塩野七生のレビュー一覧

  • 愛の年代記

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    背景はイタリア 愛憎物語
    暗い 重い 深い しかし、面白い
    ”フィリッポ伯の復讐” が一番心象に残る
    最後の一文を読んだとき思わず悲鳴をあげてしまった
    この話は読み手の胆と場所を選ぶ 

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    2016年03月18日
  • レパントの海戦

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    ネタバレ

     『海の都の物語』シリーズの続きであり、ヴェネツィア共和国の衰退の一歩を描く海戦シリーズの最終巻。どのシリーズでもそうであったがヴェネツィア共和国の人たちの祖国愛の深さに感嘆されるばかりであった。イタリア本国や島々で活躍する人、コンスタンティノープルに残りトルコ相手に交渉する人、教皇を説得する人と様々な人々の模様を描きながら海戦本番に載せていく構成は流石であり、とても面白かった。

     一度は失敗していても、次には成功させる。そのような粘り強い外交がヴェネツィア共和国繁栄の一因であったのであろう。そんな共和国がこの戦の後に衰退の一途をたどっていったというのは信じられないが、歴史であり国家というの

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    2016年01月23日
  • 愛の年代記

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    ネタバレ

    中世末期からルネサンスの時代に愛に生きていったイタリアの女性たちを描いた短編集。

    最初の『大公妃ビアンカ・カペッロの回顧録』から、『ジュリア・デリ・アルビツィの話』へのつながりが面白かった。主人公だったカペッロが次の話では悪役のように描かれていて、視点が変わるとここまで変わるのか、とこの時代のイタリアの恐ろしさを感じられた。
    他にも『エメラルド色の海』では海賊に惹かれる女性を描いたり、恋に踊らされる女性のみならず男性も描かれており多彩な物語を読めて面白かった。
    最後の『女法王ジョヴァンナ』も史実か伝説かわからないところが非常に興味をそそられた。塩野先生も書いていたが、現代の中でずっと男性社会

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    2016年01月20日
  • ローマ亡き後の地中海世界(下)

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    塩野七生氏が言うように彼女の作品の殆どは樹であったのだが、今回は森を書いている。

    中世5世紀から15世紀にかけての千年を地中海を、即ち広がりのある森を中心に描いている。

    その森の中には、レパントの戦い、ロードス島の戦い、コンスタンチノープルの戦いなどこれまで氏が書いた物語が含まれている。

    そして、ヴェネツィアと十字軍もこの森の中に含まれるが、それらはちょっと広がった林といえるだろう。

    歴史は地上を中心に形成されるのは確かであろうが、海である地中海に着目したのはなかなかの慧眼であろう。

    それまで地中海を「我が海」としていたローマ帝国が滅びたあと、なんと千年以上にもわたってそこは海賊が暴

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    2015年11月16日
  • ローマ亡き後の地中海世界(上)

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    塩野七生女子にしてはマイナーなテーマを選んでいる。

    地中海でイスラムの海賊が長年にわたって荒らしまわって、その勢いはイタリア占領の一歩手前まで行ったことを知らなかった。

    知っているのは、トゥール・ポワティエの戦いでキリスト教側がイスラム勢力をくい止め、ヨーロッパが救われたということだけ。

    十字軍のずっと前から始まり、18世紀まで続いていたことはマイナーなテーマどころか、キリスト教世界にボディーブローのようにダメージを与えてきたことは中世を知る上で欠かすことの出来ない歴史だろう。

    塩野女史の大好きなオトコマエの英雄は登場しないが、サラセン海賊に光を当ててくれたお陰で、中世が俄然面白くなっ

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    2015年11月11日
  • 日本人へ リーダー篇

    購入済み

    為になる。

    いろんな場面で、著者の塩野七生先生のことは聞いていましたが、今回初めて読ませていただきました。予想以上に興味深く読めました。

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    2015年07月30日
  • イタリア遺聞

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    本を書くのに集めた中で本編に使われなかったネタが多く載っている。

    1番面白かったのは、没落寸前のヴェネツィアと生まれたばかりのアメリカ合衆国間の手紙。
    なんと条約を結ぼうとしたのだ。驚いた。
    実現してたら面白かったのに。

    他にも後宮の話、ヴェネツィアのゴンドラはなぜ黒い?といったこぼれ話がたくさんある。
    ちょっととっつきやすい本。(個人的には)

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    2015年05月23日
  • 神の代理人―塩野七生ルネサンス著作集6―

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    中世ヨーロッパで「神の代理人」としてキリスト教世界に君臨したローマ法王をめぐる、政治的陰謀の数々を描いた本。おおむね史実通りに記述されている。バチカンの法王や枢機卿は政争に明け暮れており、地方の王侯貴族の方がよっぽど信心深いのが何とも…。在バチカンのヴェネツィア大使が「イタリア人は法王を人間だと思っているから平気で失脚させるけど、フランス人は法王のことを神の代理人とみなす深層心理が働き、とことん失脚させるところまで行動できない」と喝破した文章を残しているのが印象的。本書はいくつか前提知識がないと読みにくいところがあり、同じ著者の「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」と「海の都の物語」を

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    2015年03月08日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    いよいよカエサルのガリア戦記。塩野さんの筆も踊る。軍団の行程が年毎に地図で示され、部族名を記載されていて分かりやすい。借金の額、個人資金での軍団形成、暴力に訴えることになる中での法律重視、ローマ人の行動は本当に面白い。
    これだけの資料が揃っていることが驚き。パピルスの手紙がこれだけ現存するとは思えないので、後世に何度も筆写されているのだろうか。

