あらすじ
でも、僕らは探していたんだ。見えない未来を。この場所で――。夢、進路に、恋……、真剣に向き合ったあの日々が、いまの僕を支えてくれているんだ。1981年、札幌。喫茶店<D>でアルバイトをしている大学生・幸平のもとに、東京で働いているはずの姉が「しばらく泊めて」と突然、現れた。幸平は理由を聞き出せないまま、姉との暮らしを始める。一方、<D>では、オーナーと店長が「金と女」のことで衝突してしまう。そんな二人を見て、幸平たちは“ある行動”に出る。それは一人の女性を守るためだったが、姉の心にも影響を与え……。「東京バンドワゴン」シリーズで人気の著者による喫茶店に集う若者たちの苦悩と成長を描いた長編小説。
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Posted by ブクログ
心底悪い人が出てこない、小路先生の作品は、安心して読むことができる。
喫茶店Dでバイトするコーヘーの周囲には、素晴らしい仲間がたくさん。
甘酸っぱいばかりじゃなく、苦さもあるのが青春。
1980年代が舞台ということで、ちょっとノスタルジックな雰囲気もいい。
(ケータイなんて影も形もないのだ(笑))
Posted by ブクログ
自分が学生時代に札幌にいた頃を思い出した。札幌の町の名前や実在する飲食店が出てきて実際に作中の景色を想像しながら読み進めることができた。作品は人間それぞれの持ってる華やかだったりドロドロした人生観を考えさせられる。人間の汚いところを受容しながら大人へ成長していく過程が描かれている。
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素直に面白かった。味のあるいいメンバーたちと心を合わせて働くのは楽しいだろうな!こういう仲間は本当に宝だと思う。小路幸也さんの作品を読むと元気が出る。さあ、明日からまた仕事頑張ろう‼️
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小路さんの鉄板的なーね。
イケメン、美女、仲間、青春キラキラ✨
ちょっとだけダークさもあえて差し込み、
でもみんなハッピー!
前向き!
ありがとう!
Posted by ブクログ
地の文が語り手の話し言葉なところが小路さんっぽい。東京バンドワゴンシリーズ以外ほぼ読んだことがないが、小路作品にはLOVEが通底しているように感じる。札幌の喫茶店「D」で働くアルバイトたちがストライキしたり、不良少女?の夢を応援したりと、やっている事もほぼ堀田家と同じ。最後の方まで引っ張っておきながら、お姉ちゃんが帰って来た理由がありきたり過ぎて、最早どうでもよくなっていた。冒頭でさらっと明かしておけばいいのに。妙に喫煙者比率が高いが、80年代の若者は喫煙者がメジャーだったのかしら。
Posted by ブクログ
★ここでバイトしてるからなんだ。(p.233)
【感想】
・理想のバイト先を考えてみたらこうなった?
・いつものようにうまくいきすぎる展開。それでいいのだ。
【内容】
・小路幸也さんの小説にはだいたいなんらかのミッションが設定される。この作品でのミッションは(1)ヒロコの独立をてつだう。(2)快適なバイト先である「D」を内部のゴタゴタから守ろう。(3)姉さんが札幌に来たのはなんらかの逃避と思われるがそれは解決可能なのか?
