塩野七生のレビュー一覧

  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)(新潮文庫)

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    読んでいた当時、トランプ大統領がイラン軍司令官を殺害する命令を出し、アメリカとイランの緊張が高まった。この21世紀の無様をみて、800年前に「異教徒を殺せ」と十字軍を企画し、イスラムとの共生を考えもしなかった、ローマカトリック教会を愚かだと現代の我々は嗤えるのだろうか?

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    2023年09月06日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

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    2017年10月-2022年1月まで。変わらずの切れ味。ただ前半のコラムは悲観味が強く驚きがあった(これまでに比べるとだけど)。

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    2023年09月06日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    領土が拡がり、地中海での有力国家となったローマが、混迷する様子が描かれています。
    本書でも、人間の愚かさをローマの歴史を通して知ることができます。
    国を思い改革を進めるもの、既得権益を守るため、それを阻むもの争いが描かれています。
    現代日本には、国を憂う人は沢山いるかと思いますが、政治家に見えないのは何故でしょうか。

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    2023年09月03日
  • ギリシア人の物語1―民主政のはじまり―(新潮文庫)

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     この本は「ローマ人の物語」と同じくらい力が入っている。ただ読む方は第3章が区切れも無く長いので、くじきかけそうになった。だが、ローマ人の物語くらい読む価値のある本だと思う。

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    2023年08月30日
  • 完全版 ローマ人への質問

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    著者が「ローマ人の物語」を書いていた2000年当時の加筆・修正版。ローマ人の物語の中で書かれていることや、著者がほかの場所でローマと現代を対比しながら書いてきたことのうちのいくつかを対話形式にして”復習”した感じ。歴史家の中にはさまざまな意見があるのだろうが、著者がローマに向かう姿勢や視点というのは個人的に好みなので、頷きながら読んだ。
    ローマが他民族を支配しても、そこから多くを学び、模倣し、ローマ市民権を与えてきたそのやり方が帝国の安定につながっていたことは、近現代の戦争や植民地主義と比較するとやはり一種憧憬の対象。悪行も含めてエネルギッシュだったローマは、やはり歴史物語の”主人公”として魅

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    2023年08月13日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    カルタゴの名将ハンニバルのイタリア侵攻とローマの敗北、ハンニバルとローマの名将スキピオの戦いが軸に書かれています。
    戦いの戦術も書かれており、大変面白かったです。

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    2023年08月11日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    面白かった。
    ローマの歴史は、断片的に知っていたが、紀元前の時代に、こんなに素晴らしい国があったとは思わなかった。
    宗教への寛容さ、執政官、元老院制度と市民集会を活用した独自の政治システム、敗者さえもローマと同化させる生き方など隆盛する要因がよくわかりました。

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    2023年08月11日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    ハンニバルとの闘い以降カエサルの出現までが本書の舞台だ。ローマ史の谷間と思っていたが、非常に面白かった。共和制ローマを守ろうとする元老院とスッラ等為政者との攻防、ポントス王ミトリダテスのローマとの戦い、スパルタカスの反乱など実に多彩である。

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    2023年08月07日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

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    塩野七生先生が文藝春秋に寄稿されているコラム集。高校の時の友達が塩野七生先生の大ファンで、ずーっと気になっていたのですが…とりあえずコラム集なら、と軽い気持ちで手を出してしまいました。

    表紙のお写真の佇まいが、義母に似てるな~と思ったら…お人柄まで義母にそっくりでした(爆笑)。

    なぜ、2000年前のローマ人にできることが、今のイタリア人にできないのかと、憤りつつも、イタリア人への愛が溢れていて微笑ましい!ギリシアやローマの歴史と今の政治を対比させた考察は感嘆させられっぱなし!巻末の爆笑入院記も抱腹絶倒!塩野七生先生、おきゃんな娘さんが、素敵に80歳になられたような方ですね♪素敵な年配のご婦

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    2023年06月03日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    象を伴うアルプス越えからイタリア各地での戦、そして最後はザマでの会戦、地中海世界の覇権をかけたローマとカルタゴの戦いだ。役者は二人ハンニバルとスキピオ、この年齢も性格も著しく異なる二人の天才のぶつかり合いは非常に魅力的だ。紀元前の話しとはとても思えないレアリティがあった。

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    2023年05月30日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    ルネサンス補習。
    やっぱり興味があるのは芸術家と大航海時代を担った航海者達。
    最初の一覧を見るとほんと密度が濃いなぁと思う。

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    2023年04月29日
  • パクス・ロマーナ──ローマ人の物語[電子版]VI

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    ネタバレ

    アクティウムの海戦にてアントニウス・クレオパトラの連合軍を打倒したアウグストゥスに権力が集中する一方、アウグストゥスは危機管理を忘れなかった。内乱期に獲得した特権を放棄し、共和政に帰す事を突如元老院議員の前で宣言したのである。特筆すべき特権は課税権を伴った「イタリア宣誓」であり、これは対アントニウス戦のために国家ローマのためにアウグストゥスを総司令官と定めた特別法であったからだった。
    チグリス・ユーフラテス川の両川を拠点とするパルティアの問題はオリエントの防衛にとって長らく無視できない重要な課題であった。初めて正面からぶつかったクラッススは無残な敗北を喫し、オクタヴィアヌスとの権力争いの中で自

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    2023年06月05日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

