小路幸也のレビュー一覧
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商店街の日常に起きるほんの些細な不都合や困り事をかつて、世間を賑わした「怪盗セイント」が人知れず解決する。
商店街に住む人たちの中には何人かの「怪盗セイント」こと「セイさん」の仲間がいて、全員の行動の信念は「人を想い、人のために成すこと」。
その解決方法が、とても素敵で夢中になったこのシリーズ。
今回は二丁目の寫真館の若き経営者「重さん」と住み込みで働くフォトグラファー「樹里さん」
重さんも写真を撮ることは出来るが、彼の撮る写真には必ず何かが写ってしまうという。
ある日そのことを打ち明けた重さんは樹里さんを撮ってみると、やはり何かが写っている。
それでは動画は?と試してみると二人はタイムスリップしてしまう。
タイムスリップした先でセイさんと出会い彼にお願い事をした二人。必ず、カリはお返しすると約束もした。
二度目のタイムスリップが起きた時、何故か現代のセイさんも共に来てしまう。
彼が共に来た理由は?守らなければいけない過去とは?
あー、ほのぼのとした商店街のお話が好きだったのにとうとう、タイムスリップまでしてしまったのかと少々、悲しみながら読み始めた。
でもこれは、一番最初から出ている商店街の四丁目だけアーケードが無い理由と、四丁目に住んでいる人たちの命や立場を守ったという、やはり「人を想い人のために成した」お話だった。
この商店街に関してはそろそろMapも書けるだろうというところまで来ているが、現時点での文庫版はとりあえずこれで最後。
次回作も単行本は出ているので楽しみに待っているとする。
商店街の人たちの平穏で健やかな暮らしを願って…。 -
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花咲小路商店街シリーズ6巻目
今回の舞台は一丁目の「バーバーひしおか」
語り手は、住み込みで働く口の固い「鋼鉄のセーラこと、せいらちゃん」
理容師だった祖父に憧れ、同じ道を歩んだせいらちゃん。祖父は他界し、昔ながらの風情を残した「バーバーひしおか」に「働かせてください」と飛び込んだ。
バーバーひしおかでは奥さんのミミ子さんが働き
旦那さんの凌次郎さんは、所謂「髪結いの亭主」
働かず、家のこともせずゆったり暮らしていた。
でも凌次郎さんの正体は、屈指の能力を持つ美術品鑑定士だった。
ヴィネグレット、サンプラーなど
美術品や骨董品を取り巻くお話が短編で綴られ、この商店街の誰にも愛される「セイさん」に迫る話しへと進んでいく。
私がこのシリーズに惹かれたのも
「セイさん」の商店街を救うための優しくて鮮やかな解決方法の数々と、小説ならではの大胆な発想。
そして、続くように商店街にの日々が様々な視点から描かれていること。
今作でもそれは継続され、最後には「お見事でした」と、にんまりして本を閉じた。 -
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祖父母が営む旅館で火事が起き、祖父母が亡くなり、さらに謎の焼死体2体も発見された。そして旅館を再開して店にやってくるのはなぜか探りを入れてくる常連客ばかり…
主人公と共に一体何が起きているのか?と謎を追い求めていく過程は楽しく、最後までするすると読み進められた。
大学生である主人公のあまりの勘の良さ、鋭さには感嘆させられた。磯貝は刑事になれると言ったが、きっとどの職種でも彼の特性は重宝がられるだろう。
一つ違和感を覚えたこととして、28歳の青河文は常連客だけでなく、身内である仁さんや光に対しても終始、言葉や口調が古臭かった。「町の名士」「〜わね」「〜かしら」と、偶然にも文と同い年の私は違和感を覚えた。
もしかすると、名家生まれは皆こんな口調なのだろうか?色んな媒体でエンタメに触れられるこの時代に、そんな純正培養な人たちがいるならすごいことだ。だからきっと、これを書いている著者の年代は高めなのだろうと勝手に納得しながら読んだ。
事件の収束はあっけなく、悲しさが残るものではあったが、これだけのヒントでそこまで辿り着ける磯貝はやはり刑事だ。結果的に文や銀の鰊亭を守ることができた。
続刊を先に読んでしまったため、この後探偵として働く彼も知っているが、自分の仕事や世の中に対していつも誠実であろうとする彼が、もっと活躍できることを願っている。 -
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花咲小路商店街シリーズ5巻目
