塩野七生のレビュー一覧

  • 悪名高き皇帝たち──ローマ人の物語[電子版]VII

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    ヨーロッパの歴史ができる様子を眺めているように本書に引き込まれる

    歴史の事実が著者により、現代の出来事、人物に感じられるように描く著者に脱帽


    神君アウグストゥスの後に続いた、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝時代の物語。

    ネロを最後にカエサルから続くユリウス・クラウディス朝は終焉する。

    後の歴史家タキトゥスによって悪評ばかりが目立つこれらの皇帝を暖かい目で再評価した作品、と感じた。
    文中ではタキトゥスの悲観的な記載に対する苦言が散見される。

    ティベリウスは立派で非常に共感できる部分が多い
    ネロが暴君ネロとして歴史上、有名な理由には納得がいかない

    各皇帝とも個性的で、本人の意思とは裏腹に、それぞれの理由で元老院や人民の支持を失っており反面教師として学ぶに良い教材。

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    2010年03月13日
  • 海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(上)―塩野七生ルネサンス著作集4―

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    史上最も長い政体を保ったヴェネツィア共和国の1000年の歴史を語る塩野七生女史の長編。

    地中海史において、強国として君臨し続けたにもかかわらず、日本でその歴史を記載した書籍があまり多くないだけに、通史を読みやすく構成してくれた女史の力量に感謝。

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    2010年02月17日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    ペリクレスの言葉が秀逸。学生時代に読もうとして挫折したと記憶していたが、今、読んでみるとはまった。なぜ??

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    2011年10月23日
  • 悪名高き皇帝たち──ローマ人の物語[電子版]VII

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    神君アウグストゥスの後に続いた、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝時代の物語。ネロを最後にカエサルから続くユリウス・クラウディス朝は終焉する。
    後の歴史家タキトゥスによって悪評ばかりが目立つこれらの皇帝を暖かい目で再評価した作品、と感じた。文中ではタキトゥスの悲観的な記載に対する苦言が散見される。
    ティベリウスは立派で非常に共感できる部分が多いが、各皇帝とも個性的で、本人の意思とは裏腹に、それぞれの理由で元老院や人民の支持を失っており反面教師として学ぶに良い教材。

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    2009年12月30日
  • 最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII

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    ついにキリスト教が王の存在意義を権威付けるところにきた。これでローマ帝国は変質した。そしてこれがヨーロッパとキリスト教の関係を決めた。そういうことだったのかと腑に落ちる。しかし思えば遠くへ来たものだ、と振り返って思う。

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    2009年12月28日
  • 迷走する帝国──ローマ人の物語[電子版]XII

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    まさに迷走。なぜ皇帝を殺害するかすらあやふや。立ち直れるんだろうか、と思うが、すでに歴史なので、結末は知っている。それなのになお読ませる塩野さんに拍手。

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    2009年12月12日
  • 終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XI

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    帝国の終りに向かう様なんてどう考えても面白いはずがない。しかし、塩野さんは視点が違う。なぜ終わってしまったのかを冷徹に物語っていく。面白い。
    間違った選択、その上塗りの間違った選択。そうして衰退に向かう理由が生まれ、それが重なって…という時代の流れを実に冷徹に描いていく。やはりこの人の文章はすごい力があると、物語として盛り上がらないところだけに強く感じた。

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    2009年11月10日
  • すべての道はローマに通ず──ローマ人の物語[電子版]X

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    「賢帝の世紀」でなんとなく気分も一段落してしまうのだけれど、塩野さんはここで一気に歴史を遡り、再び下りと行き来してローマ帝国を帝国たらしめたインフラを改めてまとめてくれる。他の巻と違って主人公は登場しないのだけれど、道、防壁、水道などまさに帝国を運営するのに必要だったものがどのようにして築き上げられたのかの物語。今の時代にもなおそのままで残っていると思ったら、それはその後メンテナンスの行き届かなくなった廃墟に過ぎないことがわかる。これ読んでからヨーロッパを旅するのはきっと有益なんだろうなと思う。

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    2009年10月28日
  • 海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(下)―塩野七生ルネサンス著作集5―

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    千年以上にわたり、確固たる意志の元で繁栄し続け、ワケあってアッという間に抜け殻となったヴェネツィア共和国。その小さな国の興亡を息をのむ思いで読み続けた。政に関わる者たちが逸脱した行為に及ばないよう周到に組織された政府、万が一足を踏み外した者への厳罰、用意された敗者復活の構図、経済の理論など、独創的な政治体系に驚く。恥も外聞もなくお金や名誉に執着する今の日本とは、その成熟度は比較にならない。久々大きな思いを残してくれた感動の書。未読の方には、是非!とお勧めしたい。こんな本が教科書だったら、歴史も地理もすんなり頭に入るのに……。

