北方謙三のレビュー一覧

  • いつか友よ 挑戦シリーズ5

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    とうとう「挑戦シリーズ」再読最終巻。もう何も言えない……。頁が少なくなるにつれて寂しく。終盤高樹が現れ、石本の消息が語られする場面で、まるで旧友にあったかのような懐かしい友の消息を聞いたような気になった。ラスト、これまで自分の生を死を他人事であるかのように思っていたと思しき竜一が生きる気になって旅だって行ったのもいい。またいつか、シリーズ再読しよう。ところで北方先生、竜一のその後を、もう書く気おありじゃない?

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    2025年09月09日
  • 森羅記 一 狼煙の塵

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    本の背が平らになった。(水滸からチンギスまでは丸かった)
    作者の意思がどれほど介在しているのかは判らないけど、何か決意表明みたいなものを感じずにはいられない。

    この先、4か月に1冊なのか5か月に1冊になるのか、とにかく続きが待ち遠しい。

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    2025年09月08日
  • 悪党の裔(下) 新装版

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    上巻の物語野進行が緩やかだった分下巻の面白いこと! 足利高氏の登場によって俄然面白くなる。それにしても赤松円心、なんとも魅力的な武将、いや、ひとりの男。そして、足利尊氏像のなんとも複雑で分厚く、爽やかで魅力的なことよ。また楠木正成も渋い。それぞれ、円心と尊氏、円心と正成の交誼、会話のやりとりもカッコ良すぎる。新田義貞軍北畠顕家軍に追われた足利尊氏が九州へ落ち延びる経緯。北方はこういう風にしたのか! 鳥肌が立った。赤松円心が日本の歴史にそんな重要な役割を果たしていたのか。史実はともあれ、納得させられる。

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    2025年09月05日
  • 風群の荒野 挑戦シリーズ4

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    シリーズ再読四巻目。石本が戦友と共に帰ってきた。より強靭なけものとなって。ペルーの山岳地帯で、ジャマイカの街で、別荘地で、またけものとけものが牙をぶつけあう。もう凄すぎて何も言えない。時代や戦闘スタイルは違うけれど、水野龍一と日向景一郎が立ち会ったらどうなるんだろうとふいと思った。

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    2025年08月29日
  • 史記 武帝紀(七)

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    七代目皇帝劉徹は宿願となる最後の匈奴戦を行う。老いを感じる劉徹、その様子に気づく桑弘羊、『太史公書』を書き上げる司馬遷。一方北の端で蘇武と李陵は同じ時を過ごし……北方版「史記武帝紀」最終巻!!

    うわぁぁぁぁぁ……(声にならない

    終わった……終わってしまった……北方先生ありがとう……劉徹を……武帝の最期をこんなに丁寧に描いてくださり……もう……それしか言えん……北方謙三版で史記を武帝紀を読めてよかった……それだけ……

    じゃあんまりなんで、とりあえず簡単にキャラごとに感想を。
    李陵!私の中でイケメン枠!→

    蘇武、登場時から180度変わった人。ラストシーンは良かった……友情に幸あれ。
    司馬遷

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    2025年08月28日
  • チンギス紀 十一 黙示

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    11巻のメインは金国との戦い。今までになかった大軍同士のぶつかり合いが見物です。チンカイ、マルガーシのお話も良いですが、森のトクトアのエピソードがなかったのはちと残念かなぁ。

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    2025年08月27日
  • 史記 武帝紀(六)

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    李陵と蘇武がそれぞれの場所で己の道を定め生きるあたりから漢王国の内部で渦巻く巫蠱の話まで。
    桑弘羊と劉徹の関係がまた少し近づいた一冊。桑弘羊と司馬遷の目を通して見る劉徹は、暴君なのに憎めない。どこか、悲しくなる。そんな六巻。

    在位が長くなる帝ゆえの、苦しみ……ではないのか?なんとも言えない、辛さ。そういうのを私は感じた。
    天の子は孤独。人ではないから。なんでも思い通りになるが、それは漢の中だけの話。何というか、悲しい。漢の武帝の話は初めて読むんだけど北方謙三氏ならではの、哀愁感がたまらなく良い。

    匈奴の家族と過ごす李陵が優しく、それがまたツライ。
    蘇武だけは前巻から引き続き力強く生きている

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    2025年08月27日
  • 史記 武帝紀(五)

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    李陵が五千の歩兵部隊で匈奴と戦いたいと帝に訴えるところから中書令となった司馬遷が帝の言動を記録している場面まで(あらすじ難しい)

