塩野七生のレビュー一覧
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キリスト教の聖地がイスラム諸国の手に落ちてからから400年ちょっと、本書は法王の聖戦への呼びかけに参集した俗にいう第一回十字軍がエルサレム奪還を試みる遠征記になっている。
冒頭から目から鱗がポロポロ落ちる事実の連続であった。急激に発展を遂げるイスラム諸国の度重なる侵略で中東の領地を失い、衰退を辿るビザンチン帝国は教理の違いなど構わずカトリック教会に泣きつく。これを引き金に法王は東ヨーロッパにカトリック教会の影響力を強めようと、ヨーロッパ諸国の君主の上に立ち、指導できる力を示すために十字軍の編成を唱える。十字軍編成には極めて利己的な思惑があったとは・・・。聖戦やらイスラムの圧政に苦しむ人々の解 -
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☆☆☆2019年9月☆☆☆
フリードリヒ2世が中心となった第六次十字軍から、ルイ9世の行った第七次、第八次十字軍。そしてアッコン陥落、騎士団の崩壊まで。
フリードリヒ2世の遠征は無血でエルサレムを解放したため当時は激しい批判にさらされた。イスラム教徒とキリスト教徒の共存を実現した稀代の名君だと塩野氏は評価する。アラビア語を自由に操ったり、ナポリ大学を開設し法律を重視したり、当時としては異例の人物だったのだろう。
一方、ルイ9世は宗教的情熱、信念ならだれにも負けなかったが決して優秀な人物ではなかった。悪い人ではなかったのだろうが、十字軍は大失敗に終わった。
その後、マムルーク朝に -
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リチャード獅子心王が主役の第三次、そこから第五次までの十字軍の歴史を物語形式で書かれています。資料に忠実に、ないところは想像力で、物語を面白く臨場感あるように。主要な登場人物に十分感情移入しながら楽しんで読ませていただきました。中世という時代の君主の生活など、ある意味自由で無防備が許された時代だったのだなと。その背景に宗教が強い影響力を持っていたことが。そしてそれが十字軍を発生させたのだなということが分かります。
十字軍は第一次だけが成功で、あとは失敗と思っていました。しかしこの第三次も十分に成功だったということが分かりました。キリスト教とイスラム教が協力して、長い平和を作ったということは、現 -
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☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆
ゴドフロア、ボエモント、タンクレディ、ボードワンといった第一次十字軍の築き上げた十字軍国家の維持という難題を背負った人々の物語。
完全アウェイの中に築かれた帝国だけに維持が困難なのは想像に難くない。そのために大きな役割を果たしたのは聖堂騎士団、病院騎士団、城砦、経済交流、海軍。
なるほどなぁ、と納得がいった。
約900年前の中東に遠く思いをはせる。
癩王、ボードワン4世の活躍も印象深い。
死を覚悟した人間の美しさがあらわれたような人物。部下からも慕われ、常に最前線で戦った。日本でいえば、大谷吉嗣のような人物だったのではないか。
イスラム側 -
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突出した主人公が描かれるのではなく、多くのキャラクターが多彩に生き生き描かれている。その中でもやはり、イェルサレムの初代王になったボードワンの懐の大きさと、若き英雄タンクレディの活躍が目を引く。塩野さんに「チンピラ」「十字軍のチンピラ」と何度も書かれているが、チンピラも成長する、すごい。塩野さんの筆には、ボードワンとタンクレディへの愛があふれている。
殺戮と破壊の嵐ではある。戦争なのだから当たり前なのかもしれないが勝った方のやることが苛烈。
まえがきで著者が投げかけているテーマが気になる。今後読み進めると明らかになっていくのか、ぜひ続きを読む予定。
1.200年続いた十字軍時代で勝ったのはイス -
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☆☆☆2019年8月レビュー☆☆☆
「十字軍」とは、だれもが知っているようで、実際はよく知らない。そういうものでは無いだろうか。世界史を勉強しても、さらっと第一次だ、第三次だとあらすじをたどるだけで何もわからない。
本書では、十字軍というものが起こされた背景から、当時う人物の息遣いまで感じることができる、読み応えのある作品だ。
まず、背景として「カノッサの屈辱」から筆を進めるのが面白い。カノッサの屈辱の後、ローマ教会はハインリヒ4世に押されに押されたが、巻き返しのため、権威を取り戻すために十字軍が考えられたという。ウルバン2世によって。
「聖地を取り戻す」という目的だけではなかっ -
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ネタバレ西暦1571年、スペイン王フェリペ二世率いる西欧連合艦隊は、無敵トルコをついに破った。コンスタンティノープルの攻略から118年にして、トルコの地中海世界制覇の野望は潰えたのだ。しかし同時に、この戦いを契機に、海洋国家ヴェネツィアにも、歴史の主要舞台だった地中海にも、落日の陽が差し始めようとしていた。文明の交代期に生きた男たちを壮大に描く三部作、ここに完結。
「コンスタンティノープルの陥落 」「ロードス島攻防記」から続く一作。
