塩野七生のレビュー一覧

  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    ローマ人の物語第ニ作。紀元前264年のポエニ戦役の始まりから、紀元前146年のカルタゴ滅亡まで、歴史舞台を眺めるがごとく再現されている。
    ポエニ戦役とは、フェニキア人の植民都市カルタゴとの戦いであり、三次にわたって繰り広げられた。第一次のシチリア島を巡る戦いで、ローマは海戦を経験し、シチリア島全島とその周囲の領海権を獲得する。第二次はカルタゴの勇将ハンニバルがスペイン経由でアルプスを超えてローマに侵攻、ローマを追い詰める。ローマはスキピオの登場によって劣勢を跳ね返し、カルタゴ本土まで押し返す。この勝利により、カルタゴの戦力を大幅に削ぐが、この後、カルタゴは不幸な出来事により、意図に反した経緯で

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    2023年03月17日
  • 逆襲される文明 日本人へIV

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    国内の情報にどっぷり浸かって狭まった視野を広げてくれる一冊。
    2017年までの時事問題を扱っているが、古さは感じない。やはり賢者は歴史から学ぶのだと痛感!
    ぜひ多くの人に読んでほしい。

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    2023年03月15日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    p.450くらいから胸が高鳴りっぱなし!さあルビコンを超えたぞ!って終わりかい!!早く続きを。。。

    ハンニバル編とカエサル編は本当にお薦め。カエサルはまさに理想的スペックを持ったカリスマリーダーといった感じ。軍事・政治力に秀でただけではなく、なにかこう人間的な魅力というか、どこか憎めない、けれどもついていきたくなるような言動。

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    2023年02月22日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    前作のハンニバル戦記がめちゃめちゃ面白かっただけに、今回は盛り上がりには欠けるかなと。ローマの覇権が拡大された一方、国家として大きくなるとやはり内部に問題が巣食うのが世の常のようだ。ハンニバルの言った肉体の成長についていけない内臓疾患、というのは実に的確。
    本作でも魅力的な偉人たちが登場。グラックス兄弟、マリウス、スッラ、ポンペイス。スッラの狡猾な人を食ったような描かれ方が印象的。元老院、市民、執政官の統治システムが少しずつ軋み始めてきているローマが、これからどのような歩みを進めるのか、次回も楽しみだ。

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    2022年12月27日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    地中海の覇権を争うローマとカルタゴ。
    ローマは名将ハンニバルに現在のスペインからアルプス超え、イタリア半島への侵入を許してしまう。
    3回に渡るポエニ戦争、ローマの危機をハンニバルとスキピオを中心に描く。

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    2022年11月30日
  • 最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII

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    研究者によっては、この本で描かれた時代でローマ帝国は終焉を迎えたという人もいるそうな。「ローマが『ローマ』でなくなっていく―」と、帯にも書かれているな。国家の最大の責務とは、防衛だ。その防衛が守れなくなってきて、ローマ帝国は危機を迎える。帝国再建のため、ディオクレティアヌスは二頭政、四頭政と帝国を分割して統治することで、なんとか再建しようとする。一時は果たせたものの、その過程でローマはどんどん変質していくんだね。

    「いかに悪い結果につながったとされる事例でも、それがはじめられた当時にまで遡れば、善き意志から発していたのであった。」というユリウス・カエサルの言葉がエピグラフとして巻頭を飾ってい

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    2022年11月20日
  • 生き方の演習 : 若者たちへ

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    読みやすいのに、大人にもすごくためになる。
    母親に口答えしないように子育てをした、ということには驚きました。
    母親には、甘えさせるというのが世間だと思っていたので。
    母子の関係は、人間関係の源だと考えるからこそ、自分を抑え、コントロールすることを人生のはじめに母親から学ぶためという。

    私は逆に、子供が相手だからと遠慮のない言葉遣いをしてしまう。まずは自分が自分をコントロールできなければ、子供に全く説得力がないと反省しました。

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    2022年11月19日
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    同じような環境で育ちながら,絶対的な境遇の違いのマルコとアルヴィーゼの対比が楽しくも哀しい1冊だった。リヴィアの揺らがない愛も,先に2−4巻を読んでいるものとしてはオリンピアとの対比と類似のように見えた。アルヴィーゼに会えたマルコが羨ましい。

