北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレ『水滸伝』『楊令伝』から続く長い物語の終着点として、本作は単なる戦記ではなく、腐敗した宋を変えようと立ち上がった梁山泊が遺した「替天行道」という志が、どのように受け継がれていくかを描いた作品。西遼、日本、南方(東南アジア)との交易を含めた梁山泊と宋(南宋)、金国との戦いにひとつの区切りがつき、晁蓋・宋江・楊令が掲げた「替天行道」が、最終的には物流という形で結実していく結末は、実に清々しい読後感だった。
特に印象に残ったのは、湖塞のころから梁山泊を支えてきた史進という一人の武将。 史進率いる梁山泊・赤騎兵が金国総帥・兀朮を討つ場面。 「退がった呼延凌は、目の端になにかを捉えた。赤い色、赤い矢 -
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チンギス紀からスタートする、おそらく変わった北方ワールドのエントリーから、水滸伝、楊令伝を経て、ついに岳飛伝の長い旅路を終えた。
旅は延べ1年に及んだものの、水滸伝から岳飛伝まで生き抜く史進の人生一生分が凝縮された濃い一年だった。そして胡土児から玄王がつなぐチンギスハンの流れもしびれるものがあり、全てのつながりを理解したところで、何か自分より遥か壮大な世界に取り込まれ、茫然とする感覚に陥っている。それは登場人物達と過ごした一年がなくなることのロスでもあるし、この壮大な世界にいざなってくれた北方謙三への畏怖でもあるし、今執筆中の蒙古襲来の物語への期待でもあるし、日常の自分とそれぞれの物語に登場す -
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ネタバレ英雄譚的な部分、それでも綺麗事だけで終わらないリアルさを感じました。
晁蓋が亡くなり、盧俊義が捕まってしまう、そんな絶体絶命の状況で変わっていく人を巧みに描いています。
また、善悪ではない、人の感情のグラデーションを緻密に描くところに感情移入してしまいます。
個人的には、敵方の聞煥章の次の言葉が印象に残っています。
こうあるべきって理想に逃げてしまう自分を振り替えさせられたようでハッとしました。
「国家がこうあるべきだというのは、逃げにすぎん。ありとあらゆる方法で、直面している現実を切り開くのが、われらのなすべきことだろう、李富?」 -
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ネタバレ横浜にバーを何軒も構える実業家、類まれな才能を持つ画家、そして無頼な生き方。主人公はあまりにも多くのものを持ちすぎている。そういう人間は、最初から破滅へと向かって歩いているのだと、読み終えてから思う。
地場の組織とのこじれ、恋人の不治の病、刺青の技術への静かな魅了。どれひとつ取っても物語になりそうな素材が、ひとりの男の上に積み重なっていく。一見すると無茶苦茶に見える。だが読み進めると、この積み重なりがじつによく練り込まれていることに気づく。雑然としているのではなく、意図して乱されている。
北方謙三の文体には固有のリズムがある。短く切れる文、乾いた体言止め、感傷を拒む語り口。そのリズムが、主