【感想・ネタバレ】ローマ亡き後の地中海世界(下)のレビュー

あらすじ

コンスタンティノープルを陥落させ、トルコは西欧への攻勢を強めるばかりだった。イスラムの海賊の頭目「赤ひげ」は、ついにトルコ海軍総司令官に昇り詰める。迎え撃つは、キリスト教国連合軍の名将、アンドレア・ドーリア。周辺各国のパワーゲームも熾烈を極める中、この両巨頭の攻防の行方は? 劇的に描き出される完結編。※当電子版は単行本下巻(新潮文庫第3巻、第4巻)と同じ内容です。地図・年表なども含みます。

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Posted by ブクログ

地中海での海賊の動きを中心にローマ後から近世までの地中海世界を描ききった作品。前半は海賊の暴れ放題で意気消沈するが、後半はマルタ攻防戦の勝利で、胸がすく思いであった。ヨーロッパVS海賊は、ヨーロッパVSトルコという構図であったことがよく理解できた。トルコという国名では、EUに加盟するのは心情的に考えるとかなり厳しいということをあらためて感じている。また、海賊の撃退は、ほとんど近代になってからという事実も予想に反したところ。この下巻を読んで、また塩野本を読み直したくなった。

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2018年11月12日

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塩野七生氏が言うように彼女の作品の殆どは樹であったのだが、今回は森を書いている。

中世5世紀から15世紀にかけての千年を地中海を、即ち広がりのある森を中心に描いている。

その森の中には、レパントの戦い、ロードス島の戦い、コンスタンチノープルの戦いなどこれまで氏が書いた物語が含まれている。

そして、ヴェネツィアと十字軍もこの森の中に含まれるが、それらはちょっと広がった林といえるだろう。

歴史は地上を中心に形成されるのは確かであろうが、海である地中海に着目したのはなかなかの慧眼であろう。

それまで地中海を「我が海」としていたローマ帝国が滅びたあと、なんと千年以上にもわたってそこは海賊が暴れまわる世界であったことを知っている人は少ないのではないか。

当然、海賊がヨーロッパ世界に与えた影響は小さくない。
小さくないどころか、地中海はキリスト教とイスラム教が相対する主戦場であったのである。

両宗教の対立といえば、十字軍や、ポワティエの戦いや、コンスタンチノープルあるいはウィーン攻防戦を連想しがちだが、海上の戦いもそれに劣らず歴史に大きな影響を与えていたのである。

しかしながら、正規軍対正規軍にスポットライトが当たり、海賊という非正規軍との戦いは日陰に追いやられざるを得ない。

地中海北岸の村や都市が海賊によってどれほどの被害を蒙ったか、その影響は計り知れない。

その日陰の部分にスポットライトを当てた塩野氏の功績は大と言えるだろう。

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2015年11月16日

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2003年の12月、ということは、もう7年以上前の話になるけれども、グラナダのアルハンブラ宮殿を訪問したことがある。名前からしてそのものであるが、アルハンブラ宮殿はイスラムの宮殿である。ということは、その昔、イベリア半島・スペインは、イスラムの勢力下にあった時期がある、ということだ。
アラビア半島はメッカで生まれた預言者モハメッドがイスラム教の布教を開始したのが紀元613年ということなのであるが、その後、イスラム勢力は驚くべきスピードで勢力範囲を拡大していく。642年に現在のエジプトをイスラム化、そのまま北アフリカを西方に勢力を拡大していき、ジブラルタル海峡を渡りスペインに達したのが710年頃。東方、北方へも勢力を拡大し、現在の中東を勢力下におき、遠く中央アジアのサマルカンドやタシケントに到達したのが750年頃。古代ローマ帝国が滅亡した後の地中海世界は、このイスラム勢力とヨーロッパキリスト教世界とのせめぎ合いの場となる。これは、イスラムが勢力を伸ばし始めた頃から始まり、十字軍遠征時代も、東ローマ帝国のコンスタンチノーブル、今のイスタンブールがトルコにより陥落して後も、またイタリア半島でルネッサンスが起こった後も、要するに1,000年間続いた構造なのである。
この本は、その間の様々な出来事を、「ローマ人の物語」と同様の物語風の語り口によって綴ったもの。たぶん、好き嫌いが、ものすごくはっきりと分かれる本だと思う。面白いと思えば、これほど面白い本はあまりないと思うだろうし(僕がそうだ)、この時代のこの地方の話に興味が持てなければそれまでだろう。
この本のいわば前史にあたる「ローマ人の物語」も非常に好きな本で、好きな本なので、多くの人に勧めたのだけれども、実際に読んで、「面白かった」と言ってくれた人は、残念ながら、比率的にはそんなに高くなかったので、そんなに一般受けする本なのではないのかもしれない。

