あらすじ
20年前、兄が言ったんだ。「誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい――」。みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く<サクラバ>や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作。(講談社文庫)
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まずタイトルがヤバい。こういう切ないけれど美しいタイトルは大好きです。内容も古き良き日本という感じで哀愁がありつつも殺人事件が起こり続ける怖さが表裏一体で良い感じ。さすがメフィスト受賞作。
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物語の始まりは、主人公の息子のせりふ。みんなの顔がのっぺらぼうに見える、誰が誰だか分からない、そう言います。主人公はかつて同じせりふを口にした自分の兄に連絡をとり、理由を聞くことにしました。読者もその理由を知ろうとしているのに、兄が語る子ども時代の思い出に引き込まれます。謎が謎を呼び、重層的な物語が展開しながら、ついに理由が明らかに。その理由を知ったとき、来し方を意識するとともに、行く先を見据える勇気をもらいました。地に足をつけて生きて行こう、そう思える作品です。
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ある日、みんなの顔がのっぺらぼうに見えるという信じられないような少年とその少年の住む町で起きる事件を回想して綴られている作品。
昭和30年代頃の時代設定となっており、どこかノスタルジックな雰囲気を感じ取ることができるストーリや描写であった。
メフィスト賞受賞作品はほとんど読んだことがないのだが、噂通り普通じゃない作品だった。ホラー要素もありつつ、ミステリー要素もある、ジャンル分けが難しい作品だと感じた。20年間会っていない兄と再開した時にあんなに冷静にいられるのだろうか。20年も会っていなかったら、意外と冷静になれるものなのか。
最初の語り手の息子である人がのっぺらぼうに見えるという病?特性を持ってしまった彰くんのその先が気になるところであった。
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久しぶりの再読。
違い者(たがいもの)、解す者(げすもの)、稀人(まれびと)など、見かけは普通だがどこか常人とは異なる人々が共存している物語。ただ、解す者や稀人はともかく、昨今のニュースでも"違い者"と言いたいような犯罪は多くあるし、そう考えればごく普通の社会です。
やはり読んでいて、恩田さんの「常野物語」シリーズを思い出してしまいます。
小路さんのデビュー作。他に「高く遠く空へ歌ううた」も同じシリーズですが、それ以後は書いて無いようです。
もう少し、続きがあってもいいかな。
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09-049 2009/07/03 ☆☆☆☆
いきなりね「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」です。何とも衝撃的な出だしです。
舞台は昭和40年頃の大製紙会社の社宅ですから、どこかバンドワゴンに繋がるノスタルジックな雰囲気があります。でも話の内容は恩田さんの「常野物語」に似ています。
私は主人公とほぼ同じ時代を過ごして来ましたし、元々「スラン」のような軽いミュータント物は大好きでしたから、結構楽しく読めました。もっとも「東京バンドワゴン」の印象が深かったので少々面食らってしまいましたが。
メフィスト賞受賞作と言うことで、ミステリーとして読んで期待を裏切られた人も多いようですが、良く出来たファンタジーだと思います。
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帯に青春小説、とあったけど、けっこうホラー色もあって怖いところも。のっぺらぼうに見える理由に、もっと精神的なものがあるのかなぁととおもっていたら、結構異世界モノだった。雰囲気はいい本なので、一気に読んだ。
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完全に好みな作品!
ツボを突かれた感じだった。
古き良き昭和の背景を描かせたら小路幸也の右に出るものはいないと思う。
その時代に生きた少年たちの不思議な出来事がメインで描かれている。
その中に本格的なミステリー要素を取り入れる文才はハンパないと思った。さすがメフィスト受賞作!
面白かったぁ
タンカス山・イチャバ・ドグリバ・サクラバ・赤いノート・ボロ寮・・・ワクワクする用語がまだまだ出てきます。
これらが全て一つになる時事件の真相が明らかになる!
