あらすじ
ろくでなしでも、世間は名優と呼んでくれる。役者とはそういう職業だ。山と海に囲まれた、とある町の古い日本家屋。かつてそこは、日本の映画界を支えてきた笠松市朗が、愛する家族と過ごした家だった。笠松の息子、俳優・園田準一、笠松の前妻であり女優だった園田睦子、そして人気俳優で、笠松の二番目の妻との間に生まれた岡本裕。岡本の恋人である、人気女優の二品真里。バラバラになっていた彼ら五人が笠松の家に集まった。彼らの葛藤と思いが交錯するドラマの幕がいま開く。みな役者という彼らが、ひとつ屋根の下展開していくドラマ。「ラプソディ・イン・ラブ」――監督、紺田がつけたタイトルだ。彼らの言葉は、台詞か、真実か……。「東京バンドワゴン」シリーズの著者が描く家族の肖像。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
銀幕の大スターで年老いた父、同じ時代に活躍し幻の大女優と言わしめた母、その子供にあたる異母兄弟と弟嫁、そして登場人物の5人皆が時代は違えど世に知れた名俳優、所以あって今はバラバラの三人と二人の縁者が集まり家族の映画を撮る。家族が家族を演じる物語は家族以上の絆を愛おしいほどに伝えてくれました。著者:小路幸也氏の作品の多くは家族の絆がテーマですが、また一味違った人間の絆を読ませていただきました。俳優の真骨頂と俳優の性の両方が登場人物の心理と共に仔細に描かれ主人公たちの俳優魂を垣間見るものでした。
読後感=演じることが真実の俳優魂に感服・・・・
Posted by ブクログ
破天荒な役者人生を送ってきた父の最期の映画を、全員が役者という家族が、昔住んでいた家で一緒に暮らして、家族映画を撮るというお話。それぞれが何か爆弾を持ちながら、演技と素を織り交ぜて生活する中で家族のカタチというものを考えるものでした。交代で語っていく形式で、優しい物語の中でもダレることなく先が早く読みたくなるような本でした!読み終わったあとの余韻が好きです。
Posted by ブクログ
一人の男の人を真ん中に広がる家族。
血縁や婚姻関係。それぞれに繋がる家族が一つの家族を演じるなかで、新しい家族の姿が見える。
映画を見ているような小説でした。
Posted by ブクログ
小路幸也さんが書く家族の関係が好きです。東京バンドワゴンはお父さんがロックミュージシャンという有名人で、他の家族は個性的ではありますが一般人です。この本は全員が一流実力派俳優という設定です。家族関係の映画撮影という特殊な環境下で、演技と素の間を揺れ動きながら家族に対する思い、自分自身が素直になることをとおして、愛情を確認する。良い話です。完全な家庭環境であったとはいえなくとも、家族という関係を築くことが出きるんですね。なんだか、元気が出てきます。不思議ですけど。
Posted by ブクログ
様々な形で家族の繫がりをテーマに描いていることが多いような著者ですが、この作品がとりあえずマイベスト!かも。
作中に漂う小津安二郎作品のような空気感とか大好き。
往年の名優、笠松市郎。
かつての妻で幻の大女優とされる四ノ宮睦子。
二人の息子で俳優の園田準一。
母違いで準一と親子程に年の違う次男で若手俳優の岡本裕。
裕の婚約者で新進の女優のニ品真里。
かつて市郎、睦子、準一が家族として暮らしていた家に1週間の間集い、その日常を映画に、市郎の遺作としてフィルムに納めるという企画にのった5人の、演技とも素ともつかない駆け引きのお話。
作中、準一が子供の頃、ご飯に牛乳をかけて食べていたということで皆で試すんですが、最近観たドラマでは野菜スティックに牛乳かけて食べてた。。。
Posted by ブクログ
名優の最後の映画の為に、その家族として側にいたかもしれない俳優達が自分自身という役を当てられて、一つの家族として過ごした映画の物語。頑張って一文でまとめようとしたけど、ややこしくてしょうがないです。でもこの人生の苦難を乗り越えた先にある温かくて静かな雰囲気がすごく好き。最後の別れのシーンの余韻も素晴らしいです。僕にとってはここ最近の小路さんの作品で一番です。
Posted by ブクログ
名優と世間に呼ばれた老優が人生の最後に選んだ作品はかって家族であった。
役者たちとのドキュメンタリーでもフィクションでもない不思議な家族の物語。古い日本家屋を舞台に淡々と繰り広げられるドラマはまるでモノクロームの古い日本映画を見てるような気分でした。
演技なのか素なのか?それぞれの登場人物がもつ静かな爆弾が物語により深みを与えてくれています。
小路さんならではなあったかな目線が優しい感動をくれる。
笠松市朗のキャラクターがなぜか「バンドワゴン」の我南人とだぶってみえました。装丁も素敵でしたが偶数シーンの英語タイトルは「What a wonderful world」をはじめ「I'm so glad I'm standing here today」「We're all alone」「Desperado」とすべてが往年の名曲タイトルなのがお洒落で読みながら頭の中でメロディーが流れてました。
Posted by ブクログ
死を間近に控えた名優、若くして女優を引退してその後離婚した元妻、父を恨みながらも同じ道に進んだ息子、名優に憧れて同じ道に進んだ後妻の息子とその婚約者という5人が絡む様子を映画として撮影するために集まった。まさに小路らしい一冊です。最後がちょっと端折りすぎて物足りないのは残念。もうちょっとつっこんで書いて欲しかった。
Posted by ブクログ
人生の最後まで撮影しようとするものなんだぁと、素朴に思った。そういう方が最後に行った言葉、役者として本望だろうな。さらっとは読めたが、入り込めなかった。
