塩野七生のレビュー一覧

  • チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷―塩野七生ルネサンス著作集3―

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    著者の初期の作品をようやく読んでみた。カエサルやフリードリヒ2世など、著者が好きなタイプの人選。既成概念に囚われない野心家の話は、読んでいて楽しい。

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    2021年02月24日
  • すべての道はローマに通ず──ローマ人の物語[電子版]X

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    文庫版では27・28に相当。この巻はこれまでのように時系列や皇帝の歴史に沿うのではなく、ローマのインフラについての巻で、いわば番外編。
    しかしこのインフラについてまとめるという視点はよかった。わかりやすいし、教訓もたくさん。

    インフラはローマ人の定義では「人間が人間らしい生活をおくるためには必要な大事業」ということで、現代の政治家よ国策よ、そうしておくれ。

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    2021年02月21日
  • 小説 イタリア・ルネサンス3―ローマ―(新潮文庫)

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    塩野さんの唯一の連作小説。
    ヴェネツィアとフィレンツェは朝日文庫で読んでいたが、
    『黄金のローマ』は品切となり読めていなかった。今回、新潮文庫で関連するローマの写真と絵画を加えて復活。
    ローマを訪れた際に見たマルクスアウレリウス(『自省録』も読書中)の騎馬像の運搬の話は面白かった。

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    2021年02月20日
  • 小説 イタリア・ルネサンス3―ローマ―(新潮文庫)

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    運命とはなんと残酷なことだろう。

    ローマを見るためには2つの目が必要になる。
    人は物事を見る目である。
    もう一つは、過去の歴史をみるための心の目である。

    主人公はこの2つの目でローマを見る。今のローマと過去のローマを。
    盛者必衰の理はローマだけではなく、祖国ヴェネツィアもなのだろうか。

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    2021年02月20日
  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)

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    舞台はベネツィアからフィレンツェへ。

    花の都と呼ばれるフィレンツェが舞台であり、華やかな文体が心地よい。
    フィレンツェに行った時を思い出した。

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    2021年02月16日
  • 絵で見る十字軍物語

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    この本で唯一の写真であるフリードリッヒの彫像が最も心に残った。
    血を流さずに十字軍の目的を果たしたために、同胞から蔑まれた第六次十字軍指揮官。彫像はキリスト教徒の手によって無惨に傷付けられている。
    現代的な価値観では最良の成果を出した人物が、こんな評価を受けたとは。

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    2021年02月14日
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    帰国後のマルコの活躍。小説形式だが実態は歴史エッセイ。トルコ・スペイン・フランス、領土型国家と肩を並べて強国といわれた都市国家ヴェネツィア。マルタでの騎士団の勝利、その煽りを受け占領されたキプロス。国家の危機の中、レパントの海戦へ持ち込む。キリスト教国連合の中ヴェネツィアの果たした勝利への役割は大きい。海軍力と交易、そして共和国という特性。人材登用と外交。自国の個性を踏まえた上での戦略。損して得とれ。名を捨てて実を。・・オリンピック開催にメダルの数。名誉ばかり追い求める今の日本が見習うべきはここだ。

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    2021年02月11日
  • 賢帝の世紀──ローマ人の物語[電子版]IX

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    塩野七生 「 ローマ人の物語 」 賢帝3人が平和なローマ世界を樹立した巻。著者は 3賢帝の安全保障策、属州統治策、インフラ整備策に 賢帝たる理由を 見出している

    トライアヌス が平和の基盤を作り、ハドリアヌス が平和のために改革をして、アントニヌスピウス が 平和なローマ世界を定着させた

    平和は最上の価値
    *平和は 理想ではなく現世で享受すべき利益→経済的繁栄
    *抑止力としての軍事力は必要→戦争は怖れるべきでない、だが こちらから挑発すべきでもない
    *安全の保証→食の保証
    *パックスロマーナの成功=外的排除+内紛防止

