北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレ
社長、カッコいい!!!
北方謙三が、文学的要素を一旦端に置き「とにかく面白くて売れるもの」に集中して作った物語だと、聞いたことがあります。
映画で言えば日活とか大映の作品みたいに、わざとらしいぐらいにカッコ良くて、スキッとするお話だけどそれ以上は何も無い、みたいな路線だったそうです。
でも、一読者から言わせていただければ、その後、別の「街シリーズ」に参入、合体するくらいの面白さを内包しているのが、このシリーズだと思います。
「そんなクサい台詞、現実で言う奴は居ないだろ」とか、そんな陳腐な皮肉等を跳ね返すような躍動感がこのシリーズには確固として在ります。
一冊読んで気に入った方はどうか、このシリーズを通して読んで欲しい、出版社の手先みたいな事wを敢えて言いたくなる、そんな魅力的な作品です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1ヶ月強で水滸伝19巻を完走。我ながら暴走族。面白かった、小説を読んでこんなに泣いたのは初めてでした。
今回は最初に解説コーナー
読みながら憤りしか生まれてこない解説だった。最終巻なのに。この感想の最後に怒るのは嫌だったのでここで成仏させておく。イイオトコばかりの北方水滸伝は女の桃源郷だと。笑わせんな。よし。怒るのはこれでおわります!
感想
「呉用殿を好きでも、嫌いでもない。それは他の人でも同じです。そういうことは、考えないようにしているのですよ」と言う燕青に、好きだ、と思われたい。(ここにきてリアコ発動)
王家で育った史進と楊令の兄弟弟子の戦場でのやり取りが良かった。負けた楊令に喝を入れる史進。これでこそ漢よ!!!
恐怖を抑えて眠る童貫と星を見る宋江という対比に震えた。二人に性格診断してみてほしい。
「宋江は、星を見ていた。」この一文だけで胸がぎゅっとなる。星の下で自分の存在意義を、死んで行った同志たちを想う宋江。空のように高いその心がみんなには必要なのだから。
ここまではメモとりながら読めてたんですよ。
でももう居た堪れなくなって、静かな場所を求めて近所の公園へ。星が綺麗だった。
流花寨。
趙安まで惜しかった。流花寨はできた時からずっと苦しかったよね花栄。防壁が破られて、もう無理だと判断した花栄が出す「散れ」という合図。方々に散るっていう令ではあるけど、花栄が流花寨と共に散ることを決意した場面。流花寨を奪われるということは、命を奪われることと同じ。絶対にそうするって分かってた。秦明と同じことをするって。最期に弓を使う手を切り落とされても流れなかった花栄の執念。花は栄えど枯れなかった。
童貫との戦い、苦しかったね。どうしても呼吸を止めて読んでしまった。休む間も無く童貫がしつこく攻めてくるのが本当にしんどかった。将校たちも数多く死んで行ったけど、それぞれが戦い抜いたのを見届けられて良かった。王英!最期かっこよかったで!!!