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    「桜を見る会」「原発事故」「憲法改正」云々、政治絡みのご提言も多い。中曽根元首相と面会していたり、月刊Hanadaを読んでいたりするのでわりと保守の人?今となっての地雷を踏んでいないかと序盤はハラハラ。が、頁を進め様子がわかると微笑ましくなってくる。1937年生まれ。御年85歳。ご高齢女子のお茶のみ相手をしてるつもりで読むと楽しく感じる。他愛もない言説を利用する政治勢力もなかろう。PCもスマホも頑に使わない女史相手に遠くイタリアからの原稿取り。編集者も大変だっただろう。読者としては面白ければそれでよい。

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    2023年03月20日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    ネタバレ

    カエサルはついにルビコン川を渡り、ポンペイウス擁する元老院派との対決に臨む。決意を決めたカエサルとは対照的に、国賊認定をしてカエサルを追い込んだ元老院派はルビコン川を越えたカエサルの行動は予想できていなかった。冬季であったため、軍勢を整えるためにも春まで待つだろうと予想をしていたからであった。準備ができていないポンペイウス陣営は、早々にローマを捨て南伊ブリンディシに向かい、イタリアをも捨てギリシャへと渡る。ポンペイウスは地中海の海賊一掃作戦を通して地中海全域に渡り多数の「クリエンテス」を有しており、イタリア内での決着よりも地中海全域を盤面とした方が有利とみたからであった。カエサルは当然この展開

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    2023年05月31日
  • 誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ

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    いつものように、イタリアで見たイタリアや日本の政治、社会がストレートに語られている。民主主義や国の軍備についても、生の状態を追うだけでなく、歴史から学べること、分かることという塩野さんらしい視点が効いていて面白いし、報道が繰り出すマンネリな批判よりある意味プラクティカル。
    今回は旅のお供でキンドル版。旅しながら読むにもちょうどいい読みやすさだった。

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    2023年03月13日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    ネタバレ

    ローマの歴史における英雄中の英雄ガイウス・ユリウス・カエサルについての叙述がいよいよ始まる。カエサルは紀元前100年の生まれという事で覚えやすい。項羽と劉邦の時代のおよそ100年後、カエサルの100年後にキリストの時代となるのでなんとも贅沢な時代である。
    カエサルの少年期は、マリウス(民衆派)とスッラ(元老院派)の抗争の時代と重なる。母方の伯父にあたるマリウスがカエサルの伯父2人を処刑するという凄惨な出来事を13歳の時に経験している。16歳で父親を亡くしたカエサルは家長となり、政略結婚を経て当時の政争に巻き込まれていく。マリウスのバトンを受けとった執政官キンナは、オリエント平定を終えたスッラを

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    2023年05月31日
  • 勝者の混迷──ローマ人の物語[電子版]III

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    ネタバレ

    第二次ポエニ戦役に勝利し、地中海の覇権を不動のものとしたローマであるが、大きくなりすぎた反動が自身を襲う。属州となったシラクサから安価な農産物が入るようになり、ローマの農業者は葡萄畑などに転換するしかなくなったが、この転換には多額の投資が必要であった。投資能力のない者は土地を富裕層に譲渡せざるを得ず、格差が拡大したのである。
    このような背景の中、グラックス兄弟が登場する。兄のティベリウス・グラックスは、大規模農地の所有権を放棄させる農地法を護民官として提案し民衆に支持されるも、これが富裕層が多くを占める元老院の反感を買う。護民官への再選を期した集会において、反対派(背後には元老院が控えている)

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    2023年02月20日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    ネタバレ

    北アフリカの強国カルタゴとローマの激戦が描かれる。シチリアの覇権をめぐる「第一次ポエニ戦役」、主戦場をイタリアとしたカルタゴの英雄ハンニバルによる侵略戦争である「第二次ポエニ戦役」がメインのテーマ。
    第一次ポエニ戦役は地中海の制海権が重要となることから、当時は海軍を持っていなかったローマより沿岸国であるカルタゴが有利かと思いきや、そうならないのが面白いところ。「カラス」という回転する梯子のようなものを船に装着し、カルタゴの軍船に橋をかけローマの強みである重装歩兵を活用し戦闘を陸戦化するという発想の転換は学ぶ部分が多いなと感じた。
    第一ポエニ戦役での敗戦の将となったハミルカルであるが、その長子で

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    2023年02月19日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    紀元前753年の建国から500年、イタリア半島をローマ人が統一するまでの物語。この歴史物語を読み刮目したのは次の2点だ。
    1.ローマ人が敗者を隷属したのではなく、「共同経営者」にするという、当時では他に例を見ない政略を取ったこと。
    2.紀元前4世紀には「12表法」という成文法をもっていた、つまり紀元前においてローマが法治国家であったこと。
    我々の先祖が草深い山野で弥生式土器を作っていた時代なのだ。恐るべしローマ、今後どのように共和国から帝国に脱皮して行くのか、次巻以降が愉しみだ。

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    2023年02月11日
  • ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語[電子版]I

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    ネタバレ

    ローマの事を全く知らない人間が読んでも、グイグイ引き込まれる文章で、漫画を読むような感覚で歴史理解を深める事ができた。長丁場になるが全巻読んでみたいと思う。ローマ建国からカルタゴ(現 北アフリカ)との戦争であるポエニ戦役勃発前までが描かれる。ローマに最初に拠点を築いたのは所謂「ならず者集団」で、サビニ人の女性たちを拉致して結婚して子孫を残したというのは驚きであった。共和制移行後のパトリキ(貴族)中心の政治から平民を取り入れた政治体制の確立(リキニウス法)や同盟国出身の者に違和感なく最高権力であるコンスル(執政官)の地位を与えるなど、外部リソースの活用の上手さがローマが今後ライジングしていくこと

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    2023年02月08日