    ローマ世界は一つの大きな家
    *ローマ世界は 異民族、異文化が混ざり合っ

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    2021年01月14日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    ルビコン以後は カエサルとポンペイウスの内乱、元老院との政治闘争が中心。外国だけでなく、自国をも デザインしようとしたのが、ハンニバルやポンペイウスとの違い

    カエサル50歳以後の 数々の改革は 驚く。ローマの安定成長の基礎を カエサル一人で 築いている

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    2021年01月14日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    ハンニバルは戦争のプロだが、カエサルは戦争と政治を操れたエリート。ルビコン前は ガリア戦記が中心

    カエサルは 借金、人妻好き、政略結婚と人物的には 評価しづらい。戦争と政治を使い分け、ポピュリズム、人心操作で、地位を確立していった と感じた

    カエサル、ポンペイウス、クラッスス、キケロを中心に 物語を追っていくと わかりやすい。

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    2021年01月14日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    この本の面白さは、ローマ目線とカルタゴ目線の展開の早さと感じました。戦勝国や敗戦国として、どちらかを取り上げるのではなく 両方の目線で プロセスを分析する本だと思います

    正義とか悪とかの話ではなく、将棋の感想戦のように 行動の動機を考える本だから ビジネスマンに人気があるのでしょう

    ローマは 税の取り方をシステム化して、国を近代的に運営していることに驚きます

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    2021年01月14日
  • ローマ世界の終焉──ローマ人の物語[電子版]XV

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    塩野七生 「ローマ人の物語」最終巻 テオドシウスからのローマ帝国滅亡まで。

    ローマ帝国が 何を失って滅亡したのかを伝えている

    著者の最後の言葉〜地中海の役割の変化〜が印象的
    「多民族、多宗教のローマ帝国にとって、地中海は内海(つなぐ海)であったが、地中海が、つなぐ海でなく、異なる宗教や文明をへだてる境界に変わったとき ローマ世界は終わった」

    カエサルやアウグストゥスと比較すると ローマ帝国末期は皇帝の資質が低い。キリスト教の王権神授説により、人意でなく 神意で 皇帝を決めたことが 資質の低さとなり、市民の参政意識や国家防衛の士気は薄れた原因とする論調

    ローマ帝国隆盛時にローマ市民が持っ

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    2021年01月14日
  • 小説 イタリア・ルネサンス1―ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    塩野先生といえば「ローマ人の物語」「海の都の物語」ほか、イタリアの歴史物語で数々の名作を残してきましたが、今回のシリーズは小説。
    16世紀のヴェネツィア共和国で、名家タンドロ家の当主である外交官マルコと、元首の庶子アルヴィーゼ、出自の違う幼なじみの二人を巡る物語。

    詳しい話はぜひ「海の都の物語」を読んでいただきたいですが、中世のヴェネツィアは西にカトリックのスペイン(ハプスブルク家)、東にイスラムのトルコと異なる大国に挟まれた中、人口も国土も小さい中で海洋国家として軍事力・交易、そして統治機構と外交力、いわゆるインテリジェンスを強みに、巧みに独立を保ってきました。

    元首の息子ながら、ギリシ

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    2021年01月10日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    シラクサがメッシーナへ侵攻した事から始まったポエニ戦争からカルタゴ滅亡までの物語。アレキサンダー大王に学んだハンニバルと幾度もハンニバルの手をかいくぐり生き残ったスキピオの活躍が面白かった。16年もイタリアにいたハンニバルの元を去らなかった兵士たちは食べ物も豊富では無かったろうに、それ程ハンニバルにカリスマがあったと言う事なのか。2人が死んだ後のマケドニアやカルタゴの最後もハンニバル戦争の余波というのが長い戦争が残した結果なのだと感じた。

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    2021年01月08日
  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(下)(新潮文庫)

