あらすじ
知力ではギリシア人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人だけが、なぜ巨大な世界帝国を繁栄させることができたのか? ささやかな建国伝説から始まる一千年の興亡史がいま幕を開ける。もはや古典といっても過言ではない歴史大作シリーズの電子版が待望の配信開始! ※当電子版は単行本第I巻(新潮文庫第1、2巻)と同じ内容です。地図・年表なども含みます。
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ローマの興隆から衰退までの過程を作家の視点で描いた書籍。文句無しに面白い。ローマ人の「開放的な」気質、彼らが作り出した政治システム、宗教的寛容性等の視点から古代ローマ史を掘り下げていく。史実に沿った記述の中に、作者の考察や偉人たちの小話が散りばめられており、読み物として退屈しない。現代にも通ずる教訓も多く伺われれる。このシリーズを通して、ローマの長い道のりを歩んでいこうと思った。
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全く興味のなかったローマですが、今では大好きになりました。また歴史に興味を持つきっかけになりました。いつかローマの遺跡や芸術を見に旅に行きたいです。
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めちゃくちゃ面白かった!
高校の世界史ではただ長く存在していた国という程度の認識しかできなかったのが、急に『ローマ人』が鮮やかになった。
作中で時間が前後しやや分かりづらいこともあるが、それは著者がローマに変革を迫った複数の事象やそれによる影響を一つ一つ細やかに解説しているためである。共通の出来事が出てくれば、「ああ、ちょっと前に触れたことと同時並行で起こってたのか」と合点がいく。
次巻も読む。
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世界史を知らない理系人間が古代ローマを知るために読んでみた。ローマの誕生から第一次ポエニ戦役までの500年を書いたそうだ。歴史学者が書くよりも、小説家が書いた歴史叙述の方が圧倒的に面白いのではないだろうか?作者のローマ愛の強さと文体の読みやすさが相まって一気に読破してしまった。
最後の結びの部分で「はっ」と気づいたこと。現代に生きる我々の考え方とか価値基準とか常識ってのが、いつごろ形成されたのだろうか?フランス革命でかなり変わるって書いてた。歴史を知ることは今を知ること、そして未来を描くこと。次が楽しみだ。
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言わずと知れた超大作、塩野七生の代表作。
第1巻は、紀元前753年建国されたローマが前270年にイタリア半島の統一を実現するまでの500年間。「ローマは1日にして成らず」の副題のとおり、ローマが興隆するまで長い長い年月がかかっている。ローマ人の多神教。異邦人を同胞として取り込む包容力。ギリシア人に較べ頭の回転は勝るとはいえないが、着実に少しずつ力を付けていく。
ローマ帝国の反映と衰亡に至る長い道程。まだまだ序章ではあるが、塩野七生の独自の切れ味鋭い歴史感に魅きつけられる。
読破するのはいつになるか分からないが、地道に読み続けていきたい。
現代の政治、宗教などの話に微妙な光を投げかけてくれる、他とは違う一大長編、これからスタートです。
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1992年から年1作ずつ刊行され書き下ろされてきたローマ人の物語の初回本。原史料等を丹念に渉猟しながら再現されていく歴史スペクタクルとして圧巻。第1巻では紀元前753年のローマ建国から紀元前270年のイタリア半島統一までが流れるように書き紡がれている。ローマの強固な仕組みが構築されてきた要因として、執政官、元老院、市民集会による三位一体の運営、戦争による領土拡張を支える敗者をも取り込む同化政策、インフラとしてのローマ街道の敷設、が際立っている。ローマ帝国として興隆していく素地が作り上げられていく過程が、当時にタイムスリップしたかのように克明にわかりやすく綴られていく。
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全能は他者排除 キリスト教もイスラム教もユダヤ教も全能神で他宗教の神を認めない。体力でも技術力でも文化力でも劣ったローマ人ではあるが、システム構築力はバツグン。そこに価値を見出すところが歴史的天才集団と思う。
帝国という言葉だけを真似て実体は真逆の全能そして他者排除に突き進んだナチス。どこに分岐点があったのか?
