塩野七生のレビュー一覧
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ローマ人の物語第ニ作。紀元前264年のポエニ戦役の始まりから、紀元前146年のカルタゴ滅亡まで、歴史舞台を眺めるがごとく再現されている。
ポエニ戦役とは、フェニキア人の植民都市カルタゴとの戦いであり、三次にわたって繰り広げられた。第一次のシチリア島を巡る戦いで、ローマは海戦を経験し、シチリア島全島とその周囲の領海権を獲得する。第二次はカルタゴの勇将ハンニバルがスペイン経由でアルプスを超えてローマに侵攻、ローマを追い詰める。ローマはスキピオの登場によって劣勢を跳ね返し、カルタゴ本土まで押し返す。この勝利により、カルタゴの戦力を大幅に削ぐが、この後、カルタゴは不幸な出来事により、意図に反した経緯で -
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研究者によっては、この本で描かれた時代でローマ帝国は終焉を迎えたという人もいるそうな。「ローマが『ローマ』でなくなっていく―」と、帯にも書かれているな。国家の最大の責務とは、防衛だ。その防衛が守れなくなってきて、ローマ帝国は危機を迎える。帝国再建のため、ディオクレティアヌスは二頭政、四頭政と帝国を分割して統治することで、なんとか再建しようとする。一時は果たせたものの、その過程でローマはどんどん変質していくんだね。
「いかに悪い結果につながったとされる事例でも、それがはじめられた当時にまで遡れば、善き意志から発していたのであった。」というユリウス・カエサルの言葉がエピグラフとして巻頭を飾ってい -
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第二巻はハンニバル戦争と呼ばれる第二次ポエニ戦役を中心として、ローマが地中海の覇権国家となるまでを描く。それにしてもよくこれだけ面白く魅力的に歴史を叙述できるものだと感心してしまいますよ塩野さん。
元々はローマでのシチリアへの勢力拡大のためだったけど、その流れでカルタゴでローマの天敵、稀代の天才戦術家ハンニバルを誕生させてしまう。一時期は首都ローマまで侵攻する勢いで、滅亡の危機にあったけれども、柔軟なローマはあの手この手、スキピオのようにハンニバルを師とした戦術を駆使することで軍事力を高めてハンニバルをくだす。そこからマケドニア、シリア、カルタゴと強国を打ち負かして地中海覇権国家となっていく -
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ネタバレ教皇としての「使命を感じすぎ、思いつめてしまった」文化人・ピオ2世、「自分の思想を貫くために世界が滅亡するならば、そんな思想はさっさと引き下げる」と豪語するアレッサンドロ6世、威勢がよく口が悪く「決断力と勇気だけで出来ているような男」として描かれるジュリオ2世、「自己の優越性を確信していた、真に貴族的な精神の持主」と評されるレオーネ10世。15世紀半ばから16世紀はじめ頃まで、つまり「ローマ掠奪」によりローマが廃墟と化す直前までにその座に就いた、4人の教皇を描く連作集。
ローマ=カトリック教会の権威が薄れ続けてゆく時代を描いているから、どの作品も優雅さや勇ましさの影に諦念や虚無感がある。けれど -
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ネタバレ公職追放になった主人公はイタリア周遊の旅に。二巻の舞台はフィレンツェ。
メディチ家が治めるフィレンツェは16世紀のごろ、カルロスを後ろ盾にしたアレッサンドロの独裁国家と化していた。そんな中マルコはオリンピアと再会を果たすことに。
そこで、マルコとオリンピアはメディチ家の内部抗争に巻き込まれていくことに。。。
フィレンツェの政変の変化やメディチ家のことなど史実も書かれており勉強になった。また、メディチ家の人たちよりも周りの老人たちの老獪なところがとっても楽しめた。
また、マルコとオリンピアが頑張って助命した宿屋の店主であるジョバンニが結局のところ、下手人でビックリさせられた。 -
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ネタバレ舞台は16世紀のヴェネツィア。若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとトルコとの外交戦線の最前線に立たされる事となる。
CDXという国家最高機密組織の一員として旧友であるアルヴィーゼとの再会から話が始まっていく。
物語は、最初にヴェネツィアの聖マルコの鐘楼から警察官が飛び降りるところから始まる。その事件の裏に隠されたスペイン王室が企んでいたマルコの愛人のオリンピアによるスパイ行為。また、アルヴィーゼ側のトルコ宮廷の軍人としての行動と末路。
事実を織り交ぜつつ、小説仕立てにする塩野七生先生らしい本になっている。
また、最後にマルコが次の都市に旅立っているのでオリンピアとの恋の行方も気になる -
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言わずと知れた超大作、塩野七生の代表作。
第1巻は、紀元前753年建国されたローマが前270年にイタリア半島の統一を実現するまでの500年間。「ローマは1日にして成らず」の副題のとおり、ローマが興隆するまで長い長い年月がかかっている。ローマ人の多神教。異邦人を同胞として取り込む包容力。ギリシア人に較べ頭の回転は勝るとはいえないが、着実に少しずつ力を付けていく。
ローマ帝国の反映と衰亡に至る長い道程。まだまだ序章ではあるが、塩野七生の独自の切れ味鋭い歴史感に魅きつけられる。
読破するのはいつになるか分からないが、地道に読み続けていきたい。
現代の政治、宗教などの話に微妙な光を投げかけてくれ -
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まさに巨星
これまで知らなかった人物で、ここまで成し遂げた人がいたことが衝撃的だった。考えの柔軟さ、強い信念、合理的で冷徹な部分が印象に残る。彼の死後、彼の帝国の変わりゆく様が、彼の「巨星」感を物語っているように思う。