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    2022年09月04日
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    塩野先生が描く「小説」の最終巻。先生が理想とする男性像のマルコと女性像のオリンピアが織りなす物語。
    最終巻では、ヴェネツィアに戻ってきたマルコの活躍が描かれる。国政に戻ったマルコは相変わらずトルコの相手をすることとなる。彼が戦地に赴くわけではないので、章題にもあったように血を流さない戦争を主として。
    また、レパントの海戦もストーリー仕立てに描かれており、海戦の想像ができ、良かった。
    もう少しマルコを活躍させてほしかったな、っと思わせるところがやり過ぎない男性像で、塩野先生の理想だったのかな、とも。

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    2022年09月02日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    第二巻はハンニバル戦争と呼ばれる第二次ポエニ戦役を中心として、ローマが地中海の覇権国家となるまでを描く。それにしてもよくこれだけ面白く魅力的に歴史を叙述できるものだと感心してしまいますよ塩野さん。

    元々はローマでのシチリアへの勢力拡大のためだったけど、その流れでカルタゴでローマの天敵、稀代の天才戦術家ハンニバルを誕生させてしまう。一時期は首都ローマまで侵攻する勢いで、滅亡の危機にあったけれども、柔軟なローマはあの手この手、スキピオのようにハンニバルを師とした戦術を駆使することで軍事力を高めてハンニバルをくだす。そこからマケドニア、シリア、カルタゴと強国を打ち負かして地中海覇権国家となっていく

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    2022年08月21日
  • 神の代理人―塩野七生ルネサンス著作集6―

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    教皇としての「使命を感じすぎ、思いつめてしまった」文化人・ピオ2世、「自分の思想を貫くために世界が滅亡するならば、そんな思想はさっさと引き下げる」と豪語するアレッサンドロ6世、威勢がよく口が悪く「決断力と勇気だけで出来ているような男」として描かれるジュリオ2世、「自己の優越性を確信していた、真に貴族的な精神の持主」と評されるレオーネ10世。15世紀半ばから16世紀はじめ頃まで、つまり「ローマ掠奪」によりローマが廃墟と化す直前までにその座に就いた、4人の教皇を描く連作集。
    ローマ=カトリック教会の権威が薄れ続けてゆく時代を描いているから、どの作品も優雅さや勇ましさの影に諦念や虚無感がある。けれど

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    2022年08月09日
  • 小説 イタリア・ルネサンス3―ローマ―(新潮文庫)

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    3巻の舞台はローマ。オリンピアの故郷ローマにたどり着いたマルコはシスティーナ礼拝堂の天井画を完成させたミケランジェロの知遇を得たり、古代の遺跡をめぐる日々を楽しむ。オリンピアの悲しい過去を知るが、ついに立場を越えた結婚を決意するものの、ヴェネツィアとトルコの関係が風雲急を告げ、二人の運命はふたたび歴史の波に翻弄されていくのだった。
    オリンピアのパトロンの正体や教皇、枢機卿といった面々の関わり方が面白かった。また、史実の登場人物や歴史的な出来事が随所に描かれており、本当に小説なのかわならなくなるような面白さがあった。

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    2022年08月09日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    世界史を知らない理系人間が古代ローマを知るために読んでみた。ローマの誕生から第一次ポエニ戦役までの500年を書いたそうだ。歴史学者が書くよりも、小説家が書いた歴史叙述の方が圧倒的に面白いのではないだろうか?作者のローマ愛の強さと文体の読みやすさが相まって一気に読破してしまった。

    最後の結びの部分で「はっ」と気づいたこと。現代に生きる我々の考え方とか価値基準とか常識ってのが、いつごろ形成されたのだろうか?フランス革命でかなり変わるって書いてた。歴史を知ることは今を知ること、そして未来を描くこと。次が楽しみだ。

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    2022年08月05日
  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)

