小路幸也のレビュー一覧
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メフィスト賞受賞作。
「いつかおまえの周りで、誰かが「のっぺらぼう」を見るようになったら呼んでほしい」と言い残して姿を消した兄。20年後、息子が「みんなの顔がのっぺらぼうに見える」と言い出して、僕は兄と再会する。兄はむかし自分の周りで起こった事件について話し始めた…
ほとんどが兄の回想で占められるこの話は、昭和30〜40年代の閉鎖的な町で起こった怪事件の真相なのだが、けっこうホラーな出来事なのに回想であるからか郷愁ただようほんわかしたムードに溢れている。
メフィスト賞だからミステリかと思いきや、それよりはファンタジーというか青春小説的な感じ。着地点は少々唐突だと思うが、当時少年だった兄の目から見たそこに至るまでの紆余曲折には引き込まれた。 -
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タイトル通り、本にまつわる短編のアンソロジー。
中田永一の作品が読みたかったのと、他の作家が著作を読んだことのない名前ばかりだったので、新規開拓のため読みました。
表紙のイラストを見るに若い読者がターゲットかと思いましたが、話のキーとなる本は二次創作の同人誌から戦争に関わるものや官能小説まであり、全体として不思議な一冊。
お目当ての中田永一「メアリー・スーを殺して」に関しては、メアリースーという言葉は知っていましたので、オタク趣味で中高生の時分そういった部活に所属こそしなかったものの周囲に部員の友人がたくさんいた自分としては、なんかもう胃が痛かったです。創作活動は簡単なことじゃないぞという内容を十代でデビューした著者が書いたんだから、なんだかな、という感じ。あと乙一の描く女子は何故「実は美人」ばかりなんだろう。わざとやっているんだろうけど、メアリースーそのもの。男子は等身大に見えるキャラクターが多いのに。まさか、女の子は誰だって本当は可愛いのよ、という考えの持ち主なのか?男子の実態は女である私には想像するしかない部分も大きいので、等身大と感じるのが間違いなだけなのかもしれない。
他の作品に関しては、言葉選びや運びが面白かった小手鞠るい「ページの角の折れた本」、言い回しは好みではないが頭の中にはっきり風景の浮かぶ描写とストーリーが良かった小路幸也「ラバーズブック」、キャラクターが立っていて爽快な宮木あや子「校閲ガール」が気に入りました。それぞれ他の著作も読んでみようと思う。「校閲ガール」は連作短編集になる予定とあるので既に出ているのかな。 -
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本をテーマとしたアンソロジー。
それぞれ「本」「読書」に対するアプローチが様々なので、飽きずに楽しんで読みました。
中田永一「メアリー・スーを殺して」は、オタク趣味の少女が二次創作小説を書くようになるが、いわゆる『メアリー・スー』(ファンが二次創作の中に登場させた自己投影したキャラクターのこと)に悩まされ・・・という話。
小説を書くことで現実と向き合った結果、小説から離れてしまった少女が、世界を広げていったその先でまた小説と出会うという、本好きにはたまらない素敵なお話でした。
小路幸也「ラバーズ・ブック」はノスタルジックな雰囲気が印象的。
この世界観でもっと続きを読んでみたい。
宮下奈都「旅立ちの日に」は短いけれど好感の持てる話だったし、
原田マハ「砂に埋れたル・コルビュジェ」も整理されていない感情を
うまく表現している、センスが感じられるお話でした。
他の作品を読んでみたい作家が増えてしまうので、アンソロジーは困ります。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色んな事情で色んなところにくすぶってたミュージシャンたちが、とあるきっかけでとある場所でセッションする話。
こんなもん「おとぎ話」やと思えるぐらいに、出来すぎた話である。その出来すぎを楽しめるかどうかでこの本の評価は変わるのだろう。俺の場合は生じ作品だからという条件付で楽しめた。
勿論現実にこんな甘い話があるわきゃーないのだが、例えば、山の話をしているときに「おっ、こいつと山登ってみたらオモロそう」と思ったヤツと実際に山登ってみたら、相性があってスゲー楽しかった。
みたいな経験(音楽や山でなくてもなんでもいい)があれば、このおとぎ話に乗っかることができると思うのだ。