今回の舞台は三丁目北角の「駐車場 カーポート・ウィート」
語り手は、高校を卒業してすぐに家業(駐車場)を継いだ「すばるちゃん」
母親は出ていき、父親に育てられたすばるちゃんだがその父親も病死。
隣の家の弦さんと、同級生で幼なじみの瑠夏ちゃんに見守られながら生きてきたが、この3人には秘密があった。それは亡くなった父親の魂が愛車のシトロエンに宿り、ラジオを通じて話しが出来ること。
駐車場に訪れる人は様々だ。
商店街に仕事や食事に来る人。パチンコに来る人。
商店街のレシートを持ってくれば、無料になる「カーポート・ウィート」には、様々な人が訪れる。
すばるちゃんは弦さんや、瑠夏ちゃん。
お父さんと話し合いながらその人たちが抱えるものを紐解いていく。
今回は帯にも「言葉をしゃべる真っ赤な車?」という文言があるだけあって、ファンタジー強めでした。
フォントも前作よりも丸くて大きくなり、主人公が19歳という語り口調にフィットしていた。
商店街に生きる人たちが、善意で必ず力を貸してくれるという大前提で成り立つこの物語。
シリーズをずっと読んでいるからこそ「そうね、あの人なら信用出来るわ」「あの人だったら、そういうこと、得意だわ」と、まるで自分も住んでいるような気持ちになってしまう。
人生は色々。好きに生きていい。
きっと誰かが見守ってくれている。
そんな優しい作品だった。 -
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花咲小路商店街シリーズ3巻目
今回の舞台は二丁目のお花屋さん
「花の店にらやま」
語り手は、高校を辞めることになった高校生
「めいちゃん」
めいちゃんは、高校を辞めていとこの「花乃子さん」が営むお花屋さんで働くことにする。
イケメンの双子、「柾兄ちゃんと柊兄ちゃん」も一緒だ。
花乃子さん姉弟のご両親は事故で亡くなっていて
3人でお花屋さんを営んでいる。
ある日、めいちゃんは気付く。
お花の依頼を受けている花乃子さんの瞳にガーベラが咲いていることに。
花乃子さんは、お花を依頼する人の思いが分かってしまうという。そこに込められている思いが楽しいものでないのであれば、助けたい、力になりたいと
前作に登場した美女、「ミケさん」に協力を依頼してきた。
探偵のミケさんは、実に上手に事細かく調べてくるが、そのためには花乃子さんが仕込む魔法の花に秘密があった。。。
このシリーズに出てくる人たちは
みんな距離感が良い。気持ちを想像して慮り、見守って時には背中を押す。
優しさやおせっかいがあるのに押しつけがましさがない。
こういう人に、私はなりたいと何度も思う。
そして、ほんの少しのファンタジーが心地よくて小気味良いところが、物語の醍醐味として私は大好きです。 -
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ほのぼのとした物語。ミステリーもありますが、それより、昔から繋がってきた商店街の人たちの日常と絆のほうが目立っています。懐旧の念が語られているイメージを受けています。
といえども、その「昔」というのは私が参加したことがない時間なので、実はただの想像かもしれません。
で、この本を読んでいるとき、熱海に旅行に行きました。観光シーズンではないからか、人が少なくて、閉店時間も早かったです。別にレトロなスポットに行ったわけではないが、なぜか散歩しているだけで、妙に昭和的(?)な雰囲気を感じました。昭和を経験したことがないですけど。なのでこれもまた勝手な印象なのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ探偵というのは、多方面から集めた断片的な情報から、その背景を想像して一本のストーリーにつなげていき、謎を紐解いていく、こんなにも難解な仕事なのか。
磯貝や文さんのナイスなひらめきが、自分には想像もつかないことばかりで、とんでもない特殊能力の持ち主に見えた。
だが一つ、元同僚の刑事と依頼者の女性の関係性にはずっと疑問を抱いていた。有名作家である夫の失踪という重大かつナイーブな問題を、ただの元クラスメイトである異性に相談するだろうか?いくら信頼できる相手だとしても、このような夫婦間の問題はまず同性に相談する人が多い。
磯貝がその手のことに鈍感なようだったので、ぜひとも文さんを助手にしてほしいと感じた。女性は女性相手には心を開きやすいというのは事実だし、文さんは他人との間合いを詰めるのが実に上手そうだ。