塩野七生のレビュー一覧
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これまでの2冊に比べると本が薄い。覚えておくべき新出の人物もいないような気がする。歴史は発生して繁栄して衰退して滅亡してがoneセットである。長く続いた影響力のある国家ほど、盛衰がわかりやすいから、研究もしやすいだろうし。この3巻ははっきり言って辛いものがあった。英雄のいない時代の話。
『十字軍物語』シリーズでは、次数が後になるほど目的も履き違えた尻すぼみの感に堪えないところがあったが、ギリシア世界は違う。これからアレクサンダー大王が出てくるのだ。アレクサンドロス三世とは、もう次巻読まずにいうけれど、華々しさの結晶だろう。もう今から楽しみでしょーがない。
父王フィリッポスの築き上げてきたも -
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忘れもしない高校の倫理。何を学ぶのかもよくわからないまま、最初に必ず学ぶギリシア哲学の中には、政治体制の堕落した姿が提示されていた。民主政治の変わり果てた姿は"衆愚政治"と教科書にはあった。戦慄した。まさに今がそうではないか。歴史の中に既に答えがあるではないか。そう思ったのがもうかれこれ10年以上も前になる。今そこから何か変わったか?問いへの答えをここでは持たない。民主政を両手放しで受け入れるほど子供ではないし、独裁政を理想としたあの頃からは大人になっただろうか。
初めて中学の図書室で塩野七生の『ローマ人の物語』を手に取ってからだいぶ経った。確か五賢帝くらいまでで読むのを -
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文藝春秋に2013年から2017年に掲載された塩野七生先生のエッセイ。気軽な文体のなかに、たまに鋭い名言が隠れているのが良きです。この世代の女性は気骨がありますよね。それでいてユーモアたっぷりで。憧れます。という事で、人生の道半ば女性の私にとっては、塩野七生先生は、理想の人生の大先輩です。
すいません、恐れ多すぎること言いました。
イタリアやヨーロッパに住んでいる人の生の声が読めるのも楽しいところです。とくにこの頃は、シリアからたくさんの難民がイタリアに流入していて、おまけに若年層の失業率は40%超え。やれ少子高齢化だ、社会保険料が…、と問題だらけの日本ですが、他国も大変なんだな…としみじ -
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現代でいえば最も評価されるであろうフリードリッヒ二世。無血で聖地イェルサレムを返還する。今までの十字軍史ではなかったこと。その無血を理由に当時では非難の的となる。宗教の厄介なところ。
今まで苦労して苦労して細い地域を奪い奪われ、講和を結んで一時的でも平和があって、とやってきた十字軍国家も終わりが見えてきたのは、相手側の頭がすげ代わったから。これまで数多くの失敗がありながらもやってこれたのは、対するイスラム側が内輪揉めをしていたり、異教徒同士であっても、最低限の共存への意思があったから。その疎通がない相手となると簡単に崩壊する柔さを持った国家だった。 -
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ビザンチン帝国の首都、コンスタンティノープルがトルコ帝国によって滅ぼされた当時の記録をもとに書かれた ノンフィクション本。
たくさん人が出てきて、それが ビザンティン帝国の人か トルコ帝国の人かビザンティン帝国を助けたベネチア人か中立を保ったジェノバ人かを理解するのが難しい。途中からメモをしながら読んだ。
これからイスタンブール(この本で言うと コンスタンティノープル)に行くので歴史を知りたいと思い、読み始めた。
ラストの陥落時に聖ソフィア大聖堂(今のアヤソフィア)で祈りを捧げる人がいたり、トルコ支配後に聖ソフィア大聖堂がモスクに改修されたりということが書かれていて、570年以上も前に歴史の大 -
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今の日本の状況とちょっと比べながら読んでしまう。
今の日本って後世の人にどう思われるかなと思って悲しくなる。
箇条書きで感想書きます。
・トライアヌス、紀元106年の夏に、ドミティアヌス帝時代の講和により屈辱を味わわされていたダキアを征服。戦後の処理として、ユリウスカエサルの同化政策とは真逆の、非同化政策をとった。(捕虜を剣闘士試合で野獣や、捕虜同士で戦わせたり、故郷から追い出したりした。)ダキアはガリアと違って統一国家だったことが、同化政策が不可能だった一因みたいに書かれているけど、同化政策は取れなかったのか。寛容な同化政策にすごく感心したので、そこが引っかかった。
・トライアヌスは病に