あらすじ
終戦直後。母親を病気で失い、父親が復員してこない良文は、盗みを繰り返しているうちに、浮浪児狩りに捕まる。だが、収容施設で親友の幸太と再会、二人は収容所を脱走して、飢えをしのぎながら、厳重に守られた防空壕の隠匿物資を強奪しようとする。食うや食わずの生活。多くを大人に搾取されながら、盗んだ洋酒や煙草を闇市で売りさばいて命を繋ぐ。望まぬ早熟。仲間の裏切り。闇。魂を毀されるような暴力を見せつけられ、良文の中に獣が生まれた。老いぼれ犬と呼ばれた高樹良文刑事の眩い刹那を描くシリーズ第一弾。
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Posted by ブクログ
13歳の戦争孤児が徒党を組み、終戦直後の東京を生き延びる話。混沌の時代であり、食べることにおいて大人も子供も関係なく皆必死だった。奪い、騙し、騙されが日常となっており、大人を信じるといった概念そのものが無い時代だった。ハッピーエンドがいかにフィクションなのか、そして非人道的な出来事が毎日のように行われており、平和であること自体の価値を再認識させられた。
Posted by ブクログ
戦後すぐの東京の様子、
特に闇市の描写がリアル、時にツラい。
短文で綴られる北方先生の文体が好きすぎるな。
登場人物それぞれが自分の中に正義を持っていて、
『子どもだから』の理不尽さと葛藤しながら成長する。
13歳にして自由の尊さを知っている良文の言葉にハッとした。
和也のシーンは、電車で読んでて号泣してしまった。
北方水滸伝の李逵が死ぬ場面を読んでいる自分を思い出した。
思ってもみなかったラストだった。
Posted by ブクログ
人生で初めて北方謙三先生の本を読みました。これが世に言う北方ハードボイルドなんですね!
早くお会いしたかったの一言です!また、売れている理由が良くわかりました!
人生の生き方を考えさせられ、また教えられた本でした。感謝!
良文がこの後高樹警部となって活躍する姿も早く読みたいです!
Posted by ブクログ
読む順番を間違えたーーー!!笑
老犬シリーズ1ってあるから、これが第1作目かと思ったら、すでにある別の作品の過去編だった笑
とはいえ、面白かった。
さすがのハードボイルド。
男の物語。
終戦直後という、たった13歳の少年たちが彼ら自身の力だけで生きていくには過酷すぎる時代。そんな中にあって、仲間と自由を守る立派な男になっていく物語。
ほんまにこんな時代があったんやろうなぁと思うと、現代の恵まれ過ぎている環境に、危機感を覚える。
次は、シリーズ2の前に、本編を読んでみようと思う!