Posted by ブクログ
一本の映画を観終えたような、昔ながらのホームドラマを見守ったような読後感だった。お芝居ものはすきな筈だけれど、入り込めなかった。視点がころころ変わることも若干の落ち着かなさを感じてしまった。
Posted by ブクログ
読み始めたとき、いったい何の話なのか、わかりませんでした。家族の話だったんですね。もっと分かりやすく小説にすることもできたのでしょうが、こういう風にまとめたということでしょうか。
Posted by ブクログ
なんか不思議な展開でしたが、読み終わった時に、こういう映画の撮り方もあるんだろうな~ってちょいと思いました。
すべての登場人物がなんだか、すごい役者なんだろうな~って思いました。ほんとに映画化されるといいのになって思いました。
Posted by ブクログ
名優の最後の演技を、バラバラだった家族(全員俳優)を集めて、家族の映画を撮っている設定で進む。
卜書しかない台本に沿って、演技とも素ともつかない、演者の力量で(シャシンとして)コントロールされながら進む。
これって業というのかも。ドキュメンタリー的な撮影なのに、登場人物達は、俳優としての計算を捨てられないんだもの。
それにしても、作中の爆弾ってのが、このまんまじゃゴシップ映画だなあって感じ。まぁ祐くんが制作に関わっているなら大丈夫なんでしょ。と思うくらいにはこの家族に惹かれたけど。
Posted by ブクログ
俳優たちが、昔住んでいた家に集まり家族として演技する話。ややこしい設定で戸惑った。偉大な俳優だった父が死を間近にしたために取られた映画といいう設定。
言葉が一つの文の中で言い直される文が多いのも気になる。まどろっこしい。
Posted by ブクログ
日本が誇る名優・笠松市朗が、その残り少ない人生をフィルムに収めるべくやってきた古い日本家屋。
そこはかつて彼が愛する家族と暮らした家だった。
笠松の前妻だった女優・園田睦子、その息子の俳優・園田準一、二番目の妻との間に生まれた俳優・岡本裕、その恋人の女優・二品真里。
彼らが過ごす限られた日々の中、見えてきたもの、想い。
映画監督・紺田が撮る「ラプソディ・イン・ラブ」は、どういった作品に仕上がるのだろうか・・・。
なんだか恩田陸さんが書きそうな話ー。
小路さんがこういうの書くなんて意外だなぁ。
ひとつ屋根の下、複雑な人間関係が展開されていくのは「バンドワゴン」シリーズでもおなじみの設定。
なので安定した書きっぷりでしたね。
ただ笠松と睦子の過去とかの辺りはもうちょっと詳しく書いてほしかったな。
全体的によくできてる話なんだけれど、のめり込むストーリーではなく、それこそ映画を見ているような距離感を感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
うーん…映画を撮る設定にしなければならなかった話なのかなぁ。バンドワゴンのような大家族ものでは描けなかった何かがあったような気もしないけどなぁ。それに睦子さんと真理さんの爆弾が似通っててつまらなかった。女性の爆弾ってそんなもんなんでしょうかねぇ。
Posted by ブクログ
日本映画界の至宝とも呼ばれ、国際的にも名声の高い老俳優・笠松市朗が自身最後の出演作を撮りたいと言う、それも自分の元家族を集めた家族劇を。そして、そのタイトルは「ラプソディー・イン・ブルー」。フィクションながら、現在進行形で作られていく映画と言う設定の物語を、メイキング・ドラマのような手法で小説化した内容。冒頭に掲げられた、映画宣伝用ちらしに掲載された監督の言葉から始まり、まさに映画のシーン割を模した順番で、登場人物たちの台本に各々の内面の言葉が被せられる形式でストーリーが進められていく。特異なのは出演者たち。元妻の名女優と実の息子の中堅俳優、若手俳優で腹違いのその弟など、実の元家族なのだ。監督、カメラマンなどスタッフは一切登場せず。そして、監督からの出演者たちへの唯一の指示は、心の中に爆弾(秘密)を抱えて撮影に来ることだった。 老練な俳優も、天性の勘を生かそうとする若手俳優も、ドキュメントとともフィクションともつかぬこの映画の中で、相手のセリフ回しや仕草ひとつに意味を見出し、俳優としての駆け引きに真剣勝負をかけていく。名うての遊び人として多くの浮名を流してきた笠松一郎への元妻、そして捨てられた息子達の愛憎が演技にどう反映するのか? また、心に抱え込んでいる爆弾を誰がいつどこで投下するかが、この心理劇の見どころ。
Posted by ブクログ
ろくでなしでも、世間は名優と呼んでくれる。役者とはそういう職業だ。山と海に囲まれた、とある町の古い日本家屋。かつてそこは、日本の映画界を支えてきた笠松市朗が、愛する家族と過ごした家だった。笠松の息子、俳優・園田準一、笠松の前妻であり女優だった園田睦子、そして人気俳優で、笠松の二番目の妻との間に生まれた岡本裕。岡本の恋人である、人気女優の二品真里。バラバラになっていた彼ら五人が笠松の家に集まった。彼らの葛藤と思いが交錯するドラマの幕がいま開く。みな役者という彼らが、ひとつ屋根の下展開していくドラマ。「ラプソディ・イン・ラブ」——監督、紺田がつけたタイトルだ。彼らの言葉は、台詞か、真実か……。「東京バンドワゴン」シリーズの著者が描く家族の肖像。
Posted by ブクログ
人は、俳優でなくても、家族に嘘もつくし、演技もする、素の感情も隠したりもする、それは、きっと特別なことではないと思う。特別なのは、映画を撮るということをきっかけに、家族として一緒に過ごす時間を作れたこと。あえて作った家族だけの時間が、とてもかけがえのない時間になって優しく流れているような感覚だった。
家族にはいろんなあり方があるように思う。