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『ローマ人の物語』、シリーズ自体は1992年から始まってますので、
存在自体は大学生のころから知っていましたが、
初めてきちんと読んだのは文庫版が出始めた、2002年のころでした。
確か、ちょうど仕事で金沢に入ることが多く、そちらのお供に、
羽田空港の書店で買い求めていたのを覚えています(新幹線が通る前です)。
その後、続きが気になってもハードカバー版には手を出さず、
2011年に完結した文庫版(全43巻)を追いかけていたのですが、、
ここ最近の、急速な世界の在り様が変わりつつあることに触発されたのか、
はたまた、折よくささやかながらの長年の夢でもあった、
ハードカバー版を置くスペースを確保できたことにも後押しされたのか、
久々に最初から通して再読してみようかと思い立ち、手に取ってみました。
時代的には、ローマ創世神話から、建国、王政を経ての共和制が安定し始めた時期、
対ハンニバル戦の前で、「いわゆるローマ」になる前の物語、が1巻の舞台となります。
ローマは決して最初から強いわけではなく、周辺諸国と比べても、、
知力ではギリシア人に劣り
体力ではケルト(ガリア)やゲルマン人に劣り
技術力ではエトルリア人に劣り、
経済力ではカルタゴ人に劣っていた
なんて言われてしまうくらいですが、そんなローマ人が、
どうして覇を唱えるに至ったのでしょうか。
敗者でさえも自分たちに同化させるこのやり方くらい、
ローマの強大化に寄与したことはない
これはローマ人の生来の気質でもある「開放性」「寛容性」にあるとのことですが、
興味深かったのは、当時先進国であったギリシャの政体を、
そのまま踏襲するのではなく、自分たち用に編集(カスタマイズ)したとの点。
王政、貴族政、民主政の、それぞれのいいとこどりをして、
それに対するリスクヘッジは「法」との普遍的な価値観で行うように。
そうした普遍的な軸があったがゆえに、他民族の宗教にも寛容で、また、
ローマ市民の責務を果たすのであれば、他民族を受け入れるのに抵抗もなかったのでしょう。
なんて思うと、以前から感じているのですが、日本人ともどこか通じるものがあるな、と。
この辺りは松岡正剛さん言うところの「編集力」がわかりやすい概念です。
何はともあれ、1000年続くことになる「ローマ」の始まりの物語ですが、
その滅亡の時まで繰り返し語られることになる「ローマの寛容」の物語でもあるのかな、と。
歴史とは学ぶだけの対象ではない。知識を得るだけならば、
歴史をあつかった書物を読めば済みます。
そうではなくて歴史には、現代社会で直面する
諸問題に判断を下す指針があるのです。
とは、別の寄稿文での塩野さんの言ですが、私もこれこそが、
「歴史の社会的有用性」の最たるものだろうと、そう思います。
一つだけ注意したいのは、今現在の価値観で歴史の事象を審判するのではなく、
当時の価値観をもとに理解した上で、現在の価値観への“活かし方”を考えるとの点でしょうか。
あとは余談ですが、結構なページを「ギリシャ人」に割いてるので、
『ギリシャ人の物語』も読まないとかな、と思い始めていたりして、、悩ましいです。
歴史ってやっぱり面白いな、なんて感じさせてくれる一冊です。
Posted by ブクログ
第1巻では、紀元前753年と言われているロムルス(ローマの語源)によるローマの建国から紀元前270年のルビコン川以南のイタリア半島統一までの約500年の期間を扱っています。著者をして「後にローマが大をなす要因のほとんどは、この五百年の間に芽生えはぐくまれたのである」と言わしめているように、後にローマ帝国として君臨する国家の基礎がつくられたのが、この500年に相当すると言えます。体力においても、知力においても決して優れていたとは言えない民族が、どのように国を作り出し発展させていったのか?また衰退していった原因などは、およそ2000年後に生きる僕たちにも大きな示唆を与えてくれました。
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【後編3 歴史的同時性の時代】
同時性における復帰摂理延長時代の「ローマ帝国迫害時代」。メシヤ降臨準備時代部分にも関わる。キリスト教史をローマ帝国抜きで語ることは出来ない。はじめはキリスト教徒に対する迫害者として、のちは保護者として。コルプスクリスティアヌムという言葉は覚えておくべき。ヨーロッパ共同体の根っこにある3つの精神のことである。ギリシャの哲学、ユダヤの宗教、ローマの法。この三つの現実的精神的要素が共同体の中に根付き、世界史の中心ヨーロッパが築き上げられていく。
ローマ帝国の歴史を学ぶにはいろいろとあるが、ここでは現代的に著名な「ローマ人の物語」を取り上げたい。塩野七生の著である。小説家が書いたローマ史なので、歴史家からすればいろいろと言いたい事があるようだが、そういったことを差し引いても、ローマ史を学ぼうとするときにはこの読みやすさがアドバンテージになる。難易度を★5としたのは、その長さ(大型本で15巻、文庫本では43巻)故であって、内容は読みやすい。簡単に書いてあるということよりも、ドラマチックで非常に読ませる。
同時性のみではなく、メシヤ論、イエス路程などを学ぶ際のバックグラウンドとしても重要。著者の情熱も伝わりグッドである。
ローマ人の物語(大型本:15巻、文庫本:43巻)
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初代王ロムルスから最後の王「尊大なタルクィニウス」。共和制となったローマと王位復活をねらうタルクィニウスの戦い。周囲のエトルリア人を巻き込んだ戦い。タルクィニウスを追放した共和制の父ブルータス、追放の発端となったルクレツィアの自殺。ブルータスの2人の息子の陰謀。ローマから派遣されたギリシアへの視察団。当時のギリシア世界の様子。
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ローマが王国として成立し、その後共和制になるまでを描く。気にはなりつつもその分量から手をつけかねていたが、実家にあった文庫本の1巻目を読んだら面白くて止まらなくなった。
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食わず嫌いの塩野七生でしたが、この作品は最高!