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不思議な感じ。相貌失認から題材を得た作品なのだろうけど、こういう展開を思いつくなんて、作家さんってすごいw スカッと爽快な読後感の作品は納得!という感じで好きだけど、こういう余韻を含んだ終わり方の作品も、わかりきれない魅力が残って好き。
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人の顔がのっぺらぼうに見えてしまう。一体なぜ?この本はその謎一つしかありません。
しかし、ものすごいリーダビリティ。やわらかい話し言葉でつづる奇妙な物語は謎解きへの渇望のみならず、古き日本の情景を読む人の心に浮かばせる。登場人物たちも現実にひょっこり現れてもおかしくないようなやつらばかり。
オチはともかくとして、こういったノスタルジックな小説は好きです。謎解きよりも空気を楽しむ小説だと思います。ちなみに謎は絶対解けないでしょう。
あとメフィスト賞受賞作は第一回の『すべてがFになる』の影響か、物語の最後で最強キャラがでてくる傾向がありますね。まあいいですけれども。
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なんて綺麗なタイトル、って思って購入。
買って正解でした。
読み始めて一気にその世界に引き込まれます。
小路さんの文は、特に地の文の語り口が流れるようで心地よいです。
読みやすい。それでいてリアルです。
さも自分の目の前で物語が繰り広げられているかのように伝わってくる。
最後の最後に、たぶん小路さんが暗示したかったであろう、ものすごい比喩が感じ取れて、いろんな人に読んでもらいたいと思いました。
ただのミステリーじゃないので。
でもまだ作品を消化しきれてないので、もう一回読もうかなと。読めば読むほど味が出てきそう。
東京バンドワゴンとは毛色が違って、でも小路さんの作風が滲み出ているとおもう。
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小路さんと同じ地元出身ということで読ませて頂きました。作品中に出てくるパルプ町が地元にあるのでリアリティを感じられました。また初めの「人の顔がのっぺらぼうに見える」という文章に心惹かれ、サクッと読み終えられたと思います
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2003年。第29回。
ファンタジー。他人の顔がのっぺらぼうに見えるという息子。そんなんことが起きれば連絡しろ、と何十年も会っていない兄に言われたことを思い出し連絡。兄すぐ到着。
パルプ町に住んでいた兄のことも時代が語られる。そこで起きた連続殺人、タガイモノ、マレビト。
ふわっと読める。
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人の顔が分からなくなる。のっぺらぼうという表現で表されるが、それは超能力と抱き合わせで保有される。
ミステリーだが謎解きがあるわけでもない。昭和の時代を思い起こさせてくれる小説。
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とある一族の小さな息子が、ある日、突然に周囲の人間の顔が「のっぺらぼう」になった、と。相貌失認の一種か。
父には、心当たりがあった。忽然と姿を消し、20年以上一度も会わなかった実兄が、その昔、周りに顔の見えなくなった人間がいたら知らせろ、と。
兄の過去の回想で、物語は進んで行く。
一人死に二人死に、突然死、自殺、事故死、自然死...
ミステリー要素だが、回想を駆け回るのは小学生たちの夏休みなので、どこか一種冒険譚的な要素もある。
幼少期の不思議な、また非科学的な体験を思い出す。
小路幸也氏のデビュー作。
日本の昔話などに通じるところが窺える。
突然の通り魔や狂乱する人間。それは魔がさすのだと。あっち側の人、こっち側の人。
それは、ある種取り憑かれたのだと。
善悪二元論ではない。
小学生の児童図書になっても良さそう一冊でした。児童図書って往々にして、人間の根幹に迫るものが多いね。
ネットなんかで匿名の誹謗中傷なども、本書で描かれる「違い者」なんだろうなー。
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人の顔がのっぺらぼうに見えるという話、子供の頃、私もそんなような経験があったから少しどきりとした。
表紙やタイトルから明るい、郷愁を感じるミステリーを想像していたので、まさかホラーのようなサイキックなような方向になるとは思わなくてちょっと頭がついていかなかった。
雰囲気は好きだけど、色々首を傾げざるえない場面が多かったような。
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昔の風景の中にホラー要素が含まれていて、光の帝国を思い出すようなファンタジー要素もあり、本当に最後の法にネタあかしになるので結局どうしたらいいのかと、正直兄さんの話長すぎて最初に出てきたひとたちの存在を忘れるほどでした。しかも打開策なしで続くのか考えてしまいます。引き込まれることは引き込まれるんですがもやっとします。
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メフィスト賞受賞作。
