塩野七生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
11世紀半ば、聖地エレサレムをイスラム教徒の手から取り返そうと
ヨーロッパのキリスト教徒たちが行軍を開始した。
これが、有名な『十字軍』である。
キリスト教もイスラム教も、
自分たちの信じる神以外の神は認めないとする共通点があった。
だからこれは、お互いの神を旗印に掲げた、宗教戦争だったのだ。
「神がそれをのぞんでおられる」という言葉をかわきりに、主に民衆が集結した「第一次十字軍」が始まり、武装した騎士団を中心とした第2次、第3次、第4次と何年かごとに、十字軍の遠征は続く。その間の数多いエピソードや英雄伝、文化の交流など、十字軍の果たした役割は大きいようだ。
また、宗教に没頭する人々のエネルギーもすごい。
一つのことを一途に思う民衆の力は計り知れないものだと感心する一方で恐ろしくも思った。
1571年の「レパントの海戦」でこの宗教戦争が終結するが、
最初から500年もの歳月をかけているのだから…。
著者はこの本を筆頭に、十字軍の歴史を物語る三部作を書いている。
十字軍に興味があっても、全部読み通すのは、なかなか根気がいるなと思っていたところ、この本1冊で十分に十字軍の世界を楽しめた。
まず、その構成。
ページを開くと、左側にギュスターヴ・ドレの版画絵。
右側の上部に、遠征地図。下部に一話完結のエピソードとなっている。
絵本のようなわかりやすい構図がずっと、、
8ページから204ページまで続いていくのだ。
ギュスターヴ・ドレの名前を私はここで初めて知ったのだが、
彼はその独特な技法で「聖書」や「神曲」「ドン・キホーテ」の押し絵画家として成功し、19世紀のビジュアル・アーティストになったという。
その版画絵を見ているだけでも、十分に十字軍の状況が伝わってくる。
物語の残酷さや政治・宗教がらみの胡散臭さも感じられ、
ひょっとすると、『十字軍物語』は読まなかったかもしれないが、
ドレの版画絵はとても魅力的だった。とても美しい歴史絵本だと思う。 -
Posted by ブクログ
食わず嫌いの塩野七生でしたが、この作品は最高!
ローマの500年にわたる歴史を、こんなにリズムよくしかもユーモラスな文体で書ききるとは!
恐れ入りました!
知識の量も常人ではなく、エピソードも満点。
とにかく情報量が多いので、一回読んだだけではとてもじゃないが咀嚼できない!
手元に置いて、ことあるごとに開いて目を通したい一冊!
名将ピュロスとローマの戦い面白かったな。
文学的であり、理知的で、サービス精神旺盛!
キリスト教の考え方や、近代啓蒙主義的な思想を背負っていないところが、非常に好感がもてる!
古代ローマの時代性を的確に捉えようとする、澄んだ眼差しが非常に素晴らしく、歴史を書く方は、斯くあるべきと思いました。
全ての方にオススメです。 -
Posted by ブクログ
現代では約2,000年前のローマ人を『インフラの父』と呼んだりするらしい。
そしてこの巻では、色んな本の中では地味であまり出てこない、『全ての道はローマに通ずる』の語源とも言える、『街道の建設』『上下水道の建設』などの生活のインフラについてのみ、書かれた本。
はじめ書きには、著者が自ら読みづらい本。しかし、どこにもない著者著しての挑戦の本でもあるということ。
現在でも道や水の確保が難しい地域がある中で、約2000年前に何も無い状態からこれを作り整備したのはとても凄いと思います。
これに近い方法を行なったのは、織田信長で楽市楽座や道を大きく広げた所が似ています。
まず『街道』には、戦略上軍団の行動スピードを高める為と、他の街との交流を盛んにする為、また道を広く創り、一定の距離の木々を切り見晴らしよくする事で、敵の奇襲や、盗賊などの被害を減らし、事件が起こっても短時間で援助に迎える整備された道ということです。
これは知ってか知らずか、織田信長も同じ目的で同じような行動に出たのだと思います。
また、水道に関しては水道橋などを創り、質の良い水源を何万キロから持ってくるという凄い事を行い、それにより清潔な水の確保は元より、今と違って水に殺菌作用を行なっているわけではないので、流しっぱなしの状態なんですが、それにより下水環境が整えられて衛生面でも大きく向上したとの事です。
ローマに行きたい。