【一行目】「コウヘイ!」
▼「D」についての簡単なメモ
【飯倉徳子/いいくら・のりこ】コウヘイの小学生の頃の同級生。ご近所だが疎遠になっていた。高校で自殺した。最後にたまたまではあったが会った知人がコウヘイだったかもしれなかった。
【インディアン】「D」の裏メニュー。カレースパゲティだがカレーピラフのスパゲティ版でミートソースをかけると旨いが単価が高くなるので均一価格のスパゲティでは正規にできず社員とバイト用の裏メニュー。
【ウィリー・ネルソン】「STARDUST」がコウヘイが眠る前に聴く曲。『花歌は歌う』でも父親がリクエストしています。著者が好きなのでしょう。ぼくもずっと以前に買ったまま忘れていたDVDに最近気がついてようやく聴いたばかりです。
【エアーズ】「D」から歩いて三分のバー。マスターのフミヤが好きなのでバーボンの品揃えがいい。
【エド】江戸川進(えどがわ・すすむ)。「D」のバイト。よく女の子に間違われるくらいかわいい。ミュージシャン志望。父親は自衛隊の人。
【岡本】「D」の店長。いつも優しくて気が利く人物だが榊と対等に話せる。
【梶本】ヒロコのボディガード。
【カナ】「D」の常連。いまはミッキーと付き合っている。
【カンジ】「D」のバイト。
【恭子】「D」の常連であり大学の先輩。あいさつ代わりにつむじのあたりをたたく。背が高い。コウヘイとは一度やっちゃった。コウヘイの姉と似ているところがある。
【交際】常連とバイトが付き合うことはよくあるが「別れるときはきれいに」が合言葉。お客さんを減らさないように。
【コウヘイ】主人公。早河幸平(はやかわ・こうへい)。大学生。「D」でバイトしてるのが楽しい。小説を書いて小さい賞を取ったことがある。《お前はなコウヘイ。自分じゃ気づいていないだろうが、ここのアルバイトの中でいちばんアナーキーな奴だ。》p.195
【コウヘイの姉】美枝(よしえ)。家を出て独立している。二十六歳。東京の商社で働いていたはずだがなぜかコウヘイの部屋に転がり込んできた。字が上手い。中学、高校では生徒会長だった。音楽が好きだった。中学高校では吹奏楽部だったとp.73では書かれているがp.30では部活やったことがないと書かれている。で、生徒会長だった(p.282)? 書き間違い? それとも姉が二、三人いる?
【コンタ】今田昭(こんた・あきら)。S大三年生。「D」のバイトの中で最も背が高い。野球部のエースとして甲子園直前まで行った。
【榊】「D」の社長。四つの喫茶店を経営している。「ドール」「ロード」「M」。圧が強い。人をみる目がある。
【サファイア】「D」と同じビルにある喫茶店。客層はかなり異なりおじさんおばさんが多い。場外馬券場の客もたくさん来ている。
【仕事】《誰にでもできる仕事をきちんとこなす人がいてこそ、とくべつな人たちがちゃんとできるって面があるのよ》p.243
【進藤可南子/しんどう・かなこ】「D」の事務員。二十二歳の女性。社長の遠い親戚。滝川の商業高校を出てからなので四年目。
【ソフト】「D」のカウンターでソフトドリンク全部と洗い物をする係。
【厨房】その名の通り「D」の厨房で料理を作る。ホールからはほとんど見えない。
【鶴貴/つるき】行きつけの蕎麦屋。
【D】喫茶店。コウヘイのバイト先。スペインのレストラン風なんだとか。メンバーは全員ホールも料理も大丈夫なように鍛えられるのは店長の方針。そして長続きさせる。今は八人でシフトを組んでいる。客層は高校生も含む若者たち。ここで働いているとモテるようになる。ナオキさんはバレンタインデーにチョコを九十八個もらっていた。コウヘイも一年目で十五個もらった。全員で二百個以上になるからチョコケーキなどを作ってお客さんにサービスする。
【ナオキ】「D」のバイトのエース。イタリアの俳優みたいなルックスでモテる。話術も上手くどんどん人の心の中に入ってきてしかも不快に感じさせない。M大四年生。ただし三回留年しており二十五歳。卒業して稚内の実家「宮下商店」を継ぐことを決めた。《俺に惚れない女なんていない。》p.231
【ヒロコ】三上博子。高校三年生。手足が長く瞳が大きく姿勢がいい。ずっとバレエしてたらしい。ナオキとは恋人? 大邸宅にほぼ一人で暮らしている。橋本巌原作の『パール・パール・パール』の映画化オーディションに挑戦したい。《たぶんヒロコちゃんは、はみ出したがっているんだよ》p.72
【ブチョウ】島村久司。「D」のバイト。M大三年生。中年のおじさんに見える。真面目で怒らせると怖い。《皆と一緒に仕事して、毎日過ごして、いろんなことに気づいて自分ってものはなんかちょっとわかった。》p.233
【帽子の親父】要注意客のひとり。店に来ている若い女性客の後を尾ける。特になにもしないのだが、ただ尾ける。
