北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレチンギス紀13 陽炎を読んだ。
地図が一気に広がった1巻だった。
・西では、ホラムズ国との戦が本格的に始まろうとしている。マルガーシと共に成長してきたジャラールッディーンの、初陣と言えるような大きな戦の行く末が楽しみだ。また、マルガーシは戦うべき相手として明確にチンギスを意識している。その視線をチンギス自身が知った時、チンギスがどのような反応を示すのか。ジャムカファンの私としては目が離せない。
・ホラムズとの戦に入る前に、あっという間に西遼を併合した。ジェベの戦は見事。フスオルドやカシュガルがモンゴル国に加わった訳だが、ここに来てかつての盟友ジャカガンボが育てたタビュアン、その周辺人物のアサンが大きく生きてきた。彼らがモンゴル国の交易発展に大きく寄与すると予想していたが、今はモンゴル軍への兵站という形で生きてきそうだった。西域に大きく展開する戦の中で、アサンを中心とする確固たる兵站元があるのは非常に意味を持つ。テムジン率いる軍は、兵站を大切にして強さを保ってきたからね。1度別れたジャカガンボとチンギスの人生は、ここで1度交錯したと言える。
・南の世界が大きく広がり始めている。タルグダイが育てたトーリオは、船で岳都(今のベトナム?タイ?そのあたり)まで到達した。予想より広がってるし、広がりすぎてモンゴル国との繋がりが見えづらくなってる。ここから交錯する瞬間があるのか?北方謙三の手腕に期待。
・旧金国領で完顔遠理の罠にハマり、テムゲが深傷を負い、ボロクルが死んだ。チンギスが西域で大きな戦を戦う最中、背後になる旧金国領でモンゴルの統治が乱れているのは、地政学の鉄則からいえばかなり危険。西域での戦にも影響を及ぼすのか。
・新たな人物でいえば、ヤルダムの大きな才能が示され始めた1巻だった。耶律楚材、タビュアンらと協力して、軍人に収まらない才能を発揮していく様は痛快。
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ネタバレチンギス紀12 不羈を読んだ。
12巻は、チンギスがテムジンだった頃の登場人物の活躍が多く描かれており、シリーズの読者としては嬉しい内容だった。と同時に、彼らの命や時代が明確に終わりを迎え、新時代の若者の台頭を感じずにはいられない1巻でもあった。
・テムジン初期から仲間だったダイルが、鎮海城防衛戦で死んだ。草原統一に近づいた頃からテムジンを裏で支え続けた句眼のヤクも、同じ戦で死んだ。1つの時代の終わりを感じさせたが、鎮海城は西の拠点として非常に大切な存在になりうるため、彼らは命の最後までチンギスのために使い尽くしたのだと思う。登場人物の退場を、意味のあるものとして描くのが北方謙三はうまい。
・これまた非常に初期からテムジンのライバルだったタルグダイも、南で人生を終えた。南に逃げ、もう登場することはないと思っていたタルグダイだが、僕の想像に反して長く描かれた。そしてトーリオという後継に間違いなく彼の意思は引き継がれており、今後モンゴル国と交易を通して関わりを持つのだろうと思った。
・草原三者連合の主要人物だったアインガも、山で隠棲する所で再登場した。そしてマルガーシと出会う。マルガーシもまた、大きく成長したジャラールッディーンと強固な絆を育み始めており、本格的にモンゴル国との戦に登場する予感。ジャムカファンの僕としては、マルガーシの黒貂の帽子が描かれるだけで、感慨深いものがある。
・新時代のヒーロー候補として、チンギスの孫・ヤルダムが登場した。チンギスの孫といえば、史実では元寇を率いるフビライハンがいるので、孫が出てくると「これがフビライハンになるのかな?」と想像して、楽しい。ヤルダムがフビライハンかどうかはまだ分からないが、間違いなく今後のモンゴルの中枢に入るので、注目だ。
・全体として、国を大きくする過程を学んでいる気分。昔はテムジンだったチンギスが絶対的リーダーとして全てを管理していた。しかし草原を統一し他国への侵略戦を始めた時から、彼の弟や息子、信頼できる将軍に戦の一部を任せるようになってきた。そして今は、息子や弟に領土を振り分け、戦線を任せ、チンギスはあくまで全体の絵を描くことに専念している(もちろん先頭で戦うこともあるが)。モンゴル国が鉄の生産や交易、法といった基盤を強固に揃えている点はもちろんあるにせよ、このような人材の育成の成功がモンゴル帝国にはかかせないものだったのかなと感じた。 -
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〜陸奥の大地で、人に出会うことは稀だった。〜
北方謙三アニキの『森羅記』第二巻の書き出しである
カッコいい!
