【感想・ネタバレ】チンギス紀 十七 天地のレビュー

あらすじ

草原に生まれ、大地を駈け、かつてない規模の国を築いたチンギス・カンが、最後の戦場に立つ。

チンギスは病床にある長子ジョチのもとを訪れたのち、草原へと向かう帰還の途につく。西夏領内に入ったチンギスは、ある城にただならぬ気配を感じた。それは黒水城と呼ばれ、砂漠に囲まれており、ウキという謎の人物が主とされていた。一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシに、カルアシンから見事な剣が手渡される。贈り主は明かされなかったが、マルガーシは戦に向けて隊の修練を重ねていく。アウラガの宮殿に戻ったチンギスは、ソルタホーンから国を揺るがす一大事を告げられた。突如生じた戦いに、チンギスは将軍だけでなくボオルチュも帯同させる――。

「チンギス紀」全17巻、ついに完結。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

第十七巻にして最終巻。

対ホラズム戦が終わり、アウラガに帰還したチンギスに、”ある人物”の裏切りが知らされます。
一方、チンギスから受けた傷を山中で癒すマルガーシのもとに、故トルケン大后の配下で“水心”の頭・カルアシンが訪れ、贈り主を明かさないままマルガーシに見事な剣を手渡します。
さらにカルアシンはマルガーシに兵馬の調練を依頼し、次なる闘いに参戦してほしいと打診しますが・・。

ついに、ラスト。
この巻では、砂漠にある〈黒水城〉に集結した"反チンギス連合"と、彼らを討伐する為に出兵したモンゴル国との戦いがメインに描かれています。
"黒水軍"は、ホラズム国や金国の残党、さらに西夏の兵や、あの"ジャムカ大好き一族"のバルグト族も参戦していて、他の方のレビューにもあるように、さながら"敗者復活戦"の様相を呈しております。
で、"黒水軍"の総帥にマルガーシが担ぎ上げられたというところも、"対チンギス"の象徴且つレジェンドになっているジャムカの存在の大きさを感じた次第です。
そんな訳で、"チンギスVSマルガーシ"の最終決戦ともいえる、二人の正面切ってのぶつかり合いには、手に汗握ると共に胸が熱くなるものがありました。

さらに、この戦には珍しくボオルチュが同行していたのも、チンギスが"テムジン"だった頃からの二人が共に歩んできた長い年月を振り返る上で感慨深いものがありましたし、チンギスとボオルチュ、ソルタホーンの三人でワチャワチャと楽しそうなシーンも多かったのも印象的でしたね。
(ボオルチュとテムルンの夫婦愛溢れるシーンも素敵でした)
それだけに、この二人の側でチンギスが”大地に還っていく”ラストは、静かですがしみじみと心に染み入ってくるものがありました。

「・・私を連れて、砂漠の旅をされた、十三歳のテムジン様です。モンゴル族キャト氏をまとめ、ジャンダラン氏のジャムカ様と、ともに草原を駆けられた、テムジン様です」
この、ボオルチュの台詞を読んで、少年時代のテムジンからの物語が走馬灯のように思い出され、もう感無量の私です。

何だかまとまりがなくなってしまいましたが、"大水滸シリーズ"から連なる、この壮大な物語が読めた事に喜びを感じております。
(星(★)はこの巻の話のみでなく、今までの巻の積み重ねの上での『チンギス紀』最終巻として付けさせていただきました)

余談(蛇足)ですが、チンギスが逝って遺された“吹毛剣”は誰に受け継がれるのでしょうね。(長男・ジョチは病死してしまいましたし)
気になるあまり、また更なるストーリーが描かれることをつい期待してしまう私なのでした~。

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2024年07月07日

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ネタバレ

終わったぁ,ほっとしたぁ~ホラズムの掃討戦も終わり,通ったことのない道の脇で気になったのは黒水城だった。アウラガに落ち着くことなく,東に海を見に行き,副官であるソルタホーンが知らせてきたのは,帝国各地で叛乱が起きる兆しで,どうやらホラズムの太后が残した砂金で,アウラガを臨める黒水城の主ウキが盟主らしい。金出身の公主の子だと言うが,どうやらマルガーシを担ぎ出そうとしているのだ。チンギスも四子のトルイと甥のボロルタイだけを帯同した。長い押し合いから,一気に衝突し,チンギスは脇腹を抉られながら,剣を握るマルガーシの右手を飛ばしていた。春先の衝突で,チンギスは首を差し出したが,馬から落ちたのはマルガーシであったが,マルガーシは咄嗟に失っていた右手を振るっていたのだった。マルガーシには名誉の死が授けられたが,チンギスの下腹にマルガーシの剣が達し,徐々にチンギスの命を奪っていくのだった~永遠に続きそうな気がしたのですよね。次は誰?孫か??

