塩野七生のレビュー一覧
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ネタバレ古代ローマの歴史小説、イタリア関連の著作で有名な塩野七生氏。彼女の1988年発行の作品。
政治哲学の文脈で度々名前があがるマキアヴェッリの各種著作からのパッセージを抜粋し、君主篇、国家篇、人間篇の三章でまとめた語録。
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塩野氏の歴史小説は幾つか読んでいましたが、本作のような過去の著者からの抜粋(語録)は意外と簡単ではないと感じました。
やはり、時代や背景も異なる国での話。1600年頃のフィレンツェの話を、古代ローマの話を引き合いに出されて説明されるわけです。
ただ、そこは作品の構成が手助けになった気がします。
君主篇は、うちのトップ(部長クラス)の人たちを想像しつつ読み、ああか -
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ネタバレネロが凄腕のシリア総督コルブロに自死を命じて、元老院に国家の敵とされて自死してから、目まぐるしく、皇帝がガルバ→オトー→ヴィテリウス→ヴェスパシアヌスって変わる。
ヴェスパシアヌスは世襲制で皇帝の座を承継できるように整えて、死後、長男のティトゥスが皇帝になるんだけど、立て続けに起こった2度の天災の対応に忙殺されて、ティトゥスが亡くなっちゃう。民衆からも人気あってバランス取れた良い統治をする人だったらしい。
で、次男で弟のドミティアヌスが跡を継いで帝位に就くんだけど、この人は公共施設の改修工事やら新設やら、色々評価されることをした一方で、奥さんと姪との闇深そうな関係の拗れとか終身財務官に就任して -
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アウグストゥスのあと
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロまで。
いわゆるユリウス・クラウディウス朝時代の皇帝について。
アウグストゥスは血のつながったゲルマニクスに継がせたかったんだろうけど若くして亡くなってしまって、本来中継ぎみたいなポジだったティベリウスがそのまま治世を継続することに。The武人て感じの不器用な人。不器用だけど、帝政ローマの治世を間違いなく盤石にした。
カリグラは小さい時から父ゲルマニクスについて前線基地にいて、兵士たちからすごく可愛がられてた。頑固一徹、緊縮財政を敷いたのティベリウスから、若くてたくさん楽しい施策をうってくれるカリグラに皇帝が変わって、最初こそ市 -
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著者が長年書きたいと念じていたフリードリッヒ二世の生涯を描いた作品。
上巻は、誕生から始まり、神聖ローマ帝国皇帝即位、第6次十字軍におけるイスラム側との交渉によるイェルサレム回復、ナポリ大学の設立やメルフィ憲章に見られる皇帝を中心とする法治国家づくり、法王との対立、「法王派」に組するロンバルディア同盟との戦いなどが描かれる。
彼は、父ハインリッヒ六世(神聖ローマ帝国皇帝)、母コスタンツア(ノルマン朝シチリア王ルッジェロ二世の娘)の子として1194年に生まれ、三歳で父を亡くし、シチリア王に即位、その直後四歳で母も亡くしている。こうした厳しい状況にありながら、その出自もあり、神聖ロー -
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ネタバレ結構面白かったです。
ひとことでいうと、イタリア版まんが日本昔話(アダルト)、みたいな。
「デカメロン」「カンタベリー物語」的なのですが、塩野氏の揉みこみがありますので、より読みやすい感じです。
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ということで内容ですが、一部連作ですが、短編集といったところ。
浮気の話が多いのですが、最後の女法王ジョバンナなどは活劇的面白味のあるお話でした。あとはジュリア・デリ・アルビツィの話。これも現代では考えられませんが、ちょっと面白かったです。
大公妃ビアンカ・カペッロの回想録・・・駆け落ち同然でフィレンツェに来たら、玉の輿で再婚!
ジュリア・デリ・アルビツィの話・・・妾腹の子として生を -
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1983年~88が初出、40年近く前か。古びた感じがしないな。成熟した人間像とはある程度普遍的なものかもしれない。だが、これを今の10代20代の子はどのように読むのだろうか。共感できるのだろうか?特に退職代行サービスにこの時点(4月末)で申し込んだ新卒の社会人の子にどう映るのか聞いてみたい。
第38章
「男は生きがい」「男は命」…となった場合どう思うか?に対する以下返答。
「御免こうむりたい。煩わしいことこの上ないのでやめて欲しい」となる。
内助の功を謳うなら、生きがいやら命といった余計なもん乗せるのやめて欲しい。自分がやりたいことをやりたいようにやってくれればそれでいい。もちろん経済 -
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物語や歴史上の有名な人物について、その周りにいた人間が、実はこうだった、自分にはこう見えたと語る形式の短い諸編を集めたもの。
対象人物と語り手は、オデュセウスの妻ペネロペ、サロメの乳母、ダンテの妻ジェンマ・ドナーティ、聖フランチェスコの母、ユダの母について、ユダを教えた祭司、カリグラ帝の馬、アレクサンダー大王の奴隷、カエサルを暗殺したブルータスの師、キリストの弟、ネロ皇帝の双子の兄。
いずれもあるところまでは史実や物語の筋に則っているので歴史の勉強にもなるし、他人から見るとそう見えるのもさもありなんと思われるところもあり、軽い読み物として面白く読める。
ラストの「饗宴・地獄篇」は -
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1000年も前の人達の考え方を、現代の私が「なるほど」と理解できること。時代だけでなく遠い異国の地で、自分と全く違う社会を生きた人々だけれど、同じ人間であるという繋がりを感じた。そして、人間の思考というものはどの時代であってもそんなに変わらないんだな、とも。
彼らの動き、策略、性格に至るまでをここまで途切れる事なくみっちり調べ上げた著者は間違いなく素晴らしい。まるで小説を読んでいるかのように情景が頭に浮かんできた。
ノートの赤字を無理矢理頭に叩き込むより、その時人がこうやって生きていたんだと噛み締めた方がスッと入ってくるし面白い。暗記に苦戦し謎の語呂合わせを唱えていた過去の自分に読ませたい。 -
購入済み
面白かった
面白かったけど、海戦(白兵戦)を一回戦っただけなので
いまいち盛り上りに欠けるとも思う。
地中海に馴染みのない身としては
ものめずらしさを感じて、
それなりに楽しめた。 -
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塩野さんのローマ人への20の質問を改訂したものです。内容については変わっておらず、対話形式になっております。改訂版を出されることになった事情は、冒頭に「読者に」としてまとめられています。
個人的には改訂版を出されるのであれば、ローマ人への20の質問ではローマ人の物語の第VIII巻までの内容だったところ、IX巻以降の話も書いてもらいたかったなと思います。この書籍は「ローマ人の物語」を読めば、「ローマ人への20の質問」は読まなくてもほとんど問題ないという位置付けのものではあるのですが、やはりIX巻以降の五賢帝時代以降の話や、ローマ帝国分割の時代の話、キリスト教に関する話も読んでみたかったなと思い -
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塩野氏による時事エッセイ
特に政治について語られている
氏はローマ人の物語に代表されるように歴史小説の第一人者
故に現代社会を評する際にも歴史上の事実がよく引き合いに出される
それを受けての所感は2点
・過去の事実を学び、考えれば良策を打てるとまでは言わないが、愚策を選んだりはしないだろうに、ということと
・人の先見性はどんどん短くなっているのではないか、未来に残るものを考えられなくなっているのではないか、ということ
この二つが相まって、我なき後に大洪水よ訪れよ、の資本主義末期状況になっているのではないか
この所感を自身の戒めとしようと今は思うが、いつまで覚えていられるか自信のない私も末期状況