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2011年07月25日

A

購入済み

地中海の島や都市はなかなか馴染みがないのですが
適宜地図が掲載されているので
とても読みやすかったです。
現代はキリスト教側が優勢な印象ですが
イスラム教側が優勢な時代もあったのだと
勉強になりました。

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2023年11月01日

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ローマ人の物語が完成し、早2年(だと思う)。10年以上の歳月を費やし、あれだけの大作を仕上げたのだから、もう七生さんの、新刊を読むこともあるまいと思っていただが、そうは問屋がおろさないとばかりに、「ローマ亡き後の地中海世界(上下巻あわせて800ページ)」の大作をこの短時間で仕上げてくるとは、まだまだエネルギーに満ちて溢れております。 内容は、西ローマが滅んだ直後から、近代が始まる直前までの地中海の勢力争いについて。イスラムの興隆、キリスト国同士の反目、両陣営のイデオロギーのぶつかりあい、イデオロギーなど感知しないベネチア、イスラム後ろ盾を得た海賊などが織り成す地中海世界の混乱は、パックス・ロマーナを作り出したローマの偉大さをあらためて浮き彫りにする。

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2018年10月23日

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本棚を温めていた2冊を読むことができた。実は初めての塩野七生だったが、すばらしきストーリーテラーに導かれ、完全に地中海をタイムトラベル。海賊といえば、ワンピース並みにキャラの濃い実在の人物たちが生き生きと描かれ、著者がいうように樹と森のうち森がテーマな本書だけど、ちょこちょこ面白い逸話(=樹)を混ぜてくれる。読むの大変だけど、いっきに読むべし!

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2016年04月06日

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下巻はコンスタンティノープルの陥落後、いよいよオスマントルコの勢力が地上でも海上でも西欧の脅威となっていた時代。オスマントルコ軍は赤ひげというギリシャ人海賊の頭目を海軍の司令官にしし、以後有力な海賊たちを利用することで、対西欧の海上での戦力としていた。一方西欧側もジェノバ人アンドレア・ドーリアなど、海上戦術に優れた指揮官を登用することで対イスラムの海上防衛を組織的に行うかに見えたが・・・。 当時の強国スペイン、フランス、そして交易国家のヴェネチア、さらにローマ法王庁のそれぞれの利権とキリスト教国としての立場が錯綜していて、まあ統制のとれないこと!よく500年後の今現在EUというひとつの共同体を組成できていると思う。そもそもイタリアという国もよくひとつの統一国家に成れたと思うけど。それも戦争の功罪?
この本は主にヴェネチア共和国を軸に描かれているように思うが、1600年代以降の記述がないのは残念だと思う。でも、地中海が世界の中心であった時代は確かにここまで。以後新大陸の発見で舞台は大西洋へと移ってく。
上巻は海賊と奴隷の話に終始していたが、時代が下るにつれ、今巻では突出した個人が活躍しているので、読みやすさではこちらかな。でもあまりに登場人物が多くて混乱してしまいます。
少し前に「コンスタンティノープルの陥落」を読んだばかりだったので、入っていきやすかったですね。

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2013年11月22日

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巻末には14頁にわたる参考図書が記載されているが本文中に書名が出てくることはない。これこそ歴史小説だと思う。自署についても最初に注意書き、後は注釈程度で良かったと思うが。
欧州諸国の何故は充分読み応えがあるが、イスラム世界側は今ひとつである。その地に今立っても書いている時代に戻れたほどの資料は集まらなかったのだろうか。肖像画などビジュアルがないことも影響しているかもしれない(イスラムでは自画像は御法度らしい)。ローマ時代には緑豊かな農業地域であったという北アフリカが、緑化も困難な土地になってしまった経緯をもっと知りたかった。住み着いた人々の民族性だけが問題だったのだろうか。海賊産業に貿易業は無理だったのは理解できるが、周辺企業?の人々はどうやって食べていたんだろう。
一神教は度し難い。人が人のために作ったものであるとつくづく実感した。

