あらすじ
曹真を大将軍とする三十万の魏軍の進攻に対し、諸葛亮孔明率いる蜀軍は、南鄭で迎撃の構えをとる。緒戦を制した蜀軍だったが、止むことのない長雨に両軍撤退を余儀なくされる。蜀の存亡を賭ける孔明に対し、長安を死守すべく魏の運命を背負う司馬懿。そして、時代を生き抜いた馬超、爰京は戦いの果てに何を思うか……。壮大な叙事詩の幕が降りる。傑作「北方版・三国志」新装版、堂々の完結。
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Posted by ブクログ
ようやっと最終巻までたどり着きました。
呂布亡き後の後半を、ワクワクすることなく、淡々と読み進めてきて思ったこと。
国を興すのは英雄でも、国を作っているのは名もなき庶民なんだな。
英雄は一代で終わるけど、名もなき庶民はずっとそこに居つづける。
作者が書きたかったのは英雄たちの戦いぶりなんだろうけれど、三国志とあらば国づくりも書かねばならない。
でも『水滸伝』の時のように、梁山泊のシステムを築き上げたようには、三国の国の姿を描けていたとは思えなかった。
特に呉は、周瑜亡き後の存在感がなさすぎる。
戦ではなくて暗殺で勝ちに行くし。
蜀こそが、国づくりにページを割けるポジションにあったと思うんだけど、孔明は劉備の遺志を継ぐことが最優先で、寝る間も惜しんで働いているとは書いているけど、具体的に何をしているかは見えてこない。
あんまり孔明のこと好きじゃなかったんかなあ。
馬謖といい、李厳といい、信じて任せた者に裏切られて負けを喫するわけだけど、自分でも「人を見る目がないのかもしれない」と反省してたし。
でもつまり、悪いのは自分の作戦ではなく、見る目がなくて間違えた人選で作戦を遂行してしまったことだと思ってるってことで、あんまり感じよくないよね。
しかも、五丈原でナレ死。
生ける仲達は走ったかもわからない。書いてないからな。
最後は三国志の英雄たちとかかわりながらも巻き込まれることなく己の道を進んだ馬超と爰京のシーンで、この先の未来を馬超の息子世代に託すような終わり方。
今まで読んだ『三国志』の中で、一番英雄を書くのが上手い北方謙三が、一番英雄を書かなかった。
ということをあらかじめ分かっていれば、もう少し違う読み方ができたかもしれない。
英雄を期待しちゃったんだよなあ。
呂布はかっこよかったし。
『三国志』初心者は、やっぱり吉川英治からスタートすればいいと思います。
フィクションであるけれども、無理のない範囲で史実には沿っているし、キャラ立ちしているし、有名エピソードを抑えているし。
そこから少し史実を知りたいと思ったら宮城谷昌光の『三国志』を読むべし。
いや、北方謙三の中国物が読みたいんだよ、というのであれば『水滸伝』が面白いです。
しかし、『楊令伝』『岳飛伝』と続くうちにやっぱりちょっと…。
楊令抜きの『楊令伝』は、面白いと思うんだけどね。(あくまで個人の感想です)