【感想・ネタバレ】ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]IIのレビュー

あらすじ

紀元前3世紀後半、イタリア半島統一をなしとげ、興隆の途についたローマ人が初めて大きな危機に直面した。北アフリカの強国カルタゴとの直接対決。象を伴ってアルプスを越えた規格外の名将ハンニバルと、ローマの全権を託された若き執政官スキピオ。地中海の覇権を賭けたポエニ戦争はいかなる結末を迎えたのか――。 ※当電子版は単行本第II巻(新潮文庫第3、4、5巻)と同じ内容です。

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Posted by ブクログ

1巻よりもとーっても読みやすくて面白かった。
キングダム、ローマ版。笑
頭の中で自作のアニメーション流れてた。

話の本筋では無いけど、歴史を振り返っていく中で先人に学ぶこととか大切な考え方に気づくこととかあって、
ところどころ、わあ、この考え方すごい分かる、って記述があったから引用する。

286ページ
⭐︎優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。持続する人間関係は、必ず相互関係である。
一方的関係では、持続は望めない。

参考文献
⭐︎ 人間の性格は、容説より以上に彼や彼女の書き言う言葉にあらわれる(プルタルコス)ということを。

すごく面白かった、本当に。

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2024年04月22日

Posted by ブクログ

題材が良いのもあるだろうが、とんでもなく面白い。史実に忠実で、なおかつ兵士の数や年月などの数字の情報が決して少なくないのに、ハンニバルやスキピオなどの名将達の息遣いまで聞こえてきそうな、臨場感のある文章に引き込まれた。

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2023年04月17日

Posted by ブクログ

ローマ人の物語第ニ作。紀元前264年のポエニ戦役の始まりから、紀元前146年のカルタゴ滅亡まで、歴史舞台を眺めるがごとく再現されている。
ポエニ戦役とは、フェニキア人の植民都市カルタゴとの戦いであり、三次にわたって繰り広げられた。第一次のシチリア島を巡る戦いで、ローマは海戦を経験し、シチリア島全島とその周囲の領海権を獲得する。第二次はカルタゴの勇将ハンニバルがスペイン経由でアルプスを超えてローマに侵攻、ローマを追い詰める。ローマはスキピオの登場によって劣勢を跳ね返し、カルタゴ本土まで押し返す。この勝利により、カルタゴの戦力を大幅に削ぐが、この後、カルタゴは不幸な出来事により、意図に反した経緯で自滅する。
ローマとカルタゴでは戦いの指導者に対する扱いが真逆である。ローマでは敗将になっても学んだことがあるだろう、ということを重視し、再登板の機会が与えられるのに対し、カルタゴでは敗将には死が待っている。現代でも考慮すべき考え方があると言える。

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2023年03月17日

Posted by ブクログ

地中海の覇権を争うローマとカルタゴ。
ローマは名将ハンニバルに現在のスペインからアルプス超え、イタリア半島への侵入を許してしまう。
3回に渡るポエニ戦争、ローマの危機をハンニバルとスキピオを中心に描く。

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2022年11月30日

Posted by ブクログ

第二巻はハンニバル戦争と呼ばれる第二次ポエニ戦役を中心として、ローマが地中海の覇権国家となるまでを描く。それにしてもよくこれだけ面白く魅力的に歴史を叙述できるものだと感心してしまいますよ塩野さん。

元々はローマでのシチリアへの勢力拡大のためだったけど、その流れでカルタゴでローマの天敵、稀代の天才戦術家ハンニバルを誕生させてしまう。一時期は首都ローマまで侵攻する勢いで、滅亡の危機にあったけれども、柔軟なローマはあの手この手、スキピオのようにハンニバルを師とした戦術を駆使することで軍事力を高めてハンニバルをくだす。そこからマケドニア、シリア、カルタゴと強国を打ち負かして地中海覇権国家となっていく。
ハンニバル戦争、ひとつひとつのエピソードが詳しく面白い。ローマ人が大切にしていた誇りがよくわかる。柔軟な思考、共和制による市民主権をどれだけ大切にしていたのかもよくわかる。これからなぜローマが帝国と変化していくのか、続きが楽しみだ。

