塩野七生のレビュー一覧

  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最高に面白い十字軍の物語。
    今回は第一次十字軍の話だが、カノッサの屈辱でグレゴリウス7世が雪の中に皇帝ハインリヒに教皇の有利を示したあと、皇帝の反撃により教皇の権力は地に落ちていた。ウルバン二世が再度、教皇の威を示そうとヨーロッパの諸侯に呼ぶかけた聖地解放。
    隠者ピエールの貧民十字軍を皮切りに、フランス王弟ユーグ伯、ノルマンジー公ロベール、ブロア伯エティエンヌ、フランドル伯ロベール。そして、この話の主役たち、ロベーヌ公ゴドフロア、弟ボードワン。ノルマン人のブーリア公ポエモンドと甥のタンクレディ。トゥールーズ伯、サン・ジル。名前を羅列しただけで、読んでいた時のワクワクが蘇って興奮してくる。かれら

    0
    2025年12月05日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    トルコに行く予定があるので、読んでみました。歴史を物語として読むことができてすごく楽しめました。戦いはどのように進んでいくのだろうとワクワクドキドキ。
    イスタンブールの地名も登場するので楽しい!
    行く前にもう一度読みたい!

    マホメッド2世と同い年!!

    0
    2025年10月16日
  • ギリシア人の物語2―民主政の成熟と崩壊―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    読むのが苦しかった。
    繁栄と衰退はセットではある。比較対象となるから。ペロポネソス戦役までは良かったアテネも、ペリクレスを欠けば凋落の一途。口も回れば気も回せる人物は得難い存在。民主政体であっても、同一人物が政治を長く回せるだけの力を持っている時代の方が繁栄しているアテネ。強力な伴奏者がいなくなるとデマゴーグの時代へ。足を引っ張っても責任は持たない。これは古代の話か?

    0
    2025年10月12日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    皇帝フリードリッヒ2世の壮大な人生
    ルネサンスに入る前の、キリスト教会が最強だった時代に
    教皇に毅然と対峙したフリードリッヒの人生の後半。破竹の勢いの人生がかげってくる。
    前半後半通して3回読んでようやく整理できたけど、彼の功績の傾いて行く晩年は、やっぱり悲しい。

    0
    2025年09月28日
  • レパントの海戦

    Posted by ブクログ

    地中海三部作の完結編。塩野さんのヴェネチア愛が溢れる最後の輝きのレパントの海戦。前も書いたのだが、スペイン無敵艦隊がイスラムの大国オスマントルコを倒したという教科書的なまとめは、あまりにもおこがましいと、感じる内容。アドリア海の女王ヴェネチアを抜きには勝利はなかっただろう。コンスタンチノープル陥落が最新兵器・大砲が勝利の決め手であったように、レパントではガレアッチァという砲撃ができる最新兵器が大きな意味を持っていた。アルマダの海戦が1588年だから、17年しかスペインの海軍の栄光は続かなかったんだなぁ。

    0
    2025年09月20日
  • ロードス島攻防記

    Posted by ブクログ

    まず、最初の学びは中世を彩った騎士団の末路を知れたこと。この本の主役の聖ヨハネ騎士団はもとより、チュートン騎士団、テンプル騎士団についても。
    そして、もっとも感じたことは、人種も宗教も違う(トルコはそこらへんは寛容だったが)国が激しい戦争の末、ロードスの降伏を受け入れ降伏条件を違わなかったスレイマン。今、プーチンもネタニアフも約束など鼻くそとも感じないていない。いかにスレイマンが清々しく立派に感じるか。

    0
    2025年09月10日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    何度も重複して買い増していた「コンスタンティーノープルの陥落」を、やっと読んだ。
    複数の登場人物の立ち位置で陥落までを追っていく。
    マホメット2世の冷徹なまでの作戦実行でコンスタンティーノープルは落ちるのだが、ジェノバとヴェネチアとの確執や、正教とカトリックの合同騒ぎでまとまらない中、ビザンチンはよく戦った。
    トルコが大型大砲を使用したことが、今まで鎧を身に纏い、馬に跨り剣を振り翳していた騎士の無力さを浮き彫りにした。また、マホメットの領土拡大の行動が、ジェノバの東の拠点を壊滅させ、それがきっかけとして、ジェノバの船乗りが西に目を向け、大航海時代が始まる。この戦いが、中世と近世を分つキーになっ

