あらすじ
国境を挟み、宋遼二国は一触即発の状態に。宋の北辺を守る楊業と息子たちの前に、遼の名将・耶律休哥が立ちはだかる。神出鬼没、白い毛をたなびかせて北の土漠を疾駆するこの男は、「白き狼」と恐れられていた。意のままに動く赤騎兵を従えた「白き狼」の出現に、さすがの楊家軍も、思うように動けない。楊一族を苦しめたのは、敵将ばかりではない。力はあっても新参者の楊業に対し、宋軍生え抜きの将軍、文官たちが、次々と難問を突きつける。建国の苦悩のなかで、内なる戦いも始まっていたのだ。運命に導かれるように戦場に向かう男たち。天はいずれに味方するのか。滅びゆく者たちの叫びが切々と胸に迫る。最後の場面のためにそれまでの850枚があったかと思わせる感動のクライマックス。この先を読みたい、との読者の熱い要望に応え、著者は現在、続編「血涙」を執筆中だ。「水滸伝」に勝るとも劣らない英傑たちが活躍する北方『楊家将』、怒涛の後編。
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Posted by ブクログ
10世紀末、北漢の軍人として生きてきた楊一家は様々な要因で宋に帰順する。北漢を飲み込んだ宋は北の国遼と対峙するが……。
楊家が強いッ!そして遼側にも魅力的なキャラクターが多すぎるッ!!文庫版上下巻と読みやすいし、北方歴史小説入門にピッタリ!!→
楊業の強さ&親父殿感が最高。六郎&七郎の末っ子コンビも、延平のお兄ちゃん感も、一人だけ空気感が違う四郎のキャラ立ちも良すぎる……。遼サイドは帝が幼い故に全権を握る蕭太后(帝の祖母)が40代という若さ&抜群の戦センス&豪胆さで強キャラ感すごい。そこに従う武人たちがまたいいんだよなぁ→
白き狼の異名を取る耶律休哥は抜群に強いし、総指揮をする耶律奚低はザ苦労人でいい人すぎる。
蕭太后の娘である瓊峨姫がまたいいんだよなぁ……いやもうたまらん。2冊でこれだけのキャラを魅力的に描く北方御大凄すぎる。
終わり方がかなり衝撃的だけど、続編の「血涙」があるから大丈夫!(何が?
以下、リアルタイムツイート
下巻読んでる。
宋側より遼側がとても良いんだが、中国史年表を薄目で見たら……ねぇ……(またやらかす)
とりあえず、耶律奚低が好き。呂布好きやから耶律休哥にいくかと思ったけど、俄然奚低。苦労人、良いな……幸せになって欲しい……ッ遼側だけど……ッ。・゚(´□`)゚・。
いや、もしかしたら私がちゃんと年表を見ていないだけで耶律奚低たちが勝つハピエンも……?(中国史知らんアホ子の呟きどす。スルーくださいな)なんせ薄目やからな。ミステリのラスト1行をペラ見する感じ(普通はしない?デスヨネー)
ロミジュリ……これはロミジュリじゃないかー!!!
え?マジ?これ、この二人の今後も気になるんだけど……え?残りページ数……異常に……少なく……ない……か……?(楊家将第9章読んでる)
読み終わった……そうか……これは楊家……の……もの……が……た……り……
ウワァァァァン。・゚(´□`)゚・。
続き……ッ!楊家将の続きはどこで読めますか……ッ???
ああ!血涙ッ!!!これはすぐに血涙に向かわなければッ!!!(落ち着け)
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筆力が凄まじく、数時間動けなくなるほどの読み終わった後の余韻。小説でも映画でも名作は余韻が残る。上下巻2冊という手軽さもあって、知人にも薦めやすい。物語の最後がわかっていても何度も読んでしまう名作。
Posted by ブクログ
最強の男がどう死ぬかと思いながら読み進めるが、どんな逆境も突破していく楊業。まだ生きるかと、いい意味で裏切られるが、最期は味方の裏切りで敗れる。宋という国、時代に翻弄された悲しい男の生き様。
Posted by ブクログ
圧巻だった。上巻でほとんど感想を言ったかもしれない。
後編も素晴らしかった。最後の楊家軍としての動きがあまりにも淀みなく死を受け入れていて、漢としての生き様をまざまざと見せつけられた。あっぱれ。
最後に七郎が帰還して激高している場面は泣いた。死というものを受け入れている人間だからこそ、その漢の死に様というものに対して並々ならぬ感情をぶつけていてこれには涙した。このときの情動がすべて後編の原動力となって物語を動かしている。最高でした。
Posted by ブクログ
歴史小説の中でも、これだけ戦場場面の描写のボリュームが多い作品も珍しいのではないか。
そしてそれぞれの立場での正義があり、そしてそれぞれの陣営での確執があり、さらに敵味方関係なく、武人だからこそ相通ずるものなど、読みどころは全体に見事に散りばめられて飽きさせない。
もっと分厚い長編作品として読みたかったかな。
Posted by ブクログ
面白かった!主人公の属する宋からすると敵にあたる耶律休か(やりつきゅうか)がカッコよかった!
