塩野七生のレビュー一覧
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紀元337年、皇帝コンスタンティウスから、紀元395年皇帝テオドシウスの死まで。
「権力者に対する陰謀の成否の鍵は、排除した権力者の代わりに誰をその地位に就けるかにかかっている」
「アリウス派とアタナシウス派(カトリック)の対立、異教徒よりもキリスト教徒内の異端への憎悪、一神教の本質そのものが排他性にある」
「本音は脱税にある聖職者コースへの転出、キリスト教会に属する聖職者は免税にと決まった。地方自治体の有力者層が、雪崩を打ってキリスト教化した真因は、これにあった」
「ユリアヌス副帝就任、人間は社会的な動物である、他者に必要とされていると言う自覚は、非常な喜びを感じさせる。責任感と高揚感のカク -
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紀元284年、ディオクレティアヌス帝の即位から、紀元337年、コンスタンティヌス帝の死まで。
いよいよキリスト教が迫害から公認へ、「ミラノ勅令」から「ニケーア公会議」へ。
「利益の社会還元・・・富裕層には公共心に訴えるだけでなく、虚栄心にも訴える、人間は形に遺るとなれば、より一層やる気を起こすものなのである」
「一神教・・・権力でも権威でも、それが多くの人や神に分与される状態では絶対的な存在ではなくなる」
「マクセンティウス、コンスタンティヌスに敗北。敗北とは何であるかを考えさせる、昨日までの皇帝が暴君に一変する」
「紀元313年ミラノ勅令、キリスト教がローマ皇帝によって公認された」
「小 -
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紀元211年、皇帝カラカラから紀元284年、皇帝カリヌスまで。
ローマ帝国「3世紀の危機」次から次へと皇帝が謀殺される危機の時代、筆者の調査力・筆力に感嘆するばかり、「塩野ローマ」に引き込まれている。
「属州民へのローマ市民権・・・人間はタダで得た権利だと大切に思わなくなる」
「人間は所詮、全員平等でいることには耐えられず、何かで差別しなければ生きていけないのかもしれない」
「ローマ市民権・・・誰でも持っているということは、誰も持っていないことと同じ、ブランドは死んだ」
「「人間とは、事実だから信ずるのではなく、事実であって欲しいと思う気持ちさえあれば信じてしまうもの」
「人々を一つの運動 -
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紀元161年、第16代皇帝マルクス・アウレリウスから、紀元211年、第20代皇帝セヴェルスまで。
「パンテオン・・・すべての神々に捧げられた神殿、優れた建造物は必ず、それを建てた人間の哲学を体現している。パンテオンでは、守ってくれる神々に囲まれて立つ、人間が主人公になる、多神教古代の精神を具象化したローマ帝国の哲学でもある」
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶという格言があるが、両方ともが不可欠である」
「思考も筋肉と同じで、絶えざる鍛錬を必要とする、思考怠慢が続くとカンも鈍ってくる」
「一神教の神は人間に生きる道を指し示す神だが、ギリシャ人やローマ人の神々の役割はその人間の努力を援護する -
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第10巻はハードなインフラ(街道・橋・水道)とソフトなインフラ(医療・教育)、各地の遺跡の写真と地図など。
「賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、歴史は知識だがそれに血を通わせるのは経験」
「パレスチナ・コソボ・マケドニア・・・民族間の紛争の解決は、民族自決を唱えてしまった現代、ますます遠くなりつつあるのかもしれない」
「神頼み、人間誰でも身体の具合が悪くなると不安になるもので、頼れるものがあれば何にでも頼りたいという心境になる」
「神頼みだからといって非科学的と断定できない。休暇・体力面でのふるい・粗食による清浄化・温泉・同病相憐れむの環境」
「人間とは無意識にしても、意外と利己的な存在である