    0
    2025年08月29日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    国連の安保理会議で、ロシアも中国も賛成しているとき含め、アメリカがイスラエル批判や停戦決議を拒否した回数は、2024年までに49回(賛成した回数はゼロ)

    イスラム世界と"交渉"で和平をもたらしたことをローマ法王に咎められ、破門3回、更には皇帝の位の剥奪という処分まで受けたフリードリヒ2世のその部下が、ローマ法王に直接ぶつけた言葉を、安保理会議の場でも大声でぶつけたい
    『Dies ista dies irae, calamitatis et miseriae!
    (今日この日は神が怒り災いをもたらし、それによって人間が苦しむ時代が始まる)』

    彼の死後、
    『「STVPOR

    0
    2025年08月18日
  • 日本人へ リーダー篇

    Posted by ブクログ

    面白くて勉強になる。どんな政治評論家よりも納得感がある。

    この人の外交センス、国防センス、国際関係の感覚はすごい。長年ローマ帝国の歴史を見てきているので、他国とどのような関係を築がなければならないか、どのような駆け引きが重要か、どのようにすれば平和な状態が続くのか、トップはどうあるべきなのか、そういうセンスが卓越している。文章は言うまでもなくわかりやすくて面白い。

    各国これまで積み上げてきた歴史を経て今があるのでそれを尊重しながらだと難しい。特に宗教はややこしい。綺麗事でなくどのような人も国もソントクで動くことを理解しながら合理的な考え方のできる人だと思う。

    この本に、小泉純一郎について

    0
    2025年08月11日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    パレスチナ問題の本いうたら、もとはイギリスの三枚舌外交が招いた悲劇やとかそんな解説がようされとりますけど、ガザの惨状見とったら、それは分かったけどなんとかでけへんのんかい!ちゅうて憤懣やる方なくなりますわ

    『テル・アヴィヴからガザまでの距離は、70キロしかない。21世紀の現在では、パレスティーナとイスラエルがこの距離をはさんで、一方がミサイルを撃ちこめば、他方は空爆で応酬する、という状態でつづいている。
    しかし、現代からならば800年は昔になる1228年から29年にかけて、この同じ距離の間では、軍事力を使わないで共生を実現しようとする交渉が進んでいたのであった。  
    それも、キリスト教世界の

    0
    2025年08月06日
  • コンスタンティノープルの陥落

    Posted by ブクログ

    東ローマ帝国の滅亡が西欧においていかなる意味をもたらしたか、が理解できる。同時に、戦争における白兵戦の重要性が薄れ、かわりに「大砲」という兵器がその後急速に普及するきっかけをもたらしたのがこのコンスタンティノープルにおける戦いであった

    0
    2025年06月15日
  • ギリシア人の物語4―新しき力―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ギリシアを人物中心に描いてる。神話、哲学、文化はおまけ。アレクサンドロスの後継者争いの五十年なんかは書くに値しないと判断され一覧表で始末する。好き嫌いが偏ってるけどそれが気持ちいい。

    0
    2025年05月11日
  • 十字軍物語 第三巻―獅子心王リチャード―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    真打登場。
    英国史にとっても十字軍史にとっても欠かせない人物、獅子心王リチャード一世の登場により、十字軍は組織として初めて一本化する。この漢が惚れる漢の中の漢リチャード。単純な戦闘力だけではなく統率力そして気を配れる偉大なリーダー。会ってみたいものだ。ボードワン四世が月ならリチャード一世は太陽であろう。それでもボードワンの方が好きだが。

