塩野七生のレビュー一覧

  • 絵で見る十字軍物語

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    あまり馴染みのない十字軍だが、ギュスターヴ・ドレの挿絵により概略を楽しめる。
    地図を多めに掲載されているので、地理感が分かってよい。

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    2017年08月19日
  • ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

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    ルネサンスや古代ローマをテーマに数多くの歴史小説を執筆してきた著者が、「ルネサンスとは何であったのか」を、対話編の形式で語っている本です。フィレンツェにおけるルネサンスの開花から始まり、ローマ教会の動きや大航海時代に触れた後、ヴェネツィアという都市の繁栄にまで説き及んでいます。

    「ルネサンスとは何であったのか」という問いに対して著者は、「見たい、知りたい、わかりたいという欲望の爆発」によって特徴づけられる精神運動だったと答えます。ルネサンスの巨匠たちにとって、創造するという行為は理解の「本道」であり、それが美術を中心にした「作品」に結晶したと著者は言い、この点が宗教改革や反宗教改革などの精神

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    2017年07月28日
  • イタリアからの手紙

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    ★★★2017年6月レビュー★★★


    『ローマ人の物語』で知られる塩野七生氏の、イタリアをテーマにしたエッセイ集。地中海の香り、ローマの街並み、陽気なナポリっ子。イタリアの空気を運んでくる珠玉のエッセイ集だ。

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    2017年06月08日
  • イタリアからの手紙

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    ローマ人の物語の方は、どうもリズムが体に馴染まず未読のままだが、こちらは文体のフィット感がズバ抜けて気持ち良く、どうしようもなくおかしみと愛おしさが溢れ出て来た。素晴らしかった。解説の通り、本当に美しい世界。

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    2017年09月23日
  • 日本人へ 危機からの脱出篇

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    ローマの歴史を熟知した上で、日本の様々な問題について筆者の鋭い見解が述べられている。エッセイ風だけれど、複雑な事柄を深く熟孝してきちんと言語化できているからさすがだ。

    *若者のやる気のなさは負けへの怖れから→勝って自信を持つべし
    *競争相手のいない分野を狙う
    *想像力を自由に羽ばたかせたいと思えば、母国語にまさるものはない
    *拒絶されることへの反応が過剰過ぎる
    *上からの圧力に立ち向かわず左右に逃す
    *イイ顔になってる人はイイ仕事をした人
    *自分一人でやれるとは思わないこと。年を重ねれば自然の勢いで、自己生産能力が低下する。若手の能力を見透かし起用。
    *「働かないのも疲れるもんなんだよ」

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    2017年05月04日
  • ハンニバル戦記──ローマ人の物語[電子版]II

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    余りにも有名なハンニバル戦役をふくむ三度のポエニ戦役を活写。第二巻でいきなり最高潮の物語。しかし、単なる合戦描写におわらず、戦勝国、敗戦国各々が抱える問題点が提示される。「戦争終了をどのように行ったかで、その国の将来は決まってくる」、「自主的な交戦権を認めない・・・これではカルタゴは完全な独立国であるとはいえない」。

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    2017年05月24日
  • 海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年(下)―塩野七生ルネサンス著作集5―

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    引き込まれるベネチアの歴史。最後は寂しいが都市は残り観光名所になった。ベネチアがこういう歴史だったと初めて知った。

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    2017年03月26日
  • 悪名高き皇帝たち──ローマ人の物語[電子版]VII

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    ティベリウスからネロまで。
    正直アウグストゥスの時代をややかったるく読んでしまったのでどうかな…と思ってたんですが、読んでみると案に相違して面白かった。
    印象的なのはティベリウス、クラウディウスの堅実な代わりに華のない治世のあとのカリグラ、ネロの即位時の市民や元老院の熱狂。
    特にネロの即位時はカリグラを彷彿とさせて、華々しいことばかりに終始しティベリウスの黒字財政を破綻させた、かつてのマスコットだった若き皇帝のことは思い? 出さな?? かったのか??? と首をひねってしまうのだけど、当時に生きるということはそういうことなのかもしれないなあ。

