塩野七生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年完結した「ローマ人の物語」。 読んでみたいと思いつつも、なかなかの長編、さらに世界史はほんど勉強してこなかった私に読めるのか? という思いがあり、なかなか手をつけられなかった書籍。
たまには歴史ものもいいかな? と思い、とりあえず第1巻にチャレンジしてみた。
当初、地中海周辺の地図もイマイチわからず、出てくる人名もなかなかとっつきづらく苦労した。
なんとなく読みすすめていくうちに、紀元前とは思えないほどの発達したローマ人の考え方に驚かされつつ、徐々にではあるが、引き込まれていった。
ローマに限らず、その周辺の都市(たとえば、ギリシアのポリス国家)の発達した生活ぶり、すでに政治が成り立っていたことへの驚きもあった。
二千数百年前にして、成文法が制定され、共和制を確立したローマ。
私はこのころの人々は、強い者が弱い者を支配する独裁制しかイメージになかっただけに、驚きも大きい。
そしてローマの勢力の広げ方。 敗者を支配下に置くのではなく、市民権を与え、領土を広げるというやり方は、まさに知的。
「ローマは遥かなり」
時間だけではなく、もっと深い意味をもつことば。
第1巻を読んだだけでも、この意味をかみしめることができるローマの歴史。
まだ序章に過ぎないわけだが、この先が楽しみである -
Posted by ブクログ
相変わらず手厳しく面白い。
憲法改正について、律法と法律という分け方が面白かったが、多くの日本人にとって憲法は律法により近いのではないかと思った。何たって万世一系の元現人神から降されるものであったのだから。日本の政府は一度として国民が勝ち取ったものであった試しがないことも大きな要因だと思う。徳川が崩壊した時でさえ、農民層をはじめとした一般庶民が、自分たちの作った政府だなどと自覚したであろうか。
自分も外から見る立場の今、日本人は外交下手世界1、2を争うのは本当で、特に声がでかくて腕力があるもの勝ち(まさにメリケンそのもの)な今、どこぞの優秀な属国になってた方がいいとすら思えるほどだ。
民を考えた時、2割の優秀層、7割の一般層、1割の要お助け層という分類は面白かった。優秀層に属する者が1割を羨ましがって本分を発揮したがらないケースも多くありそうだな。 -
Posted by ブクログ
おもしろかった!
私も時代の子で、民主主義至上主義に漬かってきた弊害が明るみに。
カエサルに対して悪いイメージしかなかったのが、払拭された。
また、キケロに対し良いイメージしかなかったのも、一変した。
もちろん、これまでの巻を読んだり、現在の日本の状況を見るに、カエサルのやろうとしてることは、むしろ羨ましくすら思っていたのだけれども、それでもなお、カエサルについて事前に知っていたことが「ガリア戦記書いた」「賽は投げられた」「アウグストゥスを養子にした」「三頭政治」「独裁しいた」「ブルータス、お前もか」という、レベル(笑)
こんなにかっこいい人だったのね。
また、莫大な額の債務者が、債権者に対し有利になるというのは面白い。
大企業なら、政府の金が注入されて救われる傾向にあるのと似てる? -
Posted by ブクログ
空港で買ったけど、飛行機乗ってるときに小説を読んでると、搭乗券やらもろもろの紙をなくさないことを知った。
4人の女性―マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステ、教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジア、イーモラ及びフォルリの女領主カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネール―を通してイタリア・ルネサンスの政治の芸術(アルテ)を描く。
その中で抗った女・流された女・戦った女・利用された女。
塩野七生の書き方は、歴史書とも小説ともエッセイともつかないものだけれど、今回読んでみて思ったのは、研究者が自分のおもしろいと思ってることを親しい人に楽しさのあまりしゃべってるのに近いかもしれない、ということ。
だから、本人が一番おもしろいネタだと思ってることに関して書かれていることが一番おもしろい。
こういう書き方って、『空海の風景』とか「余談だが…」とかいうときの司馬遼太郎に似ている。
正直、ルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・コルネールについては、その周り(ボルジア家/ヴェネッツィア共和国)のほうが氏が好きなので、彼女らについてはほとんど蔑ろといっていいくらいな書き方だった。
