塩野七生のレビュー一覧
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文藝春秋に2013年から2017年に掲載された塩野七生先生のエッセイ。気軽な文体のなかに、たまに鋭い名言が隠れているのが良きです。この世代の女性は気骨がありますよね。それでいてユーモアたっぷりで。憧れます。という事で、人生の道半ば女性の私にとっては、塩野七生先生は、理想の人生の大先輩です。
すいません、恐れ多すぎること言いました。
イタリアやヨーロッパに住んでいる人の生の声が読めるのも楽しいところです。とくにこの頃は、シリアからたくさんの難民がイタリアに流入していて、おまけに若年層の失業率は40%超え。やれ少子高齢化だ、社会保険料が…、と問題だらけの日本ですが、他国も大変なんだな…としみじみと思いました。というか、ヨーロッパって世界の知性と良心なんじゃなかったのー!?と叫びたくなるほど、結構エグい話もたくさんあって、野次馬的に楽しめます。
手元においておいて、元気になりたい時に読みたいエッセイです! -
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現代でいえば最も評価されるであろうフリードリッヒ二世。無血で聖地イェルサレムを返還する。今までの十字軍史ではなかったこと。その無血を理由に当時では非難の的となる。宗教の厄介なところ。
今まで苦労して苦労して細い地域を奪い奪われ、講和を結んで一時的でも平和があって、とやってきた十字軍国家も終わりが見えてきたのは、相手側の頭がすげ代わったから。これまで数多くの失敗がありながらもやってこれたのは、対するイスラム側が内輪揉めをしていたり、異教徒同士であっても、最低限の共存への意思があったから。その疎通がない相手となると簡単に崩壊する柔さを持った国家だった。 -
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ビザンチン帝国の首都、コンスタンティノープルがトルコ帝国によって滅ぼされた当時の記録をもとに書かれた ノンフィクション本。
たくさん人が出てきて、それが ビザンティン帝国の人か トルコ帝国の人かビザンティン帝国を助けたベネチア人か中立を保ったジェノバ人かを理解するのが難しい。途中からメモをしながら読んだ。
これからイスタンブール(この本で言うと コンスタンティノープル)に行くので歴史を知りたいと思い、読み始めた。
ラストの陥落時に聖ソフィア大聖堂(今のアヤソフィア)で祈りを捧げる人がいたり、トルコ支配後に聖ソフィア大聖堂がモスクに改修されたりということが書かれていて、570年以上も前に歴史の大舞台となった場所に これから行けると思うとワクワクして、読んで良かったなと思いました。 -
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今の日本の状況とちょっと比べながら読んでしまう。
今の日本って後世の人にどう思われるかなと思って悲しくなる。
箇条書きで感想書きます。
・トライアヌス、紀元106年の夏に、ドミティアヌス帝時代の講和により屈辱を味わわされていたダキアを征服。戦後の処理として、ユリウスカエサルの同化政策とは真逆の、非同化政策をとった。(捕虜を剣闘士試合で野獣や、捕虜同士で戦わせたり、故郷から追い出したりした。)ダキアはガリアと違って統一国家だったことが、同化政策が不可能だった一因みたいに書かれているけど、同化政策は取れなかったのか。寛容な同化政策にすごく感心したので、そこが引っかかった。
・トライアヌスは病に倒れてパルティアとの戦争が中途半端に放置されることとなる。
・跡を継ぐハドリアヌスだけど、本当にトライアクスが亡くなる前にハドリアヌスを後継者指名していたかはちょっと怪しい。
・ハドリアヌスの同時代の人による記録は自身でで書いた「回想史」含め後世にほとんど残ってないけど、善政だったし支持されてた様子。
・善性というか、アメリカ人でもプラグマティックと評するほどに効率第一で働き者。
・治世中ローマにいた期間は通算7年くらいと短く、ほとんどを前線の視察と、施策の調整に充てていた。
・自分がとても強かった模様。自己中心的って筆者は表現してた。
・元々質実剛健なタイプだったけど老年期に健康害してから周りに結構嫌われてた、いわゆる老害な感じ。
・その後継者になったアントニヌス・ピウスは、前任者二人の施政を完全踏襲、言い方悪いけど特筆に値することは何もしなかったって言われてるけど、賢帝。
経済状態が良好だとつい公務員の数が増えてしまうものだが、国庫が黒字でもリストラを忘れなかった、とのこと。「責任を果たしていない者が報酬をもらいつづけることほど、国家にとって残酷で無駄な行為はない」とのお言葉。日本の国会議員の大半、聞いてる?? -
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著者作は初読。最近世界史に興味を持ち、「コンスタンティノープル攻めの山越えが面白い」と聞いて読み始めた。