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    2017年03月08日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    壮年後期から、死後のアントニウス・クレオパトラ対オクタヴィアヌスまで。

    カエサルの描写は絶対著者の贔屓目が入っているんだろうと思う。
    思いはするけどマリウス、スッラの粛清の凄惨さを見て育ち、40歳にして立って寛容路線を貫いた生き方。それから彼の死後のアントニウスとオクタヴィアヌスによる復讐とそれに続く戦争を考えると、やっぱりカエサルは特異な得難い人物だったんだろうなあ。
    同時代人のキケロも面白い人物だなあと思うんだけど、当時の当事者にとってはなかなかそう思えないだろうし、実際カエサル暗殺後には粛清されている。
    そんな厄介な人物を最後まで遇したカエサルについて、やっぱりもう一度考えずにはいられ

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    2017年03月02日
  • マキアヴェッリ語録

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     この本を通して、ニコロ・マキアヴェッリ大先生の、ありがた~いお言葉が聞けます。原書は事前知識が深くないと、読むのが難しく、こちらの本は日本語で、予備知識がない人にも読みやすいと聞いたので手に取りました。君主論、色々な方の和訳や要約が出ていますが、本書はあえて、君主論・政治論中心の抜粋という形を取ったのだそうです。
     1冊を通して、君主たる者、人に恨まれるような事をしてはいけないよ、名誉を傷つけられて絶望した人間は過激な行動に走るよ、もし恨みを買うような事をするなら、二度と反撃できないように徹底的にやらないといけないよ、とか、良い働きをした者には十分な褒章を与えよ、とか、一度徹底的に叩きのめし

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    2017年02月18日
  • ロードス島攻防記

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     3大騎士団のひとつ、聖ヨハネ騎士団の興亡を、ロードス島をめぐるオスマン帝国との戦いをメインに描く。
    歴史とはこうも今日への示唆に富むものなのかと驚かされるのは、著者の書く腕の良さゆえだろう。
     ロードス島の戦いの主役となるのは騎士団側、オスマン帝国側もそれぞれ20代の若者、いわばカデット(士官候補生)だった。そういった若者たちの活躍や心情といったミクロな視点から、勢力の興亡といった歴史のマクロの視点まで盛り込んでどちらも書ききっているのには驚かされる。

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    2017年01月04日
  • イタリア遺聞

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    著者は マキャヴェッリ を研究しているので、もっと きつい文章を書く人だと思っていたが、ソフトなエッセイで 読みやすかった

    旅行者目線のエッセイと違い、生活者目線で 日常のイタリアを感じたまま書いた感じがする。旅行者のエッセイのような無謀や無知もなく、安心感、まったり感のある文章で まとまっている


    イタリアは 日常の方が 絵画や小説みたいで 絵になる

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    2017年01月03日
  • サロメの乳母の話

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    ネタバレ

    目次より
    ・貞女の言い分
    ・サロメの乳母の話
    ・ダンテの妻の嘆き
    ・聖フランチェスコの母
    ・ユダの母親
    ・カリグラ帝の馬
    ・大王の奴隷の話
    ・師から見たブルータス
    ・キリストの弟
    ・ネロ皇帝の双子の兄
    ・饗宴・地獄篇 第一夜
    ・饗宴・地獄篇 第二夜

    歴史上の有名人を、違った視点から掘り下げる。
    なんとなく功績を知ってはいるけれど、詳しくは知らない。そんな人物の選定がすばらしい。

    なかでも「サロメの乳母の話」が白眉。
    素晴らしい踊りを披露したご褒美に、若く有名な預言者ヨハネの首を所望したサロメ。
    それは、恋い慕う彼女の気持ちをヨハネが受けとめようとしなかったから…というのは、オスカー・ワイル