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2022年08月21日

Posted by ブクログ

このシリーズで一番お気に入りの巻 戦争は武器を使う外交 外交は武器を使わない戦争 どちらか一方では国家は成り立たない。二千年の時を隔てたものだが、心動くものがある。

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2021年05月19日

Posted by ブクログ

起伏があまりない語り口調により、歴史を語る上で重要と思う客観性を感じることができる一方で、塩野七生の主張が適切に散りばめられている。
本巻では、ハンニバルと、その弟子と評しているスキピオとの対決が見どころ。また、巻中2度も記されている、ロードス島で交わされたというハンニバルとスキピオの会話も面白い。

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2021年01月20日

Posted by ブクログ

ローマ人の物語、第2巻はハンニバルの物語から。

 “プロセスとしての歴史は、何よりもまず愉しむものである”

塩野さんの、歴史に対する一つのスタンスが見て取れます。
そして、大学で歴史を学んだ一人としても、肚落ちするものです。

私の学生当時、物語として歴史を紡いでいくことは、
司馬史学なんて揶揄も込められの扱いが主流でした。

最近の動向はわかりませんが、広く社会に還元していくのであれば、
人が生きていくための道標となるのであれば、一つの在り様としては、とも思います。

 “現代の研究者でも、古代=奴隷制社会=搾取、ゆえに悪、と断定して疑わない幸福な人”

ここ最近ではあれば、行き過ぎたポリティカル・コレクトレス、との言葉が合致するでしょうか、
個人的には、機会の均等ではなく、結果の均等を強奪しようとしているようにしか、見えませんが。

その上で、共和制から帝国制への萌芽、端緒を見て取ることができると、
このハンニバルとの戦いの過程から見出しているようにも、感じます。

 “人間も、そしてその人間の所産であるシステムも、時代の求めに応じて
  変化する必要があることを訴えつづけたマキアヴェッリに賛成なのだ”

さて、そんな歴史を愉しむための素材となるのは、
紀元前264年から133年に渡る約130年間との、なかなかに長い年月、

ポエニ戦役から、マケドニア、そしてカルタゴ滅亡までの事象、
このうち主軸となるのはやはり、三度に渡った「ポエニ戦役」でしょうか。

ローマ人にとってはポエニ戦役を中心とした対外戦争の時代、であったのでしょう。

主役を担うのは、副題にもなっているカルタゴの将・ハンニバル、
それに対するはスキピオ(アフリカヌス)、そんな二人の宿命的な生き様です。

 “アレクサンダー大王の最も優秀な弟子がハンニバルであるとすれば、
  そのハンニバルの最も優れた弟子は、このスキピオではないか”

といっても、ハンニバルとスキピオには1世代ほどの開きがあり、
スキピオの父がハンニバルに敗れた際、スキピオ自身はひよっ子でした。

その後、ハンニバルは10年以上もローマ勢力圏内を、数万の兵を率いて戦い続け、
その戦役の規模も20年単位とのスパンでもあるので、なかなかに壮大ですが、、

 “優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。
  率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人々でもある。”

史実としては、カンネの会戦でのハンニバルの圧倒的な勝利、
ザマの会戦でのスキピオのリベンジ、が有名とは思いますが、

ポエニ戦役は3度にわたり、幾度かの休戦期を挟みながらも、
当然それ以外の小競り合いも含めての戦闘はあったわけで、

その過程で「国家としての結果」を担保していくには、、
旧来の方式にとらわれず、敵からすらも学んで刷新していく、

これもまた、寛容の在り様の一つでしょうか。

それにしても、将官クラスの人材の、カルタゴというかハンニバル側と、
ローマ側での人材の差が、いかんとも、、ローマ側は枯渇しませんね、本当に。

ローマ元老院のハンニバルをイタリア内に孤立させるとの戦略もあったのでしょうが、
この、人材輩出システムは、やはりローマに国家としての軸、国体がしっかりしていたからでしょうか。

