小路幸也のレビュー一覧
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東京の下町の、親子4代で生活する老舗の古本屋、東京バンドワゴンの住人と、その周辺で起こるあれこれを、冬、春、夏、秋の4つのストーリーで綴る。
東京バンドワゴンに、『古事類苑』60冊揃を、近所に住む大学院生が持ち込んだ。珍品で揃いともなると相当な額になるため、10万円で買い取った。しかし、その中にページがくり抜かれた箇所があることがわかり…。
一応、一般小説の類にはなるのだが、プロローグから説明のある通り、ト書き部分が全て亡くなった祖母秋実の幽霊が覗き見して、一人称で語るという形は、ワタシの中での"ライトノベル"の定義に合致する作品である。また、購入してからわかったのだが、4~5巻のシリーズになっていて、その2冊目だったことや、キャラクターと会話を主とするにあたって、説明が足りないところなど、ライトノベルの特徴を複数踏襲した作品である。
冒頭の作では、くり抜かれた百科事典の謎と、古本カフェに置き去りにされた赤ちゃんの交差する点を探したり、次の作品は藤島さんの謎など、主眼しっかりとした作風であるのだが、いかんせん講談口調の説明文が、余計だったり足りなかったりという部分が気になる。
講談口調でラジオドラマなんていう形を取ろうとしているのだろう。しかし、大事な情報がページの隅に、一言さらっと書かれていて、次のページの終わりくらいで「むむむ?」となって見直すと、ちゃんと有りました、なんていう文章では、聞いている人もよくわからないのではないか。
せっかくだから、1作目は買うとして、全巻揃えるかどうかはまた別の話、だな。 -
Posted by ブクログ
小路幸也さんの作品らしい、ほっこり温かいお話でした。
両親が事故で急死し、子供達が遺された話っていうのは、そこから運命が狂ったように重たい展開になる場合が多いけど、この作品は、遺された3兄弟が両親の死から始まり、今まで隠されてきた母と祖母の関係やダークな祖父の事、父が秘密にしていた事が発覚するなど、本来なら『不幸』ととらえてしまいそうな事を冷静に受け入れ、なんてないように 前向きに楽しく仲良く生活していく物語。だから読んでいるのも楽しいです。
一見上手く行き過ぎているように思うけど、それがいいんだって思える物語!「不幸」ととるか「不運」ととらえるかって所が面白くもありなるほどって思えるお話。もちろんこの3兄弟は両親を失くした状況を不幸とは思わない。なんでも不幸だなんて思わないで、明るく生きていこうっていうお手本となるような物語かな。実際、自分が似たような状況になったとき、果たしてそう思えるかどうか自信はないけれど・・・
ともあれ、登場人物がみんないい人達なので、読んでいて気持ちがいい、笑顔でいられる作品です。 -
Posted by ブクログ
中田永一(乙一)の作品が収録されていること、そして本にまつわる話のアンソロジーということで購入。
しかし、朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」と沢木まひろ「時田風音の受難」以外はすべて『ダ・ヴィンチ』に掲載されたものだった。
『ダ・ヴィンチ』に掲載される作品は結構クセがあるので苦手だ。
案の定、この短編集も特徴的というか・・・。
中田永一「メアリー・スーを殺して」
おもしろかった。しかし、終盤にかけておもしろさが加速していくような他の乙一の作品と比べると、ややしりすぼみしている。
あと、主人公の内面の話だと思ってたら外に向き始めたことにもやや違和感があった。
「メアリー・スー」という理想像は、完全になくしてもいけないのだろうな。
宮下奈都「旅立ちの日に」
手紙に書かれた物語と、父からの本当のメッセージの間に飛躍を感じる。
原田マハ「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
実話が元になっているようだが、小説としての見せ方が中途半端だ。
ノンフィクションとして書くか、もっと飾り付けるかすればいい。
小手鞠るい「ページの角の折れた本」
どうして「あなた」という語りかけ口調なのか。
ストーリーもなんだかよくわからなかったが、読み返す気にもならない。
主人公みたいな女の人がとにかく苦手。
朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」
夫が情けないのは確かだとは思うが、主人公がすべて正しいような描き方が気に食わない。
ラストの主人公にキレ方はスカッとしてよかった。
沢木まひろ「時田風音の受難」
おもしろい。
官能小説は読んだことがないが、こういう感じの文章なのだろうか。
主人公が女性編集者の百山に翻弄されるのと同じように、私も翻弄されていた。
なおかつ、そうやって振り回されるのが心地良いのもよくわかる。
小路幸也「ラバーズブック」
素敵な話だと思う。
しかし、アメリカっぽさを出しすぎで、押し付けがましい感じがする。
宮木あや子「校閲ガール」
校閲ってそんなところまで見てるのか、と勉強になった。
ただ、やはり苦手な女の人が出てくる。
全体的に、小説を読むというより、世間話を聞かされるような作品が多い。
なので、あまり心に残らない。
強い女の人ばかり出てくるのもひとつの特徴だと思う。
『ダ・ヴィンチ』が女性向けだからだろう。
掲載される作品は芸術ではなく商品であり、読んだ女性が快感を得られるようになっている。
芸能界や海外といったキラキラ感も重要視している。
そういう作品をうまく集めてくるのは、編集部が優秀でコンセプトが定まっているからだと思う。
ただ、やはり男性にはうけないだろう。
私が嫌悪感を抱いてしまうのも、器か小さいということ以上に、仕方ない面が大きいと思う。