    後半の主軸メンバーがそれぞれの場所で動き出す一冊。司馬遷編は読むのがツライし蘇武編は引き込まれる。

    匈奴側がとにかく面白い。漢側が政治的に腐っているので、匈奴側の真っ当な感じが読んでいて気持ち良い。匈奴側は残された史実が少ないらしいので、ほぼ北方謙三氏の創作なんだろうけど、これがめちゃくちゃ面白い。キャラがいいんだよなぁ。好き。
    漢側は……もう、ツライ。劉徹の暴君っぷりが……

    桑弘羊も倒れるし、司馬遷も李陵も理不尽な目に遭うし。在位が長くなるとやっぱりあかんの

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    2025年08月25日
  • 史記 武帝紀(四)

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    司馬遷の日常から蘇武のピンチまで(あらすじが雑になってきたな)

    全七巻の真ん中だからか、人の出入りが激しい。消えゆくものたちの無念さと新しい出会いの力強さ。とりあえず叫びたい……衛青ィィィ!!
    あ、頭屠の嫁取りは良き。匈奴側が良すぎる

    李陵がしっかりと成長していて嬉しく感じていたから、第二十章の蘇武にはハラハラした。二人とも、あんなに小さかったのになぁ。
    朱咸と柯賀が大宛で幸せに暮らしていたのも嬉しい。すっかり大宛の民になっている。良かったなぁ。朱咸のあのセリフにはゾクリとした。ほんまそう。→

    244ページの「天の子に、して貰ったのだ。そうとしか、俺には思えん」のセリフで変わってくれるの

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    2025年08月24日
  • 風の聖衣 挑戦シリーズ3

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    南米ペルーの高山地帯、ケチュア族の村に、「老犬トレー」のメロディーに引き寄せられて三人の日本人が邂逅する。それぞれの思い、それぞれの闘い。インディオの誇り。死んで行った者達への思い。己の中の牙。己の中の恐れ。獣。『檻』『牙』、ちゃんと予習してから読んで正解。

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    2025年08月22日
  • 岳飛伝 十四 撃撞の章

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    吹毛剣が、梁山泊の生きた伝説の手で胡土児の元に届けられます。

    胡土児は吹毛剣を手に入れた事で北方に移動させられます。


    そして、岳飛と秦容はそれぞれの軍を率いて南宋を進軍していきます。

    ここで、ふと思ったのが岳飛の進軍の仕方です。
    宋江と晁蓋がかつて、何万を超えたら挙兵するかの議論をしていましたが、岳飛は全くそれに満たない兵力で挙兵し破竹の勢いで勝ち進む!

    かつての梁山泊に晁蓋や林冲、花栄、秦明、呼延灼達が揃っている時に散り散りで挙兵していたら・・・
    とは思ったものの、童貫健在で各個撃破されていたか!?
    それとも南宋に不満を持つ義勇の民が立ち上がり兵力ではなくムーブメントが中華をのみこ

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    2025年08月21日
  • 史記 武帝紀(三)

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    幼き李陵が登場、李広のプライベートが垣間見れる十一章から匈奴の単于が交代する十五章まで。

    一人、また一人と去るものもあれば、新たに登場するものもいる。
    幼き李陵と蘇武が参戦してほっこり。李広はめちゃくちゃいいお爺ちゃんやし、衛青も良

    個人的に北方三国志から読んできた私が驚いたのがあの方の退場……そんなあっさり……うそやん?となった。
    劉徹も巻末では40歳を超え、人生後半戦。帝ならではの虚しさもあるんよなぁ、としんみりしたり。
    匈奴側のも、荒くれ者だけじゃない面が見えてきて、こちらにも感情移入して情緒が忙しい(笑)

    次巻からは李陵と司馬遷が中心になりそうで、それはそれで楽しみすぎるー!!

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    2025年08月21日
  • 史記 武帝紀(二)

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    衛青の甥、霍去病参戦。月氏国からの道程でまたも匈奴に捉えられる張騫。匈奴側では新しい王が誕生して漢VS匈奴の構図はさらに複雑になり……武帝の望みがまた一つ叶う北方版「史記」第二巻!