 “共和制ローマの魂(スピリット)は、この重装歩兵に体現されていた”

そういえば日本について、

 “われらが日本の特色が和の精神であるとすれば、それを国際化時代では通用しないとして
  全面的にしりぞけたりすれば、日本は日本でなくなる”

と述べられているのも、なかなかに興味深いです、塩野さん。

 “真に優秀な弟子ならば、師のやり方の全面的な模倣では終らない。”

長年に渡り、ハンニバルに苦杯をなめ続けたローマですが、
その敵からすら学ぶとのことの積み重ねから、ザマにつながります

とはいえ、ポエニ戦役が終わった時点では、カルタゴやマケドニアに滅亡の気配はなく
どちらかというと、ハンニバル、スキピオが表舞台から退いてから、その色が強まります。

 “歴史を後世から眺めるやり方をとる人の犯しがちな誤りは、
  歴史現象というものは、その発端から終結に向かって実に整然と、
  つまりは必然的な勢いで進行したと考えがちな点”

結果から今の価値観で訴求すると、いかにも、カルタゴやマケドニアの滅亡ありきで、
「覇権的な帝国主義」への道筋をつけるための動きであった、、ともなりますが、

その時代の動きの中に入ると、意外とそうでもなさそうで、特に、、

 “カルタゴの滅亡は、二重にも三重にも重なり合って起ってしまった、
  不幸な偶然がもたらした結果であった”

なんてカルタゴの滅亡を位置付けている一方で、
マケドニアやギリシャのそれについては、、

 “何ごとにおいてもおだやかなやり方は、
  相手もそれに同意でないと成立しえないという欠点をもつ”

 “ローマ人に、寛容主義の限界を悟らせた。”

なんて風に評価しているように、複層的な要素が交わりあっての、
それぞれの理由に基づいて、国家滅亡との結果につながっていたのか、とも。

とはいえ、結果としては、

 “(カルタゴ、スペイン、ギリシャの属州化で)地中海は、ローマ人にとって、
  「われらが海(マーレ・ノストゥルム)」となったのだ”

との派遣を成立したからこそ、

 “ローマ人の地中海制覇は、カルタゴの滅亡までふくめて、
  「ハンニバル戦争」の余波なのであった”

なんて風にも言いまわせるのでしょうけど、、学界では余波なんて許されないでしょうねぇ。

歴史とは事実を積み重ねただけでは意味がない、とあらためて思います。
数多ある事実に対して、自分の言葉で理解して、どう真実として昇華していくのか、

そして、それをどう伝えていくのか、また、伝えていくのには、
ただ無味乾燥な事実を並べるよりは、血沸き肉躍る方が記憶にも残るでしょう。

かといって、何もそれを頭から無批判に信じる必要はない、伝えられる内容に、
自分の言葉で批判を加えていくことが、学問としての第一歩でしょうから。

なんてのは、歴史学であればこそ、一番最初に叩き込まれる基本姿勢とは思うのですが、、
どうやら、ここ最近の、息子たちの世代の歴史教科書などを見ると、怪しさがぶり返してますかね。

最後にやや耳に痛く残ったのは、以下のフレーズ。

 “血も流さずにいて、何を言いたい!”