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    信仰心が悪い意味で厚い中世で、ここまで合理的に統治できたとは、相当の知力・胆力・カリスマがあったのだろう。
    マグナカルタは習ったが、メルフィ憲章は知らなかった。こちらの方がちゃんとしていると思う…
    無宗教者の考えだが、自分だけが正しいと信じ込み感情的に突っ走る宗教は厄介だ。未だに争いがなくならないではないか。何の為の宗教なのやら。

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    2021年01月07日
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)

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    マルコがまたベネティアへ戻り10人委員会の 委員となり、政策決定をしていくところから最後引退してベネティアのその後までを描く。 途中では
    大国トルコ、スペイン、ドイツ、法王庁との間での交渉の過程と最後のレパントの海戦が描かれるが、やはりベネティアの衰退は止まらない。海戦には勝つものの、キプロスはトルコに奪われたまま。とりあえずの平和を取り繕った所でマルコは引退で終わる。 マルコ・ダンドロの生涯を描いるが、実ははベネティアのピークから少しずつの衰退を描いた物語であった。

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    2021年01月05日
  • 小説 イタリア・ルネサンス3―ローマ―(新潮文庫)

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    ローマはやはり法皇を中心としたキリスト教の中心地。そこに地を移したマルコだったが、すぐにその法皇の孫に当るファルネーゼ枢機卿と仲良くなる。そこで本来の地に戻ったオリンピアとも仲が戻るが、ただそこにはオリンピアの過去が。
    ファルネーゼ枢機卿は実はオリンピアの息子で合ったことが最後にわかる。 特にこの地で余生を過ごすには若すぎたところにベネティア出身のコンターニ枢機卿からベネティア海軍がトルコに負けたことを聞いたマルコがまた故郷を思い再度政治の世界に立ち向かうことを決意する。 そこにオリンピアを連れて行こうとしたが、ファルネーゼ父がオリンピアを愛するあまり殺してしまった。 失意のマルコはベネティア

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    2021年01月04日
  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)

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    3年休職期間となったマルコが旅行をした先がフィレンツ
    そこには同じようにオリンピアが居た。早速、普通の旅館位泊まったところである殺人事件に遭遇。そこでメジチの分家のロレンティーノに出会う。 彼は現元首アレクサドロに支えているが妹を差し出せといわれとうとう殺害を決意。
    最後には殺害してベネティアへ逃げてしまった。その後を従兄弟のコシモがが次いだがとうとうフィレンツエはのちのトスカーナ公国、君主の国になっていった。
    まあ、マルコはどっちかというと第3者的にこの大変革を見ていた。

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    2021年01月04日
  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)

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    小国ながら自治権を持つ国から大国に支配され自治能力を失った国を見る。暴君が支配し司法さえまともに行われない。大国皇帝の囁きで極刑から救われたからといってよいというものでもない。現代では、集団的自衛権、特定機密、IR法が成立と独立が名ばかりの国もある。森・加計・桜が仮にかの国の意向により司法判断が変わってよいわけがない。「権力が集中している場合にのみ陰謀が起こる」検事のかけ麻雀による失脚は形を変えた”陰謀”。本当の民主主義の国の人は、仮面民主の国に来て何を思うだろう。そんなことを考えながら読んでみた。

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    2020年12月31日
  • コンスタンティノープルの陥落

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    Netflixでオスマン帝国を観て興味を持ち、文字でも読みたくてこちらを。世界史に疎い自分もこれは小説のようで楽々読み進められた。(国名や人名などの表記が若干異なるので少々戸惑ったがすぐ慣れた)

    軍医、商人、側近、小姓、留学生、それぞれの視点からコンスタンティノープルが落ちていく様子を詳細に記録している。

    歴史的な転換点となった出来事の中身もかなりドラマティック。単純に、オスマン帝国のマホメッド2世がビザンチン帝国の都・コンスタンティノープルを手にする物語と一言では言えないような、登場人物全員に敬意を払いたくなるような、そんな感じ。

    本当に登場人物全員に感情移入してしまう。なかでもビザン

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    2021年05月06日