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Posted by ブクログ
歴史の授業で習ったことはありますが、十字軍について深掘りしたのは初めてでした。
宗教戦争の通史と聞くと身構えますが、読み始めて感じたのは宗教論より、理想や大義を掲げた人間がどこまで愚かで、どこまで魅力的かという生々しさでした。
第一次十字軍からその終焉までを追いながら、英雄でも悪でもない人間たちが、判断と欲の積み重ねで歴史を動かしていく様子に引き込まれます。
物語として読ませる力は強く、遠い中世の話が妙に生々しく迫ってくる一方で、著者の視点がはっきりしている分、評価の切れ味に引っぱられている感覚になる場面もあります。
それでも、読み終えたあとに残るのは戦争の勝敗ではなく、「正義」は簡単に暴走するという事実でした。
歴史を知るというより、人間の変わらなさを突きつけられたような読後感でした。
Posted by ブクログ
真打登場。
英国史にとっても十字軍史にとっても欠かせない人物、獅子心王リチャード一世の登場により、十字軍は組織として初めて一本化する。この漢が惚れる漢の中の漢リチャード。単純な戦闘力だけではなく統率力そして気を配れる偉大なリーダー。会ってみたいものだ。ボードワン四世が月ならリチャード一世は太陽であろう。それでもボードワンの方が好きだが。
真の巧者が揃ったところで、両軍の平和が訪れる。これは両首脳が同じくハイレベルであったから均衡が生み出されたのだろう。
それに引き換え、第四次十字軍は一言で言ってしまえば、グダグダだ。やることなすことちぐはぐで本来の十字軍の目的から逸脱し、足並みが揃うことがない。こうもひどいのはしかし、そもそも封建領主の集まりだったり、王達が集って一つ「十字軍」という旗印を立てたとしても、一枚岩になるのが困難なのだと考えなければならないのかもしれない。第一次と第三次が奇跡的に機能出来たということに過ぎないといえばそうなのかもしれない。
Posted by ブクログ
「 戦争は、人類にとって最大の悪業である。にもかかわらず、人類は、この悪から抜け出すことができないでいる。
ならば、戦争を、勝ったか負けたかで評価するのではなく、この悪を冒した後にどれだけの歳月の平和がつづいたか、で評価されてもよいのではないか。
また、
平和とは、人類が戦争という悪から抜け出せない以上、未来永劫つづく平和というのもありえず、短期間ではあっても一つ一つの平和を積み重ねていくことでしか、達成されないと考えるほうが現実的ではないだろうか。」
塩野七生氏の歴史物著書では、
このような鋭い指摘にもあるように、
リアリズムが物事の見方に通念として流れている。
それこそが
机上の空論でもない、リアルに歴史が現実問題として目の前に迫ってくるような、面白さになるのだろう。
Posted by ブクログ
リチャード獅子心王が主役の第三次、そこから第五次までの十字軍の歴史を物語形式で書かれています。資料に忠実に、ないところは想像力で、物語を面白く臨場感あるように。主要な登場人物に十分感情移入しながら楽しんで読ませていただきました。中世という時代の君主の生活など、ある意味自由で無防備が許された時代だったのだなと。その背景に宗教が強い影響力を持っていたことが。そしてそれが十字軍を発生させたのだなということが分かります。
十字軍は第一次だけが成功で、あとは失敗と思っていました。しかしこの第三次も十分に成功だったということが分かりました。キリスト教とイスラム教が協力して、長い平和を作ったということは、現代世界が見習う重要な歴史なのではと思います。
Posted by ブクログ
第三次のサラディンとリチャードの清々しい戦いが印象的だったため、第四次および第五次のお粗末さに落胆を感じた。3次はヴェネチア元首のダンドロのもとザーラを攻め、ビザンチン帝国を滅ぼす。宗派は違えど同じキリスト教を攻めてラテン帝国を樹立。まさにヴェネチアの飛躍のための十字軍だった。5次は現地軍だけの十字軍で、老年のフランス人ブリエンヌが誰も候補がいない中イェルサレム王に担ぎ出され、原理主義に凝り固まった法王代理ペラーヨと言い争いを繰り返す、まったくまとまりの無い情けない十字軍となった。
いかに第三次がイスラムにもキリスト教にも、戦争とはいえ清々しいものであったかを実感させられた。
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