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2023年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長子ジョチ、妹でポオルチュの妻テムルンが死ぬ
たいこうの亡霊が金を用意しマルガーシを中心にした黒水軍との戦い
マルガーシが右手を失いチンギスが脇腹を損傷
二人の傷が癒え再びあい見える
チンギスの誘いに乗ったマルガーシを殺す
その傷が徐々にチンギスの体を蝕む
最後はポオルチュとソルタホーンを伴い大地に帰る

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2023年07月29日

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ネタバレ

楽しみにしていた「チンギス紀」最終巻。
テムジン、十三歳の時から彼の生涯、そして周りの国の人々を読んでこられた事、私の人生のある意味糧となりました。
もう、完結編。だけどいつもこの本は寄り添ってくれているという想いを持ちたい。

終焉に向けての登場人物たちの描き方、そしてかつての闘いに散っていったライバルたちへの思い出。
どこを開いても胸が熱くなる言葉たち。
「唐突に始まって唐突に終わる。人の生にも似て」
そして広大な大地を墓とする旨を伝え、
不意に視界がなくなったという文章。
全十七巻、すべての言葉を心に刻みたい。

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2023年07月29日

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ネタバレ

シリーズ最終巻

岳飛伝のように史実改竄はせず、チンギスは亡くなりました。
黒水城は唐突でしたが、最後の舞台としては良い設定だと思います。
生きている人しか出さない登場人物一覧表の意図はわかるけど、過去をここまで回顧するなら名前が出てくる人物一覧表も欲しいところです。
吸毛剣の行く末が気になりますが、御大は自作の長編が最後の作品ということなので中国歴史ものだと期待したいです。
これまでの中国歴史シリーズと南北朝シリーズをつなぐとしたら蒙古襲来あたりになるのではと予想しておきます。

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2024年02月12日

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ネタバレ

感想
版図を果てしなく広げたチンギス・カンの物語。版図が広がるに連れて、チンギスの孤独が増していったが、そばにはボオルチュやソルタホーンなどの配下がおり懸命に支えた。

大水滸伝からチンギス紀まで筆者の作品を読んだが、兵站と物流を制したものが、戦いを制する、ということに一貫する。

次の北方作品のテーマは何なのか、楽しみにしたい。

あらすじ
チンギスは死にゆく長男ジョチに会いに来て別れを告げる。

マルガーシは一命を取り留め、ホラムズ国の間者であった水心の手引きで傭兵を始める。バルクト族がチンギスを討つためにマルガーシを雇った。

チンギスはアウラガへ帰るも、日々の生活に倦んでいた。ある日、アウラガの南の黒水城に、ホラムズ朝、金国、西夏、バルクト族など反モンゴル国を掲げる兵が10万集まり、チンギスは麾下2万で討伐に向かう。

チンギスは、マルガーシを総帥とする黒水軍と何度もぶつかり、手負いをするも、マルガーシを遂に討ち取る。その傷が原因かは分からないが最後に大地へと返る。

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2023年12月02日

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ネタバレ

最終巻。マルガーシを下し、ジャムカ同様に袋詰して処刑、そして死への旅立ち。後半スッカスカだったなあ。水滸伝シリーズなのかどうか、中途半端な感じもしたが、長い大河小説だったので開放されてスッキリした。

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2024年04月03日

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ネタバレ

終わったー!長かったー!
北方謙三さんのシリーズを知っていれば覚悟が出来ていたんだろうけど、何も前知識なくタイトル観て面白そうだなと借りたらシルクロードのごときテムジンの長い長い戦いの日々に巻き込まれてしまった。この巻で最終にする意気込みが、チンギスが回想するシーンとして何度も現れるのがちょっと冷めてしまう。作者と同じく読者もああ、一巻から思い返すとこんなこともあったしそんな人物も登場したなぁと感慨深くなるだろうと思って書いたんだろうけど、それはそれ、物語は物語として通常運転で書いてほしかったなぁと思った。ただ、最後はチンギスがテムジンに戻り、そして草原へと還っていくシーンは主人公にも、そして北方さんにもお疲れ様と声をかけた。すべてが史実に基づいて書かれているならそれはそれで、だけど、すべてが正確な史実な資料として残っていないため、ジャムカとテムジンの草原の戦いから始まりマルガーシとチンギスの戦いで最期テムジンとして草原に還る、読み物としては最高ではないでしょうか。
北方さんの書く登場人物は、本宮ひろ志に被るものがあるよなぁ。どっちがどっちか知らないけど

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2023年11月28日

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