いや違う「カッコいい」はなんか違う
そんな軽いもんじゃない
カタカナとかマジあり得ない
またマジとか言ってる
言い直そう
カッコよ!!
いや更に軽くなってるがな!
ビックリマーク付ければいいってもんじゃないわ!小2か!小2男子か!
アニキはあれやな
書き出しに命かけてるな
なので『森羅記』のレビューは今後とも書き出しをお伝えして行こうかと思う
さて、恐らくシリーズの序盤も序盤の第二巻
人が集まっている
そして育っているのをひしひしと感じる
大きな大きなクライマックスに向かって静かにしかし確実に向かっている
クライマックスはもちろん「元寇」
そして歴史は全て分かっているというのに、何この期待感、どうなるの感
元寇まであと15年!
シリーズ完結まではあと何年?!
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ネタバレ2026/3/22
チンギス紀11 黙示 を読んだ。
ついにチンギス率いるモンゴル国が金国との本格的な戦に突入し、登場人物含め物語が明確に新たな章に至ったことを感じさせる1巻だった。
以前、チンギスがテムジンとしてキャト氏統一・モンゴル統一を目指していた頃のような内部の人間関係の入り組み、交錯による謎解き的考察要素はないが、ダイナミックかつ繊細に描かれる登場人物達の成長ぶりを楽しめた。
・長男のジョチの成長が著しい。冒頭、初めてジョチという男の苦労がジョチ視点で描かれた。後半に至るにつれ、四男トルイと共に大きく将軍として成長した姿を見せ始め、今後モンゴル軍の大きな部分を担うのだろう。
・チンカイの築城がかなりつぶさに描かれていた。史実を詳しく知らないのであまり楽しめなかったが、どうやらチンカイはモンゴルが西へ至るために非常に重要な役割を担っていたらしい。ホルムズシャー国との争い・連携に役立ってくるのだろうか。
・ホルムズシャー国では、皇太子のジャラールッディーンが戦人として、ジャムカの息子マルガーシの特訓によって成長している。ジャラールッディーンはいつか必ずモンゴル国の前に立ちはだかると思う。その時チンギスは、かつての盟友でありライバルだったジャムカの影を見るのだろう。この展開は、ジャムカファンの私にとっても大きな期待。
・チンギスは、ついに山東半島へ到達した。彼の旅路と共に、私たち読者の知る地図も大きく広がっており、共に旅をしている気分になる。また、彼にとって山東半島は自身の血筋と深い繋がりのある地でもあり、何か大きな示唆を受けたような描写もあった。
・かつて草原の覇を争ったタルグダイ、その養子トーリオが船乗りとしての人生を歩み始めた。そして「誰も見たことの無い遠い海へ漕ぎ出してみたい」と示唆していた。これが、後のモンゴル国による日本攻め(海越え)に繋がると考えるのは先走りすぎか。いずれにしても、かつてのライバルタルグダイの影響を持つ人物が、大陸を超え海を知ることは、今後チンギスが大陸を完全に制覇し海へ漕ぎ出す布石となっていると感じた -
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ネタバレ読み終わっちゃった...全13巻...!!!長旅だったなぁ、これで三国志が例えに使われても理解できる!
