無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
歴史の授業で習ったことはありますが、十字軍について深掘りしたのは初めてでした。
宗教戦争の通史と聞くと身構えますが、読み始めて感じたのは宗教論より、理想や大義を掲げた人間がどこまで愚かで、どこまで魅力的かという生々しさでした。
第一次十字軍からその終焉までを追いながら、英雄でも悪でもない人間たちが、判断と欲の積み重ねで歴史を動かしていく様子に引き込まれます。
物語として読ませる力は強く、遠い中世の話が妙に生々しく迫ってくる一方で、著者の視点がはっきりしている分、評価の切れ味に引っぱられている感覚になる場面もあります。
それでも、読み終えたあとに残るのは戦争の勝敗ではなく、「正義」は簡単に暴走するという事実でした。
歴史を知るというより、人間の変わらなさを突きつけられたような読後感でした。
Posted by ブクログ
真打登場!第6次十字軍をキリスト教破門の身ながら、血を流さずにイェルサレムを奪還したフリードリヒ。リチャードとサラディン、フリードリヒとアル・カシールのように、両陣営に柔軟な思考ができるリーダーがいると友好的に話は進む。
第七、八は熱い宗教心をもつルイ9世の独り相撲の感があり、それ故、2度も完全失敗をしたにもかかわらず、死後、聖人に祭り上げられた。
十字軍の終焉のアッコン陥落は壮絶な戦いだった。それを思うと命を賭して戦ったテンプル騎士団の最後は悲しい。逆に聖ヨハネ騎士団が、ロードス騎士団、マルタ騎士団さらには現代まで生き残るのは、非常に逞しい。イスラムのマムルークたちが破竹の勢いのモンゴルを破ったことは、モンゴルの限界と世界征服の困難を現していた。
十字軍の話は終わったが、この後、あの異端審問がつくる暗いヨーロッパが始まる。
Posted by ブクログ
ついに読み終えた壮大な十字軍物語。
「キリスト教を信じる人々の間では、勝った人よりも負けても教えに殉じた人のほうが尊い」とされ、無血でイェルサレム解放を実現したフリードリヒ2世よりも、失策により壊滅的な敗北を喫したフランス王ルイの方が尊敬されるとは、現代の感覚からすれば大きくずれているのが面白い。
この十字軍で得をしたのは誰か。色々な見方はあるだろうが、フランス王家とヴェネツィアやジェノヴァ等のイタリアの国家なのではないだろうか。
カノッサの屈辱によりローマ法王の権力は頂点に達したが、その後の十字軍遠征時代、真面目にイェルサレム解放に取り組んだイギリスや新生ローマ帝国はローマ法王に叩かれ続けた。一方で十字軍遠征には真面目に傘下しなかったフランスは領土も力もつけ、いつも間にかローマ法王よりも強い力を握るようになった。
イタリアにいたっては十字軍国家壊滅後もイスラムの国々と貿易を行い財を成した。
色々な学びのある本である。
Posted by ブクログ
フリードリヒ二世キター!(本来は、こっちを咲に読むべきだったんだなと)
それにしても、ローマ法王からハモンされ、十字軍と公認されなかった第六次十字軍におけるフリードリヒ二世が交渉で求める者を全て手に入れたにもかかわらず、余計な十字軍をして、何一つ手に入れられなかったどころか、全てを失うきっかけを作ったルイ九世が「聖王」とはね・・・・・・
そして、マムルーク朝がでてくる。ナポレオンがエジプトに攻め込むまで続くマムルーク朝が。
それにしても、そこまでして異教徒を全て海に追い落としたはずなのに、異教徒同士の商売どころかキリスト教とのエルサレム巡礼まで復活しているのを見ると、何のためにおびただしい人命が失われたのだろうか?と思わざるをえない。
Posted by ブクログ
情報とは、その重要性を認識した人にしか、正しく伝わらないもの。
これは、哲学者カントの感覚と認識の区別に通ずるのではないか。
カエサルはそのことを早くも喝破していたのではないか。
フリードリッヒ二世の柔軟性。
自身の側近に敵方のイスラム教徒も複数いた。