序盤の「現場証人たち」という章でさまざまな人物が登場しやや混乱したが、次第に各々の思惑や事情が絡み合ってあの日あの時のコンスタンティノープルを目撃したことがわかってくる。著者の語り口は冷静でいて臨場感があり、当たり前なのだが「世界史上の一出来事」と捉えていた言葉の背景に、多くの人が関わってきたのだと想像できた。
オスマンのマホメット(メフメト)2世は父と違い、威厳と冷徹さと征服欲に満ちていたようだ。ビザンツ帝国1100年の歴史はガラタ側の山越え、金角湾喪失をきっかけに崩れた。
エピローグで「現場証人たち」が実在した人物だと知った。ラストの一文も良かった。また、イタリア史には疎いのだが今作で中世都市国家に興味を持てたので、『チェーザレ・ボルジア』など他の作品も読んでみたい。 -
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少々読みづらいのだけれど、歴史としてわかりづらい文章ではないはず。
何につかえて読み返すことになるのかというと、名前の多さです。
法王ダレダレと言われても、ピンとこないし、〇〇家がどこの街の支配者だったのか、父が誰と言われても、そうだったかしら?となるのは、こちらの認識不足ではあるのですが。
イタリアの歴史が、初心者にはわかりにくいところがあるのですね。
まあ、コレからだんだんと、読みすすめて行こうと思います。
この作品は、塩野七生さんの、初めての小説だということです。
歴史が面白いと思えるなら、興味深い作品です。
ただ歴史の出来事の紹介というだけでなく、その場の実況を伝えるような書き方が、より興味をそそります。
女性も男性も、主になる人物の、髪の色や目の色、体つきから服装まで描かれるので、その人に親しみがもてます。
印象深かったのが、カテリーナ・コルネールが船に乗って結婚式へと出向く光景。
ゴンドラもその頃は黒でなく、鮮やかな色彩で飾りたてられ、いっせいにオールを漕ぎ出す様子などは、映像で見ているかのようです。
この時代、女性も、男性と同じような教育を受けられる機会があったと言われてます。
しかし、女性の学生なんていうのはいなかったでしょうから、貴族の家庭で、それぞれ教育を受けられたということでしょうか。
女性の生き方、それぞれの四人の物語が語られているわけですが。
この時代の貴族の女性は、おかれた場所でどうやって生きていくのかは、性格や気性によってかなり違ってくるみたい。
とはいえ、結婚にいたるまでを、家、とか国の事情に支配されてしまうのだもの。
2話目のルクレツィア・ボルジアは、結婚を4度させられ、
4話目のカテリーナ・コルネールは、結婚はしたものの、結婚相手の元へ行くのに4年も待たされ。
切りひらいていかねばならなかったり、戦っていかねばならなかったり、守らなければならなかったり。
それも上手くいくとは限らないのですよね。
この4作のうち3作に登場するのが、チェーザレ・ボルジア。
次の作品がボルジアを主人公にしたものになったのは、まあ当然だったのでしょう。 -
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下巻では、歴代ローマ法王との熾烈な争いが主たる内容となる。「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に」、今風の言葉で言えば政教分離を実現しようとするフリードリッヒと、「法王は太陽で皇帝は月」と信じている歴代ローマ法王との間の根本的な考え方の違いが対立の根底にあり、特に原理主義的な法王であればあるほど妥協の余地がなくなってしまうのだった。
度重なる破門通告や、遂には異端者として断罪されての皇帝位及び王位の剥奪にも屈することなく、帝位や王位の剥奪という法王の越権行為についてフリードリッヒは諸国の王侯や騎士などへの世論工作も積極的に行い、こうした苦境を乗り越えていく。しかし、そうした彼にもとうとう死が訪れた。1250年、56歳だった。
彼の死んだとき、その後継者となる嫡庶子が数名いたが、がいずれもまだ若年で父ほどの経験や胆力もなかったし、また病死や戦死で次々に亡くなってしまい、ホーエンシュタウヘン朝は断絶してしまう。
この辺りのドイツ、イタリア、そしてフランス、イギリスといった諸国間の関係、そしてローマ法王との関係について、大変分かりやすく説明がされており、いろいろ学ぶところが多かった。
フリードリッヒが目指した秩序ある法治国家ができるまでには、まだ数百年はかかる。
いかに彼が時代に先駆けていたか、それを語る著者の熱い思いが伝わってきた。読みどころをコンパクトにまとめ、これだけの厚さの本をどんどん読ませていく著者の筆はさすがだ。 -
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第1章 アレクサンドロス
●生涯の友「ヘーファイスティオン」と愛馬「ブケファロス(牛の頭I]に恵まれた。
●父のフィリッポス2世から、身体面ではスパルタ人のレニオダスからスパルタ教育を、精神面では、哲学者の「アリストテレス」から哲学を学んだ。
