あらすじ
幕末。黒船が浦賀に現れた頃、上州浪人・相楽総三は天下を憂う志を持って仲間を集う。博徒・清水の次郎長や剣客・土方歳三とも友誼を結ぶ。次第に倒幕に傾倒して、怪物・西郷隆盛率いる薩摩藩に総三は接近して行き、薩摩の闇の左手として活動し、やがて赤報隊として倒幕軍の尖兵となるが! 時代の濁流を生き抜いた若き魂。著者が初めて幕末に舞台を設定した長編小説。
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草莽の志士
相楽総三を中心に幕末の志士たちの生き様と死に様とを見事に描いた作品だ。
北方謙三氏の物語では、男とは、生きるとは、という問いに物語全体を通して様々な人物達が、それぞれの人生で体現している。
熱い何かが自身の中からたぎってくる、涙なしには見れない漢達の物語だ。
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『死んだ人間にしてやれることはねえ。なんにもねえ。もしなにかやるとしたら、生き残った者が、自分のためにやることだ』
渡世人の死生観だが、不思議にすとん、と胸のうちに落ちる。供養ってのは、浮かばれ無い自分の想いを弔う為にしているのかもしれない。
赤報隊と相楽総三、名前位は知っていたけど、詳しい事は全然知らなかった。
そしてこの本を読んで、もっと知りたくなった。
『死に方を考えるって事は、生き方を考えるって事だ』
俺も死に方ってやつを考えてみよう。
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偽官軍として処刑された相楽総三と清水の次郎長を主役に幕末史を描いている。相楽総三ってるろうに剣心の相良左之介のエピソード程度しか情報がなかったが、関東、中部を中心にかなりの活動を行っていたことを知った(創作の部分もあるにせよ)。次郎長の交友関係の広さにちょっと無理はあるが、倒幕、佐幕側両面の人物を描写するにはうってつけだったとも言える。
白眉は西郷。怜悧で恐ろしい存在として描かれている。この西郷を主人公に西南戦争を書いて頂きたいと思う。一方で大久保利通は出番まるでなし…。
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新政府によってスケープゴートにされた赤報隊の相楽総三が主人公、
という珍しい作品だけど、登場する人物全員が主人公だと思わされるような書き方です。
気持ちの良い男達ばかり。
特にここの土方歳三カッコ良すぎ。
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相楽総三、それに絶妙に絡んでくる博徒清水の次郎長を中心に土方歳三、坂本竜馬、、勝海舟、西郷隆盛等々の幕末の英傑豪傑が勢ぞろいです。相楽総三を軸とした作品は見たこと無かったのですごく面白かった。
佐幕派倒幕派、もしくは中立派関係なく皆とても魅力的な描かれ方で、特に後半に進むにつれての相楽に対するそれぞれの思いが、それは友情であったり羨望であったり憐憫の情であったりするんだけど、とても熱くて爽快でもありました。
この時代志半ばで絶える者こそ大半で相楽だけが特別というわけではないのだけど、伊牟田、相楽の最期のシーンはこっちまで悔しくなる程切なかった。まさに草莽だ。
主軸が相楽である以上仕方ないのかとは思うけど特に西郷・岩倉の描かれ方は結構容赦ないなぁと思いました。作中で英雄とは多くの犠牲の上に平然と座って事を成し遂げられる者がなれるというような事を言っていたけどあながち間違いじゃないかもしれない、と考えさせられました。
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この本の中では清水の次郎長が登場人物の間をつなぐ触媒として大きな役割を果たします。調べたわけでは有りませんが、おそらく史実とは大きく異なるでしょう。北方さんの魅力はやはり男の描き方。この本の主人公である相楽総三、清水の次郎長ともに、やはりけれんみの無い男として描かれます。いつもそうだと言ってしまえばその通りで、マンネリと言えない事も無いのですが。。。でもその主人公の魅力で史実に関する違和感を消してしまえるところがこの人のすごいところなんだと思います。
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薩摩の自己防衛のために偽官軍とされた赤報隊の相楽総三が主人公なのですが、総三と交友を深める清水の次郎長の目線も面白かったです。
そしてちょっとしか出てきませんが、カッコイイ土方さんがいます。
