小路幸也のレビュー一覧
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久しぶりのファンタジ小説.他のジャンルに比べファンタジはどうしても先に読者に世界観を理解させる必要があるので,ともすれば解説っぽくなってしまう.本作,よく練られた設定が目を引く.上橋菜穂子さんの獣の奏者に近いイメージ.まだ序章だからか刺激が少なく物足りなさを感じるもののスケールの大きさに期待大.
以下あらすじ(巻末より)
この世界の神は人と野獣とを分けて創ったが、稀に人から野獣に換身し二度と戻れない者もいる。ある日、ニィマールの兄と姉、婚約者が、人間の心を残したまま野獣に換身してしまう。だが誰も辿り着いたことのない果ての地に行けば、三人を人間に戻すことができると聞いた少年は、一縷の望みを胸に試 -
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メフィスト賞受賞作。
「いつかおまえの周りで、誰かが「のっぺらぼう」を見るようになったら呼んでほしい」と言い残して姿を消した兄。20年後、息子が「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出して、僕は兄と再会する。兄はむかし自分の周りで起こった事件について話し始めた…
ほとんどが兄の回想で占められるこの話は、昭和30〜40年代の閉鎖的な町で起こった怪事件の真相なのだが、けっこうホラーな出来事なのに回想であるからか郷愁ただようほんわかしたムードに溢れている。
メフィスト賞だからミステリかと思いきや、それよりはファンタジーというか青春小説的な感じ。着地点は少々唐突だと思うが、当時少年だった兄の目から -
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ネタバレ色んな事情で色んなところにくすぶってたミュージシャンたちが、とあるきっかけでとある場所でセッションする話。
こんなもん「おとぎ話」やと思えるぐらいに、出来すぎた話である。その出来すぎを楽しめるかどうかでこの本の評価は変わるのだろう。俺の場合は生じ作品だからという条件付で楽しめた。
勿論現実にこんな甘い話があるわきゃーないのだが、例えば、山の話をしているときに「おっ、こいつと山登ってみたらオモロそう」と思ったヤツと実際に山登ってみたら、相性があってスゲー楽しかった。
みたいな経験(音楽や山でなくてもなんでもいい)があれば、このおとぎ話に乗っかることができると思うのだ。