北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレ本作品で戴宗という登場人物が嫌いでした。
一般的な水滸伝としては神行太保と呼ばれ足の速さを活かして活躍する好漢の一人です。黒旋風の李逵と組で活動していたような気がします。
本作、特に楊令伝になってからは候真に嫌な絡み方をしたり、酒に飲んだくれたりと嫌な先輩No. 1の代表格でした。
しかし、本巻で彼は死んでしまいます。今まで抱いていた嫌悪感は勝手なイメージに過ぎずキッチリ仕事をして若者を育てる昭和の時代の職人のような死様でした。
思わず涙が出てしまいました。
楊令軍には色々な指揮官がいます。
それこそ昔ながらのやり方に拘る頑固親父、新進気鋭の若手営業マン、2代目だけど親を超える才覚を -
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遂に読み終えた。全19巻。
何が心を照らす光となるのか。
志、友、絆、伴侶、子ども、、、
そうやって言葉にしてしまえるほど
単純ではないのだが
自分にとっての光となるものを見つけ、
それを守り貫くために
懸命に生きた漢たちがいた。
梁山泊の中には、抜きん出て強い者もいるが、
泳ぎの得意な者、
筆跡を真似るのに長けた者、
名医、薬剤師、馬泥棒、
大砲作りに魅せられた者など
実に多様な人材が揃っていた。
梁山泊は如何なる者をも活かす場所であり
それは私達の社会においても
参考にされるべき点だろう。
王進の住む子午山では、
自分たちは生かされているという意識のもと
晴耕雨読の丁寧な暮らしが為され -
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ネタバレ林冲死す。扈三娘を守って死ぬことでちょうらんを守れなかった自分にけりをつけることができたのだと思う。彼の壮絶な過去を思い返して涙。そして呉用の部屋で酔って眠る公孫勝の目から出た一筋の涙でまた涙。もうこの二人の言い合いが見られないのかと思うと悲しくて堪らない。
私が林冲に惹かれたのは、やはり幼い楊令を訓練で打ち据えたあとに、かたく抱きしめている姿を秦明の目を通して目撃したときだった。林冲、ほんとかっこよかったし梁山泊の希望だったなぁ。でもその希望は確実に、成長した楊令に受け継がれている。
さて、いよいよ最終巻。どんな幕引きが待っているのか。絶対泣いちゃうだろうな。 -
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ネタバレ16巻にして遂に
禁軍のラスボス
童貫が動き出した。
童貫軍の精強さに
九紋龍史進も心折られる。
今後梁山泊は
いかにしてこの軍と
対峙していくのか。
そして久々の致死軍
公孫勝登場
と、その前に
燕青!!!
洪清倒しちゃったよ!!
この二人の決闘は
ハリウッドの映画を
見てるかのように
鮮やかに脳内リプレイ
二人の息遣いさえ聞こえてくる
そして公孫勝が狙いを定めたのは
青蓮寺のトップ袁明
いい国を目指せ、公孫勝。
梁山泊が、そうやって闘えば、
宋もまたいい国になる。
死ぬ間際に
公孫勝に言い放つ袁明
どれだけ宋のこと考えて生きてきたんだよ
またも泣いてしまった。
青蓮寺と梁山 -
購入済み
南北朝物の代表作
「武王の門」と並んで北方謙三の南北朝物の代表作である。
ハードボイルド調の文体であるが登場人物が生き生きとしていて読みごたえがある。
ただし北方謙三の歴史物作品全般に言えることだが、主人公の性格 イメージが似通ってしまう。
この「破軍の星」の北畠顕家と「武王の門」の懐良親王の印象が重複してしまう。 -
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水滸伝第10巻
呼延灼率いる代洲軍(官軍)対梁山泊の戦い。
呼延灼の用いた連環馬の勢いたるや凄まじいもので文章を追うだけで戦の臨場感をたっぷり味わうことができました。
呼延灼の戦法、敵ながらあっぱれ。
二人の軍師もいい味出してました。
されど梁山泊軍も精鋭揃い。大将晁蓋を守る武松と季立と燕青の戦いぶりも見事でした。
武松&李立のコンビはもうすっかりおなじみで以前から大好きでしたがここにきて燕青も度々登場していい仕事をするように(前からしてた)。李立が気に入るんだから相当いいやつ。なんせ盧俊義の側にいるときは男色の情報ばっかりだったからそのイメージしか持ててなかった。笑
今回もたくさん死者が -
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ネタバレ第5巻。武帝は在位45年を過ぎ、徐々に暴君のような行いが増えてくる。かつての将軍の孫である李稜は、匈奴の捕虜になってしまっただけでなく、武帝からあらぬ疑いを受け、一族を処刑されてしまう。司馬遷は正論を言った咎で、重い罰を受ける。使者とした匈奴に行った蘇武は北方の地に住まわされるが、極寒の地でサバイバルしていく。
史記の後半戦を彩る人物たちの転機を描く第5巻。前半の、漢の将軍たちの匈奴との戦いを描くくだりも面白かったが、ここにきて、リーダーとは、人間とは、人生とはを考えさせられるようなストーリーに転じてきた。著者の筆力がすさまじく、読ませます。 -
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建武の新政で後醍醐天皇により16歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。
また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが・・・・・
一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。
主人公の北畠顕家や彼を取り巻く人物たちが魅力的です。
この時代にはあまり興味がなかったのですが、前回の「悪党の裔」あたりからすっかりハマってしまいました。
足利尊氏を棟梁に頂く足利一門などを相手に、痛快なまでに相手を叩き