日本にしてみれば、湾岸戦争時のトラウマも記憶に新しいところ。

さて、われらが日本にとっての「日本らしさ」、いわゆる国体とは、と、
あらためて考えていきたいですね、そして自分の子供たちに伝えていきたいところです。

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2024年05月18日

mac

ネタバレ 購入済み

ローマ対ハンニバル

一部ご紹介します。
・ハンニバル「あそこはもうイタリアだ。イタリアに入りさえすれば、ローマの城門の前に立ったと同じことになる。もうここからは下りだけだ。アルプスを超え終わったあとで、一つか二つの戦闘をやれば、われわれは全イタリアの主人になれる。」
・ファビウス「ローマは英雄を必要としない国家である。」
・フラミニヌス「ローマの伝統は、敗者さえも許容することにある。敗者の絶滅は、ローマ人のやり方ではない。」
・ローマ人は、肉を食べて体位向上をはかることはなかった。戦闘は体力で決まるものではないと思っていたからか。あるいは、海産物とチーズと穀物とオリーブ油に葡萄酒の、地中海世界の食事から離れられなかったからか。これで世界を征服してしまったのである。
・戦闘の結果を左右する戦術とは、コロンブスの卵であって、コロンブスの卵ではない。誰も考えなかったやり方で問題を解決する点ではコロンブスの卵だが、そのやり方を踏襲すれば誰でも成功できるとは限らないという点ではコロンブスの卵ではない。
・主戦力を活かすには、非主戦力の存在が不可欠だ。
・優れたリーダーとは、率いられていく人々に、自分達がいなくては、と思わせることに成功した人でもある。
・スキピオ・エミリアヌス「今われわれは、かつては栄華を誇った帝国の滅亡という、偉大なる瞬間に立ち合っている。だが、この今、私の胸を占めているのは、勝者の喜びではない。いつかは、わがローマも、これと同じときを迎えるであろうという哀感なのだ。」

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、ポエニ戦争での、ハンニバル対スキピオが描かれます。手に汗を握ってしまうほどの迫力です。

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2018年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カルタゴ国滅亡という結果に終るポエニ戦役。興隆の途にあるローマ人は、はじめて直面した大危機を“ハンニバル戦争”と呼び、畏れつつ耐えた。戦場で成熟したカルタゴ稀代の名将ハンニバルに対して、ローマ人は若き才能スキピオとローマ・システムを以て抗し、勝った―。歴史はプロセスにあり、という視点から余すところなく、しかし情緒を排して活写される敗者と勝者の命運。

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2012年09月10日

Posted by ブクログ

ハンニバルも良いけど、やっぱスキピオですよね。戦術大好きになりました(前からそうだけど)。包囲作戦は爽快。しかし悲惨。

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2012年06月12日

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カルタゴのハンニバルがローマ攻略に乗り出す。ローマには若い武将スキピオが登場し、ハンニバルに挑む。イタリア、スペイン、北アフリカを舞台に息もつかせぬ大スペクタクルが繰りひろげられる。共和制ローマのシステムの完成度は見事。また、双方とも戦争の継続のため補給路の確保にいかに腐心したかがわかる。

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2012年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ローマとカルタゴの3期に亘る戦いと、ギリシャ、シリアでの戦い
執政官制度の堅持
ハンニバルとスキピオ
ギリシャ芸術文化の尊重とギリシャ人への蔑み
緩い帝国支配から厳しい帝国支配への変化
カルタゴの滅亡

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2011年09月02日

Posted by ブクログ

前巻でイタリア半島を統一したローマが、その領土を地中海全域へ拡げることとなったポエニ戦役を中心に描かれる第2巻。しかし、主人公はローマ人ではなく、ローマのライバル国カルタゴの武将ハンニバルだ。

とにかく、このハンニバルが圧倒的存在感を醸し出す。部隊を率いてアルプス山脈を越えて、ローマへ侵入、イタリア半島を縦横無尽に動き回り、ローマを混乱させる。

しかし、ローマに若きヒーロー、スキピオが登場したことで形勢逆転。ハンニバルをイタリアから追い出し、「ザマの会戦」で直接対決が実現する。

2人の英雄の関係はガンダムのシャアとアムロっぽい。

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2010年10月20日

Posted by ブクログ

相変わらず、ずっしりぎっしり贅沢なボリューム。
しかし塩野さんの描く男ってのはなんでこうもカッコイイのかな! 惚れずにおれん。

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2010年07月08日

Posted by ブクログ

ハンニバルにイタリア半島まで攻め込まれたローマ。19年に渡る防衛戦で遂に勝利し、やがて地中海世界の覇者となる。遠い時代の、遠い所の、知らない歴史。その叙述が何故こうも面白く思えるのだろう。