迫りくるオスマントルコ帝国の脅威に立ち上がったヴェネツィア共和国を中心とした地中海世界。
レパントの海戦は、ガレー船が主力を成す大海戦としては最後の海戦となったが、十 -
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イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン1世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した―。島を守る聖ヨハネ騎士団との5ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く歴史絵巻第2弾。
闘いが始まる前にロードス島に着任したイタリア騎士のアントニオと、
ヴェネツィア共和国が密かに送り込んだ城塞築城技師のマルティネンゴ。
この二人を登場させたことで、圧倒的防御にまわったロードス島攻防記の、
騎士たちの戦闘による活躍と、市民た -
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ネタバレまずは、皇帝フリードリッヒによる第6次十字軍。戦うこともせず、無血でイェルサレムを取り返したのにもかかわらず、無血という理由で法王に破門されてしまう。
これまで以上の成果が出てるにもかかわらず、反宗教的な十字軍とされてしまうところが、宗教戦争であったのだろう。
次は、聖王ルイによる第7次十字軍と第8次十字軍。散々な結果に終わってしまい、かつ、イスラム側に勢いを与えてしまう結果に。
さらに、悪い結果は続くもので、イスラムのスルタンも教養者から軍人奴隷の出身者へと変わってしまう。そのことが重なり、十字軍構想は200年の時を経て、なくなってしまうのだった。 -
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ネタバレ第1章は、イスラムの英雄サラディンと獅子心王リチャードによる第三次十字軍の話。
ヨーロッパ側の様々な思惑と裏の裏を読まなければならない政治情勢の中、フランスと手を組み十字軍を敢行するイギリス。また、先遣隊であったはずの赤ひげのフリードリヒの突然の死などドラマになる展開が本当に起こってしまうことが歴史の面白みなのかもしれないな、と感じた。
さらにほ、獅子心王リチャードの行き当たりばったりな行動がのちの平和へのメリットにつながっていくのも面白かった。
第2章は、ヴェネツィア主催の第四次十字軍。
計算し尽くされたであろうヴェネツィアの国益のために行われた十字軍。自らの経営支配領域の拡大とともにそこ -
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その距離を~競うより~♪ どう飛んだか、どこを飛んだのか♪
♪それが、一番、大切なんだ♪、そうである。
人生ならそんな生き方もあってはいいと思うが、これが勝負の世界、とくに戦争ではそうはいかない。どう飛ぼうが、どのルートを飛ぼうが最後に目的地に着けばいい(勝てばいい)のであって、目的地に着かない(目的を達成できない)のであれば、それは飛んでないのと同じだ。
十字軍の目的は聖地イェルサレムの奪還だ。それ以外ない。第六次十字軍を率いた神聖ローマ帝国皇帝のフリードリヒ二世はイスラム文化に通暁し、自らもアラビア語を解し、通訳なしで交渉にも臨めるほどの稀有な皇帝。スルタンのアル・カミールとも打ち -
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若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。
「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」と同時期に読むと理解が深まると思います。
魅力あふれる4人の女性が取り上げられており、個人的な好みランキングを作るとすると…
1.カテリーナ・スフォルツァ
2.イザベッラ・デステ
3.カテリーナ・ -
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十字軍がどのようにして成りどのようにイェルサレムを奪還していくかの物語を塩野七生氏の人物を中心にして紡ぐスタンスで描かれる。
この書は十字軍がエルサレムを奪還し、十字軍国家を形成するまでが描かれる。
書くというよりは描かれるというような感覚になるのは塩野七生氏の人物を中心にして感性から入って理屈に繋げていくスタンスならではなのだろう。
事実の列挙とは正反対に位置する氏の描く歴史物語は、フィクションを読んでいるような心地で歴史を読むことができる非常に稀有な本だ。
物語の当時、
ローマ皇帝と法王の対立は「カノッサの屈辱」という事件をきっかけに、決裂は決定的となる。
そこで法王はローマ皇帝に -
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まず現実を知る。海外の報道もきちんと見ることが大切。
外国語は道具として学ぶ。何より大切なのは母国語。
選択肢を多く持ち、情報を集める。
そのコツは軸となる考えを立てて、そこに磁石のように情報を引き寄せる。
著者が子どもを育てる際に気をつけたのは2点。
語学。つまり道具を身につけさせたこと。
そして、自分の頭で考えること。話す時にはあなたはどう考えているの。と言うように心がけたとのこと。
他から刺激を受けて、自分なりに創った結果が独創性の高い作品であり、何もない所からは生まれない。
だから多くのことに好奇心を持つのは自分を豊かにするだけでなく、独創の出発点でもある。
短時間で読める。もっと