宋が国を統一するんだから、楊業軍が勝つんだろうと、思いながら読んでいて、では、やりつきゅうかはどうなるのっ、と心配してたのに、まさかの結末。耶律休かは、NARUTOのカカシ先生とダブったな。髪も白いし。白き狼だし。
Posted by ブクログ
中国史はこれまでノーマークだったけど、この小説のおかけで開眼しました…!
北方楊家の物語はまだ終わらない。
血涙に続いていくという事だけで、高揚が止まらない。
四郎はどうなったのか、六郎・七郎はどんな楊家を作っていくのか。
北方謙三さんの小説は制覇しなければ。
Posted by ブクログ
再読
同作者による水滸伝や三国志とまったく同じ書きようだが
『楊家将』という題材が「歴史」でなく「戦記」ものであるため
格段に出来ばえが良い
というより作者はワンパターンな燃えキャラクタ小説しか書けないのに
三国志のような歴史ものを無理やり書き上げた方に驚くべきか
いずれにせよ北方せんせいの著作はこの2冊あれば充分だ
Posted by ブクログ
時代、時の運、帝の知性。様々な要因が絡み合って、その時代を制していたのだろう。
武人とはなにぞや。
人としてどうあるべきか深く考えさせられる。
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宋と遼の決戦でもあり、楊業の決戦でもある巻。
恋する四郎は超絶可愛かったです。
六郎もしっかりと父の血を受け継いで、楊業の男であろうとするところが涙が出ました。
Posted by ブクログ
歴史ロマン小説でここまで先が気になる本は、久々だった。
きっかけは経営コンサルタントの小宮一慶さんの”ビジネスマンのための「読書力」養成講座”の『不利な戦況をいかに切り抜けていくかという戦略論として、また、リーダーはかくあるべしという、ヒューマンリソース・マネジメントの書としても、楽しめます』より。
Posted by ブクログ
楊家将の下巻。
もう傑作だと言わざるを得ない。すばらしい!
もう最後泣きそうになりました。
楊の兄弟たちが次々に死んでいってしまう・・・・・・
もちろん主人公たる楊業も死んでしまう。
最後、谷に追い込んであともう一息というところで潘仁美がいない時にはもう読みながら怒りで身が震えました。
なんでいてへんねん、この馬鹿野郎!お前それでも男か!足ばっかり引っ張りやがって、最後の最後もそんな臆病なことしやがって!と叫びたくなりました。
四朗が遼に捕まるのはなんとなく予測できましたが、さすがに長男の延平まで死んでしまうとは思わなかったです。
一番好きな六朗と七郎が生きていてくれたことが、唯一の救いです。
続編の血涙がはやく読みたくなりました。
Posted by ブクログ
北方さん三国志が苦手だったのであまり期待してなかったのですが、これはヤバイ。ページをめくる手が止まりません、一気読み必至。楊業のオトコ前ぶりに気絶しそう。次は「血涙」買いに走ります。
Posted by ブクログ
この物語。 一言で言ってしまえば「滅びの美学」の物語です。 「滅びの美学の物語」が好きなのは日本人だけかと思いきや、中国人にもその傾向があるのかしら?? それともこれは「北方版 楊家将縁起」だからこういう物語になったのかしら?? 残念ながらこの本を読むまで本家本元の「楊家将縁起」についてまったく知らなかった KiKi には判断のつかないところです。
上巻の Review で KiKi は楊業さんの息子たちの書き分けがちょっと粗いと書いたんだけど、コレ、実は全部が全部じゃなくて7人のうち4人に関してはそこそこ書かれていたんですよね。 かなりあっさりとまとめられちゃっていたのは次男、三男、五男の3人で、結果この3人はこの下巻でもキャラが立たないうちにお亡くなりになってしまいました。 お亡くなりになっても印象が薄いのはやっぱり描き込みが少なかったから・・・・・と言わざるをえません。