ローマの500年にわたる歴史を、こんなにリズムよくしかもユーモラスな文体で書ききるとは!
恐れ入りました!
知識の量も常人ではなく、エピソードも満点。
とにかく情報量が多いので、一回読んだだけではとてもじゃないが咀嚼できない!
手元に置いて、ことあるごとに開いて目を通したい一冊!
名将ピュロスとローマの戦い面白かったな。
文学的であり、理知的で、サービス精神旺盛!
キリスト教の考え方や、近代啓蒙主義的な思想を背負っていないところが、非常に好感がもてる!
古代ローマの時代性を的確に捉えようとする、澄んだ眼差しが非常に素晴らしく、歴史を書く方は、斯くあるべきと思いました。
全ての方にオススメです。
匿名
本作品が歴史書かどうかは議論されるところだが、あとがきを読むと塩野氏自身、いわゆる歴史学のアプローチには疑問を持っていたことがうかがえる。それに飽き足らず、独特の評論を挟んだ文になっているのだろうと感じた。
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単行本全15巻の第1巻。ローマ建国からイタリア半島統一までの約500年。何故ローマは栄えたか。如何に栄えたかと共に描かれる。この先長い物語が続く。
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面白かった。
ローマの歴史は、断片的に知っていたが、紀元前の時代に、こんなに素晴らしい国があったとは思わなかった。
宗教への寛容さ、執政官、元老院制度と市民集会を活用した独自の政治システム、敗者さえもローマと同化させる生き方など隆盛する要因がよくわかりました。
Posted by ブクログ
紀元前753年の建国から500年、イタリア半島をローマ人が統一するまでの物語。この歴史物語を読み刮目したのは次の2点だ。
1.ローマ人が敗者を隷属したのではなく、「共同経営者」にするという、当時では他に例を見ない政略を取ったこと。
2.紀元前4世紀には「12表法」という成文法をもっていた、つまり紀元前においてローマが法治国家であったこと。
我々の先祖が草深い山野で弥生式土器を作っていた時代なのだ。恐るべしローマ、今後どのように共和国から帝国に脱皮して行くのか、次巻以降が愉しみだ。
Posted by ブクログ
ローマの事を全く知らない人間が読んでも、グイグイ引き込まれる文章で、漫画を読むような感覚で歴史理解を深める事ができた。長丁場になるが全巻読んでみたいと思う。ローマ建国からカルタゴ(現 北アフリカ)との戦争であるポエニ戦役勃発前までが描かれる。ローマに最初に拠点を築いたのは所謂「ならず者集団」で、サビニ人の女性たちを拉致して結婚して子孫を残したというのは驚きであった。共和制移行後のパトリキ(貴族)中心の政治から平民を取り入れた政治体制の確立(リキニウス法)や同盟国出身の者に違和感なく最高権力であるコンスル(執政官)の地位を与えるなど、外部リソースの活用の上手さがローマが今後ライジングしていくことのバックボーンになっているのだと感じた。
ローマ興隆の要因
一部ご紹介します。
・ペリクレス「貧しいことは恥ではない。だが、貧しさから脱出しようと努めないことは恥である。」
・プルタルコス「敗者さえも同化する、ローマ人の開放的な性向こそローマ興隆の要因。」
・多神教では、人間の行いや倫理道徳を正す役割を神に求めない。多神教の神は、努力を惜しまない人間を側面から援助する守護者。
・多神教では、他者の神を認める。それは、他者の存在を認める寛容の精神を育む。
・国民の義務は、税金を払うことである。もうひとつの義務は、国を守ることである。
・宗教は、それを共有しない人との間では効力を発揮しない。だが、法は、価値観を共有しない人との間でも、効力を発揮できる。
・戦争は、それがどう遂行され、戦後の処理がどのようになされたかを追うことによって、当事者である民族の性格が実によくわかるようにできている。歴史叙述に戦争の描写が多いのは、戦争が歴史叙述の、言ってみれば人間叙述の格好な素材であるからだ。
Posted by ブクログ
以前から読みたいと思っていたシリーズである。
タイトルの「物語」から、ある主人公を中心としたストーリーかと想像して読み始めたが、思ったより淡々と、しかし臨場感もありながらローマ初期の歴史が書かれていた。ローマが最盛期のギリシアを視察しながらも民主政を採用しなかったことは非常に大きな分岐点になっただろう。