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2012年12月23日

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 本書では、1453年のビザンチン帝国の首都コンスタンチノープルの陥落以降の地中海世界の歴史を描いている。この時代以降、イスラム教とキリスト教の対立は「大国のパワーゲーム」の世紀となる。オスマン・トルコのスルタン、スレイマン。フランス王フランソワ1世。スペイン王で神聖ローマ帝国皇帝でもあったカルロス。そしてローマ法王パオロ3世。キャラの立つ登場人物が繰り広げる国際政治は、現在といささかも変わらぬリアルでシビアな冷酷さを持ったものであると感じた。
 著者は戦いの描写がうまく、おもしろい。それぞれの勢力の背景である社会制度や経済状態、また文化の違いの描写は詳細にわたっており、興味深い。
 「マルタ騎士団の戦い」は、読んで人間の残忍さとともに、血湧き肉踊るワクワク感をも感じた。全ての力を振り絞った戦いには残酷さとともに感動をも覚える。そして、戦いの最終決戦のような「レパントの戦い」(1571年)へと物語りは盛り上がる。
 地中海世界におけるイスラムの海賊は、正規の事業として運営されていたことが本書で詳細に紹介されている。時代と価値観が違うとはいえ、あまりにもむごいと感じた。我々が「海賊」というと、ディズニーのカリブの海賊を思い浮かべるが、この地中海世界ではつい最近まで多くの「海賊」が跋扈しており、あらゆる海賊行為の厳禁を宣言した「パリ宣言」が成立したのは1856年だったことを本書は教えている。本書は、「平和」の価値と、それが成立するための条件をいろいろと考えさせてくれると思った。上・下巻ともに飽きずに読める良書であると感じた。

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2012年01月11日

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7世紀から18世紀まで地中海世界の歴史は、北アフリカから来襲してくるイスラムの海賊なしには物語ることはできない。

現在の地中海の観光地のほとんどが、かっては海賊に荒され人も住まない地であった。

1740年、トルコは「海賊禁令」に国として調印、海賊は政府公認の「コルサロ」は無くなり私的な利益の「ピラータ」に戻った。
1830年、フランスによるアルジェリアの植民地化の開始
1856年、あらゆる海賊行為を禁止する「パリ宣言」が成立。

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2011年12月30日

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国や民族でなく地中海という視点からの歴史。
ローマ人の「我らが海」のローマ亡き後の話。以外と世界史知らないなぁと。ザビエルとか無敵艦隊とか知ってたことが横・縦で交わったと感じた。

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2010年05月24日

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ローマ亡き後の地中海世界は、海賊の歴史であり、イスラム教とキリスト教の戦いの歴史でもある。
塩野七生の既刊三部作「コンスタンチノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」につながる物語である。
途中退屈な部分もあったが、最後は一気に読み終わった。

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2010年04月24日

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上巻だけでは不足なので下巻。すぐ出たこともプラスに評価したい。歴史を見ることで未来が見えるとは限らないが現在の見通しはよくなるのではないだろうか。

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2009年10月07日

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塩野七生 「 ローマ亡き後の地中海世界 」

ビザンチン帝国滅亡(コンスタンティノープル陥落)、レパントの海戦など イスラム教とキリスト教の戦い。宗教対立というより プロ同士の戦いなので お金の流れが止まったときに 戦いも沈静化している。

ローマ帝国史のような皇帝個人の英雄伝ではなく、海賊、海軍、騎士団といった 組織対組織の戦いに スポットを当て、著者は 海賊の終わりをもって ローマ亡き後の地中海世界を 終わらせている


宗教的背景が複雑で 登場人物も多いので、少し詰め込みすぎな印象を受ける。再読する時は 海賊目線で地中海世界を見る

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2019年10月04日

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西ローマ帝国滅亡から17世紀くらいまでの地中海の情勢を解説する本。

地中海の東と南はイスラムの勢力下になり、地中海の北側のキリスト教との争いに明け暮れる。
特に印象的なのはイスラム勢の海賊が、主にキリスト教をさらって奴隷にする。それを開放するために騎士団が金で買い戻すという歴史がずっと続くというもの。
キリスト教側は聖ヨハネ騎士団と聖ステファノ騎士団はイスラム圏に海賊行為をし返すが、それ以外は防戦一方という印象だ。
イスタンブール、エルサレム、スペイン、地中海の島々などを取ったり取られたりの繰り返し。本編とは関係ないけど個人的に中東の問題の根深さを感じた。

著者は本書の期間中に起きた十字軍遠征、コンスタンチノープル陥落、ロードス島攻防、レパントの海戦、などは個別の著作として既にあるので、その辺りは割愛されてあっさりと書かれている。
詳しく書かれているバトルはマルタ島攻防くらいだが、熱量が高めで描かれていて面白い。