    真の巧者が揃ったところで、両軍の平和が訪れる。これは両首脳が同じくハイレベルであったから均衡が生み出されたのだろう。

    それに引き換え、第四次十字軍は一言で言ってしまえば、グダグダだ。やることなすことちぐはぐで本来の十字軍の目的から逸脱し、足並みが揃うことが

    0
    2025年05月05日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ついに読み終えた壮大な十字軍物語。
    「キリスト教を信じる人々の間では、勝った人よりも負けても教えに殉じた人のほうが尊い」とされ、無血でイェルサレム解放を実現したフリードリヒ2世よりも、失策により壊滅的な敗北を喫したフランス王ルイの方が尊敬されるとは、現代の感覚からすれば大きくずれているのが面白い。
    この十字軍で得をしたのは誰か。色々な見方はあるだろうが、フランス王家とヴェネツィアやジェノヴァ等のイタリアの国家なのではないだろうか。
    カノッサの屈辱によりローマ法王の権力は頂点に達したが、その後の十字軍遠征時代、真面目にイェルサレム解放に取り組んだイギリスや新生ローマ帝国はローマ法王に叩かれ続けた

    0
    2025年04月28日
  • 十字軍物語 第三巻―獅子心王リチャード―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    華の第3次十字軍で不遇の死を遂げた神聖ローマ帝国の赤髭に代わり軍を率いたリチャード、自国領土を拡大することしか考えず聖都奪還に興味を示さないフランス国王のフィリップ2世、交渉をめちゃくちゃにした第5次十字軍の法王代理ペラーヨ等、濃いキャラクターが次々と登場する。

    0
    2025年04月27日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    実は今回、『十字軍物語』を選んだきっかけが、ボードワン四世の活躍が読みたかったからというのが大きい。「非株式会社いつかやる」の戦術紹介は秀逸だ。

    イエルサレム王国を中心とした十字軍国家はシリア・パレスチナ沿岸の細長い地域でしかない。周りはイスラーム世界に囲まれており、キリスト教にとっての聖地であれば、イスラム教にとっても聖地という複雑な地、イエルサレム。常に兵力不足を抱えながらイスラーム軍の襲撃に耐え続ける。その地に生きる人々の緊迫感は計り知れない。そんな中でのボードワン四世の英明な立ち回り、ライ病を患い先が長くないのを自信も臣下達も悟ったうえで誰もが敬い崇拝した癩王。この1人のために国がま

    0
    2025年04月20日
  • 十字軍物語 第二巻―イスラムの反撃―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    イスラムの英雄サラディンによるイェルサレム奪還の物語。
    第一次十字軍がイェルサレムを奪った際、当地のイスラム教徒の住民を皆殺しにした一方、サラディンはキリスト教徒を追放しただけだった。

    0
    2025年04月08日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    塩野七生はあくまで物書きとして、物語として歴史を語る。それが面白い。教科書には「事実」が載っているかもしれないが、人の歴史は感情を抜きにしては味気ない。

    歴史を単元として覚えようとすると、とても頭に入って来ない。世界史の授業自体は好きだったが、試験科目にしようとは思わなかった。だが、誰それがどこの領主でどんな性格で軍事経験がどうかといったことを踏まえると、活躍する人物は自然と入ってくる。『ハリー・ポッター』の登場人物を覚えるのと何ら変わりがない。それは塩野七生のおかげで各人物が生き生きと描かれているからだ。

    さて、いつの時代の"連合軍"というやつも一枚岩ではないことは共

    0
    2025年03月13日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    フリードリッヒと聞いてドイツの啓蒙君主のことを最初に頭に浮かべてしまったが、塩野七生さんなのでやはりイタリアのルネサンス先駆けのフリードリッヒだった。
    真っ黒なアニメ「チ。」の盲目的な異端審問官の始まりが、フリードリッヒと対立した法王グレゴリウス9世がメルフィ憲章の対抗として作った異端裁判所にあった。
    十字軍、アッシジのフランシスコなど魅力的な話題が豊富で楽しい上巻だった。

    0
    2025年02月07日
  • ルネサンスの女たち―塩野七生ルネサンス著作集2―

    Posted by ブクログ

    (読んだのは中央文庫のもの)
    大変面白かった。
    著者による「あとがき」本書の成分表なるものが記されているが、政略結婚8、暗殺6、処刑4とあり、その辺は日本の戦国時代も同様なんだろうと思った。
    ただ昔に限った話ではなく、国や民族同士の争いが絶えない今日の世でも起きていることを考えると辛いものもある。
    今年は著者の小説をもっと読んでいきたいと思う。

    0
    2025年01月15日