本当に孔明が考える軍略って隙はないから相手からすると恐怖なんだけど、どこかあと1歩及ばないところがあるのね。姜維、本当の本当に惜しかったもんな。いい軍人だ。そして孔明は過労死なんだろうか?働きすぎだよね、多分。夢半ばにして生き絶えるのが戦国の世の常なのかも。
張衛は自滅し、馬超は生き延びた。この陰陽も心に残ったな。あと魏と蜀がやり合ってる間の描写が多くて、呉の動きがあまり見れなかったのは残念。実際にそうだったのかもしれないけども。
日本の戦国時代は勧善懲悪で悪い奴を倒してのし上がるものだとすると、三国志は各々の正義のためにだけ戦うってのが真逆に思えて興味深かった。中国の人が戦国時代の本を読んだらどんな感想を持つんだろうと思いながら読んでた。
やっぱり一番好きなのは呂布だな。本当にかっこよかった!次点で馬超。そうです、他の人と違う軸であっても志が揺れない人が好きなんです。あと調略部隊は全員好き。
最後の最後まで面白かった!読んでよかったと心から思えて嬉しい。しばらくロスになりそうだ〜 -
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6巻読み終わってから7巻を手に取ろうと思うまで、他の本を4冊も読んでしまった
いよいよ官軍との戦いが始まり、それぞれの持ち場でそれぞれの能力が生きる
陶宗旺の石積みがまず圧巻!!
魅力的なキャラクターの面々……李き(漢字が見つからない)の明るさに救われるけれど、また何人か雄々しく命を落とすのがつらい…
魯智深改め魯達はキャラ変甚だしく、弾けまくっております
そして登場人物紹介ページは、なんと4ページに!! これ以上は増えないで〜
10巻まで購入済みですが、また少し別な本で心を落ち着かせてからにしようかな
WOWOWドラマは今夜が5話目、楽しみです! -
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この巻は序盤での極めて重要な事が起こる読み応えのある章だ。
まずは何と言っても二竜山の楊志暗殺。楊志は晁蓋、宋江に次ぐ頭領の資質がある英雄と期待され、済仁美を妻とし楊令を子として幸せに暮らしていた。その楊志暗殺を青蓮寺が画策し、馬桂を使って実行する。150人を動員して攻撃してきた王和の軍に対し何と楊志は100人を倒して非業の死を遂げた。それと並行して青蓮寺は二竜山と桃花山を攻撃するが、何とか耐え抜き石秀と周通が戦死する。
次のビッグイベントは女真族に捕らえられ牢獄にいた魯智深を鄧飛が救い出す。魯智深は左腕を失い、その腕を林冲と喰い魯達と名を変える。
旅を続けていた宋江一行は江州で一万の兵に包囲されるが武松、李逵は宋江を守り抜く。宋江救出のために晁蓋自らが兵を率いて出陣するが、中でも味方の想定さえも上回る'豹子頭'林冲の疾風迅雷の活躍が痛快すぎる。 -
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ネタバレ
・チンギスは、ボレウやナルスといった新たな人材を登用し、戦の形を変え始めている。それは間違いなく大陸の大国・金国との戦を見据えたものだった。また、息子と兄弟に土地を与え統治する形を取り始めたが、軍の規模があまりに大きくなったことで、将軍達の心をどう掌握するかがリーダーとして問われると感じた。特にチンギスは心の内を部下に語るタイプでは無い。その場合、圧倒的なカリスマ性や実力・結果が伴わないと、すぐに部下に見限られると思う。チンギスはその強さを持つと描かれているが、もし今後部下の離反という展開があるなら、それはチンギスがカンとして足りない部分を見つめ直し、さらに強くなるきっかけになりそう。
・北方先生すごいのは、旧時代の主要人物を効果的に新時代に散りばめて描く能力だと思う。10巻はホルムズシャー国の登場があり、明らかに新章開幕の雰囲気。その中でも全く面白さが変わらないのは、前章の主要人物を切り捨てず新章に連れてきてくれているからだと思った。これは本当にすごい。
