北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレついに童貫が出撃。圧倒的な力で双頭山をわずか一日で陥落させる。二竜山が趙安の軍勢に包囲され、童貫との激戦で関勝らを失いながら応戦する梁山泊軍。
高球への偽装講和作戦も佳境を迎え、致死軍と高廉の部隊が 闇の中でぶつかり合う。そして負傷した公孫勝が林仲に語った凄まじい過去。彼の苛烈さの正体と素顔が垣間見えるシーン。
そんな中、梁山泊を裏で支えてきた二人の最期。
盧俊義は「我が息子」燕青に塩の道を託し、兵たちに志を熱く語って命を閉じる。
病に侵された魯達は梁山泊の全てを楊令に伝え、壮絶な自裁をする。
生き様を体現するような死に様!これこそこの小説の醍醐味!北方氏の魂がヒリヒリするほど伝わってくる! -
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ネタバレまさに衝撃の一冊。
前巻で宋江を包囲し、魯智深の行方は知れず、楊志の妻子の存在が青蓮寺にばれた。
その全てがこの巻で動き出す。
古典文学に(古典を題材にした文学に)、ネタバレは許されないのかどうかわかりませんが、早々に主要登場人物が姿を消すということだけ記しておきます。
現在の視点だけで考えたらそれはとてつもなく大きな穴となりますが、長い目で見たら梁山泊の要を作る出来事になったかもしれません。
それは今後を読まないと分かりませんが。
ただ、その大きな喪失は確かに衝撃的ではありましたが、私が泣いたのはそこではなく。
喪失をもって敗北としないように、次に繋げるために必死で戦う遺された者たちの -
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待ち焦がれていた文庫化。大水滸伝シリーズの最終部「岳飛伝」の幕が開きました。
頭領を喪った「梁山泊」、「南宋」、「金」、そして南宋の中の一軍という形にはなっていますが、岳飛率いる「岳家軍」それぞれの視点から、少しずつ楊令後の世界が描かれます。
個人的に最も気になる梁山泊の様子は、頭領が不在の中、また未曾有の大洪水による被害も癒え切っていない中、よく堪えているものの、当然ながら様々な問題が出てきています。主要な人物たちも「どうすべきか、何をすべきか」と悩みながら、何とか日々自分にできることをしています。
いまだ力はあるものの、先行きの不安をひしひしと感じさせ、読者である僕としても、お馴染みの -
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岳飛が主人公となると、いよいよ史実寄りの内容がメインになるのかと思いきや、やっぱり第一巻は、まだまだ梁山泊が物語の中心。とはいえ、かつての栄光はどこへやら、落日の様相を呈しているのは否めず。初代のヒーローたちが、軒並み死んだか引退しているから、それもむべなるかな、ですね。ヨウレイ伝で創作された諸人物を、殆ど忘れてしまっているから、ピンと来ないエピソードも多々あったけど、それを差し引いても、本シリーズに通底する熱さは相変わらず。これまで同様、一気に読み通してしまいました。軍団を問わず、皆揃って暗中模索中って印象が強かったけど、悩む姿もまた漢ですね。これからしばらくは、月1の定例お楽しみが出来たっ
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破軍星とは、北斗七星の7番目の星で、それが指し示す方角は不吉だと言われる。14歳という若さで陸奥守に任じられ、軍事の天賦の才で激動の南北朝時代に輝きを放った北畠顕家その人を表す言葉として、ふさわしい。
南北朝の面白いところは、世を統治すべきは公家か武家かを問うたところだ。武士である平家が貴族として政治に台頭し、源氏が武士として統治者となり幕府を作った。これが平安後期から鎌倉時代にかけての流れだ。そして南北朝時代では、腐敗した幕府に不満を抱く武士と、もう一度世を治めることを伺う朝廷の対立が垣間見える。
顕家は、父の影響もあって、朝廷こそ統治者たるべき存在だと考える。一方で、公家でありながら武