北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレまずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
天貴の星: 小旋風・柴進
地雄の星: 井木犴・郝思文
地壮の星: 母夜叉・孫二娘
地数の星: 小尉遅・孫新
天牢の星: 病関索・楊雄
地陰の星: 母大虫・顧大嫂
大戦直後、しかも回復の時を稼ぐための「講和」を模索している真っ只中のお話ということで、表面的には梁山泊 vs. 官軍のお話はちょっとなりをひそめた1巻だったと思います。 こういう時に発生するのは当然のことながら裏工作のお話・・・・となるわけで、晁蓋を暗殺した史文恭が再登場。 隠居生活を送っていたような老人(しかも健康食品やらジム通いで若さを保つ余裕がある現 -
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ネタバレまずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
天英の星: 小李広・花栄
地煞の星: 鎮三山・黄信
地遂の星: 通臂猿・侯健
天損の星: 浪裏白跳・張順
地察の星: 青眼虎・李雲
地奇の星: 聖水将・単廷珪
前巻から引き続き梁山泊は官軍と総力戦を繰り広げています。 ここまで「やる気的」にも「実力的」にも散々の描かれ方をしてきた官軍ですが、やっぱり正規軍には正規軍の強みがありました。 相変わらず「やる気的」には梁山泊軍の方に歩があるとは言え、物量的にも人材的にも豊富な補給を受けられるうえに、少なくとも上に立つ将軍たちの質がこれまでとは雲泥の差に変貌を遂げている官軍 -
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『楊家将』続編。上下巻。
宋建国の英雄・楊業が味方の裏切りにより悲運の死を遂げて2年。
生き残った楊六郎延昭と楊七郎延嗣の兄弟は、楊家軍を再興し再び遼と対峙する。
倒すべき宿敵は遼随一の名将“白き狼”耶律休哥。
彼の下には記憶を失った元宋軍の将・石幻果がいた。
宋と遼、2つの国に生きる漢たちの宿命が戦場に交錯する―
というわけで熱き北方節炸裂の本作が待望の文庫化。
前作『楊家将』では楊業を中心とした楊一族の生き様が描かれていたけれど、この『血涙』で描かれるのは苦悩し、自ら道を選んで生き、そして死んでゆく人間。
心身を引き裂かれるほどの悲劇を背負った石幻果、戦のみに生きてきた耶律休哥に生じ -
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ネタバレまずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
天剣の星: 立地太歳・阮小二
地祐の星: 賽仁貴・郭盛
地僻の星: 打虎将・李忠
地飛の星: 八臂哪吒・項充
地退の星: 翻江蜃・童猛
前巻の Review で KiKi は
お互いの「譲れないもの」と「国家のありようはこうあるべき」というビジョンを賭けての全面戦争の空気を漂わせて13巻へ進みます。
と書いたわけだけど、とうとうこの巻に至って官軍 vs. 梁山泊の戦いはほぼ全面戦争の様相を呈してきました。 数で劣る梁山泊側にとってみれば「全軍挙げての戦い」はこれが初めてではないけれど、官軍側が多面的に動き始めた最 -
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前半の梁山泊と青蓮寺(宋)の本気の戦いがかなり読みごたえがあります。梁山泊が力を削られながらもじわじわと盛り返して大きくなろうとしている一方、青蓮寺のメンバーも頼もしい人員を増やし頭を使いに使って梁山泊を潰しにきている、双頭山攻めはそんな戦でした。戦があれば、また死んでいく人がいる。朱仝が、双頭山を守るため、梁山泊を守るために死んでいながらも戦いぬき、最後林沖に先に死ぬことを詫びて息絶える場面に涙があふれました。同時にかっこよすぎて震えました。
宋江パパを守りに行き、宋江パパとひとときを過ごす武松とりきの三人の話もじーんとするいい話でした。りきは本当に純粋で正しいから、りきに泣かれてしまった -
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ネタバレまずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
地威の星: 百勝将・韓滔
地軸の星: 轟天雷・凌振
天祐の星: 金鎗手・徐寧
地英の星: 天目将・彭玘