・メルキト族のアインガがついにチンギスの軍門に降りた。いよいよ草原はひとつになったという事だろう。
・タルグダイは相変わらずラシャーンと共に南で暮らしている。交易に力を入れ商人として暮らす様子が描かれており、今後交易に力を入れるモンゴル国との接点が描かれる予感。
・元ケレイト王国の将軍だったジャカガンボも、本格的に再登場の予感。流浪の末に、沙州ゆりゆうかんの元締め的な存在であるショウコウゴの要人、アサンと出会った。その彼の希望で、交易に力を入れるチンギスとの仲立ちを依頼されていた。チンギスが、友だったジャカガンボを殺さずに生かした事が、巡り巡って帰ってきそうだと思った。
・ジャムカの息子マルガーシの成長もかなり熱い。ジャムカと同じく黒貂の帽子をかぶる彼は、10巻から登場したホルムズシャー国のジャラールッディーンと出会い、ホルムズシャー国へ向かった。ホルムズシャー国はモンゴルの西のライバルになる気配があり、ここにジャムカとの戦いが継承されそう。ここでも北方先生がすごいのは、
ジャムカの息子であり継承者のマルガーシがホルムズシャー国と接点を持つ過程を、これでもかと丁寧に描く点にある。じっくり時をかけて他陣営に入ることで、違和感なく新たな相関図を受け入れられていると思う。
・10巻でいちばん良かったのは、ジャカガンボが語ったセリフ。彼はジランとジャムカについて話す時、「草原の男はみんな、彼が好きだったさ」と言った。胸を打たれた。このセリフは全読者の心の声でもあると思う。ジャムカを失った悲しみは、僕はまだ癒えてない。その中でのこのセリフはほんとに泣きそうになったし、読者の救済のセリフだと思った。
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Posted by ブクログ
とある偉い方にお勧めされて読み始めた北方謙三版『水滸伝』(全19巻+読本)は中国・宋代末の乱世を背景に、各地に散らばる好漢たちが「替天行道」(天に代わって正義を行う)という志のもとに結ばれ、 梁山湖畔の要塞・梁山泊を拠点に腐敗した宋という国を打倒するために戦う物語。梁山泊に集う108傑を中心に多様な人物が登場し、戦と政治の両面が緊張感のある展開で描かれる。 中国で伝わる水滸伝とは異なる点も多く、北方水滸伝では「108傑は一堂に揃わない(戦死者が出る)」「妖術的要素は廃されて、公孫勝などは暗殺や諜報を担う闇軍として描かれる」「梁山泊軍は朝廷には入らない」など、より現実的な歴史小説として再構築されている。 読み終わって、好漢たちの熱い生きざまと死にざまの描写が強く残る。替天行道という大きな志は同じくしつつも個々の信念がぶつかり合いがあり、己の矜持を守りながら生き、そして死んでいく姿に読み進めるほど胸を打たれた。読みながら呉用の振る舞いに苛立ちを覚えたり、呉用に対する李逵の苛烈な行動に思わず溜飲が下がったり、解珍や韓滔、杜興という渋いジジイがいたり、林冲って最初はもっと穏やかじゃなかったかな、、、さらに楊令や張平の成長物語として読みどころも、読む楽しさも大きく、理想と現実の間で変化していく心理や行動には夢中になって読ませる力を感じる。三国志とはまた異なる中国文化の魅力が濃く表れている点も興味深く、三国志ほど語れる同好の士が多い作品ではない印象ながら多くの人に読んでほしいと強く感じた。 一冊四百ページ弱の全十九巻と長編ではあるが、2月初めに読み始めて3月中旬には読み終わった程度には読みやすい。 続編の『楊令伝』(全15巻)、『岳飛伝』(全17巻)や、歴史的には少し前の『楊家将』(上下)、『楊家将血涙』(上下)、岳飛伝よりもっとあとの『チンギス紀』(全17巻)と関連作も多く、北方謙三による一連の歴史小説に浸かりたい人も是非。