裏切り、惨殺…という流れなら納得できた。
当初の張飛のままだったらそうだったはず。
けれど張飛には、思いもよ -
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ネタバレストーリーはわかっているので、この先にスッキリと満足がいくような展開にはならないことも知っていた。
でも、もう少し手に汗を握らせてほしかった。
赤壁以降の曹操軍の停滞、呉も蜀も決定力がなくて、天下三分の計というよりも、三つ巴の膠着状態。
この間に水面下でいろいろ動いていることを、もう少し熱く語ってほしかったのだけど…。
例えば馬超の危機を救った張衛の顔を立てるため、馬超が劉備のもとに赴いた件。
一時的に劉備のもとで戦うことはあっても、劉備の旗下には入らないと決めていた馬超が、劉備の使者である簡雍(かんよう)と酒を酌み交わした後、劉備のもとで死ぬまで戦うと決めた。
以前なら、その際二人がどの -
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「タルグダイもトドエン・ギルテも十戸の遊牧民を抱えているぐらいでちょうど良かった。それが何千戸、何万戸だ。俺は、やつらの覇権は認めないぞ、テムジン。モンゴル族は、ひとつになるべきだろう。でなければ、メルキトにもタタルにも勝てない」
「俺はいま、タイチウトを見ているしかないのだよ」
「俺も、西のメルキトを見ているしかない。つまらない話だよな」
メルキト族も、ケレイト王国も強大で、西のナイマン王国は、もっと強大なのだという。さらにその西に西遼があり、この国は金国と比肩しうるかもしれない。
「俺たちは、どういう時代に生まれたのだろうな、テムジン。ただの草原なのに、いくつにも分かれ、まるで戦を好んでい -
Posted by ブクログ
ネタバレ赤壁が終わり、気の抜けた感がぬぐえない。
おかしいな。
本来ならまだ天下の情勢は定まっていないのに、なんでこんなに「終わった」感が強いのだろう。
病を抱えたまま周瑜は、孫権のために益州を奪取すべく準備をする。
が、病の周瑜、看病する幽のやり取りが煩雑で、テンポが悪い。
赤壁で大敗した曹操は、内政を充実させながらも虎視眈々と勢力拡大を狙う。
が、頭痛がはなはだしい曹操、手当てするえん京のやり取りが煩雑で、テンポが悪い。
膠着状態の間延々と続けられる一人語り、または部下に対してかます薫陶など、はっきり言って鬱陶しい。
そういうのは行動で示し、行間から読者が読み取るものだ。
さんざん大物感を煽っ