塩野七生のレビュー一覧

  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    副題の通り、優雅さと冷酷さの両面をもつ、多面的でとても魅力的、蠱惑的な人だと感じた。法王の私生児という出自による足枷、縛りのようなものから逃れながら、自らの兵力を持つ難しさ。
    特に、フランス国王、マキャベリ、レオナルドダヴィンチとの関係性が、ヒリヒリするようで面白い。また、病にかかってから一気に転落していく様が、それまでの栄華の座に上り詰めるまでの半生からは、あまりに儚い。

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    2025年11月29日
  • ロードス島攻防記

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    聖ヨハネ騎士団をはじめとした宗教騎士団の歴史、聖地を追われた聖ヨハネ騎士団の新たな根拠地ロードス島の歴史、そしてロードスの住民を抱えながらのオスマン帝国との攻防戦がドラマチックに描かれている。
    聖地を追われても、海賊としてオスマン帝国に立ち向かう騎士団。そしてロードス島を失って新たに辿り着いたマルタ島での復讐戦。不屈の精神で戦い続ける、宗教騎士団としての誇りを感じた。

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    2025年11月24日
  • ギリシア人の物語3―都市国家ギリシアの終焉―(新潮文庫)

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    これまでの2冊に比べると本が薄い。覚えておくべき新出の人物もいないような気がする。歴史は発生して繁栄して衰退して滅亡してがoneセットである。長く続いた影響力のある国家ほど、盛衰がわかりやすいから、研究もしやすいだろうし。この3巻ははっきり言って辛いものがあった。英雄のいない時代の話。

    『十字軍物語』シリーズでは、次数が後になるほど目的も履き違えた尻すぼみの感に堪えないところがあったが、ギリシア世界は違う。これからアレクサンダー大王が出てくるのだ。アレクサンドロス三世とは、もう次巻読まずにいうけれど、華々しさの結晶だろう。もう今から楽しみでしょーがない。

    父王フィリッポスの築き上げてきたも

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    2025年11月24日
  • ロードス島攻防記

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    騎士団対トルコ軍、城壁対大砲の攻防が物語的に描かれていて歴史を追体験しているかのような感覚になる。
    当時の騎士・貴族事情やヨーロッパの世情も言及されていてわかりやすい。
    エピローグまで読むと、歴史の巡り合いはかくも面白いものだなあと思う。
    アントニオとオルシーニの同性愛も、当時の騎士たちの一例、物語のスパイスとして楽しみました。

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    2025年11月21日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    それぞれの立場の要人たちの視点から描いたコンスタンティノープルの陥落。一つの大戦をここまでコンパクトに、かつ俯瞰的に描き切るのは見事。こんなふうに歴史を捉えられたら楽しいだろうな。
    ヴェネツィア海の都の物語を読んでいたので繋がる部分もあり面白かった。

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    2025年11月18日
  • レパントの海戦

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    地中海の戦さの三部作、完。今回は短期間での海戦でら前の二作とはまた趣かが違っていて面白かった。あとがきにもき記載があったが、塩野さんのヴェネツィアの民への愛情を強く感じました。自分は正直一作目が1番ワクワクしたけど、二作、三作目のロマンスもまた素敵でした。

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    2025年09月23日
  • ギリシア人の物語1―民主政のはじまり―(新潮文庫)

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    忘れもしない高校の倫理。何を学ぶのかもよくわからないまま、最初に必ず学ぶギリシア哲学の中には、政治体制の堕落した姿が提示されていた。民主政治の変わり果てた姿は"衆愚政治"と教科書にはあった。戦慄した。まさに今がそうではないか。歴史の中に既に答えがあるではないか。そう思ったのがもうかれこれ10年以上も前になる。今そこから何か変わったか?問いへの答えをここでは持たない。民主政を両手放しで受け入れるほど子供ではないし、独裁政を理想としたあの頃からは大人になっただろうか。

    初めて中学の図書室で塩野七生の『ローマ人の物語』を手に取ってからだいぶ経った。確か五賢帝くらいまでで読むのを

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    2025年09月12日
  • ロードス島攻防記

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    第一作目のコンスタンティノープルの陥落、ほどには強く印象に残らなかったけれど、どこか粋で清々しさして感じる良作。騎士団の気高い姿や、主要な登場人物たちが戦さの中で生き生きと描かれている様に、塩野さんらしい華やかで豊かな眼差しを感じて、あっという間に引き込まれて読み進めてしまいました。

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    2025年09月10日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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    中世のヨーロッパに、こんなにも革新的な皇帝がいたという事を本書を読んで初めて知った。
    そしてこれは、如何にして次世代に受け継いでいくか、現代のカリスマ経営者以後の企業のありかたにも通ずる。
    しかしローマ法王の執念深さは、ある意味凄い。

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    2025年09月04日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

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    『ローマ人の物語』など地中海世界の歴史を、人に焦点を当てながら長く重厚に書を起こしてこられた方の時事エッセイです。
    国を守るとはどういうことかを直言されていて、「寸鉄人を刺す」書だと感じました。

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    2025年08月10日
  • 男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章