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    2015年03月06日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    市民階級の拡大を途半ばに殺害されたグラックス兄弟。元老院の復権による共和制維持を目指すスッラと大衆の支持を基盤に政治を動かそうとする後継者達。民主制は独裁制に移行するということをきちんと押さえている塩野七海さんはさすが。マリウスとスッラによる報復の凄まじさには驚く。

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    2015年02月20日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    第1巻では、紀元前753年と言われているロムルス(ローマの語源)によるローマの建国から紀元前270年のルビコン川以南のイタリア半島統一までの約500年の期間を扱っています。著者をして「後にローマが大をなす要因のほとんどは、この五百年の間に芽生えはぐくまれたのである」と言わしめているように、後にローマ帝国として君臨する国家の基礎がつくられたのが、この500年に相当すると言えます。体力においても、知力においても決して優れていたとは言えない民族が、どのように国を作り出し発展させていったのか?また衰退していった原因などは、およそ2000年後に生きる僕たちにも大きな示唆を与えてくれました。

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    2014年12月03日
  • 危機と克服──ローマ人の物語[電子版]VIII

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    有名どころの皇帝の巻が終わった途端読むペースが落ちたが、読みはじめれば読んだでやはり面白い。
    ドミティアヌス帝の孤独に共感。治世後半のティベリウスも同じだが、皇帝としてやっていることはきちんとやっていてもっと評価されるべきなのに非業の最期を遂げる。。。唯一心を許せたのはユリアだったのか…。

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    2015年01月12日
  • わが友マキアヴェッリ フィレンツェ存亡―塩野七生ルネサンス著作集7―

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    「君主論」の作者で、マキャベリズム、マキャベリストなどの言葉の元になったニッコロ・マキアヴェッリの半生を、豊富な資料を元に描いた歴史読み物的作品。マキャベリスト(権謀術数主義者:目的達成のためには手段を選ばない人)の筆頭かと思えば、冷徹な思想家は彼の一面に過ぎず、実際には誠実な実務家であり、ユーモアをそなえた戯曲家であり、愛国心厚い歴史家でもあった。人間味あふれるマキアヴェッリの素顔に迫った読み応え十分の一冊。

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    2014年10月03日
  • ローマ世界の終焉──ローマ人の物語[電子版]XV

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    去年の秋から読み始め、やっと終わった。
    ローマ人はこんなだったんだ!と再認識。
    学校で教わった世界史では想像もできなかった。

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    2014年09月18日
  • ローマ亡き後の地中海世界(上)

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    この本で初めて奴隷救出のために何百年間も活動を続けた修道会や騎士団が存在したこと、その活動で何十万人も救出されたことを知りました。地中海での海賊被害を強く実感して、中世の地中海世界への認識が変わりました。

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    2014年09月05日
  • 日本人へ 国家と歴史篇

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    塩野七生さんが書いた自由気ままなエッセイ。一度も日本から出たこともない自分からすれば海外からみた日本はこんな感じなのだろうと思ってしまう。はっきりとした文体は、カッコいいし心に響く。
    このエッセイが書かれたのは2006年10月~2010年4月といった自民党政権崩壊から民主党政権に移った時期らへんでやはりちょっと一昔前の話題の感じがしてしまう。ただ今だから言える民主党与党の連立政権のドタバタ劇を過去の歴史と照らし合わせ予言していたところなどはさすがと思ってしまった。

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    2014年07月24日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    この巻のもっとも印象的な人は、ルキウス・コルネリウス・スッラ。他人に何を言われようが気にせず、物事をやり遂げるところがすがすがしい。ただし、反対派を殺戮、財産の没収・競売に至る容赦のなさもある。「スッラの言動は、常に「ドス」が効いている」とあるがさもあらん。普通の人は他の人からよく思われたい。敵に容赦しないという態度を貫くことは並大抵ではできはしない。「私財を貯めこむことに、生涯無関心であった」ともあり。今の政治家と正反対!お金の使い方を現代人は学ぶべきでは。
     また、高貴な生まれと裕福な環境人恵まれ、銀の匙をくわえて生まれてきたというグラックスの2人の兄弟。高貴でも裕福でもない人たちの権利を

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    2014年08月31日
  • マキアヴェッリ語録

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    マキャベリという人には驚かされる。
    人の本質を突っついているからだ。それも人の本質は昔も今もそこまで変わらないことも教えてくれる。

    この本はマキャベリが著書で残した言葉を抽出している。
    歴史からたくさんのことを学べる。それはマキャベリが生きていたころと変わらない。
    現代に生きる私たちにそう語りかけているのかもしれない。

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    2014年07月03日
  • マキアヴェッリ語録

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    いわずとしれた『君主論』からだけでなく、マキアヴェッリの諸著作から、著者の主観で選び出された言葉の数々。

    なるほどー。どんなに科学技術が進歩しても、所詮人間。歴史は繰り返すってのを最近よくわかるようになってきました。

    もう少し歴史を理解し、自分のこれまでの経験を振り返る。そして、今後経験するであろう未来に備える。次の40代はどんなだろう。

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    2014年06月16日
  • サイレント・マイノリティ

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    ネタバレ

    先だっての大阪市長選挙結果を観て、「大阪ももうアカンな」と思ってたところにこの本である。

    「一人の馬鹿は、一人の馬鹿である。二人の馬鹿は、二人の馬鹿である。一万人の馬鹿は、"歴史的な力"である」

    なるほど8割がたの積極的であれ消極的であれ候補に票を入れなかったその意見より、バカが集まって歴史的な力なったということか。民主主義の盲点突かれたか。

    歴史から学ぼうとせず「歴史は我々が作る」と行っている連中の行った政治がどういうものなのか…連中の「維新」という言葉の使い方が軽薄であることを見れば、いかに歴史を軽く見てるかが分かるのだけど…それでも、大阪市民はヤツを選んだ。

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    2014年04月01日