ローマが征服した他民族を寛容に内包していくシステムは、移民政策など現代の政治システムを考える上でも参考になるのではないか。
Posted by ブクログ
ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この本から、この偉大な物語は始まりました。本書出版時、私はまだ大学生。このシリーズが終了するころには、私は何をしているんだろうかと思ったことを記憶しています。
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他民族が地続きで接していると、必ず領土問題に直面し、それが戦争に結びつく。
結果だけ見ると、戦争が政治のシステムを改変して成熟させたり、文化の交流の役割りを果たしていたのかもしれない。
今の世界で行われている戦争を、後世から見たらどうなるんだろう?
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ローマ人の考え方には、集団を如何に統率するか、企業が他社を買収したのちに如何に統合していくかは現代の経営でも学ぶことがあると思いました。
高校で学んだ世界史でのローマ史は退屈でしたが、深く知るとこんなに面白く役に立つんだ!と感じました。学校での歴史は暗記中心でしたが改める必要がありますね。歴史のつまらない教科書読むより、この本読んだ方がいい気がします
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昨年完結した「ローマ人の物語」。 読んでみたいと思いつつも、なかなかの長編、さらに世界史はほんど勉強してこなかった私に読めるのか? という思いがあり、なかなか手をつけられなかった書籍。
たまには歴史ものもいいかな? と思い、とりあえず第1巻にチャレンジしてみた。
当初、地中海周辺の地図もイマイチわからず、出てくる人名もなかなかとっつきづらく苦労した。
なんとなく読みすすめていくうちに、紀元前とは思えないほどの発達したローマ人の考え方に驚かされつつ、徐々にではあるが、引き込まれていった。
ローマに限らず、その周辺の都市(たとえば、ギリシアのポリス国家)の発達した生活ぶり、すでに政治が成り立っていたことへの驚きもあった。
二千数百年前にして、成文法が制定され、共和制を確立したローマ。
私はこのころの人々は、強い者が弱い者を支配する独裁制しかイメージになかっただけに、驚きも大きい。
そしてローマの勢力の広げ方。 敗者を支配下に置くのではなく、市民権を与え、領土を広げるというやり方は、まさに知的。
「ローマは遥かなり」
時間だけではなく、もっと深い意味をもつことば。
第1巻を読んだだけでも、この意味をかみしめることができるローマの歴史。
まだ序章に過ぎないわけだが、この先が楽しみである
Posted by ブクログ
ローマの創世記。ローマ建国からローマ王政、ローマ共和政まで。
ローマ文明は何故栄えたか。
ケルトショックからの復興、当時のローマにとっての先進国であるアテネ、スパルタとの違い。何故ローマは繁栄し、アテネ、スパルタは衰退したのか。
ローマ人の知恵には、驚かされます。非常に面白い、
Posted by ブクログ
いよいよこの超大作に手を出すことにした。歴史の教科書程は固くないにしても説明文のみなので果たして最後まで読みきれるか。
でも紀元前のローマやギリシアの話で、人名も地名も横文字で分かりづらいのに読んでると夢中になる瞬間もあったわけで、これはこの著者のすごい所だと思う。
今回は紀元前700年~紀元前200年くらいが中心となっているが日本で言えば縄文~弥生の頃だが、よくもこれほど情報が残っているものだと思う。
Posted by ブクログ
勉強にはなるんだけど、人物名が頭に入ってこない。。
そして、読みにくい。。
読み物ではなく、歴史の教科書、という感じ。
でも、一通りの歴史は頭にいれたいなぁ!
Posted by ブクログ
良いと思うところに付箋をつけて読むことにする。
かっこいいから、ラテン語表題もメモ!
RES GESTAE POPULI ROMANI
=ROMA NON UNO DIE AEDIFICATA EST=