北方謙三のレビュー一覧
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感想
淡々と語る筆者の書は辞められない。また、登場人物は多いが一人一人キャラが立っている。
長い物語が始まる。
あらすじ
衛青は、奴僕の地位から姉が武帝劉徹に寵愛を受けたことにより、将として取り立てられる。劉徹は負け続けていた匈奴を倒すべく、衛青に新しい匈奴を打ち破る兵を作るように命ずる。
武帝は時間をかけて皇太后などの遠戚から力を奪ってきた。自身が登用した商人の子の桑弘羊を重用していた。武帝は、6年前から匈奴討伐に向けて張騫を月氏に派遣していた。匈奴に囚われていた張騫もいよいよ月氏に向けて未知なる西方へ進発する。
衛青はいよいよ帝より兵1万を率いて他の将軍と一緒に匈奴へ攻め入ることを命ぜられる。
張騫は仲間を17人から7人に減らしながらもなんとか大宛に到着する。
衛青は単于庭の近くまで迫る大勝利を挙げるが、他の三将軍は敗走し、罰せられる。衛青は兵を3万まで増やされ、再び匈奴へ侵攻する。
張騫らは大宛が戦闘の意思がないことを確認し、漢へ帰ることを決意する。 -
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北方謙三『過去 リメンバー』ハルキ文庫。
再読。北方謙三の初期ハードボイルド小説が5ヶ月連続で再刊されている。第1弾の『友よ、静かに瞑れ』に続く第2弾がこの『過去 リメンバー』である。
学生時代から北方謙三のハードボイルドにハマり、後に北方謙三が歴史小説家に転身するまで全作品を読んでいる。
時代と共に若い男は次第に軟弱になり、喧嘩などの肉体闘争を経験したことの無い世代が増えている。虐めや暴力と喧嘩は全く違う。自分より弱い者を標的にする虐めや暴力と違い、常に勝敗がつきまとう喧嘩は対等か相手が強い場合が多い。負けるのは決して弱いからではなく、挑戦した結果だと思えば良いのだ。
北方謙三のハードボイルドは強い男とは何か教えてくれた。
さて本作。主人公の内海義行が語り手となり、一人称で極めて乾いた文体で物語は進行していく。ざっくりと言えば、刑務所に収監されていたかつての仲間が急死し、仲間が伝えようとしていたものを探し出すというストーリーである。
6軒の喫茶店を経営する内海義行の元にかつての仲間で刑務所に服役中の川口直司から、会いたいという簡単な内容の手紙が届く。川口が5年の刑で服役し、後2年で釈放されるというタイミングで、もう1人の仲間の小畑にも同様の手紙が届いていた。
しかし、内海と小畑が意を決し、川口に会いに行こうとした時、内海をマークしていた刑事の村尾から川口が刑務所で急死したことを知らされる。川口が最後に伝えたかったことは一体何か。川口とかつて暮らした女と実の娘に遺したものとは……
川口の、そして、内海の過去が甦る。
本体価格800円
★★★★ -
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難しい。学生時分から敬愛し読んできた北方作品だが、一体この小説をどう読んだらいいのか。もちろん、何よりも剣戟小説であり、ビルドゥングスロマンであり、ロードノベルであり、もちろんハードボイルド小説なんだけれど、主人公の行動原理というか哲学が分からない。北方ヒーローの行動原理は、男の矜恃であったり、友との約束であったり、愛する女のためであったりと、分かりやすいものであったが、この景一郎の行動はなかなか胸に落ちてこない。なぜそこで女を犯すのか、なぜ焼き物を斬るのか、そしてなぜそんなにあっさりと立ち会い(すなわち殺し合い)に赴くのか。「己の強さを見極めたい」というのとも違うような気がする。しかし無類に面白かったのは確かで、今後景一郎が、森之助がどのような運命を辿るのか気になって仕方がない。シリーズ全巻読むんだろうな。
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敵にむかった。待て、待ってくれ、と叫んでいるボオルチュの声が聞こえた。
ベルクティは振り返り、ボオルチュに一度笑ってみせた。ボオルチュが息を呑むのがわかった。
ベルグティは、馬腹を蹴った。躰の中で、なにかが壊れ続けている。
病の床で、そのまま死んでいくはずだった。それが、闘っているのだ。戦場に立ち、剣を構えている。なんという、幸福なのだ。
敵につっこむ。
カサルとともに、生きた。それから、兄とともに生きた。兄は非凡だったから、普通では考えられない経験をたえずさせてくれた。そうやって生き、病みはしたものの、いまそうやって死のうとしている。
面白かった、とペルグティは思った。敵を斬り落としながら、いまも面白い、と思った。(221p)
テムジン=トオリル・カン連合軍とジャムカ=タルグアイ=アインガ連合軍との決戦の火蓋は切られた。テムジンの異母弟ペルグティは、ジャムカが謀った虎落の罠に抗い命を落とす。最期の炎を燃やして。
1巻の半分、まるまる戦闘描写が続く。水滸伝のように歩兵や政治的駆引きはなく、騎馬戦のみ。一進一退。人によっては退屈かもしれない。これが漢の文学だ。
タルグアイ。
モンゴル族タイチウト氏の長
キャト氏の長若きテムジンを
最初から殺して草原の覇権を
狙ってい乍ら常に負け続けた
負けて、負けて、負けて、尚
ラシャーンという偉丈夫妻を
迎えて彼は氏族をまとめ上げ
そして強くなっていったのだ
最後の決戦、妻の力を借りず
自分で指揮し、果敢に闘った
人は変わり得るのだという事
テムジンにも認めさせたのだ
そして草原に潰走していった
これも漢の人生なのだろうか -
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ついに宋と遼が雌雄を決することになる。耶律休哥、石幻果と楊家軍との戦闘シーンは、まさに圧巻で自身が戦場を疾駆しているような錯覚を巻き起こしてくれる。
それにしても戦により新たに生まれ変わった楊四郎こと石幻果と、戦わなければならない運命となった六郎、七郎、九妹の楊家軍は、国に報じているものの、当時の文民統治の制度ということもあろうが、あまりにも報われていない感がある。
逆に軍人の力が強すぎるとクーデターを考えなければならないとなると常にバランスが大切なのであろう。
最終的には外交により、休戦をもたらすことになったのであるが、あまりにも多くの犠牲を要し、さらにあまりに不安定なものであることを感じざるを得ないのは、常に侵略と王朝交代が繰り返される中国の歴史が示すとおりであるからだろう。
遡るように楊家将そして水滸伝を読みたくなった。 -
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テムジンの旗。
とうとう、やるのだな。テムジンが、語りかけてくる。これが宿運だ、とジャムカは返した。お互いに声は出さない。ぶつかる前に、伝えたいことが多くあった。
俺もおまえも、自分の道を進もうとしているだけだ、テムジン。俺も、そう思うよ、ジャムカ。これが、生きるということだ。(274p)
トオリル・カン。
ケレイト国の王としてチンギスと共に
金国と同盟してタタル族と戦った
草原の力関係は
トオリル=チンギス=金国と
タルグアイ=メルキト族=ジャムカへと
変わってしまった
トオリル・カンは焦っていた
我国の兵力も民生も
量は此方が多いのに
質は共に劣っている
若きチンギスとジャムカに劣っている
2人の行く道は変わった
2人は初の剣を交えたが
行く方向は同じと思えた
何処で方向を違えたのか
草原には断金の同盟など
草原には強固な絆などは
求めてはならないのかも
トオリル・カンは焦った
誰も知らず草原覇者行方