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    2009年10月16日
  • 賢帝の世紀──ローマ人の物語[電子版]IX

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    ここでやめた、という人がけっこういるけれど、読み終えてそれも納得。ローマ帝国が完成した姿がここにある。過去に作り上げてきたものを補強し、修正し、自分なりの方法で次に伝えることを仕事とした皇帝たちがいい順番で現れたのがわかる。
    単純な世襲制ではなく、次の適任者を自分の養子に迎えるというシステムがきちんと私利ではない形で動くなんてことが起きてた。その組織に驚く。
    今の政治でここまで見事なことができる国がどこにあるだろう。もちろん時代は違うから簡単に並べるわけにはいかないけれど。

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    2009年10月13日
  • 悪名高き皇帝たち──ローマ人の物語[電子版]VII

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    長い歴史の中のどうでもよさそうなエピソードすらきっちり深い読み物に仕上げてしまう塩野七生に脱帽。ヨーロッパが形成されていく様を自分で見ているような驚きがある。

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    2009年10月04日
  • パクス・ロマーナ──ローマ人の物語[電子版]VI

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    カエサル亡き後に役者はいるのかと思ったけれど、塩野さんの筆ならばきちんと役者は登場する。アウグストゥスは悩みに悩んで帝国を育てた人だった。そして自分の身内を結果的には贔屓することもなく、フェアプレイをした人だった。フェアプレイをする気はなかったのに、結果フェアプレイ。この人もまたすごい人だった。

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    2009年10月04日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    なんでカエサルを殺してしまったのか、というのを同時代から見たら意味があったんでしょうけど、後から見たら無意味もいいとこという感じ。
    それにしてもカエサルという人は実に素晴らしい人だったのではないかと思います。塩野さん自身がそう解釈されているんでしょうけど、ともかく自分ではなくローマのために生きた人だったんだと思います。
    そのカエサルを無意味に殺したローマ人たち。そしてその報い。それはさておき、続きはパクス・ロマーナ。ちょっとここで休憩しよう。

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    2009年10月04日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    これはもうユリウス・カエサルに惚れるしかない本です。しかし、これはできないです。金も権力もない男が知力でそれを手にして行くんですが、途中までは借金まみれ。それをガリアを手にすることで消して、プラスに転じて…なんて個人的なことはスタッフに任せて、自分の目的を明確に持ち。祖国を立て直すことばかりを考えている。こんな指導者いますか?
    そして重大な決意、ルビコン川を渡るところまでの物語。多分、シリーズで一番面白いのがここ。

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    2009年10月04日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    まさに混迷。地中海の覇者となったのはいいけれど、方々に火種があり、イタリア内部にも火種がある。盛り上がりに欠けると言えば欠けるけれど、この後のユリウス・カエサルの長大物語の背景情報だと思って読む。確かにそうでもなければ、もう勝手にしたら、といいたくなるどうしようもない時代の物語。

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    2009年10月04日
  • レパントの海戦

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    塩野さんの本ではじめに読みきったのはこれです。
    さきにチェーザレも手をつけてたんですが厚くて挫折しました。

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    2009年10月04日
  • キリストの勝利──ローマ人の物語[電子版]XIV

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    紀元337年、皇帝コンスタンティウスから、紀元395年皇帝テオドシウスの死まで。
    「権力者に対する陰謀の成否の鍵は、排除した権力者の代わりに誰をその地位に就けるかにかかっている」
    「アリウス派とアタナシウス派(カトリック)の対立、異教徒よりもキリスト教徒内の異端への憎悪、一神教の本質そのものが排他性にある」
    「本音は脱税にある聖職者コースへの転出、キリスト教会に属する聖職者は免税にと決まった。地方自治体の有力者層が、雪崩を打ってキリスト教化した真因は、これにあった」
    「ユリアヌス副帝就任、人間は社会的な動物である、他者に必要とされていると言う自覚は、非常な喜びを感じさせる。責任感と高揚感のカクテル」
    「権力とは、他者をも自分の考えに沿って動かすことのできる力であって、、多くの人が共生する社会では不可欠な要素である」
    「権力者には誰に対しても、初めのうちは歓呼を浴びせかけるのが民衆である。新任当初の好評くらい、あてにならないこともない。ひとまずは歓呼で迎えながら様子を見る」
    「背教者ユリアヌス・・・宗教は現世の利益とは無関係の、個々人の魂を救済するためにのみ存在するもの、宗教が現世をも支配することに反対の声を上げたユリアヌスは、古代ではおそらく唯一人、一神教のもたらす弊害に気づいた人」
    「ミラノ司教アンプロシウス・・・キリストへの振興は、無知な魂を救うのではなく、文明が崩壊した跡に、その過去の誤りを正す勇気を持つ人々の上に輝くことになる。・・・強引な論法とはしばしば、スタートしたばかりでマイナス面が明らかでないからこそ、可能で有効な戦術でもある」
    「紀元388年、キリスト教ローマ帝国の国教に、テオドシウス帝、ローマ人の宗教として、あなた方はユピテルを良しとするか、それともキリストを良しとするか」
    「一神教とは、自分が信じているのは正しい教えであるから、他の人もそれを信ずるべき、とする考えに立つ。多神教は、自分は信じていないが、信じている人がいる以上、自分もその人が信ずる教えの存在理由を認める、とする考え方。殉教は一神教徒にしか生じえない現象、多神教徒にはなじまない、イスラム教徒の自爆テロ」
    「異端に対する理論武装マニュアルの確立、マニュアルが誰にとっても便利であるのは古今東西変わらない真実である」
    「聖アンプロシウス・・・人間は何かにすがりたいから宗教を求める、唯一神にお願いするのははばかられるような身辺の雑事、キリスト教徒がモデルにするにふさわしい人、守護聖人、一神教は守りながら民衆の素朴な願望も満足させるという離れ業を見事なまでに成功させた」