ローマの歴史を感じたい。
帝政ローマ最高です。 -
Posted by ブクログ
「なぜリスクをとるリーダーが出ないのか―危機の時代こそ歴史と向き合え!」この台詞をテレビに映っている政治家にぜひとも言いたい。
この本を最初に読んだのは「日本人へ 国家と歴史編」とあわせて読んでいたような気がします。最近、この人の書いた大作、『ローマ人の物語』を読んでみようと思っています。しかし、あの量の多さが僕に二の足を踏ませている、というのもまた事実でございます。ここに書かれているのは「リーダー論」としての時事評なんですけれど、ぜひとも喧々諤々と不毛な政治闘争を繰り広げている日本の政治家センセイの方すべてに読んでいただきたいと、大マジメに思っております。
彼女の時事評はローマの歴史を専門にしているだけあってその論法は鋭いので非常に面白かったです。この本が刊行される前に掲載された状態で書かれていた時期はどうも小泉政権のころのようですが、今こうして考えると、いろいろなことが『改革』されていった時期でもございましたね。それは今でも重いくびきになっているのは皆様もよくご存知のことと思います。
この本の最初に収録されてある「継続は力なり」という文章の最後に
「政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であったのだった。」
特にここは政治家のセンセイ方にはよくよく読んでいただきたいと思っています。 -
Posted by ブクログ
文庫本を購入し休日に一気に読破しました!!。
この本はローマ時代の「五賢帝」のうちトライアヌス、
ハドリアヌス、アントニウス・ピウスの3人を取り上げています。
これらの皇帝時代がもっともローマ帝国が繁栄していた
そうです。是非、興味のある方はお読みください。
またこの塩野さんの本からするとアメリカはハリウッド映画でローマ帝国を批判するが国の制度はそっくりですね。
□中央政府と州(ローマとその他の属州の関係)
□大統領と議会(皇帝と元老院)
□だれでもアメリカ人になり権利が保障される
などなど。アメリカの国旗はローマ帝国にならって
鷹ですしね。
組織とは、仕事とはどうあるべきかを考えさせられます
ので是非、読んでください。 -
Posted by ブクログ
『コンスタンティノープルの陥落』に続くキリスト教世界VSイスラム教世界の対決第二ラウンドです。
コンスタンティノープルを攻略した後、巨大な帝国へとその勢力の拡大していたオスマン・トルコにとって、ロードス島は喉元のトゲのような存在でした。時の大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略を開始します。攻めるオスマントルコ軍は二十万、一方でロードス島の守備隊・聖ヨハネ騎士団はわずか六百人。初めから勝負は決まっていましたが、ヨハネ騎士団は五ヶ月にわたり砦を守り抜きます。
ペルシャとスパルタの「テルモピュライの戦い」や日本でいえば楠木正成の「千早城の戦い」と同じで数の戦力差は信用できませんが、圧倒的に不利な戦いに挑みゆく騎士道精神と宗教的使命感に感銘を受けます。 -
Posted by ブクログ
マキャベリとは、15-16世紀にかけてフィレンツェ共和国(現・イタリア)の衰退期に生きた政治思想家で、
その思想はマキャベリズムなんて言葉で表現されることもあります。
そのマキャベリが傾倒した同時代人が「カンタレラ」で有名なチェーザレ・ボルジアであったりしますが、
そのボルジアが「毒を盛る男」なんて評されていることから、そのイメージ釣られてかネガティブに捉えられたりも。
本書は、そのマキャベリの著作・手紙などから、著者・塩野さんの琴線に触れた文を抜粋した語録という形式。
面白いのは冒頭で「あなたの関心が刺激された箇所について、御意見を聴かせていただきたい」とある点でしょうか。
SNSが盛んな今でこそ、BBS や blog 等に代表されるようにさして珍しくない双方向でのコミュニケーション様式ですが、
こちらが上梓されたのは1988年、今から20年以上昔の話です、、この時代でのこの発想はさすが、ですね。
なお「マキアヴェッリと日本人」とでも銘打って著したいとのことですが、今でも募集しているのだろうか。
受付窓口は新潮社文庫編集部とのことですが、今更ながらに送ってみようかなぁ。