生まれは高貴だが育った環境が素養を育んだのか。合理的で近代的な人間だった。
十字軍の歴史にも
チンギスカンが開祖のモンゴル帝国が侵入してくる。歴史は有機的につながっていることの良い例。
宗教強騎士団最後の闘いは圧巻。
滅びの美学。
実質的な宗教戦争は十字軍で終わる。以後は、領土争いに宗教で色付けをしたもの。
最後の宗教戦争、それが十字軍。
Posted by ブクログ
☆☆☆2019年9月☆☆☆
フリードリヒ2世が中心となった第六次十字軍から、ルイ9世の行った第七次、第八次十字軍。そしてアッコン陥落、騎士団の崩壊まで。
フリードリヒ2世の遠征は無血でエルサレムを解放したため当時は激しい批判にさらされた。イスラム教徒とキリスト教徒の共存を実現した稀代の名君だと塩野氏は評価する。アラビア語を自由に操ったり、ナポリ大学を開設し法律を重視したり、当時としては異例の人物だったのだろう。
一方、ルイ9世は宗教的情熱、信念ならだれにも負けなかったが決して優秀な人物ではなかった。悪い人ではなかったのだろうが、十字軍は大失敗に終わった。
その後、マムルーク朝により十字軍国家は崩壊。その歴史にピリオドを打った。
十字軍の足跡を辿る長い、長い旅が終わった。
Posted by ブクログ
その距離を~競うより~♪ どう飛んだか、どこを飛んだのか♪
♪それが、一番、大切なんだ♪、そうである。
人生ならそんな生き方もあってはいいと思うが、これが勝負の世界、とくに戦争ではそうはいかない。どう飛ぼうが、どのルートを飛ぼうが最後に目的地に着けばいい(勝てばいい)のであって、目的地に着かない(目的を達成できない)のであれば、それは飛んでないのと同じだ。
十字軍の目的は聖地イェルサレムの奪還だ。それ以外ない。第六次十字軍を率いた神聖ローマ帝国皇帝のフリードリヒ二世はイスラム文化に通暁し、自らもアラビア語を解し、通訳なしで交渉にも臨めるほどの稀有な皇帝。スルタンのアル・カミールとも打ち解ける間柄。お互いの立場をよく理解し、なんとな~く、妥協点を探りあっていた。何度かの交渉ののち、スルタンから、うちも身内のゴタゴタで大変で、あなた方を相手してる余裕がないから、軍の引き上げを条件に、イェルサレム、還して欲しいって言うなら還しまっせ、との棚からぼた餅の提案が。戦わずして目的を達成する一大好機到来。やった!俺って持ってる男かも、と皇帝が思ったがどうかはしらないが、ローマにお伺いを立てたりしてたら使者の往復だけで何カ月もかかるから時を逃す。ここは自分の一存で、乗りましょう!その提案。戦争を回避し、犠牲者を全く出さずに目的を達成したんだから、この遠征、大成功でしょ!?。
しかし、それを伝え聞いた法王は「けしけらぬ!」と激怒。なぜなら聖地はキリスト教徒が血を流して異教徒から奪回してこそ意味があるのに戦わないとは何たることか! 皇帝は破門じゃ!破門!と、何度目の破門かわからないけど、再び破門を通達。
意味わからん。
そこは「神がそう望んだ」から労せずして聖地が奪還できたっことでいいじゃん!
それは戦闘の勝利じゃないかもしれないが、戦略の勝利なんだから。と普通は考える。たぶん現地のキリスト教徒もそう考えた。しかし神の代理人の頭の中は違ったようだ。石頭め!
その後、法王の意思に忠実に第七次十字軍を組織したフランス王ルイは多くの犠牲を払うも、失地を回復するどころか次々と拠点を失い、自らも捕囚の身となる大惨敗。でも法王の意を汲んで、多くのキリスト教徒の血をイスラムの地に無駄に流させることに成功したフランス王ルイはのちに聖人に列せられる。
このことをもって個人的にはフランス王に「フランスの乃木将軍」との称号を与えたい。
聖地奪還より血を流すことに意味があるという本末転倒の展開となった今回の十字軍。以後の十字軍も勢力を盛り返すことはなく黄昏を迎える。
いつの時代も戦火や戦禍を拡大させるのは戦争を知らない権力者ということか。
大変お勉強になりました。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。