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2024年04月01日

Posted by ブクログ

カルタゴの名将ハンニバルのイタリア侵攻とローマの敗北、ハンニバルとローマの名将スキピオの戦いが軸に書かれています。
戦いの戦術も書かれており、大変面白かったです。

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

象を伴うアルプス越えからイタリア各地での戦、そして最後はザマでの会戦、地中海世界の覇権をかけたローマとカルタゴの戦いだ。役者は二人ハンニバルとスキピオ、この年齢も性格も著しく異なる二人の天才のぶつかり合いは非常に魅力的だ。紀元前の話しとはとても思えないレアリティがあった。

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2023年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

北アフリカの強国カルタゴとローマの激戦が描かれる。シチリアの覇権をめぐる「第一次ポエニ戦役」、主戦場をイタリアとしたカルタゴの英雄ハンニバルによる侵略戦争である「第二次ポエニ戦役」がメインのテーマ。
第一次ポエニ戦役は地中海の制海権が重要となることから、当時は海軍を持っていなかったローマより沿岸国であるカルタゴが有利かと思いきや、そうならないのが面白いところ。「カラス」という回転する梯子のようなものを船に装着し、カルタゴの軍船に橋をかけローマの強みである重装歩兵を活用し戦闘を陸戦化するという発想の転換は学ぶ部分が多いなと感じた。
第一ポエニ戦役での敗戦の将となったハミルカルであるが、その長子であるハンニバルの活躍により、ローマは窮地に立たされる。ローマ人には考えも及ばなかったアルプス山脈を越えてのイタリアへの侵攻、トレビアの戦いを経て北イタリアに地盤を築いたハンニバルは更に南下し、トラシメヌス湖畔の戦いでの鮮やかな奇襲によりローマを追い詰める。ハンニバルは拠点を南イタリアに移し、ローマ同盟国の切り崩しを図るも思うように事を運べない。南イタリアでの大規模会戦カンネの会戦でハンニバルが勝利したことにより潮目が変わる。南イタリアのカプア、シチリアのシラクサがハンニバル陣営へと加わる。
「ローマの盾」であるファビウスの戦略のもと、「ローマの剣」であるマルケルスがハンニバルを追い詰める。離反したシラクサをマルケルスが攻略すると共に、奴隷軍団を率いるグラックスがハンニバル包囲網を築き、本国カルタゴからの補給を断つ(アルキメデスがシラクサでローマ軍に殺害されたのは有名な話である。アルキメデスの設計の特殊武器によりローマ軍は大いに苦戦したらしい)。
一方、ハンニバルの本領であるスペインには若き司令官であるスキピオが派遣され大活躍を遂げる。スキピオはハンニバルの弟であるハスドゥルバル・マゴーネが合流する隙を与えずこれを破りスペインを平定する。ハスドゥルバル、マゴーネはスペインを放棄し、イタリアのハンニバルの救援に向かうも、ハスドゥルバルは戦死、マゴーネも合流は叶わなかった。ローマに帰国したスキピオはカルタゴ本国の急襲を主張するも、元老院、ファビウス、大カトーの反対により、一旦シチリアへ派遣される。シチリアで軍を編成したスキピオは北アフリカに上陸し、ウティカの戦いでカルタゴ・ヌミディアの両軍を破ると、マシニッサをヌミディア王として擁立し屈強な騎兵を有する同盟国を得る。いよいよ、天才同士が激突するザマの会戦に突入するが、戦略の柱である騎兵で差をつけられたハンニバルは、自身の得意戦法である騎兵を活用した用兵をスキピオに実践され敗北。第二次ポエニ戦役はここに終結する。
ローマの同盟国(といっても勝手な戦争を行う事は禁止にされるなど、ほとんど従属の扱いだが)となったカルタゴであるが、間もなくして亡国の憂き目にあう。ヌミディアの侵略により苦しめられ、ローマへ解決を求めるも、ローマは対策を講じてくれず、カルタゴはついに軍団を編成。これが条約違反とみなされ、ローマはスキピオ・エミリアヌス(スキピオ・アフリカヌスの義理の甥)を派遣し、カルタゴを完全に滅ぼす。約500年の歴史を持つ経済国が更地にされたとのこと。諸行無常である。
カルタゴの滅亡により、ローマは名実共に地中海の覇権を築くことになるが、この覇権が、ローマを強国たらしめた共和制のシステムのバグを引き起こしていくことになるのである・・・

