【感想・ネタバレ】危機と克服──ローマ人の物語[電子版]VIIIのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2015年01月12日

有名どころの皇帝の巻が終わった途端読むペースが落ちたが、読みはじめれば読んだでやはり面白い。
ドミティアヌス帝の孤独に共感。治世後半のティベリウスも同じだが、皇帝としてやっていることはきちんとやっていてもっと評価されるべきなのに非業の最期を遂げる。。。唯一心を許せたのはユリアだったのか…。

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Posted by ブクログ 2012年09月10日

繰り広げられる意味なき争い、無惨な三皇帝の末路。帝国再生のため、時代は「健全な常識人」を求めていた―。皇帝ネロの死にはじまってトライアヌスが登場するまでの三十年たらずの時代を描く。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

第8巻は紀元68年、第6代皇帝ガルバから、紀元96年第12代皇帝ネルヴァの死まで。29年間に7人の皇帝が続く、内乱と混乱の日々、ヴェスヴィィオ火山の噴火によるポンペイの埋没もこの時期。
「まず持って人間には、自らが生きた時代の危機を、他のどの時代の危機よりも厳しいと感じてまう性向がある」
「政体が何...続きを読むであるかには関係なく統治者と被統治者の二分離は存続せざるを得ないのが現実」
「平凡な資質の持ち主は、本能的に、自分より優れた資質の持ち主を避ける」
「独裁体制の国家では、その国の持つ軍事力の真の存在理由は、国内の反対派を押さえることにあって、国外の敵から国民を守ることにはない」
「人間が人間を裏切るのは、恐怖よりも軽蔑によってである」
「戦闘という人類がどうしても超越できない悪が持つ唯一の利点は、それに訴えることで、これまで解決できないでいた問題を一挙に解決できる点にある。リーダーの第一条件は、自軍の兵士たちをコントロールする力量」
「自由と独立の二語・・・他者を支配下におくことを考えた民族で、この二語を旗印にかかげなかった民族は皆無である」
「他民族に長く支配された歴史を持つ民族は、精神の柔軟性が失われてかたくなになる。また、何に対してであろうと過敏に反応しやすい。そして、過酷な現実を生き抜く必要からも夢に頼る。ユダヤ教では救世主待望がそれに当たった」
「多神教の民族では、政治と宗教は分かれているのに反し、一神教の民族では、宗教が積極的に政治に介入してくる神権政体にならざるをいない」
「ユダヤ戦記(山本書店)・・・史書の傑作」
「ユダヤ戦役・・・純粋を至上の生き方と信ずる人にとって、不純ほど唾棄すべきものはない、純粋であればあるほど、少しの不純も許せなくなる」
「人間であることの宿命は、何かを成せば成したで、それによって起こる新しい問題に直面せざるをえない」
「トライアヌス・・・運命とは何が機縁で変わるか分からない、人間の運不運を幸運の女神に気まぐれの結果にしたがる人の気持ちもわからないではない」
「人間とはなぜか貴種には甘く、高貴な生まれでも育ちでもない人物が強権を振るおうものなら、ヒステリックなほどに反撥する傾向が強い」
「人間にとっての最上の幸運とは、自分のためにやったことが自分の属する共同体のためになること、私益と公益が合致すること」