    霍去病と桑弘羊の絡みが大好き!!→

    いぶし銀の李広将軍もいいし、司馬遷ー!!司馬遷が参戦したんだが?!え?「史記」って司馬遷が書いたんじゃなかったっけ?本人登場するんだ!という驚き。
    匈奴側はまぁまぁ怖い感じに仕上がってきたよね……まぁ、奪う側だもんなぁ。しかしまぁ、だいぶんえげつないな……時代ッ!!→
    公孫弘などのキャラが悪役らしくてとても良いよね。いるいる〜みたいな(笑)
    ただ、劉徹が少しずつやばーい感じを

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    2025年08月19日
  • 破軍の星

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    北方南北朝物二作目。若き陸奥守北畠顕家の物語。はじめはゆるゆる物語が進むが、足利直義が登場するあたりから俄然面白くなる。それぞれの武将の思惑が交錯し、ダイナミックな物語展開。主人公顕家もさることながら、足利尊氏・直義兄弟がなんとも魅力的なことよ。京を舞台とした、尊氏軍対陸奥守軍の戦闘の迫力。そして明かされる、安家利通の夢。泣ける。果たしてそれが顕家の……。そして再度の上洛。ああ、結末が分かっているだけに、終盤読み進めるのがつらい。

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    2025年08月22日
  • 史記 武帝紀(一)

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    前漢の時代、武帝劉徹は北の国境を脅かす匈奴を討伐するために動き始める。抜群の戦センスを持つ衛青、西にある月氏国へと旅立つ張騫など魅力的なキャラクターが活躍する中国歴史書「史記」の中の「武帝」の部分を北方謙三氏が味付けした歴史小説第1巻

    がァァァァァァ!!!めちゃくちゃおもしろいー!!中国史知識皆無!史記とは?武帝って誰?レベルの私が貪るように読めてしまう北方謙三氏のリーダビリティよ!!出てくるキャラがとにかく魅力的で最高!キャラ小説として全力で推したい!!(落ち着け)
    三国志と違い、帝がいるからこその面白さも→

    あるんよね。いわゆる後宮問題とか!!面白すぎる〜!!
    衛青や張騫がかっこいいの

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    2025年08月17日
  • チンギス紀 十五 子午

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    ホラズム国のペースに嵌まらず戦を展開し、攻めるときは大胆に攻める。やはりチンギスは凄かった。

    ちょくちょくトーリオの話しになるが、最後に大きく絡んでくるのかどうか。単に作者がラシャーン推しの可能性も否定できない。

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    2025年08月12日
  • 牙

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    挑戦シリーズ3『風の聖衣』再読のために、こちらも再読。石本一幸19歳。ふとしたことがきっかけで、己の皮を脱ぎ(脱がされ)、獣の正体を現し、牙をむき出す物語。石本の肉体が感じる痛み、暴力が痛いほどに感じられる。本作の老いぼれ犬高樹はそれほど嫌な存在ではない。石本と高樹のやりとりが面白い。そして、そこここに見られる北方節。本作では高樹が石本に掛けた台詞、「ひと晩で、髪が白くなるやつがいる、おまえは、心の髪を白くしちまったようだね、石本」。たまらないね。さて石本、そして村沢がどんな男になって水野竜一と対峙するのか!

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    2025年08月06日
  • 冬の狼 挑戦シリーズ2

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    水野竜一が三年ぶりに帰ってきた。そして再び、誇りを確かめ、男としての筋を通そうとする男達と共に闘いを始める。三〇年ほどの時を経て再読。自分が年を取っている分感受性が鈍り、楽しめなかったら面白く読めなかったらどうしようと思いながら頁を開いたが、全くの杞憂。冒頭から全編北方節、これぞ俺の愛したハードボイルド! そこここに痺れる文章があり、泣ける泣ける(ギイさんが死んでしまう)。こちらが人生経験多少増えている分、深く味わえたのではないかと思う。まだ生きていれば、高樹刑事に「刑事として出会った中で最も歯応えがあった男は?」と、そのランキングを訊いてみたい気になった。しかし「挑戦シリーズ」、まだ三冊も残

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    2025年07月29日
  • チンギス紀 四 遠雷

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    盟友ジャムカとの本格的な共闘から始まった第4巻はイェスゲイ暗殺の真相が見えてきたところで幕。
    同時にいくつものプロットが動いており、全く飽きることがない。
    巻を重ねるごとに登場人物が増えていくが、明らかな敵役でも剣技・乗馬術や潔さなどの魅力を備えている。今のところ何の魅力も感じないのは本巻で大敗を喫するセングム、そしてサチャ・ベキくらいしかいないが、これは並大抵の業ではないと思う。
    次巻は玄翁との戦い、イェスゲイの仇討ちの進展を楽しみに読み進めたい。

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    2025年07月27日
  • チンギス紀 十 星芒

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    物語も後半に入り、戦いの場は西夏、そして金国へ。新たにホラズム・シャー国なるのも出てきて、これからの展開が気になります。
    ジンとナルスの活躍が楽しみ!

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    2025年07月25日