塩野七生のレビュー一覧

  • 最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII

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    ローマ帝国再建を目指した二人の皇帝ディオクレティアヌスとコンスタンティヌスが主人公。前者は帝国を分担して守ることで蛮族の侵入から守ることを目指し、後者は新都の建設、そしてキリスト教の公認という方向転換で帝国の再建を目指した。確かに、これらのことによってローマ帝国の延命には成功したと言えよう。しかし、その代償にローマ帝国はかつての姿とは別物になってしまう。軍や官僚の肥大が増税に繋がり、一神教のキリスト教を公認することで、多神教の世界が失われ、そして寛容の精神も失われていくのであった。

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    2017年12月11日
  • 終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XI

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    なぜ優れた賢帝の時代に「帝国の衰亡」が始まったのか?が本書の主題です。本書では五賢帝の最後マルクス・アウレリウスから息子のコモドゥス、そして内乱を経てのセプティミウス・セヴェルスの治世までが記述されています。西暦でいうと紀元121年から212年までのおよそ90年間が本書の範囲となります。主題への解答は本書に任せますが、まさに賢帝の時代に衰亡への種がまかれていたことがよくわかりました。

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    2017年11月07日
  • 逆襲される文明 日本人へIV

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    ネタバレ

    パワーフレーズ
    「その面の専門家である学者たちは、知っていることを書いているのです。専門家ではない私は、知りたいと思っていることを書いている。だから、書き終えて始めて、わかった、と思えるんでふね」

    痛快爽快、このラフでいてロジックのある思考を日本の政治家も見習ってくれないかしら。とても面白く、希望が湧いてくる一冊。絶望の中に希望を見出すことを問いかけてくれた一冊。

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    2017年11月04日
  • すべての道はローマに通ず──ローマ人の物語[電子版]X

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    塩野七生によるローマ人の物語の第10巻。この巻はシリーズの他の作品と異なりインフラというテーマに絞って書かれている。ローマ人のインフラへの考え方から、なぜローマ帝国は人類史上類をみないほどの成功を納めたのかを探っている。インフラはハードなものとソフトなものに分けられており、前者は街道や橋、水道などで後者は医療と教育についてである。シリーズのこれまでの内容を総括する上でも、今後の内容を先取りする意味でも意義深い一冊となっている。

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    2017年10月14日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    カエサルは、歴史上の人物の中でも最も好きな人物である。

    以下は、この巻と前巻に記述された「カエサルの思考、行動」について。

    ・生涯を通じて彼を特徴づけたことの一つは、絶望的な状態になっても、機嫌の良さを失わなかった点である。

      → 楽天的でいられたのも、ゆるぎない自信があったからだ。

    ・カエサルは、自分の考えに忠実に生きることを自らに課した。
     それは、ローマの国体の改造であり、ローマ世界の新秩序の樹立であった。

    ・失敗の挽回には、二つの方法があるが、カエサルは後者の代表格であった。

     1)失敗に帰した事態の改善に努めることで、不利を挽回する人。

     2)それはそのままで、ひとま

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    2017年09月17日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    カエサルは、歴史上の人物の中でも最も好きな人物である。

    以下は、この巻に記述された「カエサルと女性」について。

    ・カエサルは女にモテただけでなく、女たちに誰一人からも恨まれなかった。

      → 醜聞は女が怒ったときに生じる。
       では、なぜ女を怒るか? 怒るのは傷つけたからであう。

    ・カエサルは、愛人の存在を誰にも隠さなかった。

      → 公然ならば、女は愛人であっても不満に思わないから。

    ・カエサルは、次々とモノにした女たちの誰一人とも、決定的には関係を清算しなかった。

      → 愛人関係が切れた後でもカエサルは、彼女らの願いならばかなうように努めた。

    ・女が何よりも傷つくのは、

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    2017年09月17日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    ルネサンス時代のローマ周辺を塩野さんが対話形式で書き進める物語。
    異世界に入って行ったような錯覚を覚えます。
    前提知識はあまりなくても楽しめると思います。

