あらすじ
草原に生まれ、大地を駈け、かつてない規模の国を築いたチンギス・カンが、最後の戦場に立つ。
チンギスは病床にある長子ジョチのもとを訪れたのち、草原へと向かう帰還の途につく。西夏領内に入ったチンギスは、ある城にただならぬ気配を感じた。それは黒水城と呼ばれ、砂漠に囲まれており、ウキという謎の人物が主とされていた。一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシに、カルアシンから見事な剣が手渡される。贈り主は明かされなかったが、マルガーシは戦に向けて隊の修練を重ねていく。アウラガの宮殿に戻ったチンギスは、ソルタホーンから国を揺るがす一大事を告げられた。突如生じた戦いに、チンギスは将軍だけでなくボオルチュも帯同させる――。
「チンギス紀」全17巻、ついに完結。
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Posted by ブクログ
2018/5月に1巻を読んでから約6年弱での最終巻で考え深い。
チンギスは、ホラズム・シャー国との遠征中に病床に倒れ戦た長男ジョチを見舞いに訪れアウラガに戻る西夏領内の砂漠に有る黒水城にただならぬ気配を感じアウラガに戻る。アウラガに戻ったチンギス今まで戦いで領土を広げたが、武人としてこれからを考えながら喪失感を味わっている中ソルタホーンから金国、ホラズム・シャー、モンゴル内の異分子が手を組み反乱の予兆の報告を受ける。それは、黒水城の謎の主ウキを長とし一度はチンギスに敗れ生き延びた金国王女哈敦、ホラズム・シャー皇子ジャラールッディーン、カンクリ族長イナルチェク、バリクト族長ホシノゴにジャムカの子マルガーシが手を組んだ軍で黒水城に寄る。チンギスは討伐軍として四男トルイ、ボオルチュと妹テムルンの子であるボロルダイが率いる軍と共に戦いを挑む、その軍の中に内政の長となりチンギスの旧友ボオルチュも同伴させる。そんな中、妹のボルテが病で亡くなり、ボロルダイ、ボオルチュの同伴がボルテの遺言と分かる。黒水軍は、マルガーシを戦いの長に選びイナルチェク、ホシノゴの精鋭でチンギス本体と交戦し、ジャラールッディーン率いる大軍には、トルイとボロルダイ軍が交戦する。チンギス自らマルガーシと老いぼれ、若造と罵り合いながらもお互い心で分かち合い剣を交わしマルガーシは手首を落とされチンギスは腹を突かれる。戦場でお互い体を癒し
再度交戦して片腕となったマルガーシが負けて土になれと埋葬され、ジャラールッディーン軍は潰走しイナルチェク、ホシノゴも敗北で死にたがったがマルガーシ、ジャムカの分まで生きろととのチンギスの命で放免される。最後、戦いに勝って終えると思いきや、最終巻だけあって老いたチンギスもマルガーシとの死闘の腹の怪我が致命症となり、「俺は墓は要らぬ。大地が俺の墓だ」とボオルチュ、ソルタホーンの2人に言い残し轡を並べて亡くなる。
テムジンとしてモンゴル統一に駆け巡りチンギスとなり領土を拡大したカンとしての壮大な話は面白く読めたと同時に読み終えて喪失感する感じる。
Posted by ブクログ
今まで多くの本を読んできたが、水滸伝が一番好き。シリーズを重ねる毎にどんどん面白くなくなるが、それでも他の普通の小説に比べると断然面白く、寝る間も惜しんでページをめくる。
チンギス・ハンの話。あまり多くない史実情報も他で確認しつつ読み進む。水滸伝と繋がったときは、嬉しいやら呆れるやら少し複雑な感じ。
強大な敵が居ない事が一番の弱いポイントだったかな。逆にそれだけ主人公の強大さ。
16巻で大きな戦いが終わったと思ったので、最終巻どうするんだとと読み進むが、一番好きな巻だったかな。すこしの休息、活躍者達の心情描写、新たな戦い、終幕。
続編作れそうは作れそうに思うけど、どうかな。作って欲しくない気もするが、出たら読んじゃうんだろうな。
Posted by ブクログ
第十七巻にして最終巻。
対ホラズム戦が終わり、アウラガに帰還したチンギスに、”ある人物”の裏切りが知らされます。