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2023年02月19日

Posted by ブクログ

この本の面白さは、ローマ目線とカルタゴ目線の展開の早さと感じました。戦勝国や敗戦国として、どちらかを取り上げるのではなく 両方の目線で プロセスを分析する本だと思います

正義とか悪とかの話ではなく、将棋の感想戦のように 行動の動機を考える本だから ビジネスマンに人気があるのでしょう

ローマは 税の取り方をシステム化して、国を近代的に運営していることに驚きます

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2021年01月14日

Posted by ブクログ

シラクサがメッシーナへ侵攻した事から始まったポエニ戦争からカルタゴ滅亡までの物語。アレキサンダー大王に学んだハンニバルと幾度もハンニバルの手をかいくぐり生き残ったスキピオの活躍が面白かった。16年もイタリアにいたハンニバルの元を去らなかった兵士たちは食べ物も豊富では無かったろうに、それ程ハンニバルにカリスマがあったと言う事なのか。2人が死んだ後のマケドニアやカルタゴの最後もハンニバル戦争の余波というのが長い戦争が残した結果なのだと感じた。

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2021年01月08日

Posted by ブクログ

ローマが地中海の覇権国家となるきっかけとなる第一次ポエニ戦役、およびカルタゴの名将ハンニバル、ローマの英雄スキピオ ・アフリカヌスが登場する第二次ポエニ戦役、またその後のマケドニア、カルタゴ滅亡を描く。
最高に面白く、引き込まれます。

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2018年07月26日

Posted by ブクログ

余りにも有名なハンニバル戦役をふくむ三度のポエニ戦役を活写。第二巻でいきなり最高潮の物語。しかし、単なる合戦描写におわらず、戦勝国、敗戦国各々が抱える問題点が提示される。「戦争終了をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる」、「自主的な交戦権を認めない・・・これではカルタゴは完全な独立国であるとはいえない」。

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2017年05月24日

Posted by ブクログ

この第二巻は、ハンニバルのカルタゴとローマの戦いのポエニ戦役が舞台。

ハンニバルはもちろん聞いたことはあるが、実際にどんな戦術でローマと闘い、どんな人物だったのかは、世界史を知らない私にはまさに未知の世界。

実際、読み進めていくにつれ、ハンニバルへの思いが強くなり、フィクションの戦争小説を読んでいるような気持になった。

歴史名を残す武将・ハンニバル。 彼の戦術は、2000年以上前のものとは思えないほどに緻密なものであった。

私の完璧な偏見ではあったが、紀元前の世界では絶対王政、戦いは単純な歩兵同士の激突、と考えていたが、ハンニバルは違った。

情報戦、今でいうインテリジェンスに長けた戦術家という印象を与えるハンニバル。

そのハンニバルを破った、ローマの若き武将・スキピオもまた魅力的な戦術家である。

著者は、スキピオをハンニバルの弟子と称しているが、優れた戦術を十分に生かし、さらにそれを己のものとして利用することができたスキピオは優れた才能の持ち主であったのだろう。

今の時代でも、教えてもらったことをどう生かせるかが重要であることは同じである。

それにしても、当時のローマの政治というのはおもしろい。

戦いに敗れた国を征服、侵略するのではなく、同胞あるいは属州として存続させ、ローマ連合という大きな組織を作ることに成功しているのは、まさにローマ人ならではの考え方である。

そんな紀元前のローマにも、嫉妬というのは存在していたというのも興味深い。

現代ではスキャンダルによって影響力を失う政治家をよく見かけるが、昔も今も似たようなものなのか。

ローマを守り、勢力を拡大させたスキピオは結局最後はローマを離れて死を迎えるわけだが、なんともさみしい終わり方である。 


優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。
率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人である。
持続する人間関係は、必ず相互関係である。一方的では、持続は望めない。

