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亡くなった祖母から一本の鍵と“さくらの丘”を遺すという遺言書を受け取った満ちる。そこには、ともに少女時代を過ごした祖母の友人二人の孫も持ち主となるとあった。なぜ祖母たちはその土地を所有していたのか、どうして孫三人に譲ることにしたのか。その疑問を解くために、満ちるたちは“さくらの丘”へ。そしてそこで待っていたものは――。次世代に語り継ぎたい感動の物語。
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Posted by ブクログ
文章の柔らかさ、優しさがとても好みでした!そして、お話も優しかった! おばあちゃんが残した謎を解く、その明かされ具合も絶妙でした!交互に描かれる2人の語りで明らかになる、謎の組み立て方が心地よかった。 おばあちゃんの語りが、ただの答え合わせになるんじゃなくて、「あれ?現代とつじつまが合わないぞ、...続きを読むどういうことなんだ?」と更に謎が生まれるつくりになっています。もう少し読みたいところで、満ちるの語りに切り替わる。先におばあちゃんの語りで知っていた部分の秘密をほどいていくから「そうそう」って気持ちで見ていると、まだ語られていない謎が出てくる。どういうことだ?もっと読みたいと思ったところで、またおばあちゃんの語りに戻る..っていう感じ。 戦争直後のお話で、脱走兵に、村から追われたお嬢様に...緊迫しそうなのに、誰も悪い人はいなくて、こんな柔らかい話になるなんて、衝撃でした。
「さくら」の季節に因んで「さくら」が入った本を読んでみようと思いました。 柔らかい語り口調が物語全体をゆったりと穏やかな雰囲気にさせ、さくらの季節にぴったりな感じがする。 だけど、ちよっとミステリ要素もあって、「遺言書」と「謎の鍵」「秘密」を現代と戦後すぐの時代とで交互に語られ、「えー、ここでー!」...続きを読むってところで視点が切り替わり、1つの謎が解けるとまた次の謎か生まれるからページをめくる手が止まらない。過去の物語は童話のようで、現代の物語はミステリも楽しめて違った面白味があって良かった。 そして3人の祖母が素晴らしい。十代後半の頃、まだまだ大変な時代にもかかわらず、人を助け、思い遣り、秘密を守る強い決意と絆、あと英語もペラペラで洋服も自分で作ったり、女性は強いなぁ。 戦後すぐということもあって、戦争への憤りも感じられた。多くの登場人物が「戦争は大嫌いだ!」と言っているのと、戦争で死ぬと恩給が出るから、戦争で死んでしまった方が良かったと思う親がいるとか、家族が暮らしていく為に女の子は町に売られていくとか、これが本当にあったことなら何とも言えない気持ちになるのと、もう二度と戦争や同じあやまちをしてはいけない。 「戦争の犠牲になる女性や子供をこれ以上増やしたくないのです。」「女性が、子供達が笑っている平和な世界を望む。」本当にその通りだなと思った。 3人の孫娘が謎解きをする設定も良かったな、3人の祖母の若い頃を彷彿させるのと明るい性格が物語が華やかな感じになって。 あと、楓さんのキャラも良い味出てた、宝くじが当たって好きなことだけをして自由気ままに生きてく、羨ましいー。自分だったら何をするかな?考えたけどちょっと虚しくなってやめた。でも、これって戦争のときと比較して「平和になって自由な時代がきたんだよ」という意味かなとも思った。 全ての想いが「さくらの丘で」というタイトルにつまってるように感じる。 来年もさくらの花が見れるようにと願い、たくさんの蕾が今か今かと待っているように、明日への希望と強い絆、命の尊さがたくさんこもった、切ないけど心温まるとても良いお話。 裏表紙にも書いてあったけど、次世代に語り継ぎたいそんな1冊のうちの1つです。
わたしが生まれてから死ぬまでに経験する“人生の物語”は時の流れとともにいつかは風化してしまうかもしれない。 けど、わたしという人がいたっていう事実を遺すために、 今を大事に生きよう、必死にもがこう そんなことを考えさせられた一冊
さくらの丘を受け継ぐ話。 戦争で失ったものがたくさんある中で 残った人出会えた人が大切なんだ。 小路小説の温かい世界で生きたいです。
〈さくらの丘〉にある古い西洋館に秘められた過去が 戦後間もない頃の若き日の祖母たちと、 現在の三人の孫娘の話を交互にしながら紐解かれていく。 ~私ね 戦争、大っ嫌いなの~ 出てくる人々が優しい人ばかりなのは小路幸也らしい。 優しくも哀しい物語。
亡き祖母が遺した一本の鍵と、祖母が輝かしい時を過ごした西洋館。 孫娘に残された遺言。そこには、祖母の友人二人の孫にも遺されていた。 一体何故、土地を遺し、両親ではなく孫なのか。 ミステリ要素はあるものの、小路氏らしい優しさに溢れる。 戦後、時代に翻弄された人々。 日本人もアメリカ人も、国の為の名の...続きを読む下に。 戦争期の表現になると、事実、心荒むが、物語の展開上触れながらも、主にならないように運ぶ筆力は小路流。 命を生むことの尊さ、命を紡ぐことの尊さを柔らかく表した一冊でした。
亡くなったおばあさんから一本の鍵と“さくらの丘”を遺すという遺言書を受け取った主人公の満ちる。 同じくおばあさんの友人二人の孫も鍵を託されていた。 鍵を遺された3人が祖母たちの残した想いを紐解くために3人はさくらの丘へ…
小路幸也さんも大好きな作家さんの一人。 この本が16冊目。 無くなった祖母に”一本の鍵”と”さくらの丘の西洋館”を託された満ちる。 祖母と少女時代を共に過ごした友人二人も孫娘に同様の遺言を残していた。 満ちるたちは戦後の厳しい時代を生き抜いた祖母たちの足跡をたどることになり… 優しい文章のなかに...続きを読むも厳しい時代を感じる… さらさらと読みつつも、ふと考えさせられる… そんな本でした。
少しノスタルジックでハートフルという小路作品の既定要件の1つを満たしているものの、些かパワー不足。 いい話だけど期待値が高いだけに星4つは付かないか。
悪い話ではないのですが、物足りなさを感じます。 柔らかさ、温かさは如何にも小路さんらしく。しかし、それだけしか無いのが残念です。 小路さんにアクを求める訳では無りません。ただ、苦しみや悲しみを余りにサラリと曖昧にぼかし過ぎたために物語が弱くなっています。マイナスがあってこそプラスが映えるといった様な...続きを読む手法を取れば、もっと力強い話になったと思います。中学生位を読者に想定し、ネガティブは見せない、そんな感じで書かれているように見えるのです。
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小路幸也
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