例によって筆者の思いがよく現れており、静養びいき、イタリアびいきが随所に現れる。
中世西洋〜中近東の歴史の流れを知りたい人にオススメです。

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2019年05月16日

Posted by ブクログ

以前紹介した塩野七生さんの『ローマ亡き後の地中海世界』の下巻であり、キリスト教世界が地中海でようやくイスラームに対して積極的な政策に出ようとする15世紀頃から、地中海におけるキリスト教勢力とイスラーム勢力との対立でキリスト教勢力が優勢となる「きっかけ」となった1571年のレパントの海戦、そしてその後のヨーロッパ人が海を見る目が地中海から大西洋へと移っていく16世紀終わり頃までを描いています。近年の歴史学は、口さがない人にいわせれば“判官贔屓\\\"といわれるかもしれません。それまでスポットの当たっていなかったものにスポットをあて、普通の人や社会的「弱者」の歴史的役割を重視する傾向があります。それは歴史学の「発展」といっていいものだと思います。その流れに乗ってか、最近高校世界史の教科書でも近現代における欧米を中心とする記述からイスラームなどにも十分に紙面を割くようになってきました。そこでは、イスラーム文化の独自性やイスラームが持つ元来の「平和主義」が強調されています。曰く「コーランか剣か」という言葉は、キリスト教世界側がイスラームという宗教の「頑迷」さを強調しようとして広めた「造語」であると。確かに、欧米諸国の社会・文化を「自由」「理性的」とするのに対しイスラーム文化を「教条」「野蛮」という風に教えるのであればそれは変えていかねばなりません。しかし、当時のヨーロッパ人にとっては地中海を渡るイスラーム教徒はやはり「野蛮」で「残忍」と映っていた。そういった同時代的な歴史の見方からこの本は書かれていると思います。もちろん、塩野先生の参考文献が「ヨーロッパ側」の文献に偏っているかもしれません(巻末に参考文献が書かれてあるが、ほとんどが欧米文献であり、それがどういった歴史的視点から書かれたものかは判然としない)。しかし、私のような歴史にたずさわる者に対し、この本は「歴史学の成果について、常に批判的な態度でもって接しなさい」と訴えるものでした。

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2010年01月04日

Posted by ブクログ

上巻は12月・・・下巻は1月末日・・・読み終えたのは三月の初日〜コンスタンティノープルが陥落し,スルタン・マホメッド2世の時代からエーゲ海に進出すると海上戦力としての海賊に気が付き,イオニア海から西地中海へと出ていくクルトゴルが有名であるが,法王庁も海軍を創設し「神聖同盟」で撃退しようとする。スペイン王カルロス5世,フランス王フランソワ1世,スレイマン1世の中では神聖ローマ皇帝が6歳若い。メディチ家出身の法王レオーネ10世は聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)の共闘を成立させ海賊「ユダヤ人シナム」のNo1の地位を落とさせたが,海賊赤髯(バルバロッサ)がトルコ海軍総司令官の地位を手に入れる。ジェノヴァ出身の傭兵隊長アンドレア・ドーリア(ジェノヴァ有力家系)がカルロスの意を請けて海賊退治に活躍する。スペインに対抗したいフランス王はトルコと同盟し,対トルコ連合艦隊はプレヴェザで戦わずに敗れ去る。赤髯の配下にはドグラーというイタリア出身の海賊が出現し,バルバロッサは国賓としてフランスに招かれる。アルジェの攻略もドグラーの本拠地であるジェルバの攻略も失敗したが,フィレンツェが作った聖ステファノ騎士団が結成されると形勢はキリスト教陣営に傾いていく。その転機はマルタ島の攻防戦。スレイマンの大軍は撃退されて,ヴェネツィア支配下のキプロスを攻略すると,ヴェネツィア主導の連合艦隊が結成され,レパント海戦でトルコ配下の海賊を蹴散らし,ヨーロッパ勢は勢いがつく。地中海沿岸に領地を持つ貴族たちは防衛に必死になり,聖ステファノ騎士団はイスラム海賊と同じ手口でイスラム勢を追い込む。スルタン・セリム1世の母はヴェネツィアの貴族の娘であり,ヴェネツィアの利益に反する宰相は暗殺される。1740年にトルコは国として「海賊禁令」に調印し,北アフリカの主要都市で海賊禁止法が適用され,1830年にはアルジェリアがフランスの植民地となり,1856年には,あらゆる海賊行為の厳禁を宣言した「パリ宣言」が成立して,地中海から海賊は消滅したが,世界の中心も大西洋岸への移動する〜マルタ騎士団は貴族の家系でなくては入れなかったが,聖ステファノ騎士団は誰でもOKで,トルコ帝国もイスラム教徒であれば,運と才能でのし上がることができた。庶民にとってはイスラムの方が楽しそうだな。それにしても「別の著作に譲るとして」が多いこと,多いこと。他の本も売ろうとして書いたのと思ってしまう

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2012年02月21日

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