一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシのもとに、故トルケン大后の配下で“水心”の頭・カルアシンが訪れ、贈り主を明かさないままマルガーシに見事な剣を手渡します。
さらにカルアシンはマルガーシに兵馬の調練を依頼し、次なる闘いに参戦してほしいと打診しますが・・。
ついに、ラスト。
この巻では、砂漠にある〈黒水城〉に集結した"反チンギス連合"と、彼らを討伐する為に出兵したモンゴル国との戦いがメインに描かれています。
"黒水軍"は、ホラズム国や金国の残党、さらに西夏の兵や、あの"ジャムカ大好き一族"のバルグト族も参戦していて、他の方のレビューにもあるように、さながら"敗者復活戦"の様相を呈しております。
で、"黒水軍"の総帥にマルガーシが担ぎ上げられたというところも、"対チンギス"の象徴且つレジェンドになっているジャムカの存在の大きさを感じた次第です。
そんな訳で、"チンギスVSマルガーシ"の最終決戦ともいえる、二人の正面切ってのぶつかり合いには、手に汗握ると共に胸が熱くなるものがありました。
さらに、この戦には珍しくボオルチュが同行していたのも、チンギスが"テムジン"だった頃からの二人が共に歩んできた長い年月を振り返る上で感慨深いものがありましたし、チンギスとボオルチュ、ソルタホーンの三人でワチャワチャと楽しそうなシーンも多かったのも印象的でしたね。
(ボオルチュとテムルンの夫婦愛溢れるシーンも素敵でした)
それだけに、この二人の側でチンギスが”大地に還っていく”ラストは、静かですがしみじみと心に染み入ってくるものがありました。
「・・私を連れて、砂漠の旅をされた、十三歳のテムジン様です。モンゴル族キャト氏をまとめ、ジャンダラン氏のジャムカ様と、ともに草原を駆けられた、テムジン様です」
この、ボオルチュの台詞を読んで、少年時代のテムジンからの物語が走馬灯のように思い出され、もう感無量の私です。
何だかまとまりがなくなってしまいましたが、"大水滸シリーズ"から連なる、この壮大な物語が読めた事に喜びを感じております。
(星(★)はこの巻の話のみでなく、今までの巻の積み重ねの上での『チンギス紀』最終巻として付けさせていただきました)
余談(蛇足)ですが、チンギスが逝って遺された“吹毛剣”は誰に受け継がれるのでしょうね。(長男・ジョチは病死してしまいましたし)
気になるあまり、また更なるストーリーが描かれることをつい期待してしまう私なのでした~。
Posted by ブクログ
チンギス最終巻。
親近感の無い世界の物語になかなか入り込めなかったが、さすが北方謙三!終盤にはチンギスの顔は北方謙三そのものにしか見えなくなってきた。
現代でも歴史でも、日本でも海外でも、常に北方節が冴えわたります。
気取ったオヤジが大好きです。
Posted by ブクログ
草原に生まれ草原を生きてきたチンンギスの最後の戦いが描かれる。巨星落つ、天は一つだから地も一つ…、チンギスの想いは果てしない。ここに壮大な物語が完結。
Posted by ブクログ
終わったぁ,ほっとしたぁ~ホラズムの掃討戦も終わり,通ったことのない道の脇で気になったのは黒水城だった。アウラガに落ち着くことなく,東に海を見に行き,副官であるソルタホーンが知らせてきたのは,帝国各地で叛乱が起きる兆しで,どうやらホラズムの太后が残した砂金で,アウラガを臨める黒水城の主ウキが盟主らしい。金出身の公主の子だと言うが,どうやらマルガーシを担ぎ出そうとしているのだ。チンギスも四子のトルイと甥のボロルタイだけを帯同した。長い押し合いから,一気に衝突し,チンギスは脇腹を抉られながら,剣を握るマルガーシの右手を飛ばしていた。春先の衝突で,チンギスは首を差し出したが,馬から落ちたのはマルガーシであったが,マルガーシは咄嗟に失っていた右手を振るっていたのだった。マルガーシには名誉の死が授けられたが,チンギスの下腹にマルガーシの剣が達し,徐々にチンギスの命を奪っていくのだった~永遠に続きそうな気がしたのですよね。次は誰?孫か??
