北方謙三のレビュー一覧
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楊令の正面に岳飛が出てくるのが見えた。一度だけ剣が交差した。岳飛の剣が、宙を飛ぶのが見えた。
それだけだった。楊令は岳飛軍を突き抜け、長平もそれに続いた。『幻』の旗は、揺らいでいない。『蒼』の旗もだ。
右手。童貫だった。楊令を、押し包もうとしてくる。息を呑むような、鮮やかな動きだった。しかし楊令は、それより速く反転した。(79p)
遂に楊令と童貫との決着がつく。どのように剣を交わしたのか、描写されない。我々の想像に任せる、ということなのだろう。
戦の終息。それはつまり、宋江が魯智深が思い描いていた、そして楊令が梁山泊の頭領になるに当って死ぬほど苦しんだ「国造り」の構想が明かされるとい -
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「呉用殿が見舞いに来るとは、私ももう目醒めなくなるのだな」
こんなことを、言いそうな気はしていた。呉用は笑いかえしたが、それは覆面で見えなかっただろう。
「偽の書類は必要としていないのか。遠慮することはない。私はまだ、一通や二通の書類なら、書けるかもしれん。ほかに、書ける者はいないのだからな」
「もういいのだ、蕭譲」
呉用は、皺で隠れてしまいそうな、蕭譲の眼を見つめた。
「偽の書類でこそこそやる時期は過ぎた。宋とは、正面切った戦になる」
「そうか、安心して死んでいい、と言いに来てくれたか」
(略)
「面白いところに誘われたものだ。塾の教師がな」
「私もわか若いころは塾の教師だった」
「別れはし -
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「俺の部下だった。俺の片腕だった。死ねと言えば、あっさりと死にに行くようなやつだった。そんな男に、殿軍をやらせたのだ」
張清の手が、握りしめられている。
「あの時の戦闘はな」
「言うなよ、李俊。あそこでは、関勝を含めて、いろんなやつが死んだ。俺は、自分が死を避けたのではないか、という気がしてならないのだ。単廷珪は、俺の部下だ。死ねと言えば、黙って死ぬ部下だ。そんな男に、死ねというのは、指揮官ではない」
「自分を、責めすぎるな、張清」
「いや、李俊。張清は自分を責め続ければいい。指揮官とは、自分を責め続ける業を背負うものだ、と俺は思う」
楊令の声に、一瞬だけ暗い響きが入り混じった。
「単廷珪殿が -
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またまた面白かったす。
ドーカン戦も佳境に入ってきて、こうなったときのスピーディーさは、まんまだけど、水滸伝のラストの戦いが思い浮かんだ。
で、その最中で死んでいく漢たちのあっけなさもやっぱり圧倒的。大きな戦以外で死ぬ場合、その漢の近辺状況が一通りクローズアップされて、その後、それなりの見せ場をもって死にゆくからインパクトもでかい。
でもメインの戦いでは、やっぱり人も沢山死ぬし、かといって話の流れが折れるのも気持ち悪いしってことか、ホントにあっけない。
コサンジョーはやっぱり…
チョーセー(ボツウセン)、北方水滸伝で初めて知って、こんな強いのがまだいたんだ!って思ってたのに…