あらすじ
「楽園の話を、聞いてくれないか」そう言って、父さんは死んでしまった。残された僕たち、山(サン)、紫(ユカリ)、水(スイ)、明(メイ)は、それぞれ母親が違う兄妹弟。父さんの言う「楽園」の謎とは…。
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ほのぼのとしたラストで終わらせない兄妹達の宿命のようなところまでしっかり見せています。だからこそ、父の存在が重い作品です。こんな生き方ができたらほんとかっこいいと思い、羨ましくなります。
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父が目指した楽園とは何か。
子供たちは、父の遺したモーリス・マイナー・トラベラーで父の楽園を探す。
「サーさんとお母さんは、ぜんぜん似ていなかった」
の後の3行は蛇足だったかも。そこだけがちょっと残念。
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流石小路さんという感じ。
兄弟4人の絆と、そして父の偉大さを感じる。
不思議な異母兄弟の家族だけど
まっすぐ育ってきたのは、父がいてこそなんだろうな。
これからもみんなで楽園を築いていける
そんな前向きな気持ちになる。
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父子家庭で暮らす四人兄弟は全員母親が違い、かつ父と離婚しているというあまり例がない家族の話。
序盤で父親が急死してしまい、子供達はそれぞれの母親にその事を報告しに行く。言ってしまえばそれだけのストーリーなのですが、小路作品の特徴である全員が個性的かつ善人という描き方が爽やかです。
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繊細な人間関係の機微を書くのが上手い作家さん、という印象。映画で、台詞無しで表現される絶妙な間合いを言葉で表すのに長けている感覚。冒頭の、海辺の凧のシーンは風景と、複雑なものを内面に持ち合わせた2人の出会いと会話、という「画」が読みながら頭にクリアに浮かんで来た。
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ここんとこ小路作品にダレ感を感じてたのだけど、この作品はいい!
個性が描き分けられた登場人物。
悪者が一切いない
家族のきずなが美しい。
家族をとりまく人々が優しい
ロードノベル要素はあるけど、帰るところがある旅。
これら小路作品的な全部の要素を満たしつつ、しかもちょっと意外な謎解きまで味わえるなんて。
ほっこりしたい時、家族を想いたい時、心に隙間風が入ってきた時、この本は絶妙に効く良薬になるんじゃないかな。お風呂入って暖かいご飯食べて布団にもぐってこの本読んで寝ればそそけ立った心もほぐれるような気がする、まさに小路作品。
余談:紫ちゃんが思いの人と再会する場所に要注目です。おそらくあの場所だと思います(笑
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父親が亡くなった。四人の兄弟の夏のおはなし。
家族がテーマのお話です。キャラクターが魅力的。一般的な家庭とはすこし言い難いような特異な設定だけれども、とても家族としてまとまっている。
登場人物の関係性については「これかな?いや、こっちだろうか」と悶々と推理しながら読んでいたけど、半分当たって半分外れた感じ。
ラストは怒涛の種明かし展開。
人がひとり死んでいるけれども、悲しいばかりじゃなく、ひとの心の礎になるような、そんな贈り物も残してくれる。父親は偉大だ。そうであってほしい。
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全員お母さんの違う異母兄弟の四人が、
お父さんがなくなったのをきっかけにお母さんを訪ねる旅に出るお話。
最後の最後に驚かされるのと同時にお父さんの偉大さに感服しました!
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山・紫・水・明の兄妹は急に逝ってしまった父の事を離婚した母に知らせに行く。
ただ兄妹の母親は4人ともちがう。
一夏の旅により明らかになる家族の真実とは・・・・
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兄弟たちがそれぞれの母親に会いに行く様子を読みながら、兄弟たちも感じる違和感に、何かあるんだろうなと読み進めていったけれど、想像以上の結果でした。伏線も回収されていて、タイトルの意味も納得しました。ナモナキラクエン、作るには生半可な気持ちではできないラクエンなのではないか、このラクエンを作ろうとした父、志郎は、風変りでもすごい人なのだと思った。
ただ、母親たちはなぜ、この家族の家に来たんだろう?そして、はるかはなぜ山の頭の上に凧を落としたんだろう。最後までわからなかった。
『東京バンドワゴン』と家族の会話や関係は似ていたかな。異母兄弟や近所のみんなの仲の良さがいいな。この作家さんの書かれる家族の様子は読んでいて仲間に入りたくなる。
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仲のいい4人兄妹と父、母は4人とも違い、今はいない。それでも幸せだったのは父がいたから。では何故、父は4回も離婚し、それぞれの母は一度も会いに来ないのか・・・その辺の事情を想像しながら読んでいくと、最後に、そうだったのか~!と感動させてくれる。
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山、紫、水、明(長男;サン、長女;ユカリ、次男;スイ、次女;メイ)と名付けられた4人の異母兄弟をめぐる物語。
最近の小路さんには失望させられることも多く、さらに角川文庫と言うこともあって、あまり期待せずに読んだのが良かったのかもしれません。なかなか興味深い話でした。
ちょっとしたミステリー仕立てですが、兄弟の謎は結構早めに読み解けてしまいます。しかし、4人の兄弟やその恋人、保護者役になる父親の友人たちなど、その周りを彩る人達の優しさが心地良く。
気持ちよく読めました。
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湘南のとある家族の物語。
四人の子を持つ父親。だが、兄弟は皆母親が違う。一つ屋根の下。ある日、父は「楽園の話を聞いてくれないか」と、言い残し、旅立つ。
産むつもりではなかったのに産まれてしまった子、経済的理由で捨てられた子、虐待から逃れた子、望まれて産まれてこなかった子...
も、世の中にはいるわけです。
しかし、出生はなんであれ、育て上げられた環境がどんなに重要か。
赤ちゃんポストの意義と意味を反芻する。
賛否を問うのはそこなのか、と。
母になったあなたはどんな気持ちで、これを読み終えるのかな。
一冊を通して、実に爽やかで前向きな作品でした。家族ものを書かせたら、やはり小路幸也氏が今のところベストだな。
Posted by ブクログ
全員母親が違うという4人の兄弟の、少し変わったかたちの家族の物語。
ずっと育ててくれた父親が突然亡くなる。
そこから家族のかたちはどう変わっていくのか。
決して家族に依存しているわけじゃない。だけどそこには確かな絆がある。
ごく普通の平和な家庭でした。自分のことをちゃんと気にかけてくれている。可愛がってくれている。本当に感謝している。
「それでも、家を早く出たかった」
何かを目指すのならそれは自分の力で目指さなきゃならない。他人の助けをあてにする時点でそれはダメになっていく。
「一緒にいたくないんじゃない。だた、そこから一歩でも遠くへ行くことが、生きていくってことだと思ったんだ」