あらすじ
内海義行のもとに、服役中の川口から会いたいと手紙が届いた。一緒にいくつもの仕事をやった川口が、大矢興業の社長・矢沢を切りつけ刑務所に入って五年。出所まであと二年だった。しかし、会いに行こうとした矢先に川口が急死する。川口は、最期に何を伝えたかったのか……。遺された女たち。甦る過去。男のこだわりが、信義が、体に熱く流れ込む、北方謙三ハードボイルドの名作。(解説・小梛治宣)
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Posted by ブクログ
北方謙三『過去 リメンバー』ハルキ文庫。
再読。北方謙三の初期ハードボイルド小説が5ヶ月連続で再刊されている。第1弾の『友よ、静かに瞑れ』に続く第2弾がこの『過去 リメンバー』である。
学生時代から北方謙三のハードボイルドにハマり、後に北方謙三が歴史小説家に転身するまで全作品を読んでいる。
時代と共に若い男は次第に軟弱になり、喧嘩などの肉体闘争を経験したことの無い世代が増えている。虐めや暴力と喧嘩は全く違う。自分より弱い者を標的にする虐めや暴力と違い、常に勝敗がつきまとう喧嘩は対等か相手が強い場合が多い。負けるのは決して弱いからではなく、挑戦した結果だと思えば良いのだ。
北方謙三のハードボイルドは強い男とは何か教えてくれた。
さて本作。主人公の内海義行が語り手となり、一人称で極めて乾いた文体で物語は進行していく。ざっくりと言えば、刑務所に収監されていたかつての仲間が急死し、仲間が伝えようとしていたものを探し出すというストーリーである。
6軒の喫茶店を経営する内海義行の元にかつての仲間で刑務所に服役中の川口直司から、会いたいという簡単な内容の手紙が届く。川口が5年の刑で服役し、後2年で釈放されるというタイミングで、もう1人の仲間の小畑にも同様の手紙が届いていた。
しかし、内海と小畑が意を決し、川口に会いに行こうとした時、内海をマークしていた刑事の村尾から川口が刑務所で急死したことを知らされる。川口が最後に伝えたかったことは一体何か。川口とかつて暮らした女と実の娘に遺したものとは……
川口の、そして、内海の過去が甦る。
本体価格800円
★★★★