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    公職追放になった主人公はイタリア周遊の旅に。二巻の舞台はフィレンツェ。
    メディチ家が治めるフィレンツェは16世紀のごろ、カルロスを後ろ盾にしたアレッサンドロの独裁国家と化していた。そんな中マルコはオリンピアと再会を果たすことに。
    そこで、マルコとオリンピアはメディチ家の内部抗争に巻き込まれていくことに。。。
    フィレンツェの政変の変化やメディチ家のことなど史実も書かれており勉強になった。また、メディチ家の人たちよりも周りの老人たちの老獪なところがとっても楽しめた。
    また、マルコとオリンピアが頑張って助命した宿屋の店主であるジョバンニが結局のところ、下手人でビックリさせられた。

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    2022年07月26日
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    舞台は16世紀のヴェネツィア。若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとトルコとの外交戦線の最前線に立たされる事となる。
    CDXという国家最高機密組織の一員として旧友であるアルヴィーゼとの再会から話が始まっていく。
    物語は、最初にヴェネツィアの聖マルコの鐘楼から警察官が飛び降りるところから始まる。その事件の裏に隠されたスペイン王室が企んでいたマルコの愛人のオリンピアによるスパイ行為。また、アルヴィーゼ側のトルコ宮廷の軍人としての行動と末路。
    事実を織り交ぜつつ、小説仕立てにする塩野七生先生らしい本になっている。
    また、最後にマルコが次の都市に旅立っているのでオリンピアとの恋の行方も気になる

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    2022年07月19日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    言わずと知れた超大作、塩野七生の代表作。

    第1巻は、紀元前753年建国されたローマが前270年にイタリア半島の統一を実現するまでの500年間。「ローマは1日にして成らず」の副題のとおり、ローマが興隆するまで長い長い年月がかかっている。ローマ人の多神教。異邦人を同胞として取り込む包容力。ギリシア人に較べ頭の回転は勝るとはいえないが、着実に少しずつ力を付けていく。

    ローマ帝国の反映と衰亡に至る長い道程。まだまだ序章ではあるが、塩野七生の独自の切れ味鋭い歴史感に魅きつけられる。
    読破するのはいつになるか分からないが、地道に読み続けていきたい。

    現代の政治、宗教などの話に微妙な光を投げかけてくれ

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    2022年07月04日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    高校生の頃に初めて読みました。
    歴史に疎い私でも読みやすかったです。
    読み終わったあと、都市の終わりと時代の転換点を目撃したような気持ちになり、少し切なくなった。

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    2022年07月09日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上下)合本版(新潮文庫)

    購入済み

    まさに巨星

    これまで知らなかった人物で、ここまで成し遂げた人がいたことが衝撃的だった。考えの柔軟さ、強い信念、合理的で冷徹な部分が印象に残る。彼の死後、彼の帝国の変わりゆく様が、彼の「巨星」感を物語っているように思う。

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    2022年05月08日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    「ルネサンスとは何であったのか」、それは既存の常識や権威(その大なるものはキリスト教会)を疑い、「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発」であった、ということをスタートに、様々な人物を取り上げながらルネサンスを対話形式で概観する歴史小説。
    詳細な史料と分かりやすい論旨で、ルネサンスに関する事柄だけでなく、著者の他の作品への理解も深まり、とても楽しい読書だった。続けて『海の都の物語』も読んでみたい。

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    2022年03月29日
  • ルネサンスの女たち―塩野七生ルネサンス著作集2―

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    ルネサンス期を生きた4人の女性を主人公にした、連作歴史小説であり、塩野七生の作家デビュー作。
    デビュー作だからか、冷徹な文体はいつものことながら、洗練さよりも、文に込められた思いや力が強く感じられて、面白い。イザベッラ・デステやロドリーゴ・ボルジアの貴族的な立ち姿、大国ヴェネツィアの芸術的なまでに完璧な偽善など、現代の道徳には則さない姿が生き生きと描写されるときは、特にそうだったと思う。
    また、各章を閉じる文の運び方もドラマチックで、つい数節を口ずさみたくなってしまうような読書だった。

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    2022年03月14日