梁山泊。
職人達が死んでいくのが本当に悲しかった。凌振、かっこよかったよぉぉ。泣
李雲も湯隆も戦わんと逃げてほしかった。
大大大好きな安道全も弟子達に託して…薛永とは絶対に良いペアになるって一巻で私確信してたの!その通りやったね。。。薛永が剣を振るう姿、かっこよかったよぉ。李逵。李逵。李逵が死ぬはずないと思ってた。武松と一緒に生き延びるって。泳がれへん水の中で怖かったやろうな。李逵。李逵が料理するところも人と上手くやれないところも石を割るところもずっとずっと見たかったよ。悲しすぎる。
呉用と宋江は梁山泊の一部だったから、もう死ぬしかないとは思っていた。
すぐに顔に出ちゃう呉用の嘘。ずっとずっとずーーーっと、文句を言われようが全てに目を配って戦い続けた呉用。裏で嫌われる呉用を見るのが辛くて目を背けてしまっていたなぁ。
そして、最期まで自分の弱さと向き合った宋江。それが強いんやけど。替天行道という志を楊令に受け継いで死んで行った宋江。
楊令と宋江の会話、何度でも読み直したい。最期まで宋江が宋江らしくて救われた。
二人の存在の素晴らしさは讃えきれない。
二人だけじゃない、百八人の豪傑たちが見せてくれた生き様と死に様がこの物語にはある。自分の中にも志を。豪傑のような生き方を。全う出来ずともその姿勢であり続けたい。
推しの生存率が高めで嬉しかった。
楊令伝、いくぞー!!!!!!!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ茫然自失。死戦という言葉がふさわしすぎる18巻。
巻頭の死者の書き方も変わった。戦ももう終わりか。
楊令と再会した郭盛と同期して泣いちゃった。楊令を守りたいから戦に出たくないと思ってたのに、大きくなって自分より強くなった楊令を見たら嬉しくて泣いちゃうよ。
毒蛇で死ぬなんてことある?丁徳孫。命令が全てとは思わないけど……これが彼の天命か。
二竜山。
死ぬ人にも生きる人にも空は平等に青い、けれど私の足元は濡れているみたい。
山に残る父を助けられるかもしれない希望、戦いの才能を持つ人物を迎えいれる希望、華々しく散るという希望、大好きな人の下で戦って死ぬという希望、二竜山そのものが、希望。強く望んでも全てが叶うことはないと分かっていた。それでも叶えられるよう全力を尽くすのが絆で愛だ。
大好きな人たちが本当にたくさんいたの、二竜山には。死んでほしくなかったの。架空の人物だと笑われても私は豪傑たちのために涙を流したい。
秦明は怒鳴っても、ほんとうはやさしい。本当にその通り。楊令と郝きん(漢字がなかった!)の活躍のおかげで、悲しみだけじゃなくて未来への楽しみが増えて嬉しかった。楊春が楊令を認めて指揮させたことの大きさ。
ただ、二竜山を出て活躍した楊令、郝きん、解宝、楊春を育てた父親たちは、全員二竜山に残って死んだのよね。息子が自分の志を引き継いでくれることを確信して死んでいった。生きることは戦って死ぬことだけじゃない。夢を託すのも生きることなんだと思うとまた涙が溢れる。
敵ながらも童貫がとても好き!初めは最後に控えているラスボスの鬼!くらいにしか思ってなかったけど、恐怖や自分の弱さを感じながらも自分の戦を見失わないかっこいい人!この人もまた豪傑。でも違うのは志の有無ってだけかな。童貫はただただ自分のために戦う。それがまた彼を強くさせる。
林冲がここで死ぬなんて思わなかった。びっくりした。郁保四も最期まで一緒に居てくれてよかった。
祝家荘の戦いでは扈三娘を叩きつけて死なせかけたのに、今度は助けて死ぬだなんて。この二人も縁深かったんだな。張瀾を助けられなかった林冲の「生涯に一度ぐらい、女を助けた男になりたい」という言葉が彼の全て。そして自分よりも強くなる楊令を見つけた安心と自分への不安。全てが合わさって彼を死に向けた。
悲しいけど、それ以上に憧憬の念を彼に抱いている。こんなに胸を震わせてくれる漢を林冲以外に私は知らない。
酒甕を抱えて眠る公孫勝を見ることもこれからはないだろう。
阿骨打の話も、楊令が林冲を引き継ぐのも、未来に目を向けざるを得ない。次は最終巻。どうなるか見当がつかないけど、夢も志も未来も梁山泊にはある!