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    2017年09月09日
  • レパントの海戦

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    ヴェネツィア共和国を中心としたキリスト教国家と、強大なイスラム教国家トルコとの海戦です。
    十字の旗を掲げての最後の海戦であり、地中海覇権の分水嶺と言えます。
    ヴェネツィアとトルコは地中海での貿易経済に依存していましたが、スレイマン没後のトルコでは反欧が盛り上がります。
    血を流さない戦争、血を流す政治、血を流さない戦争を駆け抜けた二国ですが、経済を停滞させたことで自ら首を絞める結果に終わります。
    地中海世界全体の緩やかな衰退が見える一冊。

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    2017年08月28日
  • ロードス島攻防記

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    聖ヨハネ騎士団がロードス島防衛に敗北し、若きイスラムの長スレイマンに開城する、歴史的分岐点の物語です。
    イスラム世界は異教徒に対して寛容であり、征服者として優れていたと思われます。
    ロードス島征服においても、騎士や住民に対して蛮行は少なく、紳士的な交渉によって解決へ向かいます。
    極めて洗練された外交(戦争も含む)は無駄がなく、更には双方に人間的な余裕を与え、望ましい結果へ導きます。
    当事者だけでなく、後世の我々も心地よく感じることのできる一冊。

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    2017年08月18日
  • 神の代理人―塩野七生ルネサンス著作集6―

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    読んで、一番面白かった章は、やはり、アレッサンドロ六世の章。法王としては現実主義すぎるかもしれないが、統治者としては安心できる。アレッサンドロの突然の病没がなければ、ローマの歴史は、全く異なっていたのではと思う。

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    2017年06月16日
  • マキアヴェッリ語録

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    この本に出合ったのは、社会に出て2年目でした。
    マキャベリの有名な「君主論」だけでなく、「政略論」「戦略論」「フィレンツェ史」などのエッセンスが集約された、塩野さん流のアレンジ書です。
    この本に限っては、何度も読み直しています。
    人生訓として。

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    2017年05月07日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    いよいよ、ルビコン渡河以降のカエサル(シーザー)。ポンペイウスとの戦い、ローマ掌握、暗殺、クレオパトラとアントニウスまで。
    ローマの版図が拡大し元老院による共和制の限界が見えた状況の打破としての専制政治、帝政への移行。ローマが辿った政治制度の分析に納得。塩野七生のシーザー大好き感もたっぷり。プロヴィンスはそもそも属州のこと、等、イタリア愛、フランスへの対抗意識も見えて面白い。

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    2016年10月27日
  • レパントの海戦

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    塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」三部作の最後の一つ。
    強大なトルコがキプロスを攻略して我が物とし、その後クレタ島を攻略してクレタ島は陥落寸前であった。トルコは東地中海の覇権を確保しつつあり、ベネチアは支配地域だったキプロスを失い、その上クレタまで失い、海洋通商国家としてトルコと通商関係を破棄ししてでも対決せざるを得ない状況にあった。
    しかし、東の超大国トルコに対してヨーロッパの結束は心許ない状況であり、ローマ法王の権威は低くヨーロッパ各国が領土争いをしていたため、ローマ法王が対トルコの十字軍をなかなか結成できない状態だった。そういった中で、ベネチ

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    2016年09月19日
  • サロメの乳母の話

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    ネロに双子の兄がいたとは⁉

    歴史上の史実を一人の人物の目線から、告白されていて、後半から特に引き込まれて読みました。特に暴君と呼ばれている皇帝ネロに双子の兄がいて、凄まじい精神の崩壊ぶりを見せる治世も凡人にも理解できるように描かれてますね。

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    2016年09月19日
  • ロードス島攻防記