やっぱり圧巻はカテリーナ・スフォルツァで、美しく残忍、そして賢く大胆、という彼女を余すところなく読まされ、そこだけはページを繰る手が止まらなかった。
最初に出版されたのが1969年というなんとも近現代の画期の中であって、学習院大を出た後イタリアで遊学(!)していた29歳の彼女にとって、女は小さくおろかな存在らしい。ルネサンスという男の政治が芸術的に花開いていた時期の女たち、というのは基本的に賞賛したり自分を重ね合わせたり肩入れするようなものではないらしく、ここまで詳細に書く割に案外冷めた目で見ているのがうかがえるのがなんともまた塩野流で、肩透かしをくらいながらも、やっぱりおもしろいのです。
地図や系図が豊富なのも、非常にうれしい。 -
Posted by ブクログ
大きな病いを経験したことをきっかけに、私自身、自分の人生や生きる意味を問い直しているところです。色んな本を読み、たくさんの人から話を聞いて、今自分にピッタリくるのは儒教の考えだと思いはじめています。
ただ一方で、対極にある考えも知りたいと思い、韓非子やマキャベリの本も読むことにしました。
そして、とても驚いています。
なぜなら私が勝手に「対極だ」と思い込んでいた思想が、とても近い間柄であるように感じたからです。確かに双方手段は異なります。しかし人間という生きものの捉え方は、とても似ています。
一人の人間として、またその集団の中に生きる者として、どんな手段を選ぶのか。後は選択の問題だと思っています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ西洋史とキリスト教に関する基礎レベルの知識は前提として必要になる短編集。一つの短編が20ページ足らずのものばかりなので、さくさく読めます。
いわゆる歴史上・宗教上の有名人たちの「周辺にいる人」の視点から、「実はこの人はこんなことを考えていた」「実はこの史実・宗教的逸話の陰には、こんな話があった」という切り口で、刺激的なエピソードが語られていきます。小説ではあるけど、ウソ臭さをあまり感じさせないので、もしかしたら本当にそうだったんじゃないの?と思わせるような作品もあったりします。
個人的には、イスカリオテのユダの母親が息子の死をテーマに本を出版、引く手あまたの人気者になってテレビ出演まで果たした、なんてぶっ飛んだ話になってしまっているのが、かなりツボでした。
塩野七生さんの作品はこれが初めてだったんですが、他の作品も読んでみたくなりました。続きものが多いみたいだけど、ハンニバル戦記あたりに手を出してみるかなー。 -
Posted by ブクログ
本巻はガリア戦記に着想を得たのかなと思う(読み落としていなければよいけれど)。
巻末カラーの写真が思った以上に充実していてよかった。2千年の昔が偲ばれる。アッピア街道やフォロ・ロマーノの「兵どもの夢のあと」の感じが好き。
一方で、ネロの記念柱やポンペイウスの柱、ブリンディシの円柱など、力学的に不安定なものが綺麗に残っていることに驚く。建設時の技術力とメンテナンス力は素晴らしい。
一番驚いたのは水道橋。カエサリアのものは海岸沿いにもかかわらず、よく現代まで残ったものだ。ニームの水道橋も3層の大きさだし、セゴビアのものは街中にそびえている。
欲を言えば、多くの街道の説明や写真があるとよかったなと思う。
街道の基本形の説明はよかった。水はけも考慮し、地中1.5mまで手が入っているとは想像していなかった。
これだけの隆盛を誇ったローマ帝国が、どのように終わっていったのか、ますます次巻以降への期待が高まった。 -
Posted by ブクログ
(2019/01/22)
7年前にも読んだんだ、ということを忘れていました、、。
今は会社での役割も重くなり、組織を運営する身として、マキャベリの現実主義的な組織論、人間論が、今回のほうがよりヒシヒシと伝わってきたと感じます。
(2012/06/17)
マキャベリって、権謀術数の親玉で、上昇志向の強い人向けの何だかネガティブな響きのする人だと捉えられがちだと思うし、実際に自分もそう思っていた一人だけど、本書で彼の思想の一端に触れると、その取り上げ方の浅さに気がつく。
耳に優しい言葉を排し、徹底的に冷徹に人間の心理の本質を見つめ、そんな自分勝手で優柔不断な大衆をまとめていく指導者とは、政治とはいかにあるべきかが語られる。国家を正しく導くためなら短期的な非情さはあってしかるべきで、大衆迎合は国を弱体化させる。人間心理のあてにならなさを認識した上で、制度の重要性を説く。
塩野さんの別のマキャベリものも読んでみたい。