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    男たちにとって、かなり手厳しいエッセイ。偏見ばかりの快刀乱麻。私的なことも、嘘が書けないところは歴史作家の性か。

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    2025年07月30日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

    匿名

    購入済み

    本作品が歴史書かどうかは議論されるところだが、あとがきを読むと塩野氏自身、いわゆる歴史学のアプローチには疑問を持っていたことがうかがえる。それに飽き足らず、独特の評論を挟んだ文になっているのだろうと感じた。

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    2025年07月26日
  • 逆襲される文明 日本人へIV

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    文藝春秋に2013年から2017年に掲載された塩野七生先生のエッセイ。気軽な文体のなかに、たまに鋭い名言が隠れているのが良きです。この世代の女性は気骨がありますよね。それでいてユーモアたっぷりで。憧れます。という事で、人生の道半ば女性の私にとっては、塩野七生先生は、理想の人生の大先輩です。

    すいません、恐れ多すぎること言いました。

    イタリアやヨーロッパに住んでいる人の生の声が読めるのも楽しいところです。とくにこの頃は、シリアからたくさんの難民がイタリアに流入していて、おまけに若年層の失業率は40%超え。やれ少子高齢化だ、社会保険料が…、と問題だらけの日本ですが、他国も大変なんだな…としみじ

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    2025年06月28日
  • 十字軍物語 第四巻―十字軍の黄昏―(新潮文庫)

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    現代でいえば最も評価されるであろうフリードリッヒ二世。無血で聖地イェルサレムを返還する。今までの十字軍史ではなかったこと。その無血を理由に当時では非難の的となる。宗教の厄介なところ。

    今まで苦労して苦労して細い地域を奪い奪われ、講和を結んで一時的でも平和があって、とやってきた十字軍国家も終わりが見えてきたのは、相手側の頭がすげ代わったから。これまで数多くの失敗がありながらもやってこれたのは、対するイスラム側が内輪揉めをしていたり、異教徒同士であっても、最低限の共存への意思があったから。その疎通がない相手となると簡単に崩壊する柔さを持った国家だった。

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    2025年05月19日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    ビザンチン帝国の首都、コンスタンティノープルがトルコ帝国によって滅ぼされた当時の記録をもとに書かれた ノンフィクション本。
    たくさん人が出てきて、それが ビザンティン帝国の人か トルコ帝国の人かビザンティン帝国を助けたベネチア人か中立を保ったジェノバ人かを理解するのが難しい。途中からメモをしながら読んだ。
    これからイスタンブール(この本で言うと コンスタンティノープル)に行くので歴史を知りたいと思い、読み始めた。
    ラストの陥落時に聖ソフィア大聖堂(今のアヤソフィア)で祈りを捧げる人がいたり、トルコ支配後に聖ソフィア大聖堂がモスクに改修されたりということが書かれていて、570年以上も前に歴史の大

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    2025年05月12日
  • ギリシア人の物語2―民主政の成熟と崩壊―(新潮文庫)

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    なんかあるとすぐローマと比較。
    誰か出てくるとすぐカエサルと比較。
    辟易!
    辟易だけど分かりやすく読めてしまうくらいにローマ中毒にさせられてる自分に気付く。

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    2025年04月28日
  • わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡―塩野七生ルネサンス著作集7―

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    マキアヴェッリを主人公にしたフィレンツェ共和国衰退期(16世紀初頭)のイタリアを舞台にしたルネサンスの時代を描いた歴史エッセイ。

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    2025年04月18日
  • 十字軍物語 第一巻―神がそれを望んでおられる―(新潮文庫)

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    十字軍が始まり、ボードワン2世が即位するまで。
    独特な塩野節は好き嫌いはあるかもしれないが、描かれる主要人物、とくにボエモンやタンクレディは実に生き生きとしている。彼らの地元イタリアの文献をいろいろと参照しているのだろうか。年齢にフォーカスを当てているのも特徴で、他の本だと何かと使い走りさせられる印象のあったタンクレディが若かったのはなるほど、とも思う。

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    2025年03月21日
  • 賢帝の世紀──ローマ人の物語[電子版]IX

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    今の日本の状況とちょっと比べながら読んでしまう。
    今の日本って後世の人にどう思われるかなと思って悲しくなる。
    箇条書きで感想書きます。

    ・トライアヌス、紀元106年の夏に、ドミティアヌス帝時代の講和により屈辱を味わわされていたダキアを征服。戦後の処理として、ユリウスカエサルの同化政策とは真逆の、非同化政策をとった。(捕虜を剣闘士試合で野獣や、捕虜同士で戦わせたり、故郷から追い出したりした。)ダキアはガリアと違って統一国家だったことが、同化政策が不可能だった一因みたいに書かれているけど、同化政策は取れなかったのか。寛容な同化政策にすごく感心したので、そこが引っかかった。

    ・トライアヌスは病に

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    2025年03月16日
  • イタリアからの手紙

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    2025.3.2
    初めての塩野七生さん。
    イタリアの美しさ、人々のユニークさがたまらないな。
    ある軍医候補生の手記、地中海、ナポレターノが好き。
    イタリア行きたくなる

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    2025年03月02日