Posted by ブクログ
終わった。チンギス紀、長い長い物語に幕が降りた。謙三作品は男っぽい文体で独特の作風人の心をと言うより小生の心をギュッと鷲掴みにしてくれる。感無量だ。さて次はどんな作品を?待っている。
Posted by ブクログ
大水滸伝シリーズも、これで完結だろうか。最終巻は、やや蛇足感がないでもないが、チンギス紀の流れを振り返り、ラストにつながっていくという点で、やはり最終巻にふさわしい。
Posted by ブクログ
長子ジョチ、妹でポオルチュの妻テムルンが死ぬ
たいこうの亡霊が金を用意しマルガーシを中心にした黒水軍との戦い
マルガーシが右手を失いチンギスが脇腹を損傷
二人の傷が癒え再びあい見える
チンギスの誘いに乗ったマルガーシを殺す
その傷が徐々にチンギスの体を蝕む
最後はポオルチュとソルタホーンを伴い大地に帰る
Posted by ブクログ
楽しみにしていた「チンギス紀」最終巻。
テムジン、十三歳の時から彼の生涯、そして周りの国の人々を読んでこられた事、私の人生のある意味糧となりました。
もう、完結編。だけどいつもこの本は寄り添ってくれているという想いを持ちたい。
終焉に向けての登場人物たちの描き方、そしてかつての闘いに散っていったライバルたちへの思い出。
どこを開いても胸が熱くなる言葉たち。
「唐突に始まって唐突に終わる。人の生にも似て」
そして広大な大地を墓とする旨を伝え、
不意に視界がなくなったという文章。
全十七巻、すべての言葉を心に刻みたい。
Posted by ブクログ
このシリーズ読み始めて10ヶ月余り、ようやく最終巻。いつまで経っても誰が誰やら分からんところもあるけど、いい戦いだったし、いい終わり方だった。次は元寇か
Posted by ブクログ
チンギス・カンの物語だった
最終巻にして、ようやくそこにたどり着いた
いやいや『チンギス紀』言うてるやん?
うーん、そういうんじゃないんよな
当時の世界人口の半分以上を統治下に収めたといわれるモンゴル帝国
その礎を築いたチンギス・カン
果たして彼は何を考え、何を想い、何を見ていたのか?
世界人口の半分以上ですよ?
それこそ地球46億年の歴史の中で唯一無二の存在ですよ
そんな人物が何を考えていたか?
答えは簡単「分かるわけねーじゃん!」だ
それでも北方謙三アニキは、その答えを全十七巻で描ききった
本当に、作家というのは、なんと傲慢な生き物なのだろう
「お前に何が分かる!」を恐れず
むしろ「チンギス・カンの気持ちは俺にしか分からん」と思っていそうだ
けれど、作家という生き物のその傲慢さに、これまで何度も救われたのもまた事実なのだ
Posted by ブクログ
シリーズ最終巻
岳飛伝のように史実改竄はせず、チンギスは亡くなりました。
黒水城は唐突でしたが、最後の舞台としては良い設定だと思います。
生きている人しか出さない登場人物一覧表の意図はわかるけど、過去をここまで回顧するなら名前が出てくる人物一覧表も欲しいところです。
吸毛剣の行く末が気になりますが、御大は自作の長編が最後の作品ということなので中国歴史ものだと期待したいです。
これまでの中国歴史シリーズと南北朝シリーズをつなぐとしたら蒙古襲来あたりになるのではと予想しておきます。
Posted by ブクログ
感想
版図を果てしなく広げたチンギス・カンの物語。版図が広がるに連れて、チンギスの孤独が増していったが、そばにはボオルチュやソルタホーンなどの配下がおり懸命に支えた。
大水滸伝からチンギス紀まで筆者の作品を読んだが、兵站と物流を制したものが、戦いを制する、ということに一貫する。
次の北方作品のテーマは何なのか、楽しみにしたい。
あらすじ
チンギスは死にゆく長男ジョチに会いに来て別れを告げる。
マルガーシは一命を取り留め、ホラムズ国の間者であった水心の手引きで傭兵を始める。バルクト族がチンギスを討つためにマルガーシを雇った。