地刑の星: 菜園子・張青
ここまで官軍相手の戦では大きな兵力差をものともせず、連戦連勝を続けてきた梁山泊。 いくら民間伝承をベースにした物語とは言え、さらには官軍が情けない状態であることに助けられていたとは言え、やはりここいらで官軍サイドにも発奮していただかないと、物語に深みっていうモンが出てきません。 青蓮寺という好敵手がいる・・・・・と言えども、あちらは言ってみれば諜報機関 & 特殊部隊。 やっぱり -
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ネタバレまずは恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
天暴の星: 両頭蛇・解珍
地異の星: 白面郎君・鄭天寿
天富の星: 撲天鵰・李応
地悪の星: 没面目・焦挺
地勇の星: 病尉遅・孫立
この巻の白眉は何と言っても「祝家荘の戦い」なわけだけど、実は KiKi の印象に一番残ったのはその梁山泊にとって死ぬか生きるかというような戦いが始まる前に、戦ではなく言ってみれば事故で命を落とした豪傑のお話でした。 彼の名は鄭天寿。 この北方水滸では長きに亘って清風山に籠り「闇の塩の道」を守り続けた1人でした。 その清風山の皆さんの活躍はここまでさほど語られることもなく、「厳しい戦 -
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ビックリするほど恋愛巻でした。
林冲が亡くなっていたはずの奥さんが敵中に囚われているという噂に、罠かもしれないと知りつつ突っ込んだり、独竜岡との戦で現れた「海棠の花」と賞される扈三娘に、青蓮寺の軍師である聞煥章、飛竜軍の王英が心を奪われ、たおやかで芯の強い公淑と秦明の間に育った想いと、密かに彼女を思っていた宋江。
こんなにも女性がクローズアップされていた回はないなぁと思う。
扈三娘は結構好き。
最初は我儘娘だと思っていたけれど、結構頭のいい人。
出来るなら、その鼻っ柱を折った林冲に惹かれ、ごいごい押して行って、彼の決して癒せぬ疵は持ったままでも、新しいひとりの女性として立ってくれたらなぁと思 -
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ネタバレではまず恒例の各章のサブタイトルとその星が表す豪傑の名前の列挙からです。
地進の星: 出洞蛟・童威
地闘の星: 火眼狻猊・鄧飛
地会の星: 神算子・蒋敬
地空の星: 小覇王・周通
さて、ここまでの巻では梁山泊に集う(必ずしも梁山泊に籠ったわけではないけれど ^^;)豪傑たちはひたすら増える一方だったけれど、この巻ではとうとう亡くなる方が出てきてしまいました。 著者はどこかのインタビューか何かで「俺の水滸伝では人が死ぬんだよ」と仰ったらしいのですが、それにしても早いですねぇ。
確かに官軍と戦いながらも同志がひたすら増える一方で108人が梁山泊に勢揃いという原典のプロットではあまりにも -
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いろんな意味で心臓が上下した巻だった。
梁山泊初めての全軍闘争。
しかも攻めるしかない戦いに追い込まれる形での。
犠牲は多く、今まで「この人ここで死ぬかーっ!」と思いながらも、それなりの見せ場を持って死んでいった人たちが、戦の中で語られる形で死んでいく。
悼むことすら既に過去でしかない形。
その中で振り返ろうとせず今を見つめ続けていこうとする。
楊令にまたひとつ背負うべき死が増えて。
テレビの特集で北方氏の話を聞いていたから、この後どうなるかは知っていても、やっぱりこれ以上背負わせないでくれという思いは強かったんだけど。
それらも結構しんどかったのに、何故今ここで、と思うような林冲の心を揺 -
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古本で購入。
北方節溢れる熱い作品。上下巻。
舞台は宋と遼が対峙する10世紀後半の中国。
主人公は武人“楊無敵”楊業とその7人の息子たち。
物語は楊業が元々仕えていた北漢へ宋が侵攻、楊業率いる楊家軍がそれを迎え撃つところから始まります。
その後の宋への帰順、宋帝との信頼関係、息子たちの成長、やがて始まる遼との決戦、立ちはだかる遼の名将・耶律休哥…
あとはもう読んで!おもしろいから!
「中国では三国志よりも人気の高い作品」とのことだけど、これだけの物語がこれまでほとんど知られていなかったっていうのは、不思議だな。
この北方版楊家将は、北方謙三お得意のオリジナル要素満載なわ