【冬美/ふゆみ】岡本の妻。榊との浮気が噂されてる。
【ミッキー】「D」のバイト。
【みよしの】行きつけの店。ギョウザ専門店? コウヘイはいつもギョウザカレーを食べる。「D」OBの西が働いている。
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札幌のとある喫茶店でアルバイトをする大学生達と若者たちの話。それぞれ将来を考えて大人になっていく。少し前の大学生はこんな感じだったのだろうな。
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喫茶店でアルバイトしている大学生と店に集う若者達の成長と苦悩をえがく。小路幸也さんの小説は、やはり安定していて素晴らしい。一気読みしました。
前のめりで突っ走っていけるというのは若者の特権なんだが、今の世の中、どうなんだろうと思います。
読みやすいが、詰めが甘い
読みやすく、理解しやすく2時間ほどでスラスラ読めましたが、全てがすんなり行き過ぎていて凪の海を行く二人乗りのボートでデートをしているような気分ですね。
唯一、内容に齟齬があるのが残念でした。
門限が6時で中学、高校と部活動をしていなかったはずの姉が、途中では、中学、高校とも吹奏楽部に入ってフルートを吹いていたことになっている。
ホンになる前に修正できる内容なのに、担当編集者は真面目に読んでいるのか疑問。
一気に興ざめしてしまいました。
Posted by ブクログ
札幌の‘D’という喫茶店でバイトをしている大学生のコウヘイと、その仲間たちの日々。小路幸也さんの小説には なんか物分かりが良い優しい人が多い。そんなとこが好き。
Posted by ブクログ
―1981年、札幌。喫茶店“D”でアルバイトをしている大学生・幸平のもとに、東京で働いているはずの姉が「しばらく泊めて」と突然、現れた。幸平は理由を聞き出せないまま、姉との暮らしを始める。一方、“D”では、オーナーと店長が「金と女」のことで衝突。そんな二人を見て、幸平たちは“ある行動”に出た。それは一人の女性を守るためだったが、姉の心にも影響を…。
Posted by ブクログ
でも、僕らは探していたんだ。見えない未来を。この場所で-。80年代初頭の札幌を舞台に、喫茶店でアルバイトをする大学生と店に集う若者たちの成長と苦悩を描いた長編小説。『文蔵』連載に加筆・修正して単行本化。
すんなりと読めました。
Posted by ブクログ
事件というか、出来事の真相については小路作品にしてはちょっとダークな印象。
でも出てくる大人たちが、仕事やそこに関わる若者について導いてくれる存在であり、真の悪意ある存在というものは出てこないところは、他作品とも共通して、ある意味安心して読める。
正直、現実で疲れてるときに、本読んでまで精神疲労やモヤッとした読後感持つのは嫌なので、その辺りは信用してます。今後がどういった傾向になるのかは判りませんが…。
Posted by ブクログ
1980年代の札幌が舞台。
喫茶店Dでバイトする大学生のコウヘイ。
バイト仲間と過ごす毎日の中で、
大人になるためのいろんな経験と思いを重ねる。
あの時代、ちょっとみんなに連絡するよ!ってなったとき、
ラインどころが携帯もない時代。
懐かしいなぁ。
コウヘイと仲間のような若者が、
あの頃、日本のいろんなところにいました。
私の育った街、神戸にも、もちろん。
確かに。
そして心の中身は、
きっと今の若者たちとも大きくは変わらないんじゃないだろうか。
街が大人にしてくれるって感じがよかった。
Posted by ブクログ
80年代、喫茶店「D」でバイトに励む大学生達の物語。
こういうバイトは楽しそうだなあ・・・と思いました
しかし作者の物語は美人しか出てこないな。笑。
Posted by ブクログ
物語の持つ雰囲気や文章、そして舞台が札幌ということも含めて、とても小路幸也さんらしい作品。
アルバイト先である喫茶店を舞台にした青春ものなのですが、大学時代のアルバイトのこととか思い出したりして、とても懐かしかったです。
こんな仲の良いバイト先、憧れちゃいますね♪
社会人でもなく、でもアルバイトながら責任を持って働く姿って、ホントこの時期特有な気がします。
小路幸也さんの作品でよくありがちな、まだ物語が続きそうな終わり方、好きです。
Posted by ブクログ
大学生って感じだなぁ。
なんかいいバイト先なんだね。
ここまでお客さんとの距離が近いのは、個人的にはニガテなので務められそうにはないのだけれどもね。異様に仲がいい。
歳の離れた姉と弟の関係ってのもいいな。