チンギスはアウラガへ帰るも、日々の生活に倦んでいた。ある日、アウラガの南の黒水城に、ホラムズ朝、金国、西夏、バルクト族など反モンゴル国を掲げる兵が10万集まり、チンギスは麾下2万で討伐に向かう。
チンギスは、マルガーシを総帥とする黒水軍と何度もぶつかり、手負いをするも、マルガーシを遂に討ち取る。その傷が原因かは分からないが最後に大地へと返る。
Posted by ブクログ
最終巻。マルガーシを下し、ジャムカ同様に袋詰して処刑、そして死への旅立ち。後半スッカスカだったなあ。水滸伝シリーズなのかどうか、中途半端な感じもしたが、長い大河小説だったので開放されてスッキリした。
Posted by ブクログ
ついにチンギスの長い物語が終わった。この最終巻はファンサービスであり、著者もこれを書きたかったのではないかという内容で、ついに、本当の決着がつく。
テムジンとジャムカが駆け抜けた草原が懐かしく、砂漠の戦いで幕を下ろした。
壮大な人と国と天と地の大河物語でした。
Posted by ブクログ
チンギス・カンの戦いの日々もついに終幕。本人が予定調和の中にいるのはよしとして、長子ジョチが何もせずに死んでいくのには違和感しかありませんでした。
『蒼き狼』とは、パラレルワールドを描いていると思うしかないのでしょう。
Posted by ブクログ
本巻で最終巻。ホラズムを討伐して虚無感に包まれたチンギス。トーリオが面会し、タルグダイやラシャーンの物語と繋がる。また、敗者復活戦宜しくマルガーシを中心に、ジャラール、テムルメリク、金国軍などが大同団結して架空の戦を演じる際、ホシノゴなどバルグド軍団が出てきて、ジャムカを懐かしむ。最後は戦いの中でマルガーシが死亡し、その時の傷でチンギスも無くなる。話を綺麗に終わらせるための章で、物語自体にはあまり意味が無かったと思う。
Posted by ブクログ
ホラズム・シャー国との戦いが終わり、最後にジャムかの息子マルガーシとの黒水城を巡る戦いが行われる。チンギスハンという英雄を描いた長編小説も完結。
Posted by ブクログ
終わったー!長かったー!
北方謙三さんのシリーズを知っていれば覚悟が出来ていたんだろうけど、何も前知識なくタイトル観て面白そうだなと借りたらシルクロードのごときテムジンの長い長い戦いの日々に巻き込まれてしまった。この巻で最終にする意気込みが、チンギスが回想するシーンとして何度も現れるのがちょっと冷めてしまう。作者と同じく読者もああ、一巻から思い返すとこんなこともあったしそんな人物も登場したなぁと感慨深くなるだろうと思って書いたんだろうけど、それはそれ、物語は物語として通常運転で書いてほしかったなぁと思った。ただ、最後はチンギスがテムジンに戻り、そして草原へと還っていくシーンは主人公にも、そして北方さんにもお疲れ様と声をかけた。すべてが史実に基づいて書かれているならそれはそれで、だけど、すべてが正確な史実な資料として残っていないため、ジャムカとテムジンの草原の戦いから始まりマルガーシとチンギスの戦いで最期テムジンとして草原に還る、読み物としては最高ではないでしょうか。
北方さんの書く登場人物は、本宮ひろ志に被るものがあるよなぁ。どっちがどっちか知らないけど
Posted by ブクログ
ついにチンギス紀が終わった。第一巻を読んだのが2018年。丸5年で17巻を書き上げた北方謙三氏にまずは感謝したい。最後の17巻「天地」は地の統一後、戦さのなくなったじれったい時間があり、正直物語としてはヒリヒリしたいつもの緊張感はない。しかしそれだけに老いたチンギスが、“テムジン”に戻るために戦いを求める姿は、一巻でボオルチュと砂漠を放浪していた、人間テムジンの存在を久方ぶりに浮かび上がらせている。中に2回ほど泣きそうになった場面があったが、それはとても温かい場面で、チンギス紀を読んできた者が感じられる特権のようなものだと思ったりもした。