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ネタバレ購入済み

危機管理

mac
2022年09月30日

一部ご紹介します。
・人間には、自らが生きた時代の危機を、他のどの時代よりも厳しいと感じてしまう傾向がある。ただし、興隆途上の危機とその克服は、さらなる繁栄に繋がるが、衰退期に入ると、危機は克服できても、それは最早さらなる繁栄に繋がらなくなってしまう。
・平時にも活躍できるタイプの人材でなければ...続きを読む、真の意味で戦時にも有益になり得ない。なぜなら、リーダーの第一条件が、彼に従う人々に対しての統率力であるからだ。
・「見たいと思う現実しか見ない」傾向は、人を不幸にする。異なる宗教、異なる生活様式、異なる人種であっても、共に生きていかなければならないのが人間社会の現実だ。玉砕は後世を感動させることはあっても、所詮は自己満足に過ぎない。
・純粋を至上の生き方と信ずる人々にとって、不純ほど許せないものはない。純粋であればあるほど、少しの不純も許せなくなり、より急進化してしまう。
・労働よりも略奪で生活の糧を得ようと考える者がいる限り、防衛の必要が消えることはない。
・防衛の結果が、話し合いよりも腕力で決する機会が多いのは、双方の持つ「考え方」「価値観」の違いによる。
・「考え方」を共有しない人々との関係では、心配は尽きることがない。
・民族間の衝突が「考え方」の違いによるとしてもよいのが現実である以上、敗者になりたくなければ防衛を忘れるわけにはいかない。
・施政者の二大責務は、安全と食を保証することだ。そして「食」の保証とは、「安全」を保証できてはじめて成就可能な目標でもあるのだ。
・国家の運営が任務の国政と、体力を競うのが目的のリレー競争。ローマの歴史が、リレー競争に似ているのは、現に権力を持っている者が、自分に代わり得る者を積極的に登用し育成したことにある。

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Posted by ブクログ 2018年10月23日

ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。このころのローマはまだ元気です。

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Posted by ブクログ 2012年03月15日

文学的な歴史書、というところが面白いのだろうと思う。事実の積み上げではなく、筆者の推測、考えがところどころに色濃く出ていて、読んでいる方も楽しめる。
本書の対象の時代はわかりやすい英雄もいないし、血みどろの内戦もあり、史実の部分は少々読むのがつらい部分もあった。それでも、前世の皇帝のどういう政策を引...続きを読むき継いだかとか、後世の皇帝がどの政策を引き継いだか、あるいは引き継がなかったか、という点から対象者を評価しているところなどはとても面白かった。

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Posted by ブクログ 2010年03月06日

2010/03/06 皇帝オトーがわりと好き。
いまが絶頂期ならば、すでに衰退の影が見えているということか。ローマの国家観が滅びてしまったことを惜しんでいるのが伝わってくる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

普通の人ならさらりと飛ばしてしまうだろう時代を克明に、しかも「とはいえ面白いのよ」と描き出す著者の文章には脱帽。この人は本当によく人を見る力があるんだなと改めて思う。
でもこの巻は次の五賢帝の前座でしかない、と少し歴史を知っていれば思ってもしまうけれど。なんだかカエサルの時代が懐かしい。

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Posted by ブクログ 2022年04月21日

1.ガルバ
皇帝らしいことは何一つない、人身の読めない普通のおじいさん。

2.オトー
皇帝の座を巡り内乱が起こる。内乱を収めるためか、自死。

3.ヴィテリウス
権威と権力を持っていたが活用法を知らなかった。内戦に敗れ死亡。

4.帝国の辺境では
ローマの内乱を好機と捉え、外乱が起こる。挙句の果て...続きを読むにガリア帝国まで建設される。結局鎮圧されるが、寛容で迎える。内乱の余波であることを自覚していた、自らの非を認めたが故の行動。

5.ヴェスパシアヌス
庶民的であり、身の丈にあった行動におさえている。皇帝法の成立により、元老院からの承認を得なくても皇帝が成立するようになった。コロッセウム建設。死ぬまでに、平和と秩序の回復とその維持を実現。

6.ティトゥス
有能ではあったが、災難続き(ヴェスヴィオ火山噴火など)に心身がまいったのか、早死。

7.ドミティニアヌス
皇帝統治を積極的に行う。恐怖政治になる。暗殺される。

8.ネルヴァ
バランス感覚豊かなジェントルマン。



リスクを排除しようとするほど、リスクに足元を取られる危険も増大する。リスクがあれば緊張感を持つ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年08月24日

1年1冊のシリーズも西暦69年のネロ自死というローマの危機に始まり、軍人皇帝たちそしてヴェスチニアヌスによるフラビウス王朝の開始になりました。あまり知らなかった時代ですが、ボンベイの滅亡、ユダヤの反乱(マサダの砦)などで親しみのある時代でもあります。塩野さんの詳細な研究にはいつも圧倒されます。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

いつかうまくいかなくなることがわかっていてもその時点で必要な改革があり,これを読んで使命感を新たにした政治家がいたに違いない。

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