解説コーナー
夢枕獏の北方謙三へのラブレター、という名の釣りの誘い。可愛い。ちょっと心がホッとなった。 -
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ネタバレ危局の15巻。ひとまずしのいだけれど。
感想です。
呉用は冷たくなりきれないから、逆にみんなに冷たいと言われるのか、泣いちゃう
66ページにして2人死んだ。10人とか死んだらどうしよう。。。
…ここでメモを取るのを一旦諦めました。
宋清、楽和、穆弘、李応、欧鵬、朱武
梁山泊の豪傑達は仲間の死を受け入れ悲しみながらも前に進み続ける、私も一読者としてそうありたいと思っていた。けど、やっぱり無理みたい。悼ませて。
宋清と楽和は守らなければいけないものを守り通した。宗清、ひとりの女を思い続けながら戦ったその志は異端なんかちゃうよ。立派な生き方でした。楽和が歌うところをもう見れないのが寂しくて、厳しい戦いの間で楽和が歌う姿が大好きだった、姿が見えなくても、本から音が聞こえなくても。
穆弘は最後まで死なないと思ってた、どうしてかな、強くて、強くて、目玉を取り出してしまうくらいの男々しさがあるのに弟思い、家思いで。後もう少しだけタイミングがずれていれば。そうは思ってしまうけど穆弘は勝負に勝った。勝った上での死。こんなに尊い死に方は他にはない。
李応、李応ーーーー!!!ずっと杜興に守られて生きて、やっと自分の意思で梁山泊に入った李応。でも最期は一番危ない役目に自分も名乗り出て、志を絶ってしまわないように生ききった。李応と杜興のコンビが大好きなの、杜興は悲しむけどもう大丈夫よね、きっと。だって二人の絆は死だけで破れるようなものじゃないでしょう。
欧鵬、戦い抜いて、最期には花栄を守ろうとした姿に胸を打たれました。何より花栄の憤怒を見て「すげえもんを見た」って言って死ぬのって最高だな、と。最期まで守ろうとした人がめっちゃ強いの絶対嬉しい。
朱武が最期に宿元景とやり合って動きを止めたから花栄が射止められたんよね。花栄に足りないものを自覚させて本物の隊長にしたのは紛れもない朱部やった。お疲れ様でした。
李俊カッコいい李俊李俊李俊
穆弘が趙安を殺せんかった代わりに李俊が!あーーー!!!!かっこいいーーー!!!!!!!
水軍の戦いのドキドキっぷりは読んでて苦しかった。
あと、顧大嫂が強すぎて笑っちまうくらいかっこよかったな。大胆綱渡り計画を考えた宣賛も堪らんかった……
生きる者、死ぬ者、戦いを諦めない者、ちょっとのんびりしている者(魯達!)、本当にたくさんの人の志と気持ちと行動で勝利した戦い。失ったものは多いし、ここから先どうなることやらではあるけどまた立て直していく梁山泊を見るのが楽しみ。
張横が張順一家のことを、順、敬、平って呼んでるの愛しすぎんか?
楊令が石秀からもらった致死軍の刀を張平に貸すところで泣いてしまった。こうやって志と魂は受け継がれていく……
最後に……
王英×扈三娘、おめでとーーーーー!!!!!!!
辛い中にもめでたいことはあるー!!!!!!!!
子をなせーーーー!!!!!!!!!!!