興味深く言葉である。 確かにその通りなのか・・・ 実際ハンニバルはそうであったようであるが。

ポエニ戦役後、スキピオを失脚させたローマは大カトーの台頭により、穏やかな帝国主義から厳しい帝国主義へ変革していくが、これも歴の流れからいえば必然なのか・・・

第三巻がまた楽しみになった。

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2012年11月20日

Posted by ブクログ

ポエニ戦役、ハンニバルとスキピオの闘い。ハンニバルのストイックで緻密な様子がうかがえる描写が面白かった。ローマが敗戦国に対して寛容さが無くなってきた。次巻ローマがどうなるかに期待が膨らむ。

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2011年12月04日

Posted by ブクログ

ハンニバル、すごい人だな。
職業としての軍人がストレートな形で存在しない日本では、
軍人として生きる男の感覚が、私には肌で理解できない。
そういう意味でもこの小説の男たちが、どう考え、どう生きたのか
知るのはとても興味深い。

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2010年06月20日

Posted by ブクログ

天才とは、その人だけに見える新事実を、見ることのできる人ではない。誰もが見ていながらも重要性に気づかなかった旧事実に、気づく人のことである。
ローマの元老院は、絶望的な現状の打開に、はじめから大風呂敷を広げるという誤りは犯さなかった。全戦線は視界に収めながらも、必要に迫られている戦線から、当時のローマの力でできる範囲で、反撃を開始したのである。
シラクサには、アルキメデスがいたのである。一人の人間の頭脳の力が四個軍団にも匹敵する場合があることを、ローマ人は体験することになる。
ローマは旧敵国の指導層の子弟、つまり旧敵国の指導層予備軍を選んでローマで学ばせ、ローマのシンパに育てるやり方を好んだ。人質といっても、牢獄につながれるわけではない。適当な家庭に預けられ、家族同様にあつかわれ、その家の子供たちと一緒にその家の家庭教師に学ぶのが、ローマ人の考える人質であったのだ。
七百年もの長い歳月、カルタゴは、広大な土地を、多くの島々を、そして海を支配下に置いてきたのだった。それによって、カルタゴは、これまでに人類がつくりあげた強大な帝国のいずれにも遜色のない、膨大な量の武器と軍船と象と富を所有するまでになっていた。・・・それが今、落城し、完全に破壊され、地上から姿を消そうとしている。スキピオ・アフリカヌスは、伝えられるところによれば・・・、敵のこの運命を想って涙を流したという。勝者であるにもかかわらず、彼は想いを馳せずにはいられなかった。人間に限らず、都市も、国家も、そして帝国も、いずれは滅びることを運命づけられていることに、想いを馳せずにはいられなかったのである。

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2016年02月19日

Posted by ブクログ

個人の力量に過度に依存することなく、あくまでも政治のシステムに従い総力戦で難局を乗り越えたローマには勇気を与えられる気がする。

現代の日本でも個人の力で動いている組織は少なくないと思う。そういう組織はハンニバルを擁したカルタゴのようにいつかどこかで綻びが生じるだろう。特定の個人に依存するのではなく総力戦で挑むという心構えを古代ローマから学びたいと思う。

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2015年11月26日

Posted by ブクログ

読みたい巻から読めばいいという話を信じて読んでみましたが、そのとおりでした。
完全な伝記というよりは、事象を追うといった形で、会話文などはほとんどないですが、それでも楽しみながら読んでしまうのは、なんでなんだろうと不思議なところです。

楽しみながらとは言っても、やはりサクサク読める内容でもないので、それなりに読み終わるには時間がかかりました。教科書で5行も、深く調べていくと、こんな壮大な物語が含まれているんだということに驚きます。

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2013年05月11日

Posted by ブクログ

ついついローマ側に肩入れして読んでいると、ハンニバル戦争は辛い展開。
それだけに、陽の気質を持つスキピオの存在が輝いて見える。

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2011年05月08日

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