あらすじ
バーの店主・田村は店を営む傍ら、弁護士の山本が持ってくる危ない仕事も請け負っていた。ある日、店に黒いドレスを着た女がやってきた。朝吹冽子と名乗るその女は、バーで雇ってほしいと言う。一方、田村は山本から、庄司という男を国外に逃がしてほしいと頼まれるが……。男は、自分を試したくなる時がある──グラスに映る男の汗。その一瞬の輝きを見つめる女。情念と哀感が心奥に響く、北方謙三伝説の傑作。(解説・小梛治宣)
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Posted by ブクログ
守るべき理由もないけど、自分を試したいという感覚に共感できた。女性の1人くらい守るのが男。自分が男であることを試すために躰をかけて守る男たちの姿がかっこよかった。
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北方謙三『黒いドレスの女』ハルキ文庫。
再読となる。北方謙三の初期ハードボイルド小説が5ヶ月連続で再刊されている。第1弾は『友よ、静かに瞑れ』、第2弾が『過去 リメンバー』、そして第3弾が本作『黒いドレスの女』となる。
第4弾は『二人だけの勲章』で、第5弾は『逆光の女』ということで月1冊の刊行予定になっている。
本作『黒いドレスの女』は角川映画の全盛期を過ぎた末期の辺りに原田知世主演で映画化されている。
読み返してみれば、こちらが恥ずかしくなる程の『男の生き様』を前面に押し出しているようなハードボイルド小説であった。昔はこういうハードボイルド小説にかなり信教していたのだが。
今読んでも、作中に描かれる肉体闘争のシーンは簡潔な言葉をつなぎつつ、迫力のある臨場感あふれる描写になっている。このような格闘シーンを描けるのは北方謙三か夢枕獏くらいなものだろう。
渋谷でバーを営む田村充は、同級生で弁護士の山本が持って来る危険な仕事も請け負っていた。それは人を預かり、海外などに秘密ルートで高飛びさせるという類で危険度に応じて報酬は変動した。
そんな田村の店に黒いドレスを着た見た限り23、4歳の若い女がやって来た。朝吹冽子と名乗るその女は、バーで雇ってほしいと言う。
一方、田村は山本から、庄司という男を国外に逃がしてほしいと頼まれる。田村は仲間の立岡とその息子で20歳になる秋介と庄司を逃亡させるルートが見付かるまで、匿うことになる。
ある夜、閉店間際に庄司と秋介が4人組の男たちに襲撃されるが、それは冽子を狙ったものだった。
本体価格800円
★★★★