北方謙三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
王進の最期。妻・公淑を看取り岩の上で静かにその時を待つ姿が見事なほど気高い。子午山で過ごした面々のエピソードを振り返りながら読み進めた。心の傷を癒した者、健やかに成長した者。印象的な場面がいくつもある。何人もここから巣立って行ったんだよな、心の故郷なんだなと思うとしんみりしてしまう。
そして毛定に義手を作ってもらった岳飛。新たな右腕にテンションが上がったり、娘の様子をこっそり覗きに行ったり、王清の鉄笛を聞き命を懸け闘った梁山泊の面々に思いを馳せたり。この孤高の存在ではない「人間らしさ」がこの漢の魅力だろう。
梁山泊では今後を検討する会議を実施。呉用はあくまで各々の意志を優先しサポートしていく方 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半最大の山場。岳飛死す!しかし・・・という第六巻。
史実では謀反の嫌疑で処刑され、岳飛は救国の英雄となる。
しかし北方謙三がこんな魅力的な漢をそう簡単に死なせるわけがない!
「岳飛を救え」という呉用の遺言を受け動く致死軍と燕青。
太祖系の印璽・短剣を交渉材料とした緊迫した駆け引き。久々の致死軍のスリリングな救出作戦。燕青も長らく隠棲していたとは思えない相変わらずのスマートさ。
脱走した姚平が敬愛する大将の危機に現れたところもまたグッとくる。
岳家軍が解体され全てを失いながらも生き延びた岳飛。
今のところ今後の展開の予想がつかない。
ここから本当の意味での「岳飛伝」が始まりになりそうだ。 -
Posted by ブクログ
【大水滸伝に対するレビューと感想】
大水滸伝が、完結した。
数え切れないほどの人物が舞台に現れ、躍動し、死んでいった。
戦いに命をかける武将はもちろん、志について考える人物がいれば、輸送にも工作にも、鍛治のスペシャリストも何でも出てくる。
敵も味方も、隊長どころか一兵卒のレベルまで、あらゆる人物が躍動感を持って、描き出されていた。
それが皆、死んでいった。
全ての登場人物たちが魅力的なのは、命をかけて守るべきものがあり、それを守ろうとしていたからだと思う。
血湧き肉躍る文章は、一時も自分の心をつかんで離さなかった。
この小説に出会えたことに、心から感謝する。 -
Posted by ブクログ
いよいよラスト2巻。いかに漢たちに死に場所を与えるか、という命題のもと書き紡がれてきた長大作も、とうとう本当の終焉を迎える。そして、本巻の半ばでコウジュウが、ラストでいよいよシシンが旅立つことに。それにしても、シシンが最後まで残るとは… で、岳飛伝という物語の中、どんどん存在感を増してきたウジュを、その最後の相手としてあてがうあたりも心憎い演出。壮絶な最期でした。でも気になるのは、登場人物の欄にはまだ残っていながらも、物語中には全く顔を出さないリリツの存在。え?どうなってるの?最終巻にきて、その実態が唐突に明かされる?それとももう、第一線は退いてるんだっけ?気になる…
-
Posted by ブクログ
衝撃の結末。何とも言えない喪失感。胸にぽっかり穴が空いたような。
このシリーズの最大の魅力は「死に様」のカッコよさ。
前作では男達が猛る炎のように命を燃やし果てていった。今作「楊令伝」はまるで一陣の風のように男達が散っていく。生き急いでいる若武者も、死に場所を探している歴戦の強者も。時には呆気ないと感じるほどに。
楊令という英雄も彼が思い描いた国もまるで夢だったのではないかというほどに儚くて気高い。
幼少時からその成長と過酷な運命を描き続けた作品のシンボル的キャラなだけに著者・北方氏も相当悩んだはず。
このラストには賛否あるだろうが余りにも大きく孤高の存在になってしまった楊令に与えられた「安息 -
Posted by ブクログ
いよいよラスト3巻。大団円へ向けて静かに、でもダイナミックに、物語が動き始めています。登場人物が小粒になったって、くどいくらいに書き続けてきたけど、ふと気付いたのは、この大水滸伝は、当初から梁山泊に集った108人の猛者たちに、それぞれ死に場所を与える物語なんですね。いや薄々は感じてたけど、本巻ではいよいよコダイソウが旅立って、残すところあと数名。シシンが最後まで残ったのはまさかって感じだけど、彼にもきっと、ふさわしい死に場所が用意されているはず。岳飛伝というタイトルの割に、彼にはそれほど存在感がないのも納得。残り2冊。気合入れて読ませて頂きます。
-
Posted by ブクログ
いよいよ残り巻数が少なくなってきました。で、今回の一番の見所は、やっぱり何といっても吹毛剣受け渡しのシーン。シシンとの邂逅も熱いし、そのあとのウジュとのやり取りも漢気でいっぱい。更に、最期にヨウレイの姿を見ることができたヤリツエツリとの対面にいたるまで、本当に素晴らしい章でした。あと、登場人物紹介を見ながら”あれ?ソウセイってどうやって逝ったっけ?”と思ってたら、なるほど、そういうことだったんですね。いつしかのテイテンジュを彷彿させる亡くなりかたで、これまたジンときました。ところで、リシュンはこれで最期なんですよね?ちょっと理解が追いつかず、最終的になぜ死に至ったのかがいまひとつピンときません
-
Posted by ブクログ
ネタバレついに禁軍との全面対決が開始される。
緒戦はカク瑾・花飛麟と岳飛の若手同士のぶつかり合い。呼延灼・史進はかつての姿を取り戻すかのように躍動し、楊令は騎馬隊を率いて十一万の敵陣を断ち割る奇策に出る。総帥・童貫は未だ動かず。
そして呼延灼は息子・穆凌を救うため単騎で大軍を押し止め命を散らす。息子に授けたのは双鞭と父の不器用な愛。
序盤からかなり目まぐるしい展開。スピード溢れる熱い闘いこそ北方水滸伝の醍醐味。
趙安と呼延灼、両陣営とも核となる将軍を失い戦況はどう推移していくのか。そして童貫と楊令はどこで対峙するのか。
読む手が止まりそうにない。 -
ネタバレ 購入済み
三国志4
曹操が戦死したと聞いた劉備が曹操は自分にとって玉を磨く砥石のような人だったという例えがとてもしびれました。