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    歴史に興味があるわけではなく、聞いたこともない島での戦いを綴ったこの小説は、家に読むものがなくて渋々読み始めた。
    やっぱり読み始めは、外国の慣れない単語、宗教、歴史、地理などと興味が湧かず頭に入っていかないのだが、途中からだんだんとパズルが繋がっていき、面白くなってどんどん読み進めた。
    1500〜1530年のどこの国というわけではない、ロードス島という特殊な背景にある島で起こったひとコマの物語。あらすじを読んだだけでは絶対に読みたいと思えない小説が、ドラマチックに描かれ、エンターテイメントであるのと同時に観光、地理、歴史書の類いでもあると言っていい。
    何より、著者の状況説明や背景の描写が素晴ら

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    2016年12月06日
  • 愛の年代記

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    背景はイタリア 愛憎物語
    暗い 重い 深い しかし、面白い
    ”フィリッポ伯の復讐” が一番心象に残る
    最後の一文を読んだとき思わず悲鳴をあげてしまった
    この話は読み手の胆と場所を選ぶ 

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    2016年03月18日
  • レパントの海戦

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    ネタバレ

     『海の都の物語』シリーズの続きであり、ヴェネツィア共和国の衰退の一歩を描く海戦シリーズの最終巻。どのシリーズでもそうであったがヴェネツィア共和国の人たちの祖国愛の深さに感嘆されるばかりであった。イタリア本国や島々で活躍する人、コンスタンティノープルに残りトルコ相手に交渉する人、教皇を説得する人と様々な人々の模様を描きながら海戦本番に載せていく構成は流石であり、とても面白かった。

     一度は失敗していても、次には成功させる。そのような粘り強い外交がヴェネツィア共和国繁栄の一因であったのであろう。そんな共和国がこの戦の後に衰退の一途をたどっていったというのは信じられないが、歴史であり国家というの

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    2016年01月23日
  • 愛の年代記

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    ネタバレ

    中世末期からルネサンスの時代に愛に生きていったイタリアの女性たちを描いた短編集。

    最初の『大公妃ビアンカ・カペッロの回顧録』から、『ジュリア・デリ・アルビツィの話』へのつながりが面白かった。主人公だったカペッロが次の話では悪役のように描かれていて、視点が変わるとここまで変わるのか、とこの時代のイタリアの恐ろしさを感じられた。
    他にも『エメラルド色の海』では海賊に惹かれる女性を描いたり、恋に踊らされる女性のみならず男性も描かれており多彩な物語を読めて面白かった。
    最後の『女法王ジョヴァンナ』も史実か伝説かわからないところが非常に興味をそそられた。塩野先生も書いていたが、現代の中でずっと男性社会

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    2016年01月20日
  • ローマ亡き後の地中海世界(下)

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    塩野七生氏が言うように彼女の作品の殆どは樹であったのだが、今回は森を書いている。

    中世5世紀から15世紀にかけての千年を地中海を、即ち広がりのある森を中心に描いている。

    その森の中には、レパントの戦い、ロードス島の戦い、コンスタンチノープルの戦いなどこれまで氏が書いた物語が含まれている。

    そして、ヴェネツィアと十字軍もこの森の中に含まれるが、それらはちょっと広がった林といえるだろう。

    歴史は地上を中心に形成されるのは確かであろうが、海である地中海に着目したのはなかなかの慧眼であろう。

    それまで地中海を「我が海」としていたローマ帝国が滅びたあと、なんと千年以上にもわたってそこは海賊が暴

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    2015年11月16日
  • ローマ亡き後の地中海世界(上)

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    塩野七生女子にしてはマイナーなテーマを選んでいる。

    地中海でイスラムの海賊が長年にわたって荒らしまわって、その勢いはイタリア占領の一歩手前まで行ったことを知らなかった。

    知っているのは、トゥール・ポワティエの戦いでキリスト教側がイスラム勢力をくい止め、ヨーロッパが救われたということだけ。

    十字軍のずっと前から始まり、18世紀まで続いていたことはマイナーなテーマどころか、キリスト教世界にボディーブローのようにダメージを与えてきたことは中世を知る上で欠かすことの出来ない歴史だろう。

    塩野女史の大好きなオトコマエの英雄は登場しないが、サラセン海賊に光を当ててくれたお陰で、中世が俄然面白くなっ

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    2015年11月11日