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藩の後ろ盾のない相楽総三が草の根運動で倒幕に向けて活躍する話。勅定を持ち赤報隊として官軍の先鋒を任されながら、最後には偽官軍の汚名を着せられて斬首される。この策略により薩摩藩を中心とした官軍により倒幕は達成できたが、大きな歴史のうねりの中に飲み込まれた総三はさぞ無念だったろう。あるいは、大きな目標達成のための意味ある死と最後は納得できたであろうか?彼の死後、清水の次郎長が総三の妻子の元を訪れるくだりは、ぐっと来た。
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明治維新という日本の大きな変換点において偽官軍の汚名を着せられ散って行った赤方隊の話。ああ無情……読み終えた後にそんな言葉が頭に浮かびました。何と言うか、本当に虚しくなるんです。決して悪い意味でなく。でもいい意味とも言い難い。当時の状況は想像するしかできませんが、そこにはきっと様々な熱い意志や想いが籠められていたに違いないのに、それら全てを呆気なく無に帰して淘汰してしまう力の奔流が怖ろしくて悲しいです。
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相楽総三、清水次郎長、山岡鉄舟を中心に3人にまつわる人々の生涯と激動の幕末を描く。
幕末を描く物語は旧幕府軍と新政府軍の対立という構図で描かれるのだが、ここは新政府軍内の軋轢がメイン。
西郷と岩倉が裏で糸を引く役回りで、いまの西郷どんとは対照的でなかなか面白い設定。
史実を読みたい人にとっては、登場人物は実在でもほぼ創作ストーリーなのでなんだよとなるかも。
でもこの3人が主人公の物語なんてなかなかないので、大河にしても面白いんじゃないかなぁと思ったりして。
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歴史小説として買ったが、実際にはハードボイルド小説。このジャンルとしての出来は、良いものだと思うが、歴史小説として充てれないということで、3つ。
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相楽隊長と清水の次郎長の話。
るろうに剣心で相楽総三を知って興味を持って。
恥ずかしいことに、次郎長が幕末の人だったとこの本で知りました。
相楽隊長、やはりカッコイイ。
北方先生はカッコイイ男をかっこよく書かれるので好きです。
ちらっと出てくる土方の存在感も抜群。
向いてることをすればいいわけじゃないんですね、隊長。
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幕末の赤報隊の相楽総三の話。草の根運動で幕府を倒そうとするが、西郷隆盛の策略によって無実の罪を着せられ、最後は斬首される。相楽よりも、西郷の暗さ、無慈悲さが目立った。
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幕末の赤報隊のお話。
明治維新に向かうなか、幕府側の物語。
やはり根底にあるのは滅びの美学。
己の信ずるところ、命をかける話。
この前後、るろうに剣心を読んでいたこともあり、
時代背景的に感情移入しやすかった。
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幕末,幕府にも薩長の官軍にも属さない関東草莽の志士達が日本を変えて行く流れを作ろうとしていた。それが相良総三,後の赤報隊の総長である。本書では,そこに清水の次郎長が登場し,やくざという,政治的なことではなく,仁義にのみ生き・死ぬという達観した観点から幕末の動乱を見つめている。総三は官軍に先駆け,東山道の先方隊として江戸城を目指すが,幕末動乱の中,巨大な陰謀の中に沈んでゆく。このような血と死が万々累々と重なり,維新が進んでいったのだろう。これ一つを取って善悪を判断すると,総三を葬ったことは当然”悪”となるが,明治維新の中で,総三は無駄な死であったのかといえばそうではなく,それもこれも含めて近代が成り立っていったといえるであろう。
『命は大事にするのだ。捨てれるのは一度だけだからな』『死なねえようにな。背中を向けるとやられる。背中さえ見せなきゃ,滅多にやられることはねえ』
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作中土方度は2ってところでしょうか(何この表現)
でもチラチラしか出ないのに妙に格好良いんです。なんかこう"振り返ったら奴がいる"的な登場がやたら多かったような。この土方さん超ハードボイルドなんで、格好良いけどリアルに振り返って後ろにいたら「ひぃ!殺さんで!」って条件反射で言っちゃいそうです。
北方さんきっと土方歳三好きなんでしょうねー。…名前も似ているし。
相楽総三はるろうに剣心で、次郎長の親分はさくらももこのエッセイでいずれもチラッとだけ知っていたんですが、ああこんな人達だったのかと興味深かった。幕末のヤクザさんの動向ってのも中々面白いもので。