解説コーナー
解説の方も仁義なき戦いの出演者を水滸伝でたとえようとしていて笑ってしまった。私はBTSで同じことをしているので。オタクはみんなそうするのかも。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ楊志よ、永遠なれ。
あなたの志は楊令が引き継いでくれるよね。
私はこんなにかっこいい人たちに今まで出会ったことがないよ。石秀、周通。戦う姿にとても心を打たれました。どうしよう読み終わって一晩経っても二人のことを思うと涙が出てくる。本当に…。
魯達カムバもとても嬉しかったです。
林冲達が助けに来るシーンの胸熱っぷりといったらもう…。あとは、馬桂のやり口、きったねぇ。こんなこと許していいのかよ。最低だよ。(初の寝返りに心に暗影が落ちる私の図)
水滸伝の解説がとてもとても大好きでね、解説っていうか、「私と水滸伝」っていう題名の作文。笑
子供の頃に読んだ水滸伝と比べて北方水滸伝は整合が取れすぎている!と憤って(最高を叫んで)いた、志水辰夫さんの後書きが読んでてとても面白かったです。 -
Posted by ブクログ
鎌倉幕府の時代が末期に差し掛かっている。幕府から政治の実権を取り返そうと抵抗する帝が在り、反乱と鎮圧が繰り返された中、比叡山に在った法親王(僧籍に入った皇子)が「武家政権の後の構想」を胸に幕府への抵抗を各地の諸々の勢力に呼び掛けている。赤松円心はそれに共鳴する。そして、水銀の取引を巡って争った経過も在った河内の楠木正成が帝側の陣営に加わり、巨大な軍勢を向こうに回して抵抗戦を続けているという情報も気になって来る。
やがて隠岐に流されてしまっていた帝も救出され、幕府を倒そうという勢力が擁して戦いを展開する。そういう中で赤松円心は幕府を倒そうとする勢力に与する。法親王も還俗して大塔宮となり、幕府を倒す運動に邁進するようになる。
幕府側は京都の六波羅で指揮している軍勢では足りないと、関東の名族の軍勢を差し向けるようになった。足利高氏が出馬した。そして足利高氏は如何するのか?
こういうような状況下での赤松円心の生き様が描かれるのが本作である。自ら「悪党」を号する男は何を目指して如何生きるのか?そんな物語だ。そして行き詰った鎌倉幕府の体制が壊され、新たに生み出されようとした体制が混乱し、それが清算されるという複雑な時代の中で「何を目指して生きたい?何のために死にたい?」というようなことも主題になっているような気がした。
作者の北方謙三には所謂「『太平記』の時代」(=鎌倉幕府末期から建武新政、南北朝時代となる14世紀)に題材を求めた時代モノの小説が幾つか在る。それらにも触れた経過が在って、何れもなかなかに好かったことから、眼に留めた本作も手にした。
作中には、主人公の赤松円心の他、足利高氏(途中から「尊氏」と改名する…)や楠木正成のような或る程度知られた史上の人物をモデルにした劇中人物も、彼らの配下の忍者や、大塔宮の運動に協力する「山の民」と言われる人達のような創作と判り易い劇中人物も入り交じっているのだが、何れも「リアルな存在感」を感じる。緊迫する戦乱の中での、自身の価値観を貫こうとするやや年嵩な武人、策士という感じの赤松円心が描かれる。
なかなかに引き込まれる物語だった! -
Posted by ブクログ
所謂「『太平記』の時代」(=鎌倉幕府末期から建武新政、南北朝時代となる14世紀)に題材を求めた時代モノの小説である。
題名だが、「末裔」という語の「裔」の字を「すえ」と読ませる。『悪党の裔』で「あくとうのすえ」だ。
本作の主人公ということになるのは赤松円心という人物である。
“赤松”という姓は、室町時代の歴史に登場する例を比較的頻繁に見掛ける。播磨国、現在の兵庫県の南西側に相当する姫路城が在る街等が知られる辺りとなり、現在でも「播州」と地名に関せられる場所が見受けられるが、その播磨国の西寄りな辺りを赤松家は本拠地としていた。赤松円心より以前の赤松家に関して、余り詳しいことは伝わっていないらしい。赤松円心以降、室町幕府で重きを為すようになって行くのだが、その赤松円心の動きが本作の筋になっている。
所謂「『太平記』の時代」(=鎌倉幕府末期から建武新政、南北朝時代となる14世紀)に「悪党」という用語が多用されている。本作の赤松円心もその「悪党」を号している。
正統派たる「主流」の武士が土地と農業を基礎として伝統に基づいた戦い方をする人達だとした場合、「悪党」は「非主流」ということになるのかもしれない。土地と農業に留まらず、商業や流通等にも経済基盤を求め、戦いとなれば可能な限りの手段で敵対陣営に抗うのが「悪党」である。赤松円心は自身をその「悪党」と規定している人物である。
その「悪党」たる生き様を如何貫こうとしたのかという辺りが、本作の物語であろう。