●哲学者は知識を得る学問ではなく、知力を鍛える学問であり、アリストテレスの教育を受けたことは、アレクサンドロスに大きな力になった。当時の哲学者は先人たちがどのように考えて行動したかを知るために歴史を学び、情報を偏見なく冷静に受け止める姿勢を確立し、3つ目は自分の頭で考えて自分の意志で冷徹に判断して行動する能力を得る学問だった。
●アレクサンドロス曰く「船上では主導権を握った側が勝つ。」
●アレクサンドロスの戦略・戦術を簡単にまとめると、
①騎兵の突撃で敵陣にくさびを打ち込み、敵の陣営を分断する。
②分断した敵陣を、防衛から攻勢に転じた歩兵(ファランクス)と騎兵と連携して包囲殲滅すること
●「ゴルディアオンの結び目」の話は、明快で単純で果断に対処することが最善な方法になるという解釈である。
●筆者の考えでは、アレクサンドロスが経験した4つの会戦(グラニコス、イッソス、ガウガメラ、ヒダスペス)の中で歴史的に見ても、最も重要なのは、イッソスの戦いである。
●兵站の重要性を理解しない司令官は、戦場でいかに勇猛果敢でも、最終的な勝利者には絶対になれない。
●アレクサンドロスが当代きっての名称とされたのは、無敗だっただけでなく、会戦の戦死者数を少なく抑えたことも理由のひとつである。
●アレクサンドロスは広大な領土の統治には、軍事力だけではなく、地域ごとの特性を配慮が必要であることを、早くから理解していた。
●「ガウガメラ」での戦いでは、ダリウス3世は、戦象と戦車を投入してきた。どちらも無力化された。戦象はファランクスの槍を嫌がり暴れて殺されて、戦車はかわされて方向転換中に殺された。
●「ダイヤの切っ先」アレクサンドロスは、騎兵隊が縦長のダイヤ型をなすその先頭に立って、いつも敵陣に突入していた。後世の名称、ハンニバル、スキピオ・アフリカヌス、カエサルさえもそこまでのリスクは負わなかった。それは彼の若さで一度も負けなかったからかもしれない。
●アケメネス朝ペルシアの中心部のメソポタミアの「スサ」「ペルセポリス」「バビロン」を制圧して、ダリウス3世が殺害されてても、なお、アレクサンドロスが東征を続けたのは、メソポタミアの東側の中央アジアは政情が不安定であり、ダリウス3世をかくまった地方長官がこの地域を拠点としていたため、中央アジアも征服する必要があったため。
●ヨーロッパを拠点にした国家が、中央アジアを征服したのは、歴史的に「アレクサンドロス」のみである。
●アレクサンドロスの評伝を書いた古代の歴史家は、若き大王の特質を「速攻」「忍耐」「人間性」を挙げている。彼の後に続く兵士たちも一人の人間として扱った。
●インドの王「ホロス」との闘いに勝利したアレクサンドロスは、インドの横断行を提案されて、彼の部下の兵士たちがこれ以上の東征への従軍を拒否されたので、アレクサンドロスは、東征をやめて、進軍した道とは別のルートでメソポタミア地方に戻った。
●ヨーロッパとオリエントの融合を図るため、マケドニア将校とペルシアの女性との合同結婚式を行い、アレクサンドロスは、ダリウス3世の長女と結婚した。
●アラビア半島を征服して、その後、カルタゴなどの西征を予定していたが、32歳の若さであっても、厳しい戦闘と負傷の積み重ねで過労のため、マラリアに感染してしまい、この世を去った。
●誰を帝国の統治を任せるのか、瀕死のアレクサンドロスに尋ねた側近に対して、「より優れた者に」と言い残したため、後継者争い(ディアドコイ戦争)になってしまった。瀕死の状態では「誰」にするかを明言する体力がなかったか、彼自身が独断で物事を進めてきたため、「より優れた者」を判断できなかったのかもしれない。 -
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カエサルすごい!!スッラと同じ方法を絶対に取らずにローマを内側からジワジワ改革していった天才。
カエサル暗殺後の、暗殺者サイドとか残されたローマ市民とか、カエサル派も反カエサル派も、圧倒的無力感。
歴史の授業だとブルータスがカエサルを暗殺した、くらいの分量でしか教わらないから、ブルータスっていうやべえ奴、って勝手な印象抱いてたけど、極めて普通の青年っていう印象。担ぎ上げられてブルータスも大変だったろうなあ。(なぜか同情)
アントニウスとクレオパトラの二人が残念すぎるのと、オクタヴィアヌスにどうしても血の通った人間味を感じられなくて、終盤カエサルが恋しくなった。笑 -
Posted by ブクログ
3週間くらいかかって読み終わった、すごいボリューム感。
スッラとカエサルの比較が分かりやすかった。
二人とも共和政ローマに限界を感じてたところは一緒だけど、スッラの方は元老院制の伝統を強固に戻すことで建て直しを図ろうとして、カエサルの方は元老院制を利用しつつももっと革新的な政治母体を作ろうとする、って感じ。(間違ってるかも)保守と革新と。
カエサルってまじもんのカリスマだな〜
もう無理でしょ、、、って諦めそうなシーンでも、情報を緻密に集めてうまく戦略練って部下を叱咤激励して、勝っちゃうんだもんな、、、
最近MBTIハマりまくってるからカエサルなんだろ〜とか考えちゃう、ESTJかESFJと予想。スッラはESTPかな。笑