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    2016年12月02日
  • レパントの海戦

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    塩野七生さんの海戦三シリーズで、これは最終回。歴史小説は苦手だったけど、その意識をすっかり覆してくれた。
    時代は1570〜71年、最後の大海戦がレパントで起こった。その戦争が起こるまでの動きや人物像は戦争がいざ始まる前の高揚感を高める。とにかく描写が素晴らしくて、映画のようなスペクタクルな場面を想像した。戦闘が始まる瞬間や各重要人物の動きなど、小説の最高潮に達する。

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    2016年12月01日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以前──ローマ人の物語[電子版]IV

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    読書録「ローマ人の物語4(単行版)」4

    著者 塩野七生
    出版 新潮社

    p455より引用
    “「進もう、神々の待つところへ、われわれ
    を侮辱した敵の待つところへ、賽は投げられ
    た!」”

    目次から抜粋引用
    “幼年期
     少年期
     青年前期
     ガリア戦役一年目
     ルビコン以前”

     歴史作家である著者による、世界史にその
    名を大きく残す古代ローマの歴史を綴った一
    冊。単行本シリーズ四作目。
     ユリウス・カエサルの前半生について、彼
    をとりまく人々をからめて書かれています。

     上記の引用は、国の境界を前にして、兵士
    達にカエサルが投げかけた言葉。
    何か大きな一歩を踏み出す時に、よく引用さ
    れる「賽

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    2016年11月27日
  • 日本人へ リーダー篇

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    いつもながらの爽快な日本へのメッセージ。
    外から見るからこそ見える、日本人の不甲斐なさ。
    著者にはこれからも、どんどん日本への提言をお願いしたい。

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    2016年09月18日
  • ロードス島攻防記

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    「ロードス島攻防記」
    塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」三部作の一つ。
    強大なオスマントルコに対してロードス島で防衛する聖ヨハネ騎士団の奮戦を描いた作品である。超大国のイスラム勢力に対抗するキリスト教徒の聖ヨハネ騎士団は、イスラム側から見れば低開発国の海賊にしかすぎないように見える。
    物語はイタリア、フランスの二人の騎士とベネチアの築城技師を中心に描かれるが、書き方は「ローマ人の物語」に近く歴史奇譚調である。
    10万の大軍を率いて攻めてくるオスマントルコに対し騎士団側は600名ばかり。もちろん島の住民の協力はあるものの圧倒的な多勢に無勢。
    オスマン

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    2016年09月04日
  • マキアヴェッリ語録

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    君主論で有名なマキャベリの語録。彼の代表的著作といえる君主論、政略論から、塩野七生氏が選別した「名言」が掲載されている。解説や補記はないが、一つ一つ良く理解できる。16世紀に書かれたものとは思えず、現在でも価値を失わないことに驚いた。「罠を見抜くには狐でなくてはならず、狼を追散らすにはライオンでなければならない」「結果さえ良ければ手段は常に正当化される」「中立でいるということは勝者にとっては敵となるだけでなく、敗者にとっても助けてくれなかったということで敵視される」「歴史上自由を持つ国だけが豊かになる」「信頼出来る民とは会から上位に昇進するものより、上位から下位に下がっても不平なく仕事をこなす

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    2016年07月27日
  • 日本人へ リーダー篇

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    イタリア在住の執筆家。
    文藝春秋に連載されたエッセイをまとめたもの。

    海外からみた日本の状況をローマの歴史や錯綜する欧米の歴史などを踏まえ、提言・分析している内容。

    客観的に分析しているので内容は信用できる。

    カエサルの言葉
    人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
    多くの人は、見たいと思う現実しか見ていない。

    これは、EU離脱問題の英国を見誤った原因を端的に表しているように思える。

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    2016年06月26日
  • ユリウス・カエサル ルビコン以後──ローマ人の物語[電子版]V

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    塩野氏が紀元前に生まれたカエサルに惚れてしまっていることが感じられて面白い。そのためカエサルびいきになっている部分があると思われるが、カエサルの内面へのアプローチはこれ以上にないというくらい深いのではないか。彼女が推測しているカエサルの意思や意図というのは赤裸々ではあるが本当にそうであったとしてもおかしくないと思ってしまう。

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    2016年04月09日