一家の柱である楊業さんと長男も非業の死を遂げることになるわけだけど、彼らはさすがに頭領とその後継ぎということで、上巻でもかなりの頁を割いて描かれていただけに、最期の時の描写には胸がジ~ンとしてきます。 「生粋の武官の生き様というのはこういうものか!」と思わずにはいられません。
それにしてもこの楊家の悲劇は宋の国でもっとも精強な兵を抱えた軍閥でありながらも、所詮、外様であったこと。 そして宋国恩顧の武家たちにロクなのがいなかった(少なくともこの物語のうえでは・・・・ですけど)ことに尽きるような気がします。 そして宋国の帝も国のトップである以上 Vision は必要だけど、「先代から受け継いだ悲願(≒ 燕雲十六州の奪還)」という得体の知れない魔物に憑りつかれちゃったのが残念でなりません。 もっともこの「燕雲十六州の奪還」というヤツは「北方水滸」でも「楊令伝」でもその背景に根強く残っているわけで、そうであればこその悲願ということで帝がダメということでもないんですけどね。 少なくとも「北方水滸」の帝よりは遥かにマシですから(苦笑)。
さて、上巻からもそこそこ描きこまれていた楊業さんの四男、六男、七男は宋遼戦を生き延び(もっとも四男は虜囚となったきり行方不明だけど)、そのまま次の作品「血涙」に突入するようです。 こういう作りの物語だとやっぱり続編は素通りできないと読者に思わせるあたり、北方謙三さん、実に商売上手です(笑)
さて、この物語を読んでみて KiKi が一番感じたこと。 それはこういう混沌の時代であればあるほど「男という生き物は『意味ある死』を目指すものなのか?!」ということでした。
戦後の平和教育にどっぷりつかって育った、まして♀である KiKi にしてみると「生きているだけでも崇高」、「生き続けることこそ大切」、「命あっての物種」みたいな考え方が基軸にあるんだけど、やっぱり武家に生きる男となるとそんな平和ボケみたいな考え方はその思想の根底にはなさそうな雰囲気です。
もちろん現代社会みたいに医学が発達しているわけでもない(それでも宋代は医学の進歩があったらしいけど)、戦も多く死が身近ということもその背景にはあるんだろうけれど、どこかに「良く生きること、即ち意味ある死を迎えること」というような哲学を KiKi が想像する以上に強く、堅く持っているように感じられました。
「どちらか死んでくれ」 「はい」
「延平、お前には死んでもらうことになる」 「光栄です」
そんなセリフで戦場に散っていく男たちの姿は、物語として読めば美しさのようなものも感じないわけではないけれど、やはり哀しい・・・・・・・。
武門というのはそういうものだと言ってしまえばそれまでだけど、「死を美化する」ことにはどこか抵抗を感じる KiKi には
本当にいいのか? それで??
という想いが付き纏います。 そんな KiKi の甘っちょろい感覚を見事に吹き飛ばしてくれたのは、楊家軍の好敵手・遼国の名将・耶律休哥の以下の独白でした。
殺したくなかった。 あの場で、なぜかそう思った。 戦は、殺し合いだけではない。 勝負がついたら、闘った者同士で酒を酌み交わすことはできないのか。 (中略) 北平寨の将(楊業の四男)は、まさに酒を酌み交わしてみたい男だった。 楊業とも、その息子たちとも、力の限り闘ったあと、酒を酌み交わしたい。 男は、それでいいではないか。
なるほど、♂というのはそういうモンですか?? だからそれでいいんですか??
こういう時代に生まれたわけではなく、まして部門の誉れの高い家に育ったわけでもなく、さらに言えば♀である KiKi にはよくわからない感性ではあるけれど、何となくこの一文のおかげでこの物語を「単なる滅びの美学の物語」とはちょっと別次元のオハナシに誘ってもらった・・・・そんな不思議な読後感になっているような気がします。
Posted by ブクログ
北方さんは戦いで死んでいく男たちを描かせるとすごいです。
楊業だけでなく息子たちもみんなすごい!
