破軍星とは、北斗七星の7番目の星で、それが指し示す方角は不吉だと言われる。14歳という若さで陸奥守に任じられ、軍事の天賦の才で激動の南北朝時代に輝きを放った北畠顕家その人を表す言葉として、ふさわしい。
南北朝の面白いところは、世を統治すべきは公家か武家かを問うたところだ。武士である平家が貴族として政治に台頭し、源氏が武士として統治者となり幕府を作った。これが平安後期から鎌倉時代にかけての流れだ。そして南北朝時代では、腐敗した幕府に不満を抱く武士と、もう一度世を治めることを伺う朝廷の対立が垣間見える。
顕家は、父の影響もあって、朝廷こそ統治者たるべき存在だと考える。一方で、公家でありながら武将として武士と接するうちに(というか、彼自身、腐敗した朝廷をみながら感じてはいたのだろうが)、足利尊氏が武士たちの支持を集める理由に気づき始める。
南朝側についた武将を見るのが一番面白い。鎌倉幕府は腐敗したとはいえ、一時でも武士たちをまとめ日本の統治者足りえたわけだし、足利尊氏のリーダーシップも申し分なかった。加えて、朝廷は一部を除いて腐敗しきっていた。楠木正成も、北畠顕家も、朝廷には任せられないってことにどこかで気づいていたはず。それでも、彼らは朝廷のために最後まで戦い、散って行った。
少しそれるが、作中では人々の支持を集める一つの要素として血筋が挙げられている。楠木正成がいくら戦上手でも、兵を集めることはできない一方で、なんだか頼りなく思慮深さに欠けてはいても新田義貞のもとにはたくさんの武士が集まってくる。顕家も尊氏も、血筋に大いに助けられた部分は大きいだろう。これは、情報の流通度が低い社会におけるレッテルみたいなもん。そして、この血筋が、統治者が誰であるべきかって議論にもかかわってくる。
・・・・アーまとまんない。w
勤王の思想は、幕末と重なるところがあるよね。