「いつかおまえの周りで、誰かが「のっぺらぼう」を見るようになったら呼んでほしい」と言い残して姿を消した兄。20年後、息子が「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出して、僕は兄と再会する。兄はむかし自分の周りで起こった事件について話し始めた…
ほとんどが兄の回想で占められるこの話は、昭和30〜40年代の閉鎖的な町で起こった怪事件の真相なのだが、けっこうホラーな出来事なのに回想であるからか郷愁ただようほんわかしたムードに溢れている。
メフィスト賞だからミステリかと思いきや、それよりはファンタジーというか青春小説的な感じ。着地点は少々唐突だと思うが、当時少年だった兄の目から見たそこに至るまでの紆余曲折には引き込まれた。
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小路さんの作品2冊目。
1冊目はダウンタウンでした。
ダウンタウンを読みおえたとき、恩田陸さんの「夜のピクニック」と雰囲気というか空気感が似ているなあと感じました。
「空を見上げる」はその恩田さん絶賛とのことで手にとりましたが、青春小説のダウンタウンとはまた違う雰囲気で、だけど恩田さんと共通するものがあって、恩田陸好きとしては満足のいく一冊でした。
人の顔がのっぺらぼうに見える という設定と聞くと、なんだか滑稽に感じてしまいましたが、とてもうまくまとめてあります。
でもなんだかタイトルがしっくりこなかった。
作品の中での鍵ではあるのだけれど、鍵としてもタイトルとしてもちょっと弱い気がしたのです。
そこがちょっと残念でした。
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小路幸也さんにはまっていて、まとめ買いした中の1冊。
デビュー作ということで、力入ってる感が。
あり得ないような話は苦手なんだけど、人物の弱さや存在感はリアルですんなり読めた。
でもなんか、悲しいし、なんも解決しないので⭐はみっつ。
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息子が「のっぺらぼうが見える」と言い出したことで、実兄から話を聞く。その実兄の語りが大半。
少々読みにくいのだけれど、話としてはまあ面白い。
ノスタルジックな雰囲気。
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小路幸也は初読だったのだけど、やはり東京バンドワゴンを先に読めば良かったなと思った。第29回メフィスト賞受賞作。
妙に難しいし、敢えてそうしているのだとしても説明が少なくストレスだった。不思議感は出ているが若干の気持ち悪さもあり、その気持ち悪さもいい感じではなく中途半端感が否めないかなと思った。デビュー作だから荒削りなんだろう、と思いバンドワゴン読もうと決意表明。最後あたり結構淡々と進められたが、前半中盤の密度に比べ収まりがあっさりしているなと感じた。
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行ったことも見たこともない光景なんだけど、懐かしい気持ちになった。うまいなあ~…場所の名前とか、行事とか、人の営みがいきいきと立ちのぼってくる。民俗学的風味も凄く効いている。
ただ、文章に「はず」が多くてちょっと目に付いた。それと、もうちょっと謎解きの部分にも詳細さ、それまでの状況を説明するような饒舌さが欲しいな~と思った。
例えはわかりやすかったんだけど、それまでが丁寧だっただけにもったいないような気がした。
でもなんだかんだいって大変面白かったです。
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「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言いはじめた息子。兄さんに会わなきゃ。姿を消す前、兄さんはもしそんな人が現れたら呼ぶようにと言っていた。そして兄が語るのっぺらぼうの謎とは。
個人的には「高く遠く空へ歌ううた」のほうが好きです。小路作品に共通するどこか懐かしい感じはここでも健在。ふわんとした雰囲気の物語です。
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とりあえずタイトルがステキ。
ストーリーは、「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」という
少し変わった設定からはじまり、
謎を含んだミステリーで引き込まれる。
語り口や雰囲気は好きな作品だけど、
ラストの謎(?)を知ると「えー・・」という感想。
伝えたいことはわかる気がするのだけど、
この小説にはもっとしっくりくる展開があってほしかった。
Posted by ブクログ
懐かしい昭和の風景がひろがっている中で展開される不思議な話。
ラストに謎が解けてくると展開がすごく早くなりそれまではなんとなくだらだらと進んでいたのが嘘のようでした。
Posted by ブクログ
昭和の懐かしさが読んでいて心地よい。みんなの顔がのっぺらぼうに見えるという深刻な状況と、比喩的表現ではあるが人間の善悪を語っているにもかかわらず、危機感や恐怖は襲ってこない不思議なストーリー。
Posted by ブクログ
小路さんの初めて読んだ本。
独特の物語の進め方が面白くて読みました。
ちょっとSFというかファンタジーっぽい。
でも昭和のノスタルジーが良いのである。