だから楊家将なんですねえ~
感動ものでした。当然「血涙」に進みます。
Posted by ブクログ
「すべての存在を懸けて、闘うのです。」
自らの矜持のために闘うことを貫いた漢たちの物語、後編。
闘いの中で散っていく者たちは、何を守ろうとしていたか。
多かれ少なかれ、誰しもが、無意識に守りたいと感じる心の安定。
その心の安定をどこに置くか、が
人としての器の差だと感じさせられる。
自分の力で得た仲間、地位、守るべき人がいるものは、
与えられて地位を得た人間とは、とる選択が異なる。
心の安定や、自らが力を発揮する動機が大きく異なる。
自らの矜持か、それとも小さな殻や城を守るための怯懦か。
命が、存在が懸っているその瞬間の選択こそが、
自分が何者かを決める。
散ることを選択したことは、決して逃げでもなければ
儚いものでもない。
猛々しく、人の脳裏にその姿を焼き付けるような
選択であれば、そしてそこに矜持を見出すことができれば、
何も怖いものなんてない―。
矜持の先にある死か、
怯懦の先にある生か。
日常生活の中から、怯懦を排していけるよう
日々の選択を見つめ直そうと思った。
Posted by ブクログ
戦闘シーンがほとんど、つまりはそれだけの楊家将。
ただ、その戦闘シーンが臨場感満点で非常に面白かった。文の国、宋が遼、金、モンゴルと立て続けに戦うのは運命だったと思うが、まがりなりにも300年続いたのは、楊業や岳飛などの悲運の武将が存在したからなのだろう。続きの血涙も早速注文しよう。
Posted by ブクログ
楊家の武人たちが、政局の思惑が入り乱れる中にあっても、武人としての誇りを最後の最後まで貫き通す。物語にはつきものであろう「愚将」との対比効果もあるんだろうけど、その凛とした生き様がとにかく格好良い。読み終えた後には、なんとなく背筋がシャンと伸びるような一冊。爽やかな読後感が欲しい人にお勧め。続編も読んでみたいな。
Posted by ブクログ
やっと読破。楊家の男達はみんな熱かった。男の死に様はやっぱあんな風にあるべきやよな。
それに比べて潘仁美のクソっぷりはないな。ああはなりたくはない。
男は黙って前進あるのみ!
Posted by ブクログ
10世紀後半、北漢に仕えながらも、併合されたために、宋の将軍となった楊業とその息子たちの活躍と悲劇を描く。北方謙三は「君よ、憤怒の河を渡れ」といったハードボイルドものは読んだことがあるが、歴史小説を読むのは初めて。なるほど、いわゆる「漢」が男らしく描かれている。特に楊業の人物設定は素晴らしく、武人として、父親として、あるいは人間としての葛藤が手に取るようにわかる。また、各兄弟の位置づけもよい。小説が描くのは、主に燕雲十六州をめぐる宋と遼の紛争。敵方である契丹蕭太后の厳格さ、一度は左遷された耶律休哥のかっこよさもよい。続編が気になる。
今回はiPhone版のキンドルで読んだが、ブックマーク機能があるとはいえ、地図にページにいちいち戻るのは少々面倒くさい。地図や図が多い図書は紙のほうがよいか?
Posted by ブクログ
同じ著者の「三国志」全13巻、「水滸伝」全19巻、「楊令伝」全15巻を読んだ後だったので、あっという間に読み終えた。著者にとっては、水滸伝を書くためのウォーミングアップに当たる作品だったようだ。
それだけに、水滸伝に通じるおもしろさがすでにここにあるように思った。
楊業という人物は実際に強い武将で、遼との戦いにおいて息子たちとともに奮戦した。しかし戦場で讒言にあい、圧倒的な不利な状況にも関わらず出撃し、大敗して敵に捕縛され、最後は食を断って死んだという。
作品の結末は史実とは若干違うが、実在の人物に関する史実を下敷きに、武人の戦いとその生き様を描いた作品として、北方謙三のこの著書も読み応えがあった。
Posted by ブクログ
戦でのかけひきや、めまぐるしく変わる戦況への記述が多く、戦の様子を臨場感たっぷりに表現している。
楊業の武人っぷりは上巻に続き変わらず。子供達は成長し、楊家の武人らしく戦に臨んでいる。
また、楊家以外の登場人物の多くも生き生きと描かれ、作者の愛情が殆どの人物に込められているように思える。
未解決の話があったが、それは『血涙』に続くらしい。
良い話だったが、個人的には男くささがやや濃すぎる気がする。
作者は、元々、こういう雰囲気の話を書く人だとは思うけれど。
Posted by ブクログ
小宮一慶さん推薦シリーズのひとつ。
私は三国志も水滸伝も読んだことがないので(三国志のマンガは読みました)比較のしようがありませんが、この作品はスケールの大きさと登場人物の魅力、という点では面白かったです。
私はヤリツキュウカ推し、です。
Posted by ブクログ
漢民族は漢、唐時代はつよかったが、宋時代からよわくなり、異民族に苦しめられる。宋が北漢を併合し、遼と激突する。遼は北京周辺の中原を占拠し、更なる南下を目指す。北方遊牧民族の血が流れる楊一族の騎馬軍団が、宋の帝の命を受け中国統一に一族の命をかける。上下巻で楊家は大きな痛手をこうむることになるのだ。その後の楊家の活躍は続編『血涙』に書かれている。ぜひ読んでみたい。