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    2011年12月25日
  • 最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII

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    紀元284年、ディオクレティアヌス帝の即位から、紀元337年、コンスタンティヌス帝の死まで。

    いよいよキリスト教が迫害から公認へ、「ミラノ勅令」から「ニケーア公会議」へ。

    「利益の社会還元・・・富裕層には公共心に訴えるだけでなく、虚栄心にも訴える、人間は形に遺るとなれば、より一層やる気を起こすものなのである」
    「一神教・・・権力でも権威でも、それが多くの人や神に分与される状態では絶対的な存在ではなくなる」
    「マクセンティウス、コンスタンティヌスに敗北。敗北とは何であるかを考えさせる、昨日までの皇帝が暴君に一変する」
    「紀元313年ミラノ勅令、キリスト教がローマ皇帝によって公認された」
    「小数派のキリスト教徒が多数派の多神教ローマ人を変革、コンスタンティヌスハ需要とは自然に生まれてくるものとは限らず、喚起することによっても生まれてくるものであることを知っていた戦略家であった」
    「宗教を大義名分に使えなければ争いは人間同士のことになり、単なる利害の衝突にすぎなくなる。宗教を旗印にすると、問題は常に複雑にある」
    「コンスタンティヌスによる皇帝資産のキリスト教会への寄贈行為、宗教組織にとっての資産の重要な役割の認識」
    「信仰よりも利益で入信する者が多かった、食べていくためにキリスト教に改宗する人々は多かった」
    「ニケーア公会議・・・神とその子イエスは同位か、それとも同位ではないか、三位一体説・・神とその子イエスと聖霊は同位であるがゆえに、一体でもある」
    「つまりは支配の道具・・・王政・共和制・帝政と政体を変移、権力者に権力の行使を託すのが、人間である限り、権力者から権力を取り上げる権利も人間にあり続けることになる。決める権利は、可知である人間にはなく、不可知である唯一神、一神教の神キリスト教の神とした」
    「パウロ、キリスト教をユダヤ人の民族宗教から世界宗教へ、神以外には何であろうと他に権威を認めないが、現実世界の権威も神の指示があっての権威、ゆえに現世の権威に従うことはその上の君臨する至高の神に従うことになるのである」
    「神意を伝える司教たちを味方に懐柔、優遇策・司法権」
    「キリスト教は、利益を介在させることによって、少数はより短い期間で多数になっていった」

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    2009年10月07日
  • 迷走する帝国──ローマ人の物語[電子版]XII

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    紀元211年、皇帝カラカラから紀元284年、皇帝カリヌスまで。

    ローマ帝国「3世紀の危機」次から次へと皇帝が謀殺される危機の時代、筆者の調査力・筆力に感嘆するばかり、「塩野ローマ」に引き込まれている。

    「属州民へのローマ市民権・・・人間はタダで得た権利だと大切に思わなくなる」
    「人間は所詮、全員平等でいることには耐えられず、何かで差別しなければ生きていけないのかもしれない」
    「ローマ市民権・・・誰でも持っているということは、誰も持っていないことと同じ、ブランドは死んだ」
    「「人間とは、事実だから信ずるのではなく、事実であって欲しいと思う気持ちさえあれば信じてしまうもの」
    「人々を一つの運動に巻き込むには、合理を唱えていては成功は難しいのが人間性の一面でもある。ユダヤ民族は1800年前の自分たちの土地に帰ることに固執したからこそ、国家イスラエルは誕生できた」
    「健全な国家と不健全な国家の違いは、その国が持っている軍事力が国の外を対象にしているか、それとも国内を向いていらかを見れば分かる」
    「なぜ宗教には金が集まるのかと言う、古今東西普遍の原理」
    「宗教は純粋な信仰のみでは組織としては成り立たない。純粋な信仰と冷徹な組織力と言う二つの車輪が不可欠であり、そしてその両輪をまわすのに必要な油も欠くことは許されない」
    「ローマ皇帝ペルシャに捕らわる・・・権威失墜の後に訪れるのは、残された者同士の団結ではなく、分裂である場合が圧倒的に多い」
    「実力主義化か貴種主義か・・・生まれや育ちが自分とはかけ離れている人に対して、下層の人々が説明のしようのない敬意を感ずるのは、それが非合理だからである。多くの人にとってより素直に胸に入ってくるのは、合理的な理性よりも非合理的な感性のほうなのだ」
    「ローマ帝国に対するキリスト教徒の罪とは、何を信じていたかではなく、それを信ずることを通して反国家的な組織を形成している、ということのほうにあった」

    キリスト教の台頭の要因
     ギボン「ローマ帝国衰亡史」
     ドッズ「不安の時代の異教徒とキリ     スト教徒」
      キリスト教に帰依することが、現  実の生活でも利益をもたらしてい  たこと。多くの人がそれなくして  は生きることが難しい帰属心を与  えるのに成功した。

    「不安の時代にはかえって不寛容な教えのほうが力強く見える」
    「ユダヤ教とローマ帝国は正面から激突したが、キリスト教はローマ帝国内にいつのまにか浸透していた。キリスト教会がローマ帝国に歩み寄ったのではないか」
    「キリスト教への入信の儀式として洗礼を考えた人は、天才であったと私は思っている」
    「人間とは、明確な白から明確な黒に移る場合、ためらいを感じて立ち止まってしまうものだ。中間に広いグレーゾーンを持たせ、変わるといってもたいした変化ではないかと思わせることくらい、善男善女を動かすのに有効な戦術もない」
    「キリストの神は人間に、生きる道を示す神である。一方ローマの神々は、生きる道を自分で見つける人間を、かたわらにあって助ける神々である」
    「ローマの神々は全力をつくす人間を守護する、繁栄の時代に適した宗教。キリスト教の神は、悲惨な現状も神の与えた試練になり、苦悩も人間の魂の浄化に役立ち、死後の平安も保証してくれる」
    「キリスト教徒は、ローマ帝国の打倒は意図していなかった。あえて言えば、乗っ取りを意図していたのだ」

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    2009年10月07日
  • 終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XI

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    紀元161年、第16代皇帝マルクス・アウレリウスから、紀元211年、第20代皇帝セヴェルスまで。

    「パンテオン・・・すべての神々に捧げられた神殿、優れた建造物は必ず、それを建てた人間の哲学を体現している。パンテオンでは、守ってくれる神々に囲まれて立つ、人間が主人公になる、多神教古代の精神を具象化したローマ帝国の哲学でもある」
    「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶという格言があるが、両方ともが不可欠である」
    「思考も筋肉と同じで、絶えざる鍛錬を必要とする、思考怠慢が続くとカンも鈍ってくる」
    「一神教の神は人間に生きる道を指し示す神だが、ギリシャ人やローマ人の神々の役割はその人間の努力を援護するところにあると考えられていた」
    「マルクス・アウレリウス 自省録・・・大王アレクサンドロスも彼の馬の世話をする馬丁も、死んだ後では同じように灰になった」
    「コモドウス帝60年の平和・・・20年間の実戦体験が、戦争状態が終わった後からの60年もの間、抑止戦力として機能し続けた」
    「人間とは、崇高な動機によって行動することもあれば、下劣な動機によって行動に駆られる生き物でもある」
    「実力主義にはプラス面も多いが、人間社会の他のすべての事柄と同じでマイナス面もある。実力主義とは、結局実力でカタをつけるしかない解決法」
    「善意が必ずしもよき結果につながらないという人間社会の真実。人類の歴史は、悪意とも思える冷徹さで実行した場合の成功例と、善意あふれる動機で始められたことによる失敗例で大方埋まっている」
    「ユダヤ教徒もキリスト教徒も、布教する際、私の信ずる教えのほうがあなたの魂を安らかにするから改宗しなさい、と言うのではない。私の信ずる神のほうが正